絶体絶命クロスアンジュ邪っ!   作:監督提督

7 / 7
じーさん「ココのココはココナッツのココというココはココにココッコココココケコッコー☆」

まご「何をゆーとるんだオマエわっ!!」

ココ「ココはココでココにココが……あれっ?ココってどういう意味だっけ…」

ミランダ「自分の名前でゲシュタルト崩壊起こしてるよこの子!?」

※はじまります



マズいメシで戦ができるかーーッ!!じゃっ!

「例の新人ですが、基礎体力、反射神経、格闘対応能力、更に戦術論の理解度。全てにおいて平均値を上回っています」

 

「随分と優秀じゃないか」

 

「ノーマの中では、ですが」

 

アンジュが第一中隊に配属されて数日、ジルはエマと共にその間に行われた体力テスト及び訓練等の報告書に目を通していた。

結果は上々。厳しい内容であったが、アンジュは元皇族という肩書きに似合わぬ身体能力でついてきていた。文武両道で通してきていたのが功を奏したのだろう。

もっとも、当人としては甚だ不本意だろうが。

 

「(加えて、パラメイルの操縦技術にも光あり、と…。フ、まったくもって都合がいい)」

 

ジルが内心でほくそ笑む中、エマは眼鏡を軽く直してから、さらに続けた。

 

 

 

「それと、例の老人ですが…」

 

「すまないが用事を思い出した。失礼する」

 

「待ちなさい」

 

ジルはにげだした!

 

しかしまわりこまれてしまった!

 

「司令…気持ちはよ~~くわかりますが、自分が無視していい立場でないのはわかりきっていることでしょう?」

 

「…あぁ、わかっている。ああわかっているとも。…で?」

 

「…はぁぁ……。ええとですね…」

 

 

 

 

―――――

 

 

 

【居住区画・通路にて】

 

校長「おのれあのクソ鉄腕女め、ワガハイを散々コケにしおって~~」

 

校長「ならば、ヤツの部屋に忍び込んで…」

 

校長「ヤツの服という服(パンツ含む)に《校長!エライ!世界一!イカす☆》と油性ペンでサインしまくってやるのじゃーーーい!!」どーん!

 

 

 

 

じーさん《スイッチグッ↓》

 

ドカーーーン!!

 

校長「かしもとーーーーッッ!?!?」

 

まご「…まぁ、そらそうなるわな」

 

 

 

―――――

 

 

 

【倉庫にて】

 

まご「おじいちゃーーん!どこー!?」

 

ココ「おじいさーん!」

 

ミランダ「ったく、いい年したじいさんがかくれんぼだなんて…。っていうか、ホントどこに隠れたのよ…」

 

まご「おじいちゃーん!もうギブアップだから出て来てよーっ!」

 

 

じーさん(平面)「やれやれ、だらしないヤツラじゃのー」ぺらーん

 

 

ま・ミ「「どおォーーーーっっ!?!?」」ビックゥ

 

ココ「こっ、コンテナの間のほっそいスキマに!?!?」

 

じーさん(平)「かくれんぼもロクにできんとは…これじゃから現代っ子はまったく!」ぺらぺら

 

まご「できるのはオマエだけじゃーーっ!!」

 

ミランダ「いーからさっさと元に戻りなさいキモチ悪い!!」

 

 

 

―――――

 

 

 

【パラメイル格納庫にて】

 

校長「ちくしょー、じーさんまでもワガハイの邪魔をしくさりおって~~」

 

校長「なら、ここにあるロボットを改造して…」

 

校長「ワガハイ専用の《校長☆スペシャルブリリアントカスタム》にして鉄腕女ともどもギッタンギッタンにしてやるのじゃーーーい!!」ばーん!

 

 

?「そうはさせないゼ!」

 

校長「ムッ!何奴じゃい!?」

 

 

♪ナナナナナナナナ7階!(7階!)

 

♪ナナナナナナナナ7階!(7階!)

