夢を、見ていた。
夕暮れの街、赤く染まった空。
今とは少しだけ違う町並み。俺がまだ小学生くらいのガキだった頃のこと。
殴られた頬が、擦り傷だらけの体が痛む、やけにリアルな夢だった。
「また喧嘩したの?」
隣を歩く少女がそう問いかけてくる。この頃から綺麗な声をしていて、歌の上手い彼女は、小学校に入ってからの付き合いで、18になるまで腐れ縁の続いた友達だった。
あんなことがなければ、今も一緒に夢を追い続けていたかもしれない、大切な友達だった。
彼女に答えずに俺は足を早める。
「いつも喧嘩ばっかりして。他にやることないの?」
「……うるさい」
「まぁ、あんたがどうなろうと知ったことじゃないんだけどね」
いつも彼女はそうやって言葉は終わらせる。
このやり取りも年中行事で、もう慣れたことだった。
彼女の言う通り、当時の俺は毎日喧嘩に明け暮れていた。同級生はもちろん、下級生に中学生、男女すら問わず、誰でも構わずに喧嘩を買って、自分からもふっかけて――そんな毎日を過ごしていた。
むかつくから殴った。殴ったら殴り返された。だからもっと殴った。
そうやっていつも怪我だらけになって、傷だらけにして――生まれついて乱暴な性格だったのだろう、それでも喧嘩は一番楽しかった。
頭も顔も良くない、運動だって人並み以下にしか出来ない、何も自慢できるもののない自分にとっては暴力だけが唯一の自分を表現する手段だったのかもしれない。
我ながら嫌なガキだったと思う。
「……」
「どうしたの?急に立ち止まって」
ふと視界の端に写ったものに興味を惹かれて、脚が止まってしまった。
小さい頃はよく友達と遊んでいた、街中にある小さな公園。そこに三人の小さな女の子がいた。
オレンジ色の髪をした快活そうな子と、それを見守る大人しそうなグレーの髪の子、木の陰から二人をこっそり覗いている青みがかった髪の子。
小学校に上がるか上がらないか位の幼い子供だった。別に誰が公園で遊んでいようと何か感慨があるわけでもなかったが、その日その時は不思議と彼女たちの様子が目にとまった。
「下級生?私達とは違う学校の子かな」
つられるように友達も彼女たちの方に目を向ける。
俺たち二人が見ている前で、快活そうな女の子が駆け出した。
彼女の進む先にあるのは大きな水たまり。
その手前まで駆け寄った彼女は思い切り飛び上がり――飛び越えかけたところで正ぢに転んでびしょ濡れになってしまった。
どうやらあの子は水たまりを飛び越えようとしているらしかった。
「何してんのかしら?」
「さぁな」
きっと彼女なりの理由があっての行動なのだろう。でも、見ている側からしてみればひどくくだらないことをしているようにしか見えない。
「小さい頃ってなんでも楽しかったわよね……」
感慨深げに友達が呟いた。
それに答えず、俺は女の子を見続ける。
その子はめげずに水たまりから距離を取り直して、また駆け出していた。
――今度こそ
遠目からでも分かる。彼女の瞳にはそんな思いが込められていた。
くだらない、と思う。
だが、そんなくだらないことでも必死になれるあの子が何だか羨ましかった。
なぜだろうか、彼女のしていることにいつの間にか見入っている自分がいた。
走っている途中で彼女は目をつぶり、そしてその顔に小さな微笑みを浮かべたように見えた。
そして、水たまりの直前で跳び上がる。
今度の彼女はさっきよりも軽やかに、それこそ羽が生えたかのように飛び上がって――
†
朝練を終えた帰り道、もう8時をとっくに回っているのに日曜の朝の通りはいつもよりもずっと静かだった。
少し前までの私だったらまだこの時間までゆっくり寝てたんだろうな、なんて軽くジョギングをしながらふと思った。
廃校。
その発表を聞いたときは本当にびっくりした。
当たり前のことが急に当たり前じゃなくなるって分かって、凄く焦って目の前が真っ白になっちゃったことを覚えてる。
何とかしなきゃ!
