「おはよーございます。棚ぼた堂、しばらくぶりの開店でーす。」
俺は店のシャッターを開けた。さてさて忙しくなるぞと思い、俺は大きく伸びをした。
「盟友ぅぅぅぅうう!!!!」
「はいはい、おはよー。」
大体こうなることは考えていたから、俺は霊夢直伝の結界を薄く張って、にとりの強烈タックルを受け止めた。そしてフワッとにとりをキャッチした。
「盟友、どこに居たの?!すごい心配してたんだよ!」
「ちょっと、病院にね。」
「何処か具合でも悪いの?!」
「そうじゃなくて、二日酔いが治らなかったからだよ。」
にとりはずっと俺を離さず、俺を抱きしめて居た。恐らく、あの新聞が原因だろう。ったく、文のやつは有る事無い事書くからなあ。
「はいはーい。文々。新聞、今朝の朝刊...ってあれ?天馬さんじゃないですか。」
噂をすれば文が新聞を持って来て翔んで来た。ちょうど良い機会なので不満をぶちまけることにした。
「じゃないですか。じゃないよ、何で俺が失踪したことになってんの。ちゃんと事実を書かないと購読者が増えなないよ。」
「あやややや。痛い所をつきますね天馬さんは。」
文は俺に新聞を手渡し、ポケットから手帳を出した。
「でも私はにとりさんから情報を貰ってあの記事を書いたんですよ?」
にとり...一番、行って欲しく無い奴に言ってしまったか。
「盟友の事が心配で、みんなに探してもらおうと思ったんだ。...迷惑、だった?」
にとりは涙目になりながらこちらを見てきた。一言言おうにも言いずらい。でも仕方ないか。心配してくれての行動だし。
「ううん、全然迷惑じゃないよ。むしろありがとうだよ。心配してくれていたんだから。」
俺はにとりの気持ちが落ち着くように頭を撫でながら言った。にとりは一瞬驚いたが、ニコッと笑った。そうか、そうか。みんなに探してもらおうとして文に言ったのか...ん?
「文。一個聞いてもいい?」
「何でしょうか?」
「あの記事って購読者にしか配ってないよね?」
あの記事は、つまり俺が失踪したとかの記事だ。そして文はたまに【号外】と言って幻想郷中に新聞をばらまく事がある。あの記事がばらまかれていたら...考えただけでも恐ろしい。
「違いますよ。あの記事は号外として幻想郷中にばら撒きましたから。」
グッバイ、俺の平穏。今日は依頼もないから静かに過ごせると思ったのに。
「え、天馬さん私何かやらかしましたか?」
「盟友...何か、世界の終わりみたいな顔してるよ。」
よほど、酷かったのか二人にそんな事を言われた。
「いや...何でもないんだ。二人ともお茶でも飲むかい?」
俺は何とか話を変えようとした。
「はい、ぜひ!」
「盟友〜私はきゅうり茶だよ〜。」
「うーん、りょーかい。」
「え、きゅうり茶ってなんですか?!てか、そんなのあるんですか!?」
二人の声で、ああ、いつもの生活に戻って来たんだと思った。
さて、にとり達が帰った後なんとなく腹が減ったので少し早めの昼食を取ることにした。
「あ、材料がないじゃん。」
三日ほど家を開けていたから紫が勝手に家に上がり片付けてしまったらしく、どこにも材料が無かった。
「仕方ない。今日は外で食べるか。」
人里に行けば蕎麦屋などがあるのでそこで食べることにした。
ーーー少年移動中ーーー
ー人里ー
「あれ?天馬さん。いつお戻りになったんですか?」
蕎麦屋へ行く途中、この前、店の手伝いを依頼をしてきた団子屋《そよかぜ》の娘さんが声をかけてきた。
「いや、ちょっと二日酔いが中々治らないものですから病院に行ってまして...」
すると、娘さんは
「人里は天馬さんの噂で持ちきりですよ。特に、慧音さんはかなり心配していました。」
ま、マジか。慧音が心配してるとなると大変なことn
「天馬ぁぁぁぁああ!!!」
叫び声と共に砂煙を上げながらすごいスピードで慧音が近づいてくるのが分かった。周りが見えていないのか、道にある荷物などを吹き飛ばしている。このままだと近くにいる団子屋の娘さんが危ない!
