第十一話 紅魔館の模様替え(前編)
異変が解決されてから、早一ヶ月まだまだ残暑厳しい幻想郷で夜明けとともに始まる店があった。
幻想郷の何でも屋。棚ぼた堂の朝は異変の後だろうが日の出と共に始まる。何でかと言うと
「おお!盟友!待ってたよ。この前、人間の道具を拾ったんだけど使い方がどうにもわからなくて...」
と、こんな様な客が妖怪から人間まで来るからだ。
「分かりました。お茶を出すので待っていてください。」
朝は一番はとりあえず、にとりが訪ねてくる。
「はい。お茶どうぞ。」
「おっ、ありがとね。それでこの道具なんだけど...」
「ああ、それはですね...」
「...と言うわけです。」
「なるほど〜。いや〜盟友は色々知ってるねぇ。」
お茶を飲みつつ道具を見て話すこと一時間。にとりはようやく納得した様子だった。
「そういえばさ、盟友。」
「はい?何ですか?」
「その〜敬語をさ、やめてくれないかな。」
常連になったらやめてくれるんだろう?とにとりが言って来た。そう言えばそんな約束してたな。
「分かったよ。これからも店をよろしくね。にとり。」
そう言うとにとりは急にうつむいてしまった。どうしたんだろう?すると、空からシャッター音が聞こえてきた。
「おっはようございまーす!文々。新聞、朝の朝刊でーす。トップ記事は紅魔館についてでーす!」
新聞記者【射命丸 文(しゃめいまる あや)】だった。
「おはよう。文。朝から元気だね。」
「あやや!そう言う天馬さんもにとりさんと朝から熱いですねぇ〜。式が決まったら言ってくださいね!どういう経緯で出会い、結婚に至ったかを独占取材させて頂くつもりなので。」
ニヤニヤしながらこっちを見てくる。こいつは全く余計なことばかり...
「にとりはたまたまお客さんで来て、人間の道具の使い方が分からなかったから見てただけだよ。そうだよな、にとr...どうしたの、にとり顔が赤いよ。」
「ひゅい!?え、あ、あ、うん。その...」
にとりはびっくりした様に声を裏返させて、狼狽した。うーん、どうしたんだろ。
「熱でもあるの?」
と言っておでこに手を当ててみた。そんなに暑くもないけど...
「わわっ!?め、盟友!今日は帰るね!また明日来るから!」
と言って帰って行ってしまった。本当にどうしたんだろう。
「やれやれ、にとりさんの戦いは続きそうですね。」
「何か言った?」
いえいえ何でも。と文は言った。
「とりあえず、お茶でも飲むかい?」
「あっ、ぜひ!」
それからしばらく文と話していた。
「棚ぼた堂はここでしょうか?」
文が帰った後、掃除をして居たら声をかけられた。
「はい。此処で...あれ、貴女は確か紅魔館の。」
「はい。十六夜 咲夜と申します。」
声を掛けたのは紅魔館のメイド長だった。何でも依頼があるそうなので店に招き入れた。
「実はこの前の異変の際、館が崩れてしまい、何とか元通りには出来たんですが...」
この前の異変。つまりレミリアが起こした。【紅霧異変】のことだが、俺たちがすぐに解決したおかげでそこまでの被害はなかった。しかし、紅魔館は全壊状態で色々な奴らが助けに行っていたらしい。もちろん、俺も行って手伝ってた。
「どうしたんですか?」
「家具の配置や片付けがまだまだで、頼りにしていた美鈴や妖精メイド達にも疲れが見えてきていて...」
なるほど、あれだけ広い紅魔館だしな。ま、要は家具や内装の手伝いをすればいいんだな。それぐらいなら出来るだろ。
「分かりました。では明日から仕事に入ります。あと、少し手伝ってもらってもよろしいですか?」
「分かりました。よろしくお願いします!」
そう言ってメイド長は帰って行った。
ーーー翌日ーーー
「こんにちはー棚ぼた堂でーす。」