そう思ったけど、何をどうすればいいのか分からなくて、海未ちゃんやことりちゃんに相談してみたけど、結局いい案は思いつかなくて。
そんな時に偶然街角でA-RISEのライブ映像を見たとき、これしかないって思った。
私たちもスクールアイドルをやってみようって。
ただの思いつきで始めたことで、当然反対されたり失敗もしたりしたけど、みんなでどうにかこうにかやってきてここまで来れた。
メンバーも9人に増えて、曲もどんどん増えて、そして今はラブライブっていう目指すべき目標も出来た。
まさに順風満帆……であってるのかな?とにかく、このチャンスを逃す手はない。
出来ることがあるのに、何もしないで後悔はしたくない。
「あれ?」
人通りも少ない道を、向こうからゆっくりと歩いてくる人影。
よれよれの開襟シャツに色の抜けたジーンズなんてどこかパッとしない格好。まだ朝だっていうのに疲れたようなその顔に見覚えがあった。
「パン屋さんだ!おっはよー!」
「ん?あぁ高坂ちゃんか。おはようさん、今日も練習か?」
私が駆け寄るとパン屋さんは困ったような顔をして挨拶を返してくれた。
「うん!今日も朝からへとへとだよー」
「そっか。お疲れさん」
愛想も何もない、ぶっきらぼうで適当な調子。学校にいる時とはまるで別人みたいだけど、こっちのほうがどこか気軽な感じがして話しやすい。
不機嫌そうな仏頂面と口調は、知り合って最初の頃は怒っているみたいで少し怖かったけど、それが違うって気づくまではそんなにかからなかった。
パン屋さんは何だか眉間に皺を寄せたかと思うと、目を逸らしながら小さな声で、
「頑張るのはいいが……怪我には気をつけてな」
本当のこの人は照れ屋さんで不器用なだけ。
そうわかってしまうと、何だか可愛く思えてしまうから不思議。今の言葉だって恥ずかしそうに言ってるみたいで、何だか笑えてくる。
「パン屋さんは何してたの?」
「いや、俺は新台……じゃない、ちょっと用事でな」
何かを言いかけて慌てた様子で取り消すと、パン屋さんは腕時計を眺めて、
「と、ともかく!お疲れ様。帰ってゆっくり休めよ」
「ありがとう!」
手を振って駆け出す。
パン屋さんの言う通りゆっくりと二度寝でもしたいところなんだけど、残念ながらこの後はお店番をする約束になっているんだっけ。
どうにか雪穂を説得して代わってもらえないかな?
そんな風に考えていたら、
「あ、」
足元の小さな段差に躓いた。
そのまま体が宙にういて、地面が目の前に迫ってきて――
「高坂!!」
パン屋さんが声を荒げて駆け寄ってきた。
「おい、大丈夫か!?」
「うん、ちょっと転んじゃっただけだから」
この人がこんなに慌ててるところ、初めて見た。いつもは不健康そうな目を丸く見開いて、心配層にこっちを覗き込んでくる。
ちょっと転んじゃっただけなのに、大げさだなぁ
いつも今みたいに素直な表情を見せればいいのに。
「いたた……」
立ち上がろうとしたら、足首に鈍い痛みが走って思わず声がでちゃった。
「おい、どうした?」
「ちょっと足首ひねっちゃったみたい……」
足をかばいながら立ち上がる。
やっぱり痛い。走るのはきついけど、流石に立って歩くくらいはどうにかなりそう。
「ちッ……」
そんな私の方を眉間に皺をありありと浮かべてパン屋さんが睨みつけていた。
怒られる――
一瞬そう思ったけど、この表情は違う。この人がこんな顔をするときは……
苛立たしげにパン屋さんは舌打ちをしたかと思うと、私に背中を向けてしゃがみこんだ。
それはまるで――
「……ライブ近いんだろ?その足で無理に歩かない方がいい」
「え?」
