チートを持って転生したけど、同僚馬鹿ップルが面倒くさい~2X歳から始めるアイドル活動!?~   作:被る幸

48 / 76
本来なら4月馬鹿に間に合わせるつもりだった番外編です。

本編と繋がらない並行世界の話となっています。
思い付きをまとめただけになっている為、設定等に矛盾を抱えていたり
なれない3人称視点で進行する為、文章がおかしな点があったり
する可能性がありますが4月馬鹿の名残として笑って流していただけると幸いです。


4月馬鹿遅刻番外編 魔法少女ピュアピュア☆

魔法少女ピュアピュア☆

 

第0話「交錯 ‐はじまり‐」

 

 

私達の住む地球世界とは大きく異なる位相に存在する世界ピュアセント・ワールド

そこに住む住人は穢れを知らぬ無垢で無邪気な魂の持ち主ばかりであり、誰もいがみ合うことなく、誰も傷つけあうことなく、平和で穏やかな日々を謳歌していました。

ピュアセント・ワールドには特に純粋度の高い動物達の魂(ピュア・ソウル)を祀った神殿があり、その煌きによって住人達は闇に怯えることなく、まどろみのような優しい日々を過ごしていたのです。

 

そう、運命の悪戯とも思えるあの日までは‥‥

 

 

「夢から覚めやがれッ!」

 

「おい、お前ら遊んでんじゃねぇ!」

 

 

突如繋がったソーシャル・ギアという別世界

ピュアセント・ワールドとは起源も、理念も、文化もありとあらゆるものが根底から違う2つの世界が衝突してしまうのは当然の事でした。

創生以来殆ど争いなく続いた優しい夢のような世界ピュアセント・ワールド、多種多様な生存戦争が繰り広げられてきた生きる為に戦い続けるしかないソーシャル・ギア、両者の世界が戦えば、どうなってしまうかなど地球世界の子供でも分かってしまうほど簡単です。

 

 

「や、やめてよぉ~~、わたしはお昼寝したのにぃ~~~」

 

「ふざけんな!そんな貧相ななりで昼寝なんぞしてみろ、化物共に食い殺されるぞ!」

 

「知らないよぉ~~」

 

 

その圧倒的、いえ比較することすら失礼になりそうな戦力差によってピュアセント・ワールドの住人達はソーシャル・ギアの兵士達に捕虜とされ、どこかへと連れていかれます。

見つかった者から老若男女関係なく連れていかれて帰ってきたものは一人もいません。

女の子達が花冠を作ったりいていたお花畑も男の子達が追いかけっこをしたりしていた原っぱも、泥に汚れた軍靴や軍用車のタイヤによって無残に踏み荒らされ、今では無機質で冷たい前線基地や陣地が構築されていました。

誰かが言いました。『終わりの始まり』だと。

2つの世界が繋がって数ヵ月、ピュアセント・ワールドの王族とソーシャル・ギアの首脳部との交渉が決裂して半月で地球世界と同じくらいの広さを持つピュアセント・ワールドの大地の2/3は奪われてしまったのです。

今や過去の姿を保っているのは伝説のピュア・ソウルが祀られているフィラン大神殿のある王都 ピースロウンとその周辺都市位でしょう。

 

ピュアセント・ワールドの王族達は驚きました。

どうして意見がわかれただけでこんなことになってしまったのか、お互い『ごめんなさい』と謝ってから手を取り合い仲良くして終わりではないのかと。

 

ソーシャル・ギアの首脳部は驚きました。

自分達の意見を譲らず交渉の余地のない子供のような精神に、自分たちが訴える脅威について理解しようともしない思慮の足らなさに。

 

どちらの主張が正しく、間違っているなど誰が決められるでしょうか。

両方の世界もそれまで自身が正しいと信じていた世界の理に従ったために起きた事件。

この物語は、そんなピュアセント・ワールドから始まります。

 

