じーさん「きたよーっ!!ワシがきたよーーーーっ!!あははうふふどっひょひょぬしゃしゃしゃしゃーーーーーっ!!」
じーさん「大して面白くもねぇな……」
「残念だが、そいつは見つかった時にはもう手遅れだったよ。ま、素性が知れないとは言え死体をそのまま放っておくのも後味が悪いからね、急ごしらえだが墓をたてて供養してやったのさ。
粗末なもんだが、男性ノーマのサンプルー…とか言って研究材料にされるよりは幾分マシだろうさ」
「それで、墓穴を掘ったのがこの二人だ。見つけたのは自分たちだからと、自ら進み出てな」
そう告げるジャスミンとジルの声が聞こえているのかいないのか、じーさんは驚愕の表情でよろよろと墓石に歩み寄っていく。
「そんな…校長が……」
ワナワナとうち震えるじーさんを、ココとミランダもまた悲痛な面持ちで見ている。
ドラゴンとの戦いを余儀なくされるノーマ達は、常に死と隣り合わせ。つい先日までライダー候補生だった彼女達もまた、知人や先輩であるライダー達の戦死を目にしてきたのだ。
「校長……校長…!」
目の前で咽び泣く老人の気持ちは、幼い少女達にも痛いほどよく分かるものであった。
「校長……っっ!!」
多くの少女、女性の墓に囲まれる中、じーさんの慟哭が響き渡る。
「校長っ!何故死んだ!何故死んでしまったんじゃあーーーーーーーっっ!!こーーーーーーーーちょーーーーーーーーッッ!!!!
まぁよくあるコトか…」ホジホジ
………。
「「えーーーーーっ!?」」ずびーん
…ボゴォッ!!
「よくねーのじゃーーーーい!!!!」
「「えぇえーーーーーーーーーーっっ!?!?」」ずがどびーん
コロッと態度を変えたじーさんがハナクソをほじりだしたその瞬間、地面を突き破り、Pencil headと彫られた墓石をひっくり返してモノホンのえんぴつあたまが飛び出した。
言うまでもなく、死んで埋葬された筈の校長その人である。
一部己のキャラまでぶっ壊した女性五人の叫びは、ジジイの慟哭より遥かに上回るボリュームで辺りを貫いた。
「校長!生きておったんじゃな、ワシは信じていたよ…」
「だまれクソヒゲ!!テキトーに済まそうとしてんじゃねーのじゃい!それでもキサマ主人公かーっ!?」
「えー、だってオマエ、だいたい一巻に一回は確実に死ぬじゃろー?作者の友達だってLINEで「校長は死ぬ、はっきりわかんだね」って言ってたしー」(実話)
「いらん裏話してんじゃねーよ!!」
さっきまで土中に埋まっていた筈の校長であるが、そんな様子は微塵もなくじーさんに詰め寄り叫んでいる。
アルゼナルの面々からしてみれば、それはもうホラーでしかないワケで…
「お、おばおば、おば、おばばばばばばば!?」
「おち、落ち着いてココっ、こっコッ、ココッコー!」
「…ふぅっ」
「ぅおっと」
「(まぁそーなるわな…)」
ココとミランダは身を寄せ合い、壊れたレディオとアホウの鶏と化しており、猛烈なめまいを起こして倒れかけたエマは傍らにいたジャスミンが咄嗟に支えたおかげで事なきを得た。
一方まごとしては、この手の不条理ネタは日常茶飯事であるからして、慣れっこである。故に、動揺する女性達を同情混じりの半笑いでただ眺めるのだった。
「…スーーーーーーー、フーーーーーーーーッ……」
ジルはと言えば、素知らぬ顔で煙草を口につけ普段よりずっと深く吸っているのだが、悲しいかな火が点いていないのに一切気付いていない。
「…一体どういうことだ、ジャスミン」
「どうもこうも、こっちが聞きたいくらいだよ。一応マギーにも見せたし、私だって埋める前に確認した。ついさっきまで、間違いなく死体だったはずだよ」
「じゃあ目の前でピンピンしているナマモノは一体全体なんなんだ……!?」
「(スイマセン、こーゆーマンガなんです…)」ち~ん
当惑の極みに入りつつあるジルに対して、とりあえず内心でこっそり謝罪しておくことにするまごなのであった。
「チッ、まぁいいのじゃい。今はそんなことより…オイ!そこのクソガキども!」ズビシッ
「「ヒイッ!?」」
自分たちを思い切り指差してくる
「キサマら、小娘の分際でよくもこのワガハイを地面の下なんぞに押し込んでくれたな…。万死に値するのじゃい…!」
「ふえぇ…」
「…なっ、なによ!死んでたんだからちゃんと埋葬してあげたんじゃないのよ!来ないでこのえんぴつゾンビっ!」
「み、ミランダちゃん!?」
「えんぴつゾンビぃぃ~?」
自分がココを守らないと、とミランダは果敢に声を上げる。が、指を鳴らしせまる校長は不気味に笑みを深めるのみである。
「ぐふふ…。口答えとはますます生意気なガキんちょなのじゃい。ならばお望みどーり!キサマらはワガハイの手で直々に…」