お昼ちょっと前に紅魔館に着いた。
「あっ、咲夜さんから聞いています!どうぞどうぞ!」
と美鈴が門を開けてくれた。すると何処から現れたのか、メイド長が立っていた。
「お待ちしていました。天馬様。応接室にてお嬢様がお待ちです。」
メイド長は無駄の無い動きで俺を案内した。
「よく来たわね。」
部屋に入った瞬間、カリスマオーラと共に頬杖を尽きながらレミリアは言った。
「今日はどの様なご用件で?」
メイド長から聞いているが、一応確認。
「咲夜から聞いている通り、家具の配置や片付けをして欲しいの。普通だったら、応接室なんて使わないんだけどね。手伝えそうな人材は連れて行っていいわ。」
「分かりました。では仕事の方に映らせて頂きます。まずは家具の移動を行いますので。」
とりあえず、美鈴を連れて行こう。あいつなら力もあるしいけるからな。多分、門の所にいるだろ。
ーーー少年移動中ーーー
「おーい、美鈴ー。」
「あれ?天馬さん。どうしました?」
美鈴は不思議そうにこっちを見た。
「家具の移動があるんだけど、手伝ってもらってもいい?」
流石に疲れてるから断るかな。と思ったのだが
「はい!もちろんです!言ってくれたらなんでも運びますよ。」
てな感じの二つ返事で承諾してくれた。そして美鈴と一緒に家具のある所まで来たのだが...
「これは流石に...」
「まぁ...頑張るしか...」
大きなソファーからベットまでありとあらゆる家具が置いてあったのだ。中には美鈴と俺が一緒に持っても運べないんじゃないかと言う位の物もある。
「何とか昼までには半分にしたいな。」
「そーですね。とりあえず、その置き時計から運びましょう。天馬さんはあっちを持って下さい。」
「りょーかい。」
そんなこんなで作業は始まった。
ーーー少年少女作業中ーーー
「天馬様。お昼をお持ちしました。」
メイド長がランチボックスを持って急に現れた。もうびっくりしない。
「あっ、どうもありがとうございます。美鈴〜、飯だって〜。一旦、休憩〜。」
はーい!と大きい返事がして、すぐに美鈴が来た。ランチボックスを開けるとめちゃくちゃ、美味しそうなサンドウィッチがたくさんあった。思わず、腹の虫がなってしまった。
「ハハハ!天馬さん、どれだけお腹空いてたんですか!?」
「ふふ、大丈夫です。そのためにたくさん作りましたから。」
ううっ、何かすっごい恥ずかしい。でも美味しそう。
「じゃ、頂きまーあれ?フラン?」
俺が柱の影に隠れているフランを見つけた。フランは驚いてその場で転けてしまった。
「大丈夫かい?」
「大丈夫ですか?妹様?」
フランはうつむいたまま顔を上げようとしない。どうしたんだ?するとメイド長は何かを察したようで、
「妹様。天馬様と一緒にお昼をお食べになりますか?」
「いいのっ?」
フランは顔を上げ、驚いている。
「はい。お嬢様には私の方からご報告しておきます。」
「わあ!咲夜ありがとー!じゃあ天馬。一緒に食べよう!」
フランは嬉しそうに俺の手を引っ張って行く。
「わ、私の分も残して下さいね〜!」
と美鈴が後ろから叫んでいた。
昼食も終わった午後三時。作業は意外にはかどっていた。メイド長のサンドウィッチが美味かったからだろう。これなら今日のうちに帰れそうだ。
「ちょっと、天馬。」
ん?誰かに呼ばれた気が...
「此処よ、此処。」
よく見ると足元にフランと同い年くらいの女の子が立っていた。紫色のパジャマを着て。
「お嬢ちゃん。誰か知らないけど、此処は今危ないよ。」
すると少女はむすっとして
「失礼ね。誰がお嬢ちゃんよ。パチュリーよ。パチュリー・ノーレッジよ。」
「ええっ?!」
確かに雰囲気はこんな感じだけど、こんな小さかったけ...
