「あなたがエルキドゥ―――――…。」
その姿を見たウル・ルガルは息を呑む。眼を見開き彼を…自身と同じ用途で作られた〝人形〟を頭のてっぺんから足先まで品定めするかのように眺めた。
シャムハトの顔を模倣した甲斐あってか、実に端麗な顔をしているものの、彼女よりも何処となく幼くも見える。そして、身体は適度に引き締まっており、全身がバネのように動くであろうことが容易に予想できた。身にまとっているゆったりとした衣服の所為で体型が分からず、男とも女とも見て取れたが――――いや、この人形に性別など無いのだろう。ある必要性が無いのだから。
神はこの〝人形〟に対して、父を諌めるため、神々の意志を理解させるため、父と並ぶ存在が居ないのを愁いたため生み出したにすぎない。所詮は神々の道具。子供を産ませるために作った訳では無いのだから、無駄なものを省いたのだろう。
――――――故に、その肉体は完璧だった。
完成された存在…人間の様に不完全では無く、完璧なモノとして…使命のために生み出された存在。
流石は神々の作った泥人形と言うべきか、理性が無ければ父さえも越える力をその身に宿しているのは理解できた。
父を――――神を諌めるための鎖…。
「おい、息子。何を呆けている。さっさと、茶を用意しろ。うん――――?もしや貴様…エルキドゥに惚れたか!」
「あ゙ぁ゙?」
ギルガメッシュの悪い冗談によって我に返り、ついドスの利いた声で返事をして、いそいそと台所に向かう。
その間、父と彼は私の工房を勝手に見て回っている。ギルガメッシュは目新しいモノが無いか勝手に漁り、エルキドゥは工房を興味津々で観察しながらも、何も言わずにモノを宝物庫に納めているギルガメッシュを諌めたりもしていた。
「おい、父よ。それ以上、漁っても新しいモノは見つからないぞ。後、菓子と茶の用意が出来た。」
「ふん…やっとか。待ちくたびれたぞ!王である我を待たせたのだから、其れなりのモノであろうな。」
「ギル…待ちくたびれたって、たったの3分しか経ってないよ…もう少し我慢強くなろう?それに、何も言わずにモノを勝手に宝物庫に入れるのはどうかと思うよ。」
「安心せよ、エルキドゥ。親であるこの我は奴からモノを勝手に奪う権利があるのだ。奴のモノは全て我のモノなのだからな!ハハハハハハ!!」
「…等と犯人は供述しており、警察は―――。」
「散れ者!この我を又しても窃盗犯扱いするか!」
「い゛た゛ぁ゛!」
思い切り頭に鞘に入った剣を投げ付けられ、痛みのあまりウル・ルガルは悶絶した。そんな二人のコントを見ていたエルキドゥは大爆笑する。
「あははは、シャムハトの言ってた通りだ!本当に君達は仲が良いね。」
耳を疑いそうになった…
「仲が良い…だとッ…?まぁ、そんな事よりも用意したお茶と菓子を食べましょうよ。エルキドゥさん。」
そうウル・ルガルは言うと、多様な菓子が乗った皿をエルキドゥに渡す。ギルガメッシュは言うずもがな、勝手に菓子を食べ、茶を飲み始めていた。
「有難く頂戴するよ。にしても、君は料理とかモノを作るのが上手いね。とっても美味しいよ。」
エルキドゥが菓子を一つまみ食べ、目をキラキラと輝かせながら感想を述べたので、ウル・ルガルも満更でもなく頰を赤らめながら答える。
「えへへ〜それ程でも〜。」
早々にエルキドゥと気が合い3人は談笑しつつ、和やかに時を過ごす。ウル・ルガルはそんな中で、二人の事を注意深く観察していた。神々が危惧していた問題は今の所、見受けられない。己が本当に諌めるべき相手なのか――――神々に代わって、天罰を与えるべきなのか。
――――彼の中では未だに答えは出ていない。
投稿が遅れてすいません。
あたまの中では、Fate/zeroまで構想を練ってるんですが、筆が追いつかぬ。
後、数話でウルク編は終わります。