 

♪ワンツースリーフォーファイブシックス!なな!

 

♪住宅、ヒーロー、7階建てマ~~ン!

 

 

7階建てマン「オレは住宅ヒーロー、7階建てマンだベイベ!オレの頭の7階建てがある限り、キサマの好きにはさせないゼ!」

 

校長「何をこしゃくな~。ならばキサマから先に血祭りにあげてやるのじゃい…!」

 

7階建てマン「望むところだベイベ!かかってこい!」

 

校長「舐めるなよ~、勝つのはワガハイじゃーーい!!」

 

7階建てマン「いくぞぉ!!」

 

 

「「うおおおおおおおおおっ!!」」

 

 

 

 

じーさん《グイッ↓》

 

ドカーーーン!!

 

校・7「「さわだーーーーッッ!?!?」」

 

まご「今のヤツなに!?」ずべーん

 

メイ「ってかアンタ達何やってんのぉ!?!?だれか消火器!早くっ!!」

 

「「い、イエス・マム!!」」

 

 

 

―――――

 

 

 

【幼年部にて】

 

おちんちんのうた

作詞・作曲 じーさん

 

♪おちーんちん、おちーんちん、おちーんちん(チャッチャラ~チャッチャラ~)

 

♪おちんちーん、おちんちーん、おちんちんちーん

 

♪おちーん、おちーん

 

♪はぁ~~~~~~

 

♪おちんちーーん(チャッチャッ!)

 

 

 

女の子「なにそれ、ヘンなうたー」

 

じーさん「そんなことはないぞー?コレはワシのいたとこじゃオマエ達ぐらいの子供はみーんな歌ってるんじゃぞー?」

 

少女達「「へぇぇ~~…」」

 

じーさん「よーし、それじゃみんなで一緒に歌うのじゃー!サン、ハイ…」

 

まご「トンでもない大ウソついてんじゃねぇーーーーッッ!!!!」ぐおーっ

 

エルシャ「あらあらまあまあ…ウフフフフフフフフフフフ」

 

ヴィヴィアン「(笑ってるけどむっちゃ怖ーーーーっ!!)」

 

 

―――――

 

 

 

【医務室前にて】

 

校長「くそ~~、悔しいが一人では限界があるのじゃい……。オイキサマ!」

 

アンジュ「…なにか?」

 

校長「喜ぶがいい!鉄腕女に歯向かう者同士、特別にキサマをワガハイの部下にしてやるのじゃーーーい!!」ぼーん!

 

アンジュ「はぁ!?いきなりなんなのですか!?」

 

 

 

 

じーさん《グッ↓》

 

ドカーーーン!!

 

校・ア「「あなくぼーーーーッッ!?!?」」

 

まご「(アンジュさん何もしてないのに巻き込まれたーッ!!)」どびーん

 

アンジュ「なぜ、わたくしま…で……」

 

マギー「はーい、ケガ人2名ごあんな~い♪」

 

 

―――――

 

 

 

 

「……と言った具合で、基地内のあらゆる場所で騒動を起こしており、また火薬の無断使用による物的損害や負傷者も報告されています」

 

「………」キリキリキリキリキリキリ

 

僅かな間で予想を超える惨状となっている事実に、ジルは頭を…いや胃の辺りをおさえた。

 

「…ジル司令」

 

そんな苦悶を浮かべるジルの肩に、エマは優しく労るように手を置いた。

 

「エマ監察官…」

 

「一緒に行きましょう。医務室…」キリキリキリキリキリキリ

 

「…あぁ、そうしようか」キリキリキリキリキリキリ

 

普段はあくまで仕事上の関係でしかない二人。

しかし、この時ばかりは心と心が通じあったような、そんな気がしてならないジルとエマなのであった。

 

 

 

 

―――――

 

 

 

 

時間はお昼時、食堂は昼食を取るノーマ達で賑わっていた。

そんな中で、階段を上がった上段の隅の席で、食事の盛られたプレートを睨み付けている者がいた。

アンジュである。

 

