目が覚めるとAKUMA転生(仮)   作:床太郎

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一話と二話の間が一ヶ月以上もあいた……orz
え、えーっと今回独自解釈というか独自設定が含まれております。
ご了承くださいm(__)m


レベル5

 

 

 

 

AKUMA。

暗黒物質であるダークマターを核として千年伯爵がイノセンスに対抗させるために造り上げた悪性兵器の総称。

巨大な大砲をも弾く硬質なボディ、人間の空腹にも似た殺人衝動を持つ。

AKUMAは憎悪や絶望といった負のフラストレーションによって進化する。

AKUMAの進化は明らかに人へとその姿を近付けようとする傾向がある。

レベル2で自我を持ち、レベル3で人形を形成し、レベル4で胎盤から産まれ落ちる。

そしてレベル5。

姿形は人のそれとそう大差ない。

レベル5の進化を遂げたAKUMAは完全な肉体を形成する。

柔軟な皮膚でありながら、何よりも硬くより強硬な肉体。

AKUMAはレベル5になって初めて人間を完全に超越した存在へと昇華する。

自身に肉体を形成させることで自律することができるイノセンスーー隠されたもの(アポクリフォス)ーー。

レベル5はそれと同じようなことがダークマターにも発現したといえよう。

 

ただの兵器でありながら、その力はアポクリフォスと同等、つまり主であるノアの一族と同等か、それ以上の力を持ったAKUMA。

そんなレベル5という存在は何を思い、何を観るのだろうか。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

『無理すんなよ……。オレはさ、何があっても味方だから……』

 

『ごめん……。ごめんよネア……』

 

『これで全部元通リ♥ マナ=D=キャンベル。すべてオマエのせいデスヨ♥』

 

 

AKUMAとしての記憶が流れ込んだあとに見た映像(きおく)

 

……これは、千年伯爵の過去?

 

我ながら呆れる。

あれだけの殺戮現場を自分が加害者として追体験したというのに、心が壊れていない以前に違うことを考える余裕があるなんて。

無意識に目を逸らしたのか、それとももうすでに心までも化け物になってしまったのか……。

 

あの宇宙のような空間で意識が途切れる前に聞こえた言葉。多分あれはこの世界の神のような存在であるのは間違いない。

そう思わせるほどの威厳や風格があの言葉にはあった。

 

俺をこんなところに連れてきたのは神だとでもいうのか?

 

 

『ひっ。た、助けて。し、死にたくないッ!!』

 

『お願いだ!! どうか息子だけは、この子だけは助けてくれッ!!』

 

『クソッ。このバケモノがぁぁぁぁぁああああッ!!!』

 

 

 

クソッ。

 

深く深く思考に浸れば浸るほど声はより鮮明に聞こえてくる。

俺は無理矢理、思考に蓋をすることでその悪夢から逃走を開始する。

考えるな。これは俺じゃない。だから、俺はなにも悪くない!!

 

 

 

そうして自分に暗示にも似た何かをかけながら、俺は頭の片隅で思うんだ。

 

"どうして俺はこんなところにいるんだろう"って……。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

真っ暗な世界。

そこに幾つもの蝋燭が無数に連なっており、辺りを照らしている。

そのちょうど真ん中に大きな体躯をもった人間?が椅子に鎮座していた。

彼は人に似た化け物を思わせるような容姿をしている。

頭にシルクハットを被っているので髪型は伺えないが表情が特徴的だ。

顎と口が異様に長い。そして剥き出しの鋭い白い歯。

白い燕尾服のような服装でどこの部分がとは言わないが、ある部分がはち切れんばかりにぱんぱんに膨らんでいる。

明らかに人の容姿から逸脱しすぎている。

 

そんな彼は大きな椅子に座りながら鼻歌混じりに編み物をしている。

案外、見た目によらず器用なのだ。

まあ巷で言う"できるデブ"という奴だ。

 

 

 

「ぐっ!?」

 

いきなりの頭痛に顔をしかめる。

痛みで手に持っていた編み物道具を落としてしまった。

それと同時に何かノイズのようなものが頭を駆け回り、やがて明確な声へと変わる。

 

 

『あれ? アキ? もう卒業式始まっちゃうぜ! 何処いくんだよ!?』

 

『ありがとうアキ……。そうよね。別に卒業するだけであって一生のお別れじゃないよね。約束よ! 絶対だから!!』

 

『フハハハハハッ! 成功だ。さあ私を楽しませてくれ! 決して失望させるな。私の興味が失せた時、それが貴様の最期だと思え!』

 

 

それは一人の少年の記憶の一部。

 

「どうしたの? 千年公……?」

 

「痛っ!? いたたたたたッ!? ちょ、ろーとタマ!? 痛いっ。いたいレロ!!」

 

短い黒髪で褐色の肌をした少女、ロードが一種の暇潰しなのか喋るカボチャを縦に引っ張りながら、巨大な体躯をもつ男、千年伯爵に問いかける。

 