「確か穂むらだったよな?ここからは結構近いし……七面倒くさいが背中貸してやる」
「パン屋さん、思ったより背中広いんだね」
「……まぁな」
結局、私はパン屋さんにおぶってもらっていた。
この年になっておんぶなんてちょっと恥ずかしいけど、それよりも普段とは違う新鮮さが優っていた。
「おい、高坂ちゃん。……あんまりくっつくな」
「えー?でもちゃんとしがみついてないと落ちちゃうよ」
「しかしだな……」
余計にぎゅっとしがみつくと、パン屋さんは表情をこわばらせて、お経でも唱えるみたいに何かぶつぶつ呟きだした。
――ガキは守備範囲外、ガキは守備範囲外、ガキは守備範囲外……
言ってる意味は分からなかったけど、自分がガキ呼ばわりされてるのだけは分かって、頬を膨らませる。
「穂乃果、ガキじゃないもん!」
「う、うるせぇ饅頭娘!!耳元で騒ぐな、このままぶん投げて帰んぞ!!」
「ひどい!私お饅頭みたいじゃないもん!!」
「うるせぇ黙れ!」
乱暴に脅かしてくるけど、その割には何だか声が上ずっていてあんまり怖くない。
むしろ何だかちょっと面白くなってきちゃって、余計に強くしがみついてみる。
「このガキ……!」
パン屋さんが何か言ってるけど気にしない。
背中に顔を押し付けると、煙草の匂いに混じって美味しそうなパンの香りがした。
ふんわりバターにこんがり香ばしいほかほかのパン。想像しただけで練習終わりでぺこぺこのお腹がなりそうになってくる。
――じゅるり
「おい、人の背中で涎たらすんじゃねぇぞ!?」
「そんなことしないよ!」
背中で揺られて道を行く。いつもと変わらない景色なのに、パン屋さんの背中からみると少し違って見えて少し不思議な気分。
なんだか前にもこんなことがあったような……
「ねぇ、パン屋さん。私とパン屋さんって前にもどこかで……」
伝わってくる背中の暖かさが心地いい。
広い背中に安心したら、あれ、何だか眠くなってきちゃった。
「お前ん家見えてきたぜ。っと、何か言ったか?……高坂ちゃん?おい、高坂ちゃん」
†
「ちっ……」
小さく舌打ちを漏らす。
今日は新台の入荷日、朝から並んでゆっくり日がな一日パチンコを楽しもうと思っていたのに、思わぬ出来事で予定が潰れてしまった。
――こいつらと関わるとロクなことがない
背中で眠りこけてている少女のことを考えて、心中で毒づいた。
朝っぱらから出会ってしまったのが運の尽き、俺には似合わない仏心なんか出した所為で、こんな状況になってしまった。
いくら人通りの少ない朝の道とはいえ、女の子を背負って歩くのはキツいものがある。人に見つかったら下手をすれば通報されかねないし、それになにより恥ずかしい。
こっちがこんな思いをしているのに、当の本人は背負って3分もしないうちに熟睡してしまっているのだから尚更ムカつく。
本当に、甘い顔なんて見せるものじゃない。
「っと、ここであってる……よな?」
地元の老舗饅頭屋、『穂むら』の店舗の前にたどり着くと、まだ開店時間になっていないのか暖簾もかかっていない扉に手をかける。
幸いというかなんというか、扉は軽くに開いてくれた。
「あ、すみません。まだお店まだ始まってなくて――ってお姉ちゃん!?」
店の中には一人の女の子がいた。
高坂ちゃんよりも一つか二つ年下位で、彼女に似ている。高坂ちゃんの妹だろうか?
女の子は俺の背中の高坂ちゃんを見て目を丸くして驚きの声を上げた。
説明が面倒くさいな……
「あー……ちょっとそこで怪我しちゃったみたいで。ここまで送ってきたんだが……」
――眠っちゃったみたいだ
言っていてなんだか少し笑えてきた。
こんな冴えない野郎におんぶされてて、寝るかね、普通?