王都 ピースロウンにある王城 ラダイス城、妖精達の住まいそうな自然と人工物が芸術的なレベルで融合した廊下を女王 メルプルは息を切らせながら走っていた。

ふんわりと広がる髪に透き通るような肌、碧と蒼の虹彩異色(オッドアイ)、国民の造ったお酒を片手にいつも笑顔を浮かべている彼女からは想像もできないような切羽詰まった顔は、ピュアセント・ワールドの追い詰められた様を如実に表していると言えるだろう。

目的の部屋の前に到着したメルプルは扉を開き、部屋の主である少女に命令する。

 

 

「アプリコット!今すぐ、フィラン大神殿に行くのです!」

 

「えっ、何で?リコ、面倒くさいことはいやなんだけど‥‥」

 

 

ベッドの上で愛用している桃色兎(カエダーマ)のぬいぐるみを抱きしめて欠伸をしながら少女 アプリコットは面倒くさそうだという態度を隠そうともせずに女王に言い放つ。

無造作に広がる淡い金髪、横方向に長く伸びた耳、緊張感の欠片も感じられない緩み切った表情は今が生存を賭けた戦争中とは思えないほど暢気である。

ピュアセント・ワールドでも長命種である彼女は、時折王族の考えに意見を述べたり、指摘したりして国家運営の一役を買っていた人物であり、今回の戦争の引き金を引いてしまった1人でもあった。

 

 

「だいたいさぁ、アッチも捕虜は丁重に扱うっていってるしさ‥‥降伏しちゃってもいいんじゃない?」

 

「それはダメです‥‥我々ピュアセント・ワールドの住人達が純粋さを失えば、この世界は消滅してしまいます」

 

「えっ、マジ?」

 

 

ご意見番的役割を果たすとき以外基本的に王城の私室でぐうたらな生活をしているアプリコットは知らなかったが、メルプルの真剣な表情が事実だと述べていた。

めんどくさがりなアプリコットではあるが、生まれ育った世界に愛着というものは一応持っており、流石に今は面倒くさいとか言っている場合ではないと悟る。

表情自体は緩み切ったままであるが、その瞳には先ほどまで感じられなかった強い意志の光があった。

 

 

「で、リコは何をすればいいわけ?」

 

 

欠伸を噛み殺しながらベッドから降り、メルプルにそう尋ねる。

 

 

「フィラン大神殿に行き、伝説のピュア・ソウルと適合する少女ピュアピュアを探すのです。

この世界の危機を幾度となく救ってくれた彼女達であれば、我々を救ってくれるかもしれません」

 

「うわぁ、責任重大だぁ~~‥‥そんな大役、女王がすればいいじゃん」

 

「私は、もう一度かの者たちと話し合える機会を探します。この命を賭しても」

 

 

己の不徳の致すところで現在の危機を招いたことを実感しているメルプルは、ソーシャル・ギアからその首を要求されれば喜んで差し出すだろう。

そうでなくても、一時的な平和が訪れるなら自身の命を捧げる、そんな強い覚悟と凄みがあった。

 

 

「‥‥わかったよ。リコは、あんまり頑張りたくないからさ、さくっと見つけてきて後は任せるからね」

 

 

女王の覚悟を感じ取ったアプリコットは溜息をつきながらそう言い残し、自室の窓から飛び降りていった。

 

 

「はい、期待していますよ。‥‥私の最後の希望、こんなダメな母を許して頂戴ね」

 

 

 

 

nyanyanyanya、nyanyanyanya

寝室に目覚まし時計の音が鳴り響くが、少女は起きる様子はなく、寧ろ布団の中にうずくまり徹底抗戦の意志を示す。

あたたかな春の陽気に満ちた室内、自身の体温で程良い温度になっている布団、誘惑に弱い少女の意志では抜け出すことが敵わぬ魔性の組み合わせだった。

機械仕掛けであるが為空気を読むことができない目覚まし時計が覚醒を促し続けるが、そんなことなどお構いなしに少女は二度寝の態勢に入ろうとする。

まどろみの心地よさに浸りながら、再び眠る。これは陳腐な言葉では表現しがたい、至福の快楽である。

しかし、そんな至福の時が長く続くなどあり得ない。

 