校長が両手を掲げて自身の身長の何倍もの高さで跳躍、
「ぶちコロしちゃりゅりょれーーーーーっ!!」
血走った目を光らせ、二人の頭上へと飛びかかった。
二人が思わず目を瞑り、そして……
「えーい☆」
ごしゃっ
「ほぎょ~~~っ!?」
じーさんが手にした校長の墓石が降り下ろされ、校長は叩き落とされるばかりかそのまま地面と鈍器に顔面がサンドイッチされることとなった。
校長の自業自得であるが、その際にじーさんの腕がにょーーーんと伸びていたので、目撃してしまったジルが眉間を揉みほぐしていた。
「ジジイキサマーーッ!!邪魔すんじゃねーのじゃい!」
「うるせーバーカ!オマエごときが美少女アニメのキャラにおさわりなんて一億万年早いわーーーっ!!」
「(数字が幼稚園児だーっ)」みそ~ん
「…ええいうるさい!もうこの際そのえんぴつ頭の生死はどうでもいい!」
アルゼナルの面々からすればいつになく荒れた様子で、ジルは二人のヒゲを黙らせるよう声を張り上げた。
このままでは状況が一向に進まないばかりか、自分の頭までおかしくなってしまいそうだったからだ。脳みそまで機械仕掛けにはなりたくない。
「とにかく!約束は果たした以上、貴様らの知りうることを洗いざらい吐いてもらう。わかっているな!?」
「なんじゃいキサマ!このワガハイに命令する気かーっ!?」
「校長先生は黙っててください!話進まねーから!」
「で、では尋問室へ…」
知恵熱気味なのか、頭を押さえつつエマが一歩踏み出した。
その瞬間、耳障りなけたたましい音が辺りに鳴り響く。
じーさん達からしても明らかな、警報だ。
「「!!」」
「な、何!?何の音!?」
「ちぃ、面倒な時に…。監察官、司令室へ」
「はい。ですが…」
「オイ!何が起こってるんじゃ!?」
「フン、決まっている。敵襲だ」
敵性体襲来。その一言に、三人は息を呑んだ。
「敵じゃと!?まさか、さっき言ってたドラゴンかっ!?」
「他になにがある。言った筈だ、ここはドラゴンと戦う最前線だと」
「いや、ワシはてっきりオマエさんの脳内設定だとばかり…」
「黙れ、声帯を引っこ抜くぞクソジジイ」
「こえーよ!?力ワザにも程があるじゃろ!!」
「やってる場合ですか司令!!」
エマが痛む頭にむち打ち割って入る。
今もなお警報はなり続けており、基地内のノーマ達は戦闘準備に走り出しているのだ。司令官がいつまでも油を売ってていい筈はない。
「わかっている!ジャスミン、悪いがこの三人を尋問室へ適当に放り込んでおいてくれ。必要なら複数人監視に付けても構わん」
「やれやれ荷が重いねぇ。わかったよ、わかったからさっさと行ってきな」
「頼む。そこの馬鹿共!くれぐれも、妙な気を起こすんじゃないぞ」
ギロリ、とじーさん達を一瞥してから、ジルはツカツカと足早に去っていき、エマもそれに追随していったのだった。
「行っちゃったね…」
「ウム…」
「おのれあの女~~。世界一エライワガハイに向かって好き放題言いおってェ~!ヤツの今晩の味噌汁に白髪染めをたっぷり混ぜてやるのじゃい~!」
「くだらねーコトすんなっ!」
「やれやれ、とんでもない連中が迷い混んできたみたいだねぇ」
そう一人ごちてから、さてと、とジャスミンは三人に向き直った。
「自己紹介がまだだったね。私はジャスミン、ここアルゼナルでジャスミン・モールって市場を切り盛りしてる。おそらく今後、なにかとよく顔を合わすことになるだろうからね、よろしく頼むよ」
「あ、ハイ。よろしくお願いします」
「いい返事だ。そしてこっちが…ん?」
ふと、少女二人がいないことに気づく。
辺りを見回してみれば、随分と離れた位置から遠巻きにこちらを窺っていた。
「なにしてんだか二人揃って。ココ!ミランダ!こっちきな!」
「「は、ハイっ!」」
小走りで寄ってくる二人。
自己紹介をジャスミンに促され、藍色の髪の少女ココは、まごを前にして目を白黒させだした。
「え、えっと、その………うぅ」
「?……あのー、」
「はっ、ハイ!!」
「うぉっ?」
小首をかしげるまごが恐る恐る声をかけてみると、ココは跳び上がるカエルかなにかのようにピシャンッ、と背筋を正した。
「はじめましぇて、ココでしゅっ!」
………。
「…噛んだぁ」
「えぇー…」
ココ、大事なところで運悪くカミカミ。自滅した挙げ句しゃがみこみ、真っ赤になり沈没してしまった。
「あはは…。えっと…あ、あたしはミランダっていうんだ。その……そっちの名前も、聞かせてもらっていいかな?」
「あ、うん。オレは洋助、よろしく」
「こっちこそ、その…よろしくねっ」
ミランダもまた、噛みこそしないが視線があっちこっちにふよふよ舞っている。
