ウルクの民たちの声援を背に、ヴィマーナでフンババのいる香柏の森へと向かう。その間に、フンババをどうやって倒すか話し合ったのだが、ウル・ルガルとエルキドゥが囮となって引きつけ、その間にギルガメッシュが
一先ず、三人はヴィマーナから降り、エルキドゥを先頭に森の中へと入る。鬱蒼とした森の中には、珍しい薬草などが大量にあり、ウルクにいる魔術師や医者等に教えれば、大喜びしながら摘みに来る光景が目に浮かび和んだ。
そんな時だ。
「気を付けて…何か来る。」
そうエルキドゥが一言、呟くと同時に木々を倒しずるずると地面を這う音と人間に害のある瘴気を撒き散らしながら此方に近づいて来る存在に気が付き、三人は一気に警戒する。
そして、ソレは三人の前にある木々を押し倒し現れた。手足の無い大きな白い塊…ソレの顔には目や鼻が無く、ただ一つだけある大きな口から鋭い牙と紫色をした毒素の混じった涎を撒き散らしている。フンババでは無いのは確かだが、フンババと同様に恐らく森を守る神霊の一人だろう。
ソレは此方に向かって口は開き、言葉を紡ぐ。
「半神ノギルガメッシュトソノ息子ノウル・ルガル、ソシテエルキドゥヨ。何故、此処二来タ。此処ハ貴様ラ人間ガ入ッテハナラヌト、エンリル神ノ決メタ禁足ノ地。何用デ参ッタ。」
その言葉に対して父は口を吊り上げながら言う。
「なに―――――貴様らの様な人に仇名す悪を滅ぼしに来ただけのことよ。」
「傲慢ナル半神ヨ……貴様、自分ノ言ッテル意味ガ分カッテ――――…!?」
目の前の神霊が何かを言い終わる前に父は神殺しに特化した私が作った槍をソレに向けて放ち、一撃で殺した。白い塊は口をパクパクと開けながら紫色の血肉と瘴気を撒き散らし、地面へと溶けて行く。それと同時に、大地を揺るがす咆哮が森に響き、何かがあからさまに憤りながら此方に向かって来るのが分かった。
エルキドゥは何時もの姿から獣の姿に成って臨戦態勢に入り、父は宝物庫から乖離剣エアを抜き、ウル・ルガルもまた宝物庫から
その瞬間、目の前の地面が割れ、その割れ目から巨大な枯れた木の様な手と霧状の瘴気が勢いよく飛び出してきた。その手は此方に向かって伸びてきたため、ウル・ルガルは咄嗟に上空へと自身と他二人を移動させる。逃げられたためか、苛立ちの籠った威圧感のある声が響く。
「――――小童共ヨ…何故、此処二来タ?傲慢ナル半神ヨ、ソシテソノ息子ヨ、父ノ顔ヲシラヌ小童ヨ。貴様ラハ神ノ決マリヲ破ッタノダ。生キテ帰レルトハ思ウナ!!!貴様ラノ血肉ハ怪鳥共ノ餌ニシテクレル!!!」
そう咆哮が轟いた瞬間、ソレは姿を現した。
禍々しい瘴気をまき散らしながら、天を覆う巨大な大木の様な胴体と枯れ木の様な六本の腕、複数の瞳が此方を睨み付けている。普通の人間ならその一睨みで気絶するか石化するだろう。
「アレがフンババか。」
神獣の脅し文句に屈する事もなく、ウル・ルガルの魔術によって浮きながら、ギルガメッシュは飄々とした態度でソレを見ていた。
「フンババの瞳は石化の能力があるから気を付けろよ。」
「それは此方の台詞だ。貴様の鎧は石化を防ぐ仕様ではないだろう。」
「大丈夫だ。魔術でレジストしてる。」
「ならば良い。あの魔物の眼を潰して来い。」
「わかった。」
「それじゃあ、僕はウルが気を引いてる間に、フンババを縛り付けて来るよ。」
三人は事前に話し合っていた作戦通り三手に分かれる。後方でギルガメッシュが武器を投げ援護し、エルキドゥが鎖に擬態化してフンババを縛るため気が付かれない様周りを飛び回っている間、フンババの気をエルキドゥに向かせないため、ウル・ルガルが正々堂々と真正面から叩き潰し、エルキドゥの生み出した鎖がフンババの身体を縛り付けた頃合いに、父の乖離剣エアで止めを刺すと言った寸法だ。