 

「コラぁ~~~!何二度寝しようとしてるの!」

 

 

部屋の扉が開け放たれ、現れた真新しい美城高校の制服に身を包んだ少女が現れる。

意志の強そうな目つきに赤いフレームのメガネが良く似合い、面倒見の良さそうな雰囲気を漂わすその立ち姿はその役職でなくても委員長と呼びたくなる何かがあった。

そんな少女、前川みくは徹底抗戦意思を示す少女の布団を力づくで引きはがす。

布団という名の鎧を引きはがされ、更にはカーテンを開けられた窓から入る眩い太陽の光によって、二度寝しようとしていた少女の意識は強制的に覚醒へと促される。

 

 

「うぅ~~‥‥とても、眠いです」

 

 

石膏(アラバスター)のように美しい肌、太陽の光を受けて煌く銀髪、淡い青色の瞳、どれもが日本人では持ちえない美しさがあった。

アナスタシア・カリーニナ、アーニャと呼ばれる彼女はロシアからの留学生であり中学の頃から前川家にホームステイしている。

まだ焦点の定まっていない目をこすりながら、起こしに来たみくの持つ布団へと手を伸ばす。

 

 

「だ・か・ら、あれほど星を見るのはほどほどにしておくように言ったでしょ!」

 

「昨日は、とてもたくさんの『流れ星(メテリオート)』が見れたんです」

 

「ああ、だからちょっとうるさかったんだね」

 

 

伸ばされた手から布団をさらに遠ざけ、襟首を掴んで立たせると起こしに来たみくは母親のように小言を言いながらパジャマを脱がせて制服を着させ始める。

この2人は一応同い年であるのだが、傍から見ると親子にしか見えないやり取りであり『前川さんとこのミニ親子』として近所でもそこそこに有名であった。

 

 

「今日は入学式なんだよ‥‥寝坊したら大変だってちゃんと言ったのに‥‥」

 

ごめんなさい(イズヴィニーチェ)

 

 

アーニャが謝罪すると、みくもそれ以上は何も言わず慣れた手つきでブレザーを着せていく。

 

 

「はい、後は自分でちゃんと確認しなよ」

 

ありがとう(スパシーバ)、ミク』

 

 

何だかんだ言っていつも甘やかせてくれるみくに心からのお礼を言った後、部屋にある鏡で微調整をして昨日の内に用意していたカバンを手に取った。

 

 

「ほら、はやくしないと朝ごはん冷めちゃうし、お母さんに怒られるよ」

 

「Aaa‥‥それはコワいです」

 

 

みくの母親である前川菜々は、一児の母親とは思えないほど若々しく、笑顔が素敵と有名であるが一度怒らせてしまうとかなり怖い肝っ玉母ちゃんなのである。

そんな母を怒らせてしまったりすると、後でどんなことをされるか分かったものではない。

慌てて駆けだそうとしたアーニャであったが、大事なことを思い出したように足を止め、みくを呼び止める。

 

 

『ミク、おはよう(ドーブラエ ウートラ)

 

 

とても優しく純粋な笑顔は、同性でも思わず見とれてしまうような美しさがあった。

 

 

「うん、おはよう。アーニャ」

 

 

 

 

今年は早咲きだった桜の舞い散る通学路をみくとアーニャは2人揃って歩いていた。

アーニャは日本にホームステイをしだして3年以上になるが、それでも春のわずかな期間にしか見ることのできない、桜並木が作り出すピンクのカーテンに見惚れているようでみくの袖を引きながら興奮したように指をさしている。

