ドラゴンボールFG 〜転生少女達と戦闘民族は仲間だった⁉︎〜   作:竜華

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プロローグ
ヲタ少女達の転生


 それは、春らしい憧憬が見られる、ありふれた女子達の休日、の筈だった…。

 

 

 

 

 

「ふぁぁ〜…今日の気温、黄金比率やで…俺の両眼の中に眠る睡魔がその力を解放させようとしてるんとちゃう…」

 

「全くもって同意…僕、軽く死ねる気がする…ていうか、何気なく中二病発言やめて」

 

「バレた?お前鈍感だから気付かないと思ったんやけど」

 

「さすがに気付くわ阿呆。あんまり僕をなめないでよ」

 

「あぁーなんかグロいアニメないんかいな〜」

 

「勝手にググってろ鬼が。そんなに血が見たいなら二次元行ってこい」

 

  春の日差しを受ける国道を自転車で走り抜けながら、絶賛DBヲタ中の僕・菜実と、僕の数少ない親友であり、絶賛中二病中・澄華は二次元の話に花を咲かせていた。『俺』とか『僕』とか言っているが、一応女、しかも青春真っ只中の中3である。まぁ、心が男だから仕方が無い。え?受験?そんなの知らん。とうの昔に捨てた。鶏レベルの記憶力の僕に勉強しろと言う方が間違っている。

 

  僕達の話を聞いたのか、あるカップルが変な顔をして横を通りすぎていったのは見なかったことにしよう。うん、今、僕の記憶からあのカップルは消去された。

 

「本当、二次元行きてぇーバトルしてぇー血ブッシャー見てぇー」

 

「お前はグロッシーか」

 

「どっかにカゲロウループあれば行ける筈やねん」

 

「トラックに引かれておいで」

 

  さっきから殺人鬼並みの発言ばかりしている澄華にいつも通りの愛あるツッコミを入れていると、

 

「わぁっ‼︎」

 

  進行方向の方から子供の声がした。続きざまに聞こえる何かを倒した音。

 

  「「え?」」

 

  2人で顔を見合わせた後、声のした方を見ると、

  幼い女の子が赤に変わろうとする交差点の上で盛大に転んでいた。足を捻ったのか、立ち上がろうとしない。横に真新しい自転車が倒れている。きっと、乗り始めて間もないので、交差点の上でバランスを崩したのだろう。

 

  これ…普通にヤバイんじゃないか?

 

 考えるより先に僕達の身体が動いた。自転車を乗り捨てて無我夢中に手足を振る。女の子まであと数mだ。行ける。全速力で走れば、あの子を助けられる。早く、早く、早く!!

 

  2人同時に女の子の前まで来た。僕が女の子に、大丈夫?、と声をかけながらその小さな身体を抱え上げる。澄華は、倒れた自転車を立てていた。

 

  「もう、大丈夫だからね」

 

  そう言って笑いかけると、

 

  「おねえちゃん!!トラックが!!」

 

  僕達の横には、物凄い勢いで此方に向かってくるトラックがあった。咄嗟に、女の子の身体を守る様にきつく抱きしめる。澄華も同じ様に、女の子を背中から包み込んだ。もうこうなってしまったら、トラックを避ける事は出来ない。少しでも、この子のダメージを軽減させないと…、こんな小さな子の未来に傷をつける訳にはいかない。僕の思考は、そちらにばかり向けられていた。

 

  『死ぬ時は一緒って約束したじゃん。僕達…

 

  親友でしょ?』

 

  『フン…やっぱり、お前馬鹿やな……ま、それは俺もやけど』

 

 反対にいる澄華を見る。澄華も僕を見ていた。

 

  2人で笑い合った瞬間、

 

 

  激しい衝撃と共に、僕の意識は泡と化して消えた。

 

 ☆☆☆☆☆☆☆

 

 

  「……おい、起きろ…起きんかいチビ菜実」

 

  耳元であの声が聞こえた…って、

 

  「誰が[チビ菜実]じゃぁぁぁぁぁぁい!!」

 

  「うぉっ」

 