あからさまな緊張の様子に、まごも戸惑いを覚えてきていた。もっとも、女の子とはいえ同年代の相手なので、内心ちょっとほっとしていたりもするのだが。
気付けば、警報はひとまず鳴りやんだようだった。
「あの…さ、二人とも固いっていうか、ちょっと緊張し過ぎなんじゃ?」
「まぁ無理もないさ。この島にいる大多数は、男を生で見たことなんざ一度たりともないだろうからね」
「え?」
「なんだ、聞いてないのかい?ノーマは女しか生まれない。だから、風紀上の観点からアルゼナルには女しかいない。あんた達は異質も異質なのさ」
「…えぇええ!?」
「変な声出すんじゃないよ。ったく、別に驚くことでもないだろうに、本当にどっから来たんだろうねぇあんた達は」
と、呆れたと言うようなジャスミンに、まごはそもそもの疑問と謎を思い出す。
じーさんや校長が空気を盛大にブレイクしていたせいで頭の片隅に追いやられていたが、自分たちの身に降りかかった事態に関して、未だ何ひとつわからないでいるのだ。
ここはどこなのか、そもそも日本なのか。何故、どうやって自分たちはこんな所にいるのか。
アルゼナルやドラゴンはともかく、「ノーマ」。女性達が
「あ、あの…ヨウスケ、くん?」
「…へっ?」
頭を抱えそうになった時、どうやら復帰したらしいココがおっかなびっくり自分の名前を呼んでいる。
…ふと気づく。
「(そーいえば名前で誰かに呼ばれたのって……16年ぶりじゃね!?)」なすーん
でんぢゃらすじーさんの前身である読み切り、「ぼくのおじいちゃん」(2000年発表)まで遡っていた。
名前を呼ばれてちょっと感動してしまった自分がいたたまれなくなってしまったまごである。
「わ、私ね、男の人って本や映像でしか見たことなくって、絶対に会うことなんてないだろうって思ってて…。だから、初めて男の人に会えたのが、しかも同い年ぐらいだっていうのがなんだか嬉しくって………えと、つまり何が言いたいかと言うと…」
顔を仄かに赤らめ指先をちょんちょんつついていたココだったが、やがて意を決したように視線を上げて、ハッキリと告げた。
「私たちと、お友だちになってくれませんかっ!?」
眉を逆ハの字にしてまっすぐ見つめてくるココに、まごは何やらヘンな顔になってしまいそうになるが何とかこらえつつ、
「い、いいよ?」
短くOKを伝えると、ココの表情が一気に輝く。そんなストレートな反応を目の当たりにしたまごの頬もまた、慣れない展開で赤くなっていた。
「あ、ありがとう!よろしくねっ」
「ココったら、ちゃっかり私まで巻き込んじゃって」
「えっ?ミランダちゃん、嫌だった?」
「まさか、そんなわけないでしょ。ってことで、私のこともよろしくね、ヨウスケ」
「う、うん。こっちこそ」
女の子に名前を呼ばれるくすぐったさを感じつつも、牢で目覚めてから初めて純粋な笑顔を浮かべることができたまごだった。
「…あー、ゴホン」
と、少年少女を見守っていたジャスミンが、遠慮がちに口を開く。
「邪魔するようで悪いけど、坊や…ヨウスケって言ったね」
「はい、そうですけど」
「お前さんちのじいさん、いつの間にやら姿が見えなくなっちまってるんだが…」
「……え"っ!?あ、あれっ!?」
バツ悪そうに頭をかくジャスミンにそう言われ、慌てて周囲を見回す。
右を見る。
左を見る。
後ろを見る。
念のため地面と空も見る。
「おじいちゃんっ!?校長先生!?」
「まいったねこりゃ…。ジルになんて説明したもんか」
はぁ、とジャスミンが嘆息したその時、どこからかジェット噴射のような音が耳につく。
まご以外はすぐに合点がいったようで、島から離れていく複数の機影を視線ですぐに捉えていた。
「出ていったようだね。今日の当直は、第一中隊だったかね」
「だ、第一中隊…!」
「私たち、もうすぐあの部隊に…」
「あぁ、そういやあんた達はあそこに配属だったね。なら、
「「…イエス・マム」」
「………」
三人の会話を聞き流しながら、まごは小さくなっていく機影群をじっと見つめていた。
「? どうかしたの?」
「ヨウスケくん?」
まごは、直感的にこう思った。
すごく、イ ヤ な 予 感 が す る 。
文章が肥大化する一途ワロエナイ(白目)
というわけで、ドラゴン戦およびアンジュ登場は次回に持ち越しです
書きたいことがどんどん増えて、当初の予定通りの構成で書いていたら、低く見積もっても一万字を軽く越える量に…オリジナル話書くと長大になるのも昔からの悪い癖…orz
原作が始まれば、もっとテンポ良くいけるかと思いますのであと1話、導入にお付き合いください
次回、天使と竜が舞う戦場で、ついにでんじーギャグが牙を剥く!?
それではまたノシ