まるで初めて見たような反応を示す親友の姿を微笑ましく思いながら、みくはおろしたての制服が伸びてしまわないよう歩調を合わせながら歩く。

入学式が始まるまでにはかなりの時間があったが、アーニャが『花見をしながら行きましょう』と言い出した為、予定より早く家を出ることになったのである。

あれだけ二度寝しようとしていたのに、満開の桜を見た途端にこれなのだから現金なものだ。

 

 

「『(ヴィーシニャ)』‥‥さくらですよ!『綺麗(チーストィ)』!とても、きれいです!」

 

「去年も一緒に見たでしょ、もう。あと、そんなにはしゃいでると危ないよ」

 

「‥‥ミク、ノリが悪いです」

 

 

一緒にはしゃいでくれないみくの歳不相応な落ち着きにアーニャは不服そうに頬を膨らませる。

しかしそれは、ホームステイが開始されてから3年以上、よく言えば天真爛漫、悪くいってしまえばフリーダムなアーニャの面倒を毎日のようにみてきた結果なのだ。

2人揃って行動し続ける限り、この関係性は変わることがないだろう。

 

 

「私達、今日から高校生なんだからね。もうちょっとお姉さんらしく振舞わないと」

 

「アー、アー‥‥聞こえません」

 

 

もう少し落ち着いた行動を心掛けるようにという言葉に対し、アーニャは耳を塞いで聞こえないふりをする。

今時小学生でもあまりしないようなその行動に、みくはあきれたような、しかたないなというような様々な感情が入り混じった複雑な表情を浮かべた。

この子供のような純粋さがアーニャの魅力だということはわかっている。

でも、教室焼肉事件を筆頭に、かくれんぼ山狩り事件、T.○.Rごっこ(巨大台風)事件等何かを起こす度に毎回巻き込まれる身からすれば、口煩くそう言いたくなるのも当然だろう。

数々の事件の中には命の危険を感じたものがいくつかあり、反省はすれど後悔はしていないアーニャとは何度も喧嘩に発展したこともあった。

 

 

「あっ、何か落ちてます!」

 

「だから、走らないの!まったく、もう!」

 

 

話題を切り替えるように道端に落ちていた何かの下に走っていくアーニャに溜息をつきながら、みくもその後を追う。

目を離すと何をしでかすかわからないので、常に視界の中に納めておかなければ大変なことになることは間違いないだろう。

中学時代は所属こそ天文部であったが、短距離走で度々陸上競技の大会で入賞しているアーニャの身体能力を甘く見てはいけない。

そんなことを考えるみくであったが、そのアーニャを追い回している内に培われた脚力は相当なもので特に跳躍力が高く、走高跳では1m73とかなりの好成績を収めており、2人揃って美城高校陸上部に目をつけられていることをまだ知らなかった。

 

 

「かわいいです♪」

 

「うさぎ?」

 

 

落ちていたのは兎をモチーフにしたと思われる桃色のぬいぐるみであった。

道端に放置されていた為か汚れてしまっていたが、特に破れている様子はなく十分に使えそうである。

 

 

「落とし物かな?」

 

「届けてあげましょう。きっと、持ち主の子、泣いてます」

 

「そうだね。時間もあるし交番によってから行こうか」

 

はい(ダー)

 

 

アーニャがぬいぐるみを持ち上げると腹部のポケットから白とピンクの宝石のようなものが落下した。

落として傷つけたり、割ってしまったりしていないか確認する為にみくはピンクのアーニャは白い宝石を拾い上げる。

太陽に翳してみて確認したが特に傷等は入っていないようで、宝石は魅入られてしまいそうなほど美しい輝きを放っていた。

 

 

綺麗(チーストィ)

 

「‥‥これって、本物かな」

 

 

人工的に造られた宝石では決して出すことのできない本物の輝きは、宝石に関する知識が殆どない2人でも頭ではなく心で理解させられる。

時間の事を忘れて、うっとりと宝石を眺め続けていたがあることに気が付いた。

 

 

「あれ、この宝石の中にねこちゃんが見える」

 