「……」

 

スプーンを手に取り、手前のライスへと差し入れてみる。

ニチャア…というねばついた音がして、つまりは明らかな水分過多を物語っていた。

 

「…はーっ……」

 

ため息をもらしつつスプーンを下ろし、アンジュは額に手を置いた。

ここ数日、激しい訓練が続いていたこともあり我慢していたが、それもいよいよ限界を迎えつつあった。

 

ここで出される食事、ハッキリ言ってメシマズも良いところなのだ。

 

アンジュは思う。自身の舌が肥えているのもあるだろうが、それにしてももう少しどうにかならないのかと。

食べれば食べるほど食欲が減退していく料理など、アンジュにとっては初めてのことである。まさしく、豚の餌を出されている気分だった。

いっそノーマには相応しいのだろうが、しかし、自分は――

 

「おやおや痛姫サマ。あんなになんでもできちゃう御方が好き嫌い?」

 

アンジュは食欲とともに落ち込んでいた気分がますます滅入っていくのを感じた。

視線を上げれば案の定、下品な笑みを浮かべる水、赤、橙。

顔合わせ以来、何かにつけてつっかかってくる3人組だが……アンジュはその名前を覚えていない。覚える価値に値しなかった。

 

「よくないねェ、ちゃんと食べないと…」

 

言いながら向かいに座った橙…ロザリーは、アンジュの食事を自分のプレートへ移し変えていく。

 

「いざってとき戦えないよぉ~?」

 

たっぷり皮肉を込めながらひとしきり移し終えると、これ見よがしに食べ始め、

 

 

「そんなモノ、よく食べられますわね」

 

「…っんな!」

 

さらりとそう返され、逆に固まってしまった。

 

「あらあら、清楚でハイソな痛姫サマのお口には合わない、と?」

 

ロザリーが固まり、クリスがアンジュを睨む中、自分の食事を口に運びながらヒルダは皮肉を重ねる。

それにも、アンジュはただただ無感動。

 

「このッ、お高くとまってんじゃ――

 

 

 

「どーーーーーーん!!」

 

 

 

「…げっ」

 

「…あっ」

 

「……」

 

わなわな震えるロザリーが手元のお冷やを投げつけようとしたその時、低音の叫びが響くと同時に何かに気付いたらしいヒルダ、クリス、そしてアンジュがテーブルから素早く一歩退く。

 

「…え?」

 

唯一反応の遅れたロザリー。何なのかと声のほうへ向けば…

 

 

べちゃっ

 

 

「 」

 

今しがた口にしようとしていたプレートと同じ物が、まるごと顔面へと飛来してきたのである。それも、盛りたてアツアツ。

 

「…ぅあっちゃちゃちゃちゃぁッッ!?」

 

「「うわぁ…」」

 

当然、ロザリーの顔面はただではすまない。

顔についた米やら何やらを払おうとし、その場で小躍りするハメとなってしまった。

ドン引きの他2人の横でアンジュは思った。無様、と。

 

「ってぇ、なにしやがんだコラァッ!!」

 

二重の意味で顔を真っ赤にしたロザリーが怒号を上げるが、しかし、犯人は彼女のことなど目もくれていなかった。

 

 

「キサマーッ!なんなんじゃこのメシはーーーーッ!!」

 

「ちょっと、やめなよおじいちゃん!」

 

案の定、じーさんの仕業であった。

額に青筋を立て、盛り付けをしている女性を指差しまくしたてる。

 

「ごはんはベチャベチャ!卵焼きはパサパサ!ポテサラはドロドロ!遠藤さんはマッチョ!やる気あんのかコラーーッ!!」

 

「(遠藤さんて誰だよ…)」がぼーん

 

「あーあ、また始まった…」

 

「あわわ…」

 

まごが制止するも収まるはずはなく、一緒であったミランダは呆れと共に肩をすくめ、ココは泡食っていた。

 

「ちっ…。嫌なら食わなくたっていいんだよ」

 

それに対し女性は悪びれる様子もなく、面倒臭いとばかりにあっさりと突っぱねた。

ぬぐぐ、とじーさんが唸る。

 

「おのれぇ~。タダ飯食ってるだけに我慢してたが、しかしもう限界じゃ……ならば!」

 

くわっと目を見開き、高らかに言い放った。

 

 

「キサマらの料理をうまくする方法を、《あの方》に教えてもらおう!!」どどーん!