  一気に飛び起きて、言ってきた相手を思いっきり睨みつけた。身長が152cmしかないのがコンプレックスな僕。僕にチビなんて言ってみな、次の日から入院することになるからね。そんな僕にチビなんて言える奴は1人しかいない。

  案の定、憎たらしい笑みを浮かべた澄華が僕の横に立っていた。

 

  「…この野郎…僕よりちょっと背が高いからって、調子に乗っちゃってさぁ…殺されたいの?」

 

  「いや〜だって、お前こうでも言わないと起きないやろ?あ、あと、俺達もう死んでるから殺すも何も無いんよ」

 

  「ほぇ?」

 

  当たり前だろとでも言いたげな顔でとんでもない事を言われた気がする。死んだ?僕達が?なんで?

 

  1拍遅れて記憶がフラッシュバックされた。あぁそうだ。女の子を助けようとして、2人してトラックに轢かれたんだった。予想よりあんま痛くなかった気がする。なんか拍子抜けしたなー。

 

  「ん?じゃあ…」

 

  ここは何処なんだい?と、僕が尋ねると、

 

  『此処は、次元を守護する場【ジゲン都】ですよ』

 

  どこからともなく、暖かく、柔らかなトーンの女の声が聞こえた。声の方を向くと、大きな羽根が生えた金色の長髪と、同色の双眼の20〜30代の女性、世に言う世紀の美女が杖を片手に、此方を見つめていた。

 

  「おー神様、ようやくコイツ起きたでー」

 

  「神様ぁ?」

 

  なんかカミングアウト多いなー今日。僕達死んじゃった発言でしょー此処は次元を守護する場ですよ発言でしょー今度は神様だねーあはは……って、

 

  「神様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

  えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?いやいやいや、神様!?なんで!?なんで神様が僕達の前にいんの!?おかしい、おかしすぎる!?

 

  『……大丈夫ですかー……あのー、菜実さんー……』

 

  「いや〜どっからどー見ても大丈夫じゃ無いやん。てか、これが普通の反応と違いまっか?」

 

  『ですよね〜……』

 

  僕がパニック状態に陥っている間に、まるで他人事の様に喋っている神様と澄華。ていうか、お前ら仲良すぎだよね?なんでそんなに仲良く喋ってんの?神様そいつ人間ですよー。人間の癖に神様に敬語使ってないですけど、良いんですかー。

 

 いつまでもパニクってては埒が明かない。とりあえず深呼吸して、頭を整理しよう。

 

「………ええと、じゃあ、今の状況を整理させてください。確か、女の子庇ってトラックに引かれて……死んで……神様がいるこの空間に来た、で良いんですよね?」

 

『大体そんな感じですねー』

 

「……色々細かい部分は後で聞くとして、何と無く分かりました。すみません、騒いじゃって」

 

『では、貴女の言う、《細かい部分》の説明をしますね』

 

 そう笑って語ろうと、杖を横に浮かせ、そこに腰を下ろす神様。え、ちょっ、座るってことは……?

 

「……それ、長いですか?」

 

『可能性はあります。頑張って聞いてください』

 

「……マジで……じゃあ、なるべく簡単にお願いします」

 

『我儘な人ですねー。できる限り短くしますから、しっかり聞いてくださいね』

 

 少々唸ってから、ようやく神様は話し始める。

 

『えーっと……まず、単刀直入に言いましょう。貴方は女の子を助ける為に死んでしまいました』

 

  「はい、知ってます」

 

『実の所、本当はあの子だけがトラックに轢き殺される運命にあったのですが、貴女方の《力》がその運命を半強制的に捻じ曲げてしまった様なのです』

 

  「え、は……?《力》?何ですか、それ?そんなのが僕達にあったんですか?」

 

『我々神と同じような《運命操作の力》ですね。この《力》は、自分自身、そして相手にも大小関係なく、対象の運命を変えるという形で作用します。因みに、貴女達の場合、この《力》を意識的に使うことはできず、本能が勝手に発動させる様です。また、1人でも発動は不可。2人一緒の時のみ発動する、所謂条件付きらしいです。まぁ、言うなれば、神の力の紛い物ですね』