「私のは『(サバーカ)』です」

 

 

最初は見間違いかとも思ったが、確かに宝石の中に猫や犬の姿がはっきり見えるのである。

高校生になったばかりでまだまだ知識は多くない方ではあるが、それでもこの宝石が普通ではありえないものということはわかった。

 

 

『えっ、マジ?適合者!?』

 

「アーニャ、何か言った?」「ミク、何か言いました?」

 

 

突然聞こえてきた声に2人は互いの顔を見合わせますが、口から出てきた質問は同じものだった。

次に周囲を見回すが、桜並木にそって造られた道は時間が早いので人影はまばらにしかなく、少なくとも今のようにはっきり聞こえるような位置に人はいない。

では、どこから声が聞こえたのであろうか。

 

 

『こっち、こっちだって』

 

 

再び声がして、その方向に顔を向けると声の発生源はアーニャの持っているぬいぐるみだった。

 

 

「な、なにこれ!」

 

素晴らしい(ハラショー)

 

 

突然しゃべりだしたぬいぐるみに対する反応は正反対で、みくは危険なものを見つけてしまったかのように距離を取り、アーニャは更に目を輝かせてどこから声が出ているのかを確かめようとぬいぐるみを引っ張ったり、耳を当ててみたりしている。

感触は一般的なぬいぐるみと変わらず、中にスピーカーなどの機械類が入っている様子もなく、布と綿でできたぬいぐるみでしかない。

なのに、このぬいぐるみは喋ることができる。人並み以上に探求心が強いアーニャにとって、このぬいぐるみは何が出てくるかわからないビックリ箱のような楽しい未知であった。

 

 

「『不思議(チュード)』‥‥不思議です。とても不思議です♪」

 

「アーニャ、あんまり変なものを触っちゃだめだよ!」

 

『ねえ、そろそろいいかな?』

 

 

アーニャの探求心の赴くままにされていたぬいぐるみであったが、流石に黙っているのにも飽きたのか再び喋りだす。

布と綿でできたぬいぐるみの特性を活かして、骨格を持つ生物ではありえない方向に身体を捩じりアーニャの手から抜け出し、地面に降り立った。

きちんと整備された歩道の上に薄汚れたぬいぐるみが自力で立つその光景は、ちょっとしたホラー映画のワンシーンのようにも見える。

そんな非日常極まりない光景を作り出しているぬいぐるみは、宝石を握ったままの2人に尋ねた。

 

 

『面倒くさいから前置きは省略するけど、魔法少女になってくれない?』

 

はい(ダー)』「いいですよ」

 

「安請け合いしないの!って、魔法少女って何?」

 

『ありがと、じゃあ2人は今日から魔法少女ピュアピュアね。リコは妖精 アプリコット、今後ともよろしく』

 

「だから、人の話をきけぇ~~!!しかも、凄い恥ずかしい名前だぁ~~!!」

 

 

こうして生まれた魔法少女ピュアピュアは、ピュアセント・ワールド消滅の危機を救うことができるのだろうか!

 

時を同じくして地球に降り立ったソーシャル・ギアの軍人達、果たして彼らの目的とは!

 

そして、地底から突如現れた未知の脅威が地球を襲う!

 

新番組 魔法少女ピュアピュア☆

201X年1月2X日朝8:30より、美城放送他にて放送開始!

 

 

「「私達は知らなかった‥‥世界の広さを、生きるという意味を‥‥」」

 

 

 

 

 

 

「えっ、これって何ですか?」

 

 

流れていた映像が終わり、私は素直な感想を述べます。

昼行燈と専務と共に現在制作中の作品のPVを確認するとのことでしたが、本気でこれを放送する気なのでしょうか。

正直言って名前がピュアピュアなのに、全然ピュアな要素が感じられないのですが。

楓や双葉さんを始め、とときら学園に出演していたメンバーが演じるピュアセント・ワールドの住人達は見ていて可愛らしく、和みました。

ですが、その後に出てきた交錯したソーシャル・ギア、あれは駄目でしょう。

どこからあんな役者を確保したのかわかりませんが、あんな硝煙と血の香りを纏っていそうな何処の軍人だと言いたくなる屈強な筋肉の塊達、下手をしなくてもトラウマものですよ。

