Fate/URUKU   作:カイネm

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荒野の戻りゆく土塊は思う。
彼の王とその息子に癒えぬ傷を与えてしまった。彼らの矜持に傷を付けてしまった。永遠の孤独を与えてしまった。



――――ああ、なんて罪深い。



そう思いながら、泥人形はあるべき場所へと帰っていった。悔恨を残して。






第十六話  宙の大海へ

 

 

 

天の雄牛(グガランナ)を英雄王ギルガメッシュとエルキドゥが打ち倒したにも関わらず、ウルクは静寂に包まれていた。ギルガメッシュの息子であるウル・ルガルが結果を張り、その使い魔であるフンババが天の雄牛(グガランナ)を追い払い津波の被害を最小限にしたお陰で城塞都市は無事だ。けれど、その爪痕は凄惨なモノだった。天の雄牛(グガランナ)によって、多くの無辜の民が犠牲になったのもあるが、彼等が敬っていた英雄エルキドゥが神々の呪いによって、死んでしまったのである。ウルクにいる民たちは悲しみに打ちしがれた。しかし、彼らは表立ってソレを明かす事はない。なにせ、自分たち以上に、ウルクの王――――ギルガメッシュは悲しんでいるのだから。

王の威光は以前と変わりないが、憔悴しているのは明らかだった。だからと言って、それを指摘する者は誰も居ない。彼らなりの気遣いであったが、唯でさえ憔悴している王がその事に気が付く筈はなかった。犠牲者の追悼とエルキドゥの葬儀を終えた後、ギルガメッシュは息子に旅に出ると告げる。

「暫しウルクを開ける。その間、貴様がウルクを統べておけ。」

「あぁ、分かった。何処に旅に出るつもりだ?」

「冥府だ。不老不死の妙薬を捜しにいく。故に数十年程掛かるであろう。」

「冥府か…ならば仕方ない。私が生きている間に帰ってきてくれ。」

「ふん…当たり前だ。そう言う貴様も、この我が旅から帰って来た時、ウルクが滅んでいたなどにはならん様にな。」

「勿論だとも。そんな愚行は犯しませんよ。常に玉座を開けておきますゆえ、お早いお帰りを。」

エルキドゥが死した後も、変わらぬ様子で淡々と言葉を二人は紡ぐ。そして、親子が再び相見え語り合うのはその会話から50年か其れ程の年月が経過してたからの出来事である。

 

 

 

*

 

 

 

父が冥府…不老不死の妙薬を捜しに行って幾年経ったか。ウル・ルガルは思いに耽る。恐らく生きているだろうが、そろそろ帰ってきても良い頃合いだ。ルガルも人間である王族の妃と結婚し、息子をもうけて、今ではその息子も成人し、一国の王として申し分なく成長している。

しかし、ある問題があった。その息子は会った事も顔をも知らない祖父――――ギルガメッシュに何処と無く似ていた。金髪紅眼は遺伝であるので問題ない…しかし、祖父のように慢心をする所とか、慢心をする所とか、慢心をする所とか…。まるで何処ぞのうっかり遺伝の様に慢心を確実に受け継いでいた。ルガル的には受け継いで欲しくない遺伝であった。慢心遺伝子…笑い事ではない。勿論、ルガルに慢心をする様な事は皆無に等しい。しかし、自身の息子にそれが現れたのが不可解であり、これから先の子孫にそれが受け継がれると思うと頭が痛くなった。そして、もう一つは宝物庫から武器を投げ飛ばす癖である。これに関しては、ルガルにも非がある。幼少期の息子がとんでも無い問題児であったため、殴るのが億劫で宝物庫の武器を投げ飛ばし制裁していた。その所為で息子にもその悪い癖が付いてしまったのである。後、ルガルの真似をして神獣とその一部であるドラゴンを使い魔にした事だ。赤き龍と呼ばれる何処ぞのシグナーの龍を…原初の混沌の一部である龍を従えたのだ。息子は魔術師としても、召喚師としての才能は凄まじく、精神面は強かったため、並の神獣や精霊達を支配するのは容易かったのだろう。しかし、バイクで乗りながら神獣を出すのは可笑しい。まるで遊戯王のジャック・アトラスの様だ。一体、誰が奴にデュエルを教えたんだ。

そんなこんなで、過ごしている内にやっと父…――――ギルガメッシュが帰って来た。ウルクの民は父の帰りを喜び、まるで祭りのように騒ぎ、歓待した。

数十年前は友の死で憔悴していたが、今では憑き物が抜け落ちたように清々しい顔をしていた。その顔色を見て、ルガルは安心する。何かしらの区切りがついたのだろう。

一頻り父を民たちが歓迎し、落ち着いた後、旅の果てに何を得たのかを聞いた。その話に食いるように聞いていたのは、息子だ。正直、気が合わず喧嘩をするかと思えば、すんなり何事もなく仲良くなっていた。まぁ、ギルガメッシュにそれなりの余裕が出来たからかもしれないが…。

父はこうも宣言した。財宝を集め終えた後は眠ると。120年ほど生きていたのだ。この世の悦を遊びつくし、星にも飽いたのだろう。眠るのは何ら可笑しくもない。そんな時だ、父がふと尋ねてきた。

「お前はどうするつもりだ?貴様にとっても、作るモノはもう無いだろう。」

「えぇ、大半は作り出した。しかし、まだ作るモノがある。」

「ほう…?」

「この星を抜け出す船…まだ見ぬ星の大海へ漕ぎ出すための船を作る。そして宙の果てへ行く。」

そう真剣に言うとギルガメッシュは笑い出した。その笑いは嘲りの類ではない。

「ハハハハハ!!!この我ですら見透すには幾星霜とか掛かる暗き大海へと漕ぎいでると言うのか!!全く貴様は我を飽きさせぬ。良い許そう。この星を出て行くのを許可する。貴様が宙の果てへと至った時、答えを聞き、この我みずから裁定し財宝を奪っててやる。それまで、一足早く人類が体験するであろうモノを味見してくるがいい。」

そう父は言うと疲れたのか閨へと去っていった。その後、父は数年を掛け、財宝を集め終え、ウル・ルガルに王座を譲り、永遠の眠りつく。其処でギルガメッシュ叙事詩は終わりを迎える。

何時の日か、未来の人類に喚ばれるのを待って。

そして、ウル・ルガルもまた30年程ウルクを統治し、宇宙船を作ったあと、息子に王座を譲り星を去った。

父ですら見透せぬ暗き大海の果てへとその息子は向かう。

 

 

 

父と自分を満足させる答えを出すために。

 

 

 

 

 






やっとURUKU編終わっタァァァァ!!!
次はやっとFate/Zeroだよ!!!!ヒャッフゥゥゥ!!!
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