故に、ウル・ルガルは父の援護をしてもらいながら、空中からフンババへと接近する。フンババは口から炎のブレスを吐き、ウル・ルガルを攻撃しようとするも、そのブレスはウル・ルガルの片腕で放った破壊光線の様な魔弾によって消し飛ばされる。
「ホウ…、小童、マダ若イト言ウノニ自ラ死地ニ赴クカッ!」
「ハッ、あんまり若造を舐めない方が良いぞ。森の守りてよ。さて、我が槍の錆になってもらうぞ。」
そうウルは言うと、宙を舞いながらフンババから距離を取り、槍を構え直すと、大きく腕を振りかぶり、必殺の一撃を放つ。
「―――――
その怒号と共に槍がウルの手から離れた瞬間、鏃は五つの光線となって、不確定な動きでフンババに迫る。フンババは腕でそれを防ごうとしたが、五つの光線は器用にその腕を躱し、複数の眼に突き刺さった。
「ガァグガァアアアアア小童ァアアアア何ヲシタァアアアアア!!??目ガッ!目ガァァアアアアアア!!!!!」
「何をしたって槍を投げたんだが…見てなかったのか?」
フンババは目を潰されたことでのた打ち回り隙を見せている間に、エルキドゥは鎖で奴を縛り上げた。目を潰され酷く弱ったフンババはされるが儘になっている。
「ギル!今だよ!」
エルキドゥの合図と共に、空が、地が、天が引き千切られる程の力が集まり―――。
「いざ、天を仰げ――――
その渾然とした声と共に、天と地を引き裂いた砲撃がフンババに直撃し、魔物の悲鳴が森中に響くが、すぐに音は乖離剣によって掻き消されていった。
「――――さて、人々の畏れとして比喩された森の化身よ。人に打倒される気分はどうだ?」
そう父が言うながら一本の斧を携え、地に伏し息絶え絶えになったフンババの元へ悠々と近づいていく。そんな時だ。
「・・・マ、待テ、ギルガメッシュ・・・オ、オ前達ノシモベトナリ、望ム全テノ木ヲ与エル・・・ダ、ダカラ命ダケハ助ケテ欲シイ。」
今にも死にそうな声で、フンババは父に嘆願する。
「ハハハハハハ!!!今更、命乞いをするか!!!残念だが、貴様のそれを聞いてやることは出来ん。」
「ナ、何故ダ!!!」
「何故―――?簡単だ。貴様を僕にした処で何の利点がある?貴様の様な魔物を僕にした処で、我が民に危害が及ぶかもしれん。故に貴様を―――」
「父よ―――待ってください。」
彼の言葉にウル・ルガルが口を挟む。それを聞いたギルガメッシュは眉を顰め、彼を睨み付けた。
「何だ。息子よ…よもや、貴様…この魔物の命乞いに耳を傾けると?」
「えぇ、そうです。其処に居るフンババはエンリル神によりこの森を守るよう言われた神獣…その神獣を殺すと言うのは、エンリル神の怒りを買う事に成ります。下手すれば、エンリル神の手によってウルクに害を与えられるかもしれません。民の事を考えるならば、殺すのは止めた方が良いかと。」
そう言うと、ギルガメッシュは一瞬、動きを止め考え込むが、すぐに答えが帰って来た。
「確かにエンリル神の怒りを買う事になるだろう。だがしかし、このまま、放置したところで、奴の撒き散らす瘴気は民に害を与えるのは確実だ。どうやって生かす?」
「私の使う魔法で彼の力を封印し、異世界に送れば良いでしょう。彼の処遇は私に任せてください。もし、彼がウルクに害を与えた時は、私の手でフンババを殺し、私自身も罰を受けましょう。」
そう言うと、父はフンババを一瞥し言葉を紡ぐ。
「ふん、命拾いしたな―――魔物。ふむ…では、そこな魔物は貴様の成人祝いの贈り物にしてやる。」
「はい―――って、え?」
それを聞いたとき、エルキドゥもフンババも、森に棲んでいる獣たちですら沈黙した。
次回、フンババ…GETだぜ!!!ついでに、ツンツンツンデレ女神イシュタル登場。
後、エルキドゥさんがフンババ殺した方が良いぜって叙事詩では言ってたけど、EXTRACCCをやるかぎり、進んで殺せって言って無さそうなので、ギルガメッシュが積極的にフンババ殺そうぜって言ったんじゃないかな?