ファンタジーとリアルがごちゃごちゃになり過ぎて、重火器で武装した無骨で近未来的な戦闘用装甲服(アサルト・アーマー)がメルヘンな背景の中を歩いている様子は超現実主義(シュルレアリスム)の絵画を見ているような気分になりました。

確かに最近は子供達も辻褄が合わないご都合主義よりも、設定の細かい現実的な話を好むようですが、それでもこれは極端に行き過ぎでしょう。

前川さんとカリーニナさんの最後の台詞も不安を煽りますし、これ下手すると年齢指定はいりませんか。

日曜日のスーパーヒーロータイムの枠にこんな危険物を突っ込んだら、日本全国のお茶の間の良い子が号泣しますよ。

 

 

「悪くないな」

 

「専務!?」

 

 

正気ですか、頭大丈夫ですか、病院行っときますか。

あの舞踏会以降色々な柵から解放されたようで、まるで憑き物が落ちたかのようにアイドル達の活動に対して寛容になりましたが、これこそ白紙に戻すべきでしょう。

もうこんなPVができてしまっている以上は、7割方製作も終えており、決して少なくない費用が掛かっているはずなのでそれは難しいかもしれませんね。

ですが、原案が出た段階で誰か止めましょうよ。

同席していた制作陣の方を見ますが、普段からきつく厳しい専務の好印象な言葉に声こそ出していないものの狂喜乱舞という感じでスタッフ同士で熱い抱擁や握手を交わしていました。

何が何だかわかりませんが、こんなの絶対おかしいでしょう。

しかし、そんな私の思いとは裏腹に専務は満足した様子で再びPVを再生し始めます。

本当に気に入ったんですね、ピュアピュア。

 

 

「この部分だが、これは何かの伏線か?」

 

「はい、ここは今後の展開における‥‥」

 

 

途中途中で映像を止めて制作陣に質問をする専務を見て、私はこの企画が世に出てしまう無常さに打ちひしがれます。

世間には伝わっていませんでしたが、今回のピュアピュアの戦闘シーンで弟子2人が虚刀流を使ってネット上で騒がれる光景が目に浮かびますね。

というか、あの2人は自分達のユニットは良いのでしょうか。

シンデレラ・プロジェクトがシンデレラ・ガールズと呼ばれるようになり、ユニット単位ではなく個人での活動が多くなったり、別の新規ユニットを組んだりしていますが、それでも最初のユニットというものは大切なはずです。

その辺を聞くためにも今夜あたり妖精社に誘うとしましょう。

まったく、明日には幸子ちゃんと一緒に北欧で3m級のヘラジカを手懐けに出発しなければならないというのに、精神的に疲れるようなことはやめてほしいのですね。

私が頑張らなかったら、幸子ちゃん1人で珍獣○ンターのようなことをしなければならなくて涙目になってしまうではないですか。

視聴者的にはそんな姿が見たいのかもしれませんが、あまり追い詰め過ぎては可哀想なので私が防波堤と成れるのならやるしかないでしょう。

まあ、ヘラジカくらいだったら特に戦闘なく手懐けられるでしょうし、現地の小動物を懐柔すれば広大な自然の中をむやみやたらに探し回る必要もなくなり、極寒の中キャンプする必要性もなくなるはずです。

アイドルは身体が資本ですから、最近バラエティ・アイドルとしてあの天海春香と並び称される程に有名になってきた幸子ちゃんにもしもがあっては大変ですから。

 

 

 

この魔法少女ピュアピュア☆が今後どうなるかわかりませんが、折角の弟子達の主演作品なのですから上手くいくことを祈りましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。