「魔法の研究をしてたら小さくなっちゃったのよ。このままだと、本の収集が付かないわ。」
仕事が増えた。とりあえず、家具の方は目処が立って来たから、美鈴に任せていいだろ。
「分かった。手伝うよ。じゃ、案内してくれよ。」
すると、パチュリーは手を出してきた。?どうしろと?
「ああっもう、迷わないように手を繋いだあげるってこと!」
さっ、早く。俺は小さくなったパチュリーに手を引っ張られて、図書館を目指した。
ーーー大図書館ーーー
「あっ、貴方が天馬さんですね。初めまして、私は小悪魔と言います。(こあ)とでも読んでください。」
会って5秒で自己紹介されたので少しびっくりした。
「こちらこそ、よろしく。それで本は何処に...」
「あれよ。」
とパチュリーが指差した。...マジか、朝の家具よりあるじゃないか。
「これ、今までこあが一人で?」
「はい...流石にしまっても、しまっても減ってる気がしなくて。」
はぁ、こあが大きなため息をついた。
「とりあえず、やるしか無いか。パチュリー、指示頼むぞ。」
「はいはい、しっかり動きなさいよ。」
ーーー約一時間後ーーー
「な、何とか3分の2までになった...」
こあと俺が協力してやっとこんな感じだから、最初は大変だったろうな。
「天馬さん...後は...任せ...」
バタッ
「うわぁー!こあが倒れた⁉︎」
「ま、まって。今すぐ咲夜を。」
パチュリーがメイド長を呼びに行こうとしたが止めた。メイド長はメイド長で忙しいだろうと思ったからだ。
「パチュリー。ソファーはあるかい?」
「もちろん。こっちよ。」
図書館は俺が来る前から家具を入れていたらしい。良かった良かった。こあを運び、面倒をパチュリーに任せて止まっていた作業を再開した。
作業が終了したのは空が暗くなりかけた時だった。ちょうど、こあも意識を取り戻したみたいだった。パチュリーはメイド長を呼びに行った。
「あ、あれ?本の収納は?」
「今終わった所だよ。しかし、凄い本の量だね。いつもはこあが一人で管理してるのかい?」
と聞くと、こあは堰を切ったように話し始めた。パチュリーのこと、あの異変が終わってから魔理沙が本の整理だと言って盗みに来ること、そんなこんなのストレスで太ったということなどなど半分、愚痴に近いことを言っていた。その話が面白く、つい聞き入ってしまった。
「そうだ。天馬さん、外、もう暗くなってますけど、帰らなくてもいいんですか?
「えっ。ああああ!?しまったぁ!!」
出来るだけ妖怪のでない日があるうちに帰りたかったが、さてどうしよう。考え込んでいると
「天馬様。お嬢様がお呼びです。」
メイド長が何処からともなく現れた。俺はこあに挨拶をしてメイド長を追った。
「天馬。仕事の方はどう?」
「家具も美鈴と一緒に行なったので仕事も終わりました。後は片付けだけです。」
そう。と言ってレミリアはため息をついた。
「仕事とは関係ないのに図書館の整理まで任せてしまって悪かったわ。そのお礼と言ってはなんだけど...その...」
そこまで言って、レミリアはしどろもどろになった。そして、メイド長に言いたいことを任せた。
「お嬢様曰く、今日はもう暗いので紅魔館に泊まってはどうか、と仰っています。」
「えっ!いいんですか?」
願ってもない事だった。こっから棚ぼた堂に帰るには一時間は掛かる。泊まっていいなら、泊まりたいなあ〜と思っていたしね。
「じゃ、泊まるって事でいいのね。それなら、夕食にしましょ。」
トントン拍子で話は進み、夕食を食べることになった。紅魔館の夕食はとにかく凄かった。一人暮らしだから、俺も料理は出来るがこんな豪華な夕食は作れない。それでいて味が完璧なんだから、メイド長ってすげぇ。ああ〜なんか本当に
「此処で暮らしたいな。」
と、心の声が漏れてしまった。ま、仕事もあるからそうはいかないんだけどね。するとメイド長と美鈴以外の全員が凄い形相でこっちを見た。あれ?なんかまずいこと言ったかな?