「忌々しい神メ♥ 我輩のかわいいAKUMAちゃんになんてことしてくれるんですカ♥」

 

「何かあったの?」

 

「それがですネ♥ 憎き神がAKUMAの核たる我輩の魂の一部に違う人間の魂を移植させられましタ♥ さっきの頭痛は魂と魂の融合により互いの記憶が覗けたときの拒否反応でしょウ♥」

 

何処からともなく取り出したハンカチを今にも千切れんばかりに噛んで引っ張りながら答える。

ムキーーー!! と、効果音が出そうだ。

 

「……へえ。名前は何て言うのぉ?」

 

「"アキ"だそうでス♥」

 

その言葉にロードは新しい玩具が見つかった子供のように、無邪気に微笑んだ。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

俺は今、よくわからない状況に陥っている。

 

なんかモヤモヤした黒い空。空飛ぶ蝋燭。乱雑に散らばったぬいぐるみ。そしてその中央に白いテーブルと二つの椅子。そこに座るボーイッシュな褐色少女と俺。…………わからん。

 

 

どうしてこうなった……。

 

 

数分前。

やっとのことで思考に蓋をするのに成功し、ここにいても仕方ないと動き出そうとしたときだった。

 

それ(・・)が現れたのは。

 

最初、黒い靄のようなものが出現し、次第に広がりそこから扉が現れた。

そして扉が開いたと同時に吸い込まれて気が付いたらこの状況。

 

まさかの急展開。

 

 

目の前でニコニコしながらこちらを見ている少女はノアの長子、ロードだろう。そしてこの空間もロードが造った夢の世界だと思う。

 

 

いきなりバレた。

まあ突然コントロールの聞かなくなったAKUMAがいたら不審がるのも当然だと思うが……。

取り敢えずわかりきってはいるがほんの少しの希望を込めて此処が何処なのか聞いてみることにする。

 

「あ、あの。此処って何処だかわかりますか?」

 

「ここは僕が造り出した夢の世界だよぉ」

 

俺が反応を示したのが嬉しいのか、より一層笑みを深めながら答える少女……。

 

……完全に希望が途絶えた。

いきなり何処かへ飛ばされ、目を覚ますとAKUMAになっていた。そしてお次は扉に吸い込まれて気付いたらノアに拉致監禁……。

 

……これなんて無理ゲー?と、思った自分は悪くないと思う。

 

そんな俺の心の葛藤を知ってか知らずか目の前の少女は新たな爆弾を投下する。

 

「君がアキでしょ? AKUMAに魂を移植された人間」

 

……急いで座っていた椅子から飛び退く。

なんで俺のことを知っているんだ?

 

「アハハハッ。分かりやすい反応ぉ。なんでそんなに驚いてるの? 千年公は互いの記憶が覗けたっていってたから君もみてるはずなんだけどなぁ」

 

……記憶? ああ。あのときのあれか。

てことは俺のことあっちに筒抜けだったってこと!?

まあこっちも見てるのだからお互い様だけど。

 

尚も話を続けようとするロード。

だがその声は新たな乱入者によって遮られた。

 

「シーーーーーッ!! ろーとタマ、シーーーーーッ!! こんなガラクタと喋っちゃダメレロ!!」

 

「えー、なんでぇ?」

 

「勝手に伯爵タマのシナリオにないことしちゃダメレロ! ましてやこんなガラクタとの接触なんて……帰ったら伯爵タマにおしりペンペンされるレロ!!」

 

「千年公は僕にそんなことしないもん」

 

尚もぎゃぁぁぁあああっと喚く突然乱入して来た変な物体。

普通の傘の先にハロウィンによくあるかぼちゃを取り付けた何とも趣味の悪いデザインだ。その上いきなり喋りだすのだからそれはもうとても気持ちが悪い。

別にあんなかぼちゃにガラクタ呼ばわりされたからこんな辛辣な表現になった訳じゃない。たぶん。

 

「ハッ!? 今なにか馬鹿にされたような気がするレロ」

 

「いやそんなことないよ。ただ気持ち悪いと思っただけだから」

 

「心の中だけでなく声に出して直接言ったレロ!?」

 

尚も火花を散らして睨み合う俺と傘。

そんな中、ロードは一人マイペースに話を続ける。

 

「そもそもアキ自体が千年公のシナリオに無いイレギュラーなんだから関係ないよね。だからねぇ。僕と遊ぼぉ」

 

その言葉と同時にいくつもの扉が出現し、そこから数え切れないほど大量のAKUMAが文字通り雪崩れ込むように押し寄せてくる。

 

「えっ!? ちょっとストップ!! 待ってお願いちょっと待っぎゃぁぁぁあああ」

 

「えっ!? レロも巻き添え!?」

 

この日、二つのガラクタの悲鳴が世界に響き渡った……。

 

 

 

 

 

 




なんかコメディっぽい終わり方になってしまった。
次回はバトル会だと思う。(たぶん)
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