「早く逃げて!!慧音は俺が止めます!」
俺は結界に妖力を組ませて強力な結界を張ろうとした。
「あ、あれ?足に力が...は、入らない?」
娘さんは腰が抜けたようでその場に座り込んでしまった。くっそ!一か八か、ぶっつけ本番だけど!
霊妖符《多重シールド》
俺は前方だけに妖力を組ませた強力な結界を張った。慧音はどんどん勢いを増して突っ込んでくる。そして
ドカーーンッッ!!!
結界は傷ひとつ無かったが慧音は吹っ飛んでいき、気を失ったようだった。後で、送って行かないとな。
「あの、天馬さん有難うございます!」
団子屋の娘さんが深々と頭を下ろしてきた。
「いやいや、そこまでの事ではないですよ。」
ほぼ毎日の事だからそんなに驚かないしね。
「そういえば、名前を教えていませんでしたね。私は【桑原 颯花(くわばら そよか)】と言います。」
颯花は、お店にも来てくださいね。と言いながら走って行った。さて、問題は慧音だが...とりあえず道の端に運んだ。
「おーい、慧音〜。大丈夫か〜。」
頭を膝に乗せてペチペチと慧音の頬を叩いた。
「うーん...あれ?天馬?」
慧音は目を擦りながら目を覚ました。良かった、無事みたいだ。
「ったく、なんで急に突進なんてして来たの?」
「そのだな、あの宴会の時以来、天馬がいなくなって新聞にも失踪なんて書いてあったから必死で探していたら、団子屋の娘と仲良く話していたから...その...」
どんどん声が小さくなり、最後の方はよくきこえなかった。
「とりあえず、送るから膝から降りて。」
俺は慧音を降ろそうとした。すると
「嫌だ、もう少しだけこのままがいい。」
と服の裾をギュッと掴んだ。慧音はそのまま寝ようとしている。なんだ、眠たいのか。仕方ない、こうなったら
「よっ、と。」
「ふぇぇっ!?」
慧音が変な声を出したが別に変な事をしたわけではなく、抱っこしただけなんだけど。
「てて、て、てんま。は、はは、はずかしいから。は、はやく。」
「?とりあえず、送ってくよ。」
すっかり真昼間になってしまっていた。ま、お昼は慧音の家に言った後でも大丈夫か。慧音は何故か、顔を真っ赤にして俯いている。やっぱり体調が悪いのか。早く家まで送らないと。俺は慧音の家まで全速力で走った。
ーーー少年少女移動中ーーー
ー慧音の家ー
「さ、布団も引いたし早く寝た方がいいよ。」
「うん、有難う天馬。」
話を聞く所によると慧音は寝ずに俺を探していたらしい。それなら眠くもなるよね。
「じゃあ俺は帰るよ。」
俺は立ち上がり、出ようとすると
「天馬。もうちょっとだけ、居てくれないか。」
と言ってさっきみたいに服を掴んできた。
「え、でも」
「ダメ、なのか?」
と消え入りそうな声で言うので離してとも言いずらい。
「分かったよ。どこも行かない。ずっと隣にいるから。」
と安心させる為に言うと
「ず、ずっと...と、隣に...」
と言いながら顔を真っ赤にして布団に隠れてしまった。
しばらくして慧音は寝てしまった。その間もずっと服を掴んでいるので動けなかった。それに
「何だか...眠い。」
慧音の寝顔を見てたら眠くなって来たので俺も慧音と一緒に寝ることにした。
「おやすみー...」
起きた後、何故か慧音に怒られるのはまた別の話。
はい。今回もどうでしたでしょうか。え、ゲスト?前回共に、誘える人がいなかっただけですが、何か?
感想、意見などありましたら是非、お願いします。