 

「あ、おじいさんが教えるんじゃないんだ…」

 

「ココ、しーっ!」

 

 

 

 

 

☆ボンバー井上のニコニコお料理コーナー☆

 

 

♪ルルルルル~

 

♪ラララララ~

 

 

「……」コワモテカクガリー

 

「井上先生、今日はどんな料理を教えてくれるんですか?」

 

 

 

「バカヤロウ!!」ドンガラガッシャーン!

 

 

 

「料理ってのは、自分で編み出すもんじゃーーーーいッッ!!!!」ばぼーん!!

 

 

 

㊧ボンバー井上のニコニコお料理コーナー㊨

 

[完]

 

 

 

「「(教える気ねぇじゃん!!)」」ずび~ん

 

単なる文字数の無駄遣いであった。

 

 

 

「ミ、ミランダ?おじいちゃんほっとくワケには…」

 

「いーのいーの、ヨウスケだってツッコミばっかじゃ疲れるでしょ?」

 

「本当に大丈夫かな…」

 

一方、茶番の隙をついてミランダはまごの手を引き、半ば強引にその場を後にしていた。

ちらちら後ろを気にするココであったが、ふと前方の階段を降りてくる眩い金髪に気付く。

アンジュだ。こちらはじーさんが騒いでいるのに便乗したクチである。

すると、おろおろしていたココの困り顔がとたんに喜色満面になっていく。

 

「アンジュさん!」

 

「…?」

 

 

呼ぶ声に嘲りや敵意を感じなかったからだろう、訝しげに振り向いたアンジュへ、ココは小走りで駆け寄っていった。

 

「あ、あの!えっと、えーっとぉ…」

 

「……」

 

が、しかし。近づいたは良いものの、しどろもどろになってしまいココはうまいこと話すことができない。

赤い顔でチラチラ目で伺ってくるその姿は小動物のようで、なかなかに愛らしいものだが、無表情を貫くアンジュの内心は疑問が膨らむばかりであった。

 

「いやー、やっぱり名前覚えられてなかったかぁ」

 

そこへ、見かねたミランダがココの隣に並び、フォローに入る。

 

「あたしミランダ、こっちはココ。ヨウスケは…流石に知ってるかな」

 

「ど、どうも…」

 

「…わたくしに何か?」

 

「そんな身構えないでよ。実はこの子、あんたにもベタ惚れでさー、ずっとアンジュの話ばっかりしてるんだよね」

 

アンジュは目を丸くした。まさかこのノーマだらけの島で、敵意害意ならともかく好意を向けてくる人物がいるとは思っても見なかったからだ。

 

「だ、だってアンジュさん、凄く綺麗なのに何でもできちゃうし、お姫様なんて、絵本の中だけだと思ってたし…」

 

はにかむココに、なにやらデジャヴを感じたまご。

ふと、何かが耳に引っ掛かった。

 

「…ん?あんたに()って…」

 

「…!?」

 

「そうそう、最近のココはすっかり夢中だからねー、アンジュとヨモゴッ!?」

 

「~~~ッ!!」

 

苦笑するミランダの口を、ココが慌てて塞ぐ。その顔はいよいよ真っ赤になってきていた。

 

「ミランダちゃんダメ!それ以上はダメ!」

 

「~~ぷはっ。ごめんごめん、つい口がすべっちゃって」

 

「もう…」

 

「えーと…」

 

「ヨウスケくんは気にしないで!!というか気にしちゃダメ!!絶対だよ!?いい!?」

 

