Fate/URUKU   作:カイネm

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※少し書き加えました。


第十四話 天の雄牛

 

 

『愛しみと憎しみは本来、別々のもの。それが一つのものとして語られる時、これらをつなげる感情が不可欠になる――――――狂気だ。

狂おしいほど愛している。狂おしいほど憎んでいる。他人への想いがこの域にまで達した時、愛憎(かいぶつ)は現れる。……とかく、一目惚れとは暴力のようなもの。する方は幸福だが、される方には不意打ちだ。』

 

              ――――――Fate/EXTRA CCC 第三章『愛憎唇紅』冒頭の語り。

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

『 嗚呼―――――ギルガメッシュ!ギルガメッシュ!美の女神の寵愛を蹴って土塊の人形を選ぶと言うのか!道具と戯れると言うのか―――――ならばお前に相応しい道具をこのイシュタルが与えましょう!!!! 』

 

天を引きさんばかりの怒鳴り声がウルク中に響き渡る。ウル・ルガルは父親との喧嘩の熱を抑えるためモノを作っていたのだが、何事かと思い作業の手を止め、工房の窓を開け空を仰ぐ。すると、一人の女が天に向かって飛んでいく姿が見えた。女神イシュタルである。彼女の美貌は怒りで歪み、まるで獣の様であった。彼女を怒らせた原因が何者かは予想せずとも直ぐに分かり、ウル・ルガルは頭を抱えた。その直後、使い魔である人型のフンババが工房の扉を乱暴に開け放ち慌てて入ってきた。

「ご主人様ぁー!まっずいことになった!」

「ふん。どうせ、我が父ギルガメッシュが女神イシュタルを怒らせたのだろう?何といって怒らせたんだ?」

「そ…それが…」

当事者であるフンババは青ざめながらその時起こった出来事を語り始めた。

ギルガメッシュがキシュ家との戦闘…いや、ウル・ルガルとの喧嘩をして決着が付かず、ソレに巻き込まれたキシュの兵達が何時の間にか降伏しているのを驚きつつも事務的に片づけた後、息子との戦闘で汚れた衣服を捨て体を清め新しい服に身を包んだところに彼女―――――女神イシュタルが顕れたそうだ。

彼女はギルガメッシュに熱烈なアプローチをし、愛の告白をした。

『さあ、ギルガメッシュ―――貴方こそ閨に誘うに相応しい人…貴方こそが我が夫に成るべき王…私の力で貴方を英雄の王にしてあげましょう。』

彼女は身に纏う衣服をはだけさせながら言う。肌蹴た衣服から覗く豊満な胸に、陶磁器の様な白く美しい肌、長い髪は金糸の様に輝き、整った顔はウルクにいるどの女性よりも美しく、頬を赤らませ熱のこもった紅い瞳は情熱的にギルガメッシュを見つめている。

愛と大地の女神である彼女の魅惑の肉体と美貌に、普通の男ならば喜んでそれを受け入れるであろう。そう、普、通、の、人、間、ならば。

しかし、ギルガメッシュは普通の人間では無い。半神半人―――それも、神によって設計され作られた存在である。そんな彼は普通の人間よりも頭が何十倍も良く、記憶にしたことを忘れる事はまずない。そして、神と人の視点を兼ね備えた存在である。故にギルガメッシュはイシュタルの事を好きになった男の末路や大自然の化身である彼女の醜悪な本質を十分理解し、気がついているためこう切り返したのだ。

『では、問おう―――女神イシュタルよ。我はお前に対して何を与え、娶れば良い。身体に塗る香油と着物を差し上げようか?それとも、糧食と空腹を満たすものか?はたまた、神々にふさわしい食べ物か?それか、王にふさわしい飲み物か?黒曜石を金で張り、ラピスラズリで飾った履き物か?我はもう上着を着ているのだ。それで、どうお前を娶れば良いのか。』

ギルガメッシュは冷ややかな目でイシュタルを睨み付けながら淡々と言葉を紡ぐ。

『我がお前を娶ったら、一体どうなるのだろうな。お前は体を温めぬ解けた氷。そこな雑種共でさえ防げるであろう風や埃でさえ防げぬ壊れた扉。敵陣から投げつけられた破壊鎚。通りを行く者の足を噛む履き物――――お前の連れ合いの誰が長く続いたか。忘れたのであれば、貴様の恋人たちの末路を数えようではないか。』

そう言い女神イシュタルや他の人々の前で彼女の恋人の末路を語りだす。それを聞くイシュタルはみるみる顔を青くさせていく。

『そんな貴様が、我をどうするつもりだ?我に対する愛も、どうせそのようなものであろう!』

それを聞いたイシュタルは怒り狂い怒声をギルガメッシュに浴びせながら天に昇ってしまったそうだ。それが冒頭の怒鳴り声である。それを聞いたウル・ルガルは再び頭を抱えた。イシュタルに対する父の言い分は良くわかる。自分が男であるがゆえに、彼女自身、男を駄目にし、害を与える毒婦と評しても何ら間違いはないのである。寧ろ、天上の神々さえそう思っているに違いない。

しかし、相手は女神。父の皮肉の入った毒舌に耐えれる精神を持っている筈が無く、心をズタズタにされた彼女が何をしでかすか分かったモノでは無い。

本来ならばもっと穏便に断れば事なきを得たであろうに…しかし、終わったことを気にしても意味が無い。一先ず父に逢い、イシュタルに対して謝るよう説得しよう。恐らく無理であろうが…あの男が自分の意見を変える事などそう滅多にない…いや、無いに等しい。フンババの時は気まぐれであり、私がフンババを抑える魔法があったからこそ、奴を使い魔に出来たのだ。ギルガメッシュ的には人に御される自然神の無様さを愉しみたかっただけだろう。

だがしかし、非常にまずい。あの毒婦が何をしでかすか――――一先ず、ウルクに張っている結界を何かあっても耐えれるよう幾重にも厳重にし、フンババを連れ、ギルガメッシュの元へ向かう事にした。

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

 

 

ギルガメッシュの侮辱により、怒りに震えるイシュタルは自らの父に向かって叫ぶ。

 

 

『  ――――父よ!天の神アヌよ!このイシュタルに天の宝具を与えて下さい!天の牡牛座を地上に引き落してください!御する手綱をお渡しください!天の雄牛(グガランナ)を! 』

 

 

彼女の高らかに謳い上げる声と共に、彼の王と朋友の最期の戦いが幕を切って落とされた。

 

 

 




後、2~3話ぐらいでFate/Zero編に突入します。
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