異世界に響く大喝采【IS×ガンダムW】   作:あなや

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第3話 「めぐりあい」

-第3話 「めぐりあい」-

トロワがこの世界に迷い込んで一ヵ月が経過した。

その一ヶ月後、千冬との盟約どおり、IS学園に入学することとなった。

入学するまでの間、トロワはこの世界のことについて学んだ。

その習熟のスピードはさすが元工作員というところか、あっという間にこの世界の常識について吸収していっていた。

そのスピードについては千冬も山田先生も驚きを隠せないでいた。

この世界についての知識を十二分に頭に叩き込み、トロワは入学の当日を迎えていた。

男性のIS操者、そんな非常にイレギュラーな存在を周りは好奇の目線で追っていた。

サーカスという衆人の注目を集める職に過去就いていながらも、女性だけの目線についてはトロワでも違和感を感じた。

そんな違和感の中入学式が終わり、トロワは自身の教室へと向かっていった。

 

 

 

 (IS学園・・・か)

織班一夏は黄昏ていた。

(今日がその初日で新しい学校に、新しい仲間がいて)

(緊張していないといったら嘘になるが―)

ざわ・・・ざわ・・・

一夏が黄昏ているのを余所に、その周りの空気は非常にざわついていた。

(クラスメイトが全員女だというのが非常にツライ・・・!)

この織班一夏は本来、女性しか扱えないISをどういうわけか扱うことができてしまった。

そんな経緯もあり、加えて入学選考も通過したことから、このIS学園に在籍することとなった。

・・・が、彼が目指していたのは普通の高校であり、決してこんな特殊事情の塊のIS学園に志望したわけではなかった。

「・・・ハァ・・・」

周りの好奇の目線、ざわつく空気に耐え切れず思わずため息をつく。

「どうした?初日からため息か?」

「!?」

突然掛けられた声にバッと顔を上げる一夏。

そこには本来いるはずのない存在が立っていた。

声の主は男だった。

「なんだ?俺の顔に何か付いているか?」

「お・・・お・・・男!?」

突然の男、同類の存在に思わずどもってしまう。

「そうだが?」

(すげぇ髪だ・・・)

それと同時にそんな第一印象を持った、ということをここに記しておく。

 

「どうした?本当に何か付いていたか?」

一夏が無言だったため、表情を変えないまま目の前の男は次の言葉を発した。

「あ、ああ。すまん。こんなところで男に会えるなんて思ってなかったからな・・・」

素直に驚いたことを告白する一夏。

「俺はお前を知っている。なんせ世界を騒がせた男なんだからな」

「俺が好き好んで騒がせてるわけじゃ・・・」

思わず一夏がふてくされた返事をする。

「それは理解している。だが、世界は自分の意思に関係なく進んでいくものだ」

そんなふてくされた返事に対して目の前の男はどこか悟ったような返答をする。

「・・・えっと、名前は?」

「トロワだ。トロワ・バートン。男同士という理由だからか、ちょうどお前の隣になる。よろしく」

男―トロワ・バートンが手を差し出す。

「織斑一夏だ。男同士仲良くしようぜ」

それを一夏は握り返した。

「ああ」

キーンコーンカーン

よくできたタイミングではあるが、それと同時に予鈴が鳴った。

それとほぼ同時にメガネを掛けた教員らしき女性が入ってくる。

「はーい!それじゃあSHRを始めますよー!」

トロワを含め、皆着席する。

 

「全員席につきましたね?それじゃあ自己紹介をしますね」

電子ディスプレイに自分の名前を表示させる。

「副担任の山田麻耶です。みなさん、1年間よろしくお願いしますね」

「「「よろしくお願いします!」」」

「皆さんいいお返事ですね!じゃあ最初は自己紹介から始めてもらいますか!それじゃあ・・・」

山田先生が先頭から順に一人ひとり指名し、自己紹介するよう促していく。

(それにしても、トロワ・・・だっけ?)

(ん?)

一夏がトロワに耳打ちをする。

(こんな環境で男が一人でもいてくれるとすげぇ心強い!改めてこれからよろしくな!)

(こちらこそよろしく頼む。それと、もうすぐお前の番だ。自分の名前を聞き逃すなよ)

(えっ)

「それじゃあ、織斑一夏くん!」

トロワの指摘の直後に一夏が名指しされる。

「は、はい!」

思わず裏返った声で返事をする。

その声に何人かの女子がくすくすと小さく笑う。

そんな笑い声を聞いて一夏は自身の体温が上がるのを実感した。

「それじゃあ、前に出て自己紹介してくださいね。」

「は、はい」

山田先生に促され、前に出る。

教壇に立った途端、クラス中の女子の視線が自分に向けられることを実感する。

(う・・・、視線が・・・)

集まる視線に気圧されながらも自己紹介を始める。

「お・・・織斑一夏です。よろしくお願いします」

ものの1秒。

たったそれだけで一夏の自己紹介が終わった。

 