「え!?怪我って」
「いや、大したことはない。足を捻ったくらいだ……ほら、起きろ高坂ちゃん。家についたぞー」
「んあー?家―?」
声をかけて、そっと背中から彼女を下ろすが、当の本人は寝ぼけたような声を出すものの依然まぶたはとじたままだ。全くこの子は……
「もう、お姉ちゃん……すみません、姉がご迷惑おかけしました!」
思い切り申し訳なさそうに頭を下げると、彼女は肩を貸すようにして高坂ちゃんを受け取る。
口ぶりからして何だか高坂ちゃんには苦労しているみたいだ。難儀、してんだなぁ
「どうしたの雪穂……ってあら?」
騒ぎを聞きつけたのか、店の奥から高坂ちゃん達姉妹の母親と思わしき女性が出てきた。
目の前の光景に驚く顔が、妹ちゃんにそっくりだった。
また説明しなきゃなんないのか?面倒だな……
「えっと、」
「何だかお姉ちゃん、怪我しちゃったみたいでこの人が送ってくれたんだって」
俺が何かを言う前に、妹ちゃんが母親に説明をしてくれた。
ナイス、妹ちゃん。
「すみません、娘がご迷惑をおかけしたようで」
「いや、別にたいしたことはしてませんので」
――では
軽く会釈をして踵を返す。
時計をちょっと見てみるが、もうパチ屋は開店時間になっていて新台には間に合いそうにない。
まぁ、なんだか興も剃れたし、今日は諦めて帰って二度寝と洒落込むことにしよう。
「あれ?」
「はい?」
高坂母の驚いたような声に反応して振り返る。
「あなた、きょーちゃんじゃない?」
「え?」
「やっぱり!津田さんのところのきょーちゃん。しばらく見ないうちに大きくなったわねぇ」
「え?えぇ?」
向こうはどうやら俺のことを知っているらしいが、こっちにはあいにく覚えがない。
もっとも、適当さには定評のある俺のことだから忘れているだけかもしれないが。
「お母さん、この人知ってるの?」
「えぇ、ほらパン屋の津田さんあるじゃない?あそこの息子さん」
恐るべし、ご近所ネットワーク。同じく地元に店を構える人同士、どうやらうちのことを知っていたらしい。
そういえばうちのお袋もよく穂むらの饅頭を買ってきてたっけか。
「ほら、雪穂。ご挨拶」
「あ、すみません。高坂穂乃果の妹の、高坂雪穂です」
「え、えぇ。カフェ&ベーカリーTSUDAの津田京助です」
何分突然のことで挨拶がぎこちなくなってしまった。
どうやら妹ちゃんは雪穂というらしいことは分かった。
「折角だし、お茶でも飲んでいってください。雪穂、穂乃果を部屋まで運んであげて」
「はーい……全く、お姉ちゃんまた重くなった?……ゆっくりしていってくださいね」
「いや、お気遣い無く。俺はもう帰りますから……」
気を使っていただくのはいいが、さすがの俺でもこの状況でゆっくりお茶なんてキツいものがある。
やんわり断ると、高坂母は懐かしそうに目を細めて、
「そういえば、前もそう言って帰っちゃったのよね。昔から照れ屋さんなところはかわらいのねぇ」
「昔?」
俺が照れ屋だとかとんでもないことを言い出したが、そこは置いといて。
「そうそう。あの時も、びしょ濡れになった穂乃果を今日みたいにおんぶしてくれて……覚えてない?」
「……すみませんが、人違いでは?」
全くもって覚えがない。自分で言うのもアレだが、昔の俺は今よりももっと荒れて尖っていて、とてもそんなことを人にしてやるような人間ではなかったはずだ。今だってお世辞にもまともな人間とはいえないが……
「では俺はこれで。高坂ちゃん……穂乃果さんに、お大事にと伝えてください」
それだけ言って俺は店を後にした。
†
夢を、見ていた。
夕暮れの街、赤く染まった空。
夕焼け小焼けの音楽が遠くに聞きながら、あぁもう帰らなきゃいけないんだってぼーっと考えてた。
夢の中の私はまだとても小さくて、見える町並みも今とは随分違ってた。もうなくなっちゃった駄菓子屋さんやおもちゃ屋さん、引っ越してしまった友達の家とか、懐かしいものがいっぱい。
そんな道を、私は誰かにおんぶされてゆっくりと進んでる。
いつもと同じ見慣れた光景だけど、私よりも大きなその人の背中の、いつもよりちょっとだけ高いところから見るのはいつもと違って見えた。
私をおぶってくれるその人も、今の私からしたらまだ小さな男の子で、何だか危なっかしい足取りだったけど、小さな私は怖いとは少しも思わなかった。
彼の背中はとっても広くて暖かくて……安心したらなんだか眠くなってきちゃった
「はっ!」
がばっと布団から飛び起きて時計を見る。
時刻は既に九時を過ぎていた。
大変だ、練習寝坊しちゃった!また海未ちゃんに怒られる……
慌てて布団を飛び出したら、寝ぼけてた頭が冴えてきて今朝のことを思い出した。
そうだ、今日はもう練習は終わったんだっけ。
でもいつ帰ってきて布団に入ったんだろう?
