ドラゴンボールFG 〜転生少女達と戦闘民族は仲間だった⁉︎〜   作:竜華

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第27話 乱神

 空気が痺れる様に揺れた。それが、白銀の異形を呼び覚ます。

 

 静かだった山を、異形の黄色い視線が貫いていく。そのふもとのには、寂れた村がぽつんと1つ。そこに、異形の目が止まった。じっと見つめ、そして鳴く。

 

 ───ギョエェェェェェ……!!────

 

 痺れていた空気は震え、木々の隙間を緊張が走った。

 

 異形はそのどこまでも大きい翼を広げると、1回はためかせた。森を荒れ狂わせ、異形は空を舞う。

 

 異形の名は───

 

  アカドリ────

 

 

 +++++++++++++++++

 

 

「……今の鳴き声、何や?」

 

 ビビったキャッツべが僕──アボカ──に近寄った。心霊系が駄目な奴故、こうなるのは必至である。

 

 とは言え、今の奇声には驚かされた。僕もキャッツべ(こいつ)程では無いが結構なビビリストなので、今心臓バックバクである。それを悟られない様に振る舞うのも一苦労だ。え、何でそんな頑張ってんのかって?キャッツべに下に見られたく無いだけだけど、何か?

 

 ──ギョエェェェェェェェェェェェェ……───

 

 再び、奇声が村を貫いた。心無しか、先程より大きい気がする。良く聞けば、鳥が羽ばたく様な、それにしては大振り過ぎる様な、そんな音がした。

 

「……お、お出でなすった……!!アカドリ様じゃ……!お前らを取りに、お出でになったのじゃ……!」

 

 老父が僕達の方──正確には、僕達の向こうの山の方───を指差し、目が取れると言わんばかりに開かせていた。

 

「おぉっとぉ……これは……」

 

「早速ボスフラグかいな……」

 

 振り向きたくないなー、などと考えていたその矢先、

 

 ガッ……!!

 

 背中に鋭い痛みが走った。先の尖った物で切り裂かれる様な痛みだ。というか、おい最新の戦闘ジャケットよ。お前本当に防御力上がってるのか?マジでお願いだから仕事して。痛いのは嫌です。

 

「アボカッ!!お前、ジャケット壊れて背中から血出とるで!?」

 

「……マジ?」

 

 割と大怪我じゃないか。確かに、背中を生温かい液体が伝っている感覚はあるけれども。

 

「……まぁ、大騒ぎする程の傷じゃ無さそうだし……どうとでもなるでしょ」

 

「いや、どうとでもなるって……」

 

「そんな事より、あっちに注目した方が良いんじゃないのかい?」

 

 今は痛みよりも驚きの方が大きい。笑える余裕はあるものの、目をキャッツべに向ける程のものでは無かった。

 

 そこにいたのは、紅──では無く、白銀に輝く大鳥だった。

 

 名称詐欺かよ。

 

「紅くないんかい!!」

 

 キャッツべのツッコミが炸裂する。まぁ、そうなるよね。

 

「前は紅くてとても慈しみ深いお方だったのじゃ!!それがどうじゃ!つい先月からあんなに白くなられた上に、ちょっとでも悪さをした若者を食うようになってしもうた! それが怖くなった奴らは、皆都に逃げていったのじゃ!!」

 

 丁寧な説明ありがとうございます。

 

 つまりこの白い大鳥は、村の秩序を乱されるのが嫌いで、それをする奴らに死刑執行してるということか。で、僕達も村人達を怖がらせたってことで、今こうして襲われてる、と。

 

「んな理不尽な!?」

 

 この人達が勝手に怖がってるだけじゃん!僕達、食べ物を貰いにきただけだっての!

 

 そこでふと思った。この感じは、クリリンの凶悪化に良く似ている。しかし、凶悪化に「体毛を白銀に変える」という副作用は無かった筈だ。つまり、これは凶悪化では無い別の変化ということになる。

 

「……あぁもう!どうなってるんだよ、これ!!」

 

 混乱した頭をグシャグシャと搔きむしる。意味が分からない。これが、神様の言っていた【僕達とは反対の力】なのだろうか。

 

「おいアボカ!!ボーッとせんと、こっちをどうにかしとってやぁぁぁ!」

 

 悲鳴によって、思考が現実に引き戻された。見れば、キャッツべがアカドリ様に追いかけ回されていた。結構速いぞアカドリ様。旋回が良く効いている。

 

 じゃなくて、とりあえずあいつを助けださないと。早くしないと、キャッツべのスタミナが切れてしまう。体力お化けのあいつでも、体力は減るのである。

 

「僕だってねぇ、親友を見捨てる程腐ってる訳じゃないからね!」

 

 怒鳴って、アカドリ様の頭に気弾を1発投げつけてやった。

 

 ドォンッ!!

 

 アカドリ様の頭が煙に消える。

 

「本当、神を神と思わへん奴は何をするからわからへんなぁ……」

 

「あんたも変わらないでしょうが」

 

 助けて貰った奴が叩ける口か。

 

 キャッツべは肩で息をしていた。スピードのコントロールは僕程上手くないから、どうしても体力を使ってしまうのだろう。

 

 ギョェェェェェェェェェェェェェェ!!

 

 煙を振り払い、アカドリ様の全容が再び現れる。静かな狂気をしたためて、その鋭い爪を立ててきた。それを二手に分かれて避ける。

 

 素早く翼の後ろに回り込み、それぞれの翼を掴んだ。アカドリ様は驚いたのか、一瞬動きが止まる。その隙に、腕に力を入れ、手前に引っ張った。

 

「「どぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

 長年一緒にいると、自然に思考回路と動きは合うらしい。それを、大鳥の背負い投げで確認したくはなかったけれど。

 

 ドォォォォォォォォォ……ン……!!

 

 村の向こうの荒れ地に、アカドリ様は墜落した。かなり遠いので、村の原型が無くなる程の被害は出ない筈だ。地震は知らないけれど。

 

 土煙の前に降り立ち、様子を伺う。今回の敵──神様だけど──は、何故か気を探れないので注意が必要になってくる。頼りになるのは、戦闘で培ってきた動体視力だけだ。

 

「……あ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"……!」

 

 鼓膜を圧迫したのは、男の遠吠え(・・・・・)だった。

 

「「……え?」」

 

 人の声だった。僕達は耳だって良いのだ。間違える訳がない。

 

「……今の、何や?」

 

「知る訳ないじゃん……寧ろ僕が聞きたいよ」

 

 気は抜かずに話を進めようとすると、

 

「……汝らニ……天誅ヲ……!!」

 

 恨めしそうな言葉が耳に入った。拙くて、呂律もはっきりしていなくても、言葉は言葉だ。

 

「……人気の無い所に投げたよ……」

 

「ま、まさか……なぁ……」

 

 嫌な予感を察知しながらも、目を凝らして煙の先を見た。

 

 そして、声の主はすぐに判明することとなる。

 

「……今度は人型!?」

 

 煙の消えたそこに鳥の姿は無く、代わりに、白銀の髪と腕の翼を持つアカドリ様がいた。

 

「「何がしたいんだ(や)ぁぁぁ!!」




突然の消息不明から…4カ月?の投稿、すみませんでした。
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