 

「はぁ……」

 

『つまるところ、今回の件は、貴女方の《力》が発動、子供を救う代わりに、自分達が死ぬ、という運命の台本を無視したアドリブができてしまった、という訳です。あ、《生き返らせて》とか言わないでくださいね。もう身体は火葬されてしまいましたので』

 

「うわぁ〜……なんか、凄いことしちゃったんですね。僕達……つーか、もう火葬されたんですか。」

 

『貴女方が目覚めるまでに2年経ってますから、当然ですよ』

 

「はっ⁉︎そんなに寝てたんですか⁉︎」

 

 僕達の《力》とかいう奴が、神のみに許される《運命操作》をしてしまったんだ。そう思うと、自分の手を見ずにはいられない。ついでに、自分の身体が燃やされてしまったのも大きな衝撃だ。

 

  「…んで?どうして俺達を此処に連れて来たんや?そこから先は俺も知らないんやけど」

 

  澄華が口を挟む。どうやら、ここまではコイツも知っていたらしい。やけに落ち着いてるなと感心したのは内緒だ。

 

『本来ならここで断罪するのですが、丁度良く問題が起こってしまいましてね、だったらその《力》を有効活用して頂こうと思いまして』

 

「「はあ?」」

 

 僕達の間抜けな声が重なる。

 

『実は、《ある世界》の運命自体が捻じ曲げられようとしています。その《力》とは反対の《力》を加えて、運命を修正してもらいたいのです。しかし、ここからでは、そこまでの力は加えられません。その世界にいなくては……。なので……』

 

 急に言葉を濁し出す神様。それを、あえて澄華が繋げた。

 

「転生……か」

 

『若干違います。転生先が見つからないので、憑依という形になりますね』

 

 ふむ、憑依系の転生か。悪くないね。

 

「断罪されるよりはマシですね。僕はやります」

 

「……こいつが行くなら、行かなきゃ駄目なんやん?なら、潔く行ってやるで」

 

『話が早くて助かります。では、その《運命歪形次元》と認定された次元をお知らせします。《ドラゴンボール》という、二次元の世界です』

 

  「ふぉぉっ!?」

 

 王子こと、ベジータの岩盤フラグの時の様な声が喉から漏れ出した。というか……

 

  ぬをぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?DBワールドに転生ですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?マジ!?マジで!?夢が叶うのか!?カカさんに、王子に会えんのか!?

 

 「ねぇマジで!?何になれんの!?」

 

 『サイヤ人ですが……何か問題でも?』

 

  「ふぉぉ!?」

 

  ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!?最高ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?もう軽く死ねる気がするおぉぉ!?いや、もう死んでるか。あははっ!!

 

  「神様〜コイツその世界のヲタやで〜そんな奴をDBワールドに転生させてよろしいんでっか?」

 

  『あら、そうだったんですか?』

 

  「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?やっっったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

  『…本当ですね…大丈夫かな…まぁ、決めてしまった事はもう変えられないので、憑依転生していただくのですが…黙らんかい糞餓鬼!!』

 

  「ひゃぁ⁉︎…な…なんですか?」

 

 神様の本性が見えた。この人絶対悪女だ。神様のくせして悪女とかないでしょ。

 

  『何がなんでも、運命の歪みを修正してきてください!!その後は自由に生きて構いませんので!!』

 

 あぁ、そうだ。これはお仕事なんだ。王子と戯れる為に転生する訳じゃないんだから、そこはわきまえなくちゃなね。

 

  「分かりました」

 

  「俺も頑張るで!!」

 

  『それじゃあ…』

 

  パッ

 

  僕達の前に大きな白い扉が現れた。

 

  『いってらっしゃい!!』

 

  神様はそう言って、僕達の背中をトンと軽く押す。瞬間、扉から風が巻き起こり、僕達を優しく包み込み、扉の先へと引き込んでいった。

 

 

 

  さぁ、僕達の新しい人生の始まりだ!!

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