確か練習が終わって、家の手伝いをするために帰る途中で……
「お姉ちゃん、やっと起きた!今日はお姉ちゃんがお店番する約束でしょ!」
部屋に入ってくるなり妹の雪穂が
「ごめん。そうだった」
部屋を出ようとしたら、足首がずきんと痛んだ。
それでやっと思い出す。
今朝、パン屋さんにあったんだっけ。転んじゃった私をパン屋さんはおぶってくれて、それで――
あれ?そこからの記憶がない。
「雪穂、私どうやって家に帰ってきたっけ?」
「もう!津田さんって人がお姉ちゃんをおんぶしてここまで送ってくれたんだよ。私びっくりしちゃった」
「あはは……そっか、私寝ちゃってたんだ」
「涎まで垂らして、恥ずかしかったんだから」
そんなに強く言われなくてもいいのに……
私だって恥ずかしいんだから
「とにかく、起きたなら着替えて早くお店番!」
「はーい」
雪穂が出て行った部屋で大きく伸びをする。
本日二度目の目覚めは案外に快適。
夢見も悪くなかったし――夢?
「あれは、夢だったのかな?」
目を閉じれば思い出せる。
それはパン屋さんなのか、それとも夢に出てきた男の子なのか分からないけど――広い背中の温もりを。
「ううん。ま、いっか」
考えるのはひとまずやめにして、朝から気合をいれていく。
ちょっと遅くなっちゃったけど、今日もこれから始まっていくんだ。立ち止まってなんかいられない。
†
安タバコを咥えて道をゆく。
歩きタバコはマナー違反、そんなことは分かっているが、癖になっちまったことは今更なかなかやめられない。
ぼんやりと取り留めのも生産性もないことを考えながら帰路につく。見慣れた街の風景だが、俺が子供の頃に比べるといくらか様変わりしてるようだ。
駄菓子屋やらおもちゃ屋、ダチ公の住んでたアパート……時代の流れって奴だろうか。
チビたタバコを足元に吐き捨て、踏みにじって火を消した。
感傷にひたるのは俺のキャラじゃない。さっさと帰って二度寝なりなんなり自堕落に過ごそう。
そう思って顔をあげるとふと目に付くものがある。
「あれは……」
小さい頃に何度か遊んだことのある公園だった。
何か感じるものがあって近寄ってみれば、昔に比べて遊具が減った敷地の中に大きな水溜りが出来ていた。
「……なるほど」
疑問にようやく合点がいった。
新しいタバコを取り出して口にくわえ火を点ける。時の流れとは早いものだ。
「あん時のガキが……随分大きくなったもんだ」
呟いてから、紫煙を漂わせながら歩き始める。
その足取りはいつになく軽やかだった。
こんばんは、北屋です。
突然の穂乃果短編……本当なら誕生日編を書くはずだったのですが、どうにもこうにもならなかったのでこのような形の短編にすることになりました。
やっぱり穂乃果ちゃん可愛い!書いててかなり楽しめましたw
今回の話はあまり本編とは関係ないですが、完全にIFというわけでもないのです。のちのち関わってくることが……あるといいのですがw
さて、次の短編はことりちゃん回。無事に誕生日に間に合えば良いのですが……
次回は普通に本編を進めていきます。
ではでは!