「自己紹介の途中、失礼する」

終わったとともに新たな女性教員が教室に入ってくる。

それは、一夏のよく知っている、というか、唯一の肉親の顔だった。

「えっ・・・千冬姉・・・?」

「学校では織斑先生だ、馬鹿者」

千冬の振り下ろした出席簿の角が一夏の頭に直撃する。

「イデッ」

「さて、入学おめでとう・・・と言いたいが、諸君らにはISの基礎知識を半月で覚えてもらう」

「実習の授業もあるが、ISの基本を理解できていなければ命に関わる。だから私がきっちりとお前たちの体に染み込ませてやる。お前たちは私の言うことに返事をしろ。悪くても、良くてもだ。いいか?」

「「「はい!」」」

クラス一同が返事をする。

(・・・とんだ鬼軍曹だな・・・)

自分と生活しているときもその鬼軍曹っぷりは出ていたが、ここでも変わらないことに

「お前もボーっとしてないで席に戻らんか」

今一度頭に出席簿の角が直撃する。

「イデッ」

軽く悲鳴を上げながら一夏は自分の席に戻る。

「・・・っと、それと、もうお前たちも知っていると思うが、もう一人男のIS操者が入学してきた。トロワ、前に出ろ」

「はい」

返事をし一夏と入れ替わりでトロワが前に出る。

「トロワ・バートンです。よろしくお願いします」

一夏同様、短く自己紹介を済ませるトロワ。

 

(・・・髪スゴ・・・)

クラスメイトのほとんどがそんな第一印象を持った、ということをここに記しておく。

 

「・・・まあそんなもんか。それでは、自己紹介の続きを頼む。」

千冬の声とともにトロワは席に戻り、それと入れ違いに女子が教壇に立つ。

クラスメイト31人の自己紹介が終わり、最初のSHRが終了した。

 

―休み時間―

(・・・居づらい・・・)

一夏は身動きができない状態でいた。

(女子の視線が体に刺さって痛い・・・)

自分自身の一挙手一投足を監視されているようで、どうにも動けないでいた。

 

(それにしても―)

一夏は隣のトロワに視線を向ける。

トロワは次の授業の準備を粛々と進めていた。

「・・・トロワ、お前はこの視線が平気なのか?」

「サーカスで働いていたからな。慣れている」

表情を変えず、一夏の質問に返事をする。

「そうなのか。って、お前サーカスにいたのか!?」

自分との境遇の違いに驚きを露わにする。

「ああ。いろんな所を転々としていた」

「ふーん。それが今やIS乗り、ねぇ」

「いろいろと偶然が重なったからな。ところで、後ろの彼女がお前に話がありそうだが?」

トロワが一夏の後ろに視線をやる。

それにつられて一夏も振り返る。

「一夏」

「・・・箒・・・」

それはまた一夏のよく知った顔―篠ノ之箒、6年ぶりに再会した幼馴染の姿だった。

「話がある。付いて来い」

そっけなく言い放ち廊下へと歩を進める。

「あ、ああ」

一夏もその箒の後をついて行く。

 

そんな二人の姿を見、トロワは二人を

(・・・知り合い、か)

そう分析した。

そしてそのまま次の授業の準備を始めようとしたところだった。

 

「・・・少しよろしくて?」

突然席に座っていた自身の上から声がかけられた。

「・・・どうかしたか?」

声の主は腰よりもさらに長い金髪の女性で、一目で日本人とは違う人種であることわかった。

「どうかした・・・って、このセシリア・オルコットが話しかけているのによくもその態度でいられますわね」

(セシリア・オルコット・・・イギリスの代表候補生か・・・)

自身がこの世界について学んだ情報がさっそく役に立った。

「なるほど、イギリスの代表候補生か」

「あら、私のことを理解していらっしゃるようね」

自身の名を知っていたことについてさも当然、という風に自信満々の態度を崩さない。

「これから学ぶISのことだ。研究は十二分にしてきた」

対して、トロワも表情を変えずに会話を進める。

「そう、勉強熱心なこと。それで、あなたの祖国はどこですの?その名前からしてこの島国生まれではなさそうですが」

「すまないな。これは国家機密だから軽々しく口にはできない約束だ」

千冬と山田先生、その他関係者と決めたこととして、トロワは国籍不明の扱いとすることにした。

男の操者というアドバンテージをどの国が持っているのか、というこを敢えて公表しないことが一種の政治戦略になり、トロワの正体が発覚するのを防げる、そう判断したためだった。

「そう、残念ですわ。男をこの学園に送り出す国はどこなのかを知っておきたかったところですのに」

「・・・」

明らかな挑発ではあるが、トロワはその挑発を無視することに決め込んだ。

「それでは、この学園生活の中でその目に焼き付けておきなさい。イギリス代表候補生のセシリア・オルコットの実力を。それをあなたのお友達にも伝えておきなさい」

「その実力、期待している」

そんな一連のやり取りをしてセシリアは席に戻っていった。

終始表情を変えないまま、トロワは次の授業の準備を再開した。

 

(・・・フン、結局男は女の顔色を伺う生き物ね・・・)

セシリアは自信満々の表情を変えないまでも、内心ではトロワを軽蔑していた。

自分は何度も挑戦的な発言をした。

しかし、トロワはそれに対して一切反応をしなかった。

自分自身に敵わないことを悟った、有象無象の男と同じ―。

セシリアはトロワをそう評価した。

しかし後日、その評価は改まることとなるのだった。

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