レ「そう!じゃ、暮らせばいいじゃない?大丈夫。部屋もあるし、何か困ったことがあったら、咲夜が何とかするわよ。」
フ「そうだよ!そうだよ!そうしたら天馬と毎日遊べるし。うん、此処に暮らしなよ!」
パ「そうよ。此処に居たら好きなだけ読書が出来るわよ。何だったら部屋じゃなくて、図書館に私と一緒に暮らさない?」
こ「あっ!ズルイですよ、パチュリー様!私だって...その...」
...俺はただそうなったらの話をしただけ何だが。
「此処には住まないよ。今の仕事が楽しいからね。あっ、そうだ。メイド長。僕は今日、何処に泊まればいいですか?」
「空き部屋がありますのでそこまで案内しm「空き部屋に泊まることはないよ!」えっ?妹様。では天馬様は何処に?」
メイド長は結構驚いた様子でフランを見た。フランは堂々と言った。
「天馬は今日、私の部屋で寝るのだから。」
えっ?いや、俺は一人で寝たいんだけど。
「何言ってるの、フラン。」
良かった、そこはしっかりレミリアが止めてくれた。
「天馬は私の部屋で寝るのよ。」
「いやいや!?止めてよ!」
つい、つっこんでしまった。俺は悪くないと思う。姉の威厳をそんな所で使うなよ。
「違うわよ。天馬は私と一緒に夜中まで読書をしているの。そうよね?天馬。」
「天馬さん、そうですよね?」
そんな目で人を見ないで欲しい。人じゃないけど、妖怪のハーフだけど。
「読書もしないよ。今日はゆっくり寝ます。ほら、早く寝て明日すればいいよ。」
と言ってメイド長の所へ向かった。ーはずなんだけど
「ダメ!天馬は私と一緒に寝るの!!」
「のごおっっ!?」
フランに後ろから抱きつかれて、前のめりに転けた。痛い...タスケテ...
「聞き分けのない子ね!天馬は私と寝るの!」
レミリアはフランをどかして俺を立たせ、腕を掴んだ。頼むから思いっきり掴まないで欲しい。腕が砕ける...
「はぁ?!お姉さまこそ分からない人ね!天馬は私と寝たいって思ってるの!」
そう言いながらフランも俺の腕を掴んだ。腕が...まずい...
「じゃ、天馬に聞いてみればいいじゃない。ねえ、天馬どっちと一緒に寝るの?」
「だから、一人で寝r「「どっち!」」え、えーっと...」
何この状況。幸い、パチュリー達は諦めてくれたからいいけど。しょうがない、逃げるか。
「美鈴、ごめんな。」
瞬符《立場逆転》
「ふえっ!?ちょっと、妹様...お嬢様...痛いです...」
一瞬で美鈴と俺の位置が入れ替わった。まだレミリア達も気づいていない。
「メイド長。早く案内して下さい。」
「あっ、はい。こちらです。」
俺はそそくさとその場から立ち去った。
紅魔館は広い。部屋に行くまでの道のりがやたら長い。
「メイド長、これ掃除するの大変じゃないですか?」
するとメイド長はため息をつきながら言った。
「大変どころではありません。能力を使いながらでも一日は掛かりますわ。あと、メイド長ではなく咲夜でいいですよ。」
「分かりました。咲夜さん」
雑談をしながら歩くこと約十分。咲夜が扉の前で止まった。
「此処です。明日は朝食の時にお呼びいたします。」
それでは。と言って咲夜は消えた。俺は扉を開けて部屋に入った。
「おお。すげぇ。」
部屋は一人で使うには広すぎる位だった。ベットもふっかふかだった。着替えるのも面倒だったのでそのまま寝ることにした。明日は残った仕事を片付ければ終わりだから昼には帰れそうだな。うし、早く寝よ。疲れもあったせいか、沈むように俺は眠った。
ども、天馬 駆です。次回はこの続きです。それでは作者お願いしまーす。
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はい。作者です。ちょっと明日からテスト期間に入るので投稿が遅れます。すみませんorzこれからも棚ぼた日記をよろしくお願いします。それでは次回もお楽しみに!!