「あ、はい」

 

わけがわからないまごだったが、控えめなココらしからぬ剣幕に、選択肢はハイかイエスしか許されなかった。

 

一方で、アンジュもまた困惑を覚え始めていた。

目の前のココは、笑ったり怒ったり、表情がころころと変わる。

年相応に無邪気な仕草は、そう、まるで――

 

「…違う」

 

「え?」

 

「あ…いえ、なんでもありません…」

 

アンジュは顔には出ないようにしつつ、頭をよぎった思考を強引に握りつぶした。

 

「まっ、何にせよ同じ新人同士なんだし、仲良くしよ。わからないことがあればなんでも聞いてよ」

 

「……」

 

アンジュは、にこやかにそう言うミランダと、ココ達を順番に目だけで見ていく。

人をみる目はあるつもりだ。少なくとも、この3人から邪な思惑は感じれなかった。

なので、

 

「では…」

 

少々不本意ながら、厚意に甘えることにしたのだった。

 

 

 

―――――

 

 

 

「はい、まいどあり」

 

「ありがとうございます!」

 

場所は移ってジャスミンモール。

ここはジャスミンの切り盛りするアルゼナル唯一の商店であり、店主いわく「パンティから戦車砲まで揃う」らしい。

ここで、ノーマ達は各々が稼いだ(キャッシュ)を支払い、必需品や嗜好品を購入していくのである。

 

「はい、どうぞ」

 

ココはジャスミンから受け取った商品を手に小走りで一同のもとへ戻ってくると、アンジュに差し出した。

物は紙とペンであり、アンジュが事前に渡されていたキャッシュで買ったものである。

アンジュがまず聞いたこととは、『買い物の仕方』であった。

 

「まさか、買い物のやり方を教えてほしい、とはねえ」

 

「アンジュさんは、外の世界ではどうやってお買い物してたんですか?」

 

ココの問いに、アンジュは渡された品を眺めていた顔を上げ、彼女を一瞥してからどこか遠くを見つめた。

 

「…望めば何だって手に入りました。望んだ物が手に入る、望んだ自分がある。

かつての暴力や差別が無い。困った事は何一つ無くマナの光に満ちていました」

 

すると、今度はまごが目を丸くさせた。

 

「え、じゃあお金の仕組み自体なくて、食べ物も、オモチャも、服も、全部マナで解決してたってことですか?」

 

「ええ、その通りです」

 

「へえぇ…」

 

マナの世界を想像するまごの隣で、ココが感激だと言わんばかりに胸で両手を組み合わせる。

 

「本当にあったんだ、魔法の国!」

 

 

 

―――――

 

 

 

「魔法の国、か…」

 

夜、与えられた簡素な部屋で、じーさんはまごから一連のやり取りについて聞いていた。

 

「そーなんだよ。スゴいよね、マナって。お金が無くても何でも手に入るなんて夢みたいじゃん」

 

「……」

 

まごはベッドに腰掛け、無邪気に足を振っていた。

確かに、何の対価もなくありとあらゆるものが手に入り、職も遊びも思いのまま。無益な争いなどは何一つない。

そんな世界は、まさに究極の理想郷と言えよう。

 

しかし。

 

「まごよ」

 

「なに?おじいちゃん」

 

「その世界は、歪んでおる!」

 

「えっ?」

 

じーさんは断言した。

 

「歪んでるって、ちょっと大袈裟なんじゃ…」

 

「お金がなくとも物が手に入る世界、苦労せずとも好きな職業になれる世界、病気も何もマナさえあればへっちゃらな世界……。たしかに、それはとても魅力的に聞こえるかもしれんな。じゃがな、

 

 

それは、『人間』を『ヒト』でなくしてしまう世界じゃ!」

 

じーさんの見解は、衝撃的なものであった。

理想郷が、人間をヒトでなくしてしまう…極論とも暴論ともとれるその言葉に、まごは唖然としてしまっていた。

 

「おじいちゃん、それってどういう…」

 

「まごに完全にわかってもらうにはまだ早いかもしれん …。けど、これだけは覚えておいておくれ」

 

 

 

「光と闇は表裏一体…。闇を拒絶する世界に、光などありはしないのじゃ…!」

 

「……」

 

それが何を意味するのか、まごにはよく分からなかった。あえて言えば、どこぞのマンガのセリフをパクってきたんじゃないかと思った。

しかし、自身を見つめるじーさんの目はひたすら真摯な色をおびており、無視してはいけないんだと、笑い飛ばしていいことでは決してないのだろうと、強くそう感じた。

 

「おじいちゃん…」

 

じーさんが回りくどいことを言うとき、それは何か重要な意味が込められている時がある。過去、巻き込まれてきたいくつかの事件でもそうだった。

もっと詳しく聞くべきだと思い、まごが口を開いた――その時。

 

 

 

ビーッ ビーッ ビーッ

 

 

 

「「!!」」

 

夜であることなぞお構い無しとばかりに無遠慮な警報(アラート)がけたたましく鳴り響く。

 

緊急事態――すなわち、ドラゴン出現の報である。

 

「ムッ、敵襲か!よし、ちょっくらいってくるぜ!」

 

「あっ!?ちょっとおじいちゃん!」

 

「なーに、心配するな。ワシは必ず生きて帰ってくる!むろん、第一中隊(アイツら)も一緒にな」

 

そう言ってサムズアップすると、じーさんは部屋を飛び出していった。また誰かのパラメイルに便乗する気なのだろう。

 

「……なんだろう」

 

しかし裏腹に、じーさんが走り去っていった廊下にぽつんと佇むまごの胸中には、言い知れぬなにかがじわじわと広がりつつあった。

寒気にも似た、気持ちの悪い奇妙な感覚。

 

 

「何か、嫌な予感がする……」

 

 

 

 

―――――

 

 

 

 

人が死んだ。

 

「……なんなの、あれ」

 

自分の目の前で、いともたやすく、いっそ滑稽なほどあっけなく。

 

『ドラゴン、コンタクト!』

 

あれが、ドラゴン。

 

あれが、敵。

 

あれを倒せと、そう言うのか。

 

なんの冗談だ。

 

「なんなのよ……なんだって言うのよ……!?」

 

馬鹿げてる。

 

こんなの現実なわけがない。

 

しかし……

 

 

シャギャアアアッ!!

 

「ひっ……!?」

 

逃避するアンジュを嘲笑うかのように、ガレオン級が雄叫びをあげるのだった。

 

同時に、第一中隊の面々ははるか眼下の海面を見つめ、思う。

 

「「(ああ、やっぱり死んだか……

 

 

 

 

 

 

校長……)」」

 

 

 

『ながとしーーーーッッ!?!?』

 

 

 

ありがとう校長!さらば校長!キミの勇気は、きっと伝説となるだろう!祖師ヶ谷大蔵あたりで!

 

「作者め、ネタが出ないからってテキトーに地元の名前使いおったな」

 

「いらんことを言うなクソジジィ!!」

 

「最近、ミランダちゃんの口がどんどん悪くなってる気が…」

 

「フフ、そうやって子供は大人になってくもんなのさ」

 

「なんの話ですか隊長」

 

 

つづく!

 




7話だから7階建てマンが登場したぜベイベ!ひねりとかそんなん知らないぜベイベ!
なお、校長の断末魔は分かる人ならわかるであろう、コロコロではおなじみのギャグマンガ作家様がたの名前を拝借しました。

延びたし伸びた……。すみません更新が安定せず。

しかし、皆さんのコメントは確かに僕の力になっています!
情けない限りではありますが、叱咤激励のほどどうかよろしくお願いいたします!

さて、サラッと折れたココの死亡フラグ。どうあって校長は死んだのか、次回は少し時間を遡った所からはじまります。

ではまた次回ノシ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。