異世界に響く大喝采【IS×ガンダムW】   作:あなや

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第7話 「再会」

第7話 「再会」

 

一夏がいつもどおり、教室の席に着いたが、その日はやけにクラス中がざわついていた。

「・・・なんだか今日はみんな元気な気がするなぁ」

「それは隣のクラスに転校生がやってくるからだろうな」

先に席についていたトロワからざわつきの原因を聞く。

「この時期に?」

「ああ。なんでも中国の代表候補生らしい」

トロワがそう答えるが、トロワがこのようなゴシップに興味を持っていることが一夏には意外に思えた。

「お前、結構噂好きなのか?」

「情報収集は大事な作業だ。そこから必要な情報と不必要な情報とえり分ける必要がある」

一夏の問いを一蹴する。

「だが、この学園の編入試験は難しいと聞いたが・・・?」

「ええ。試験はもちろんのこと、国の推薦が必要ですの」

そんな一夏とトロワの周りにはいつの間にかセシリアと箒が立って会話に混ざっていた。

「なるほど、代表候補生ともなれば国の推薦くらいどうってことない、か」

「そういうことですわ」

最初は箒とセシリアが集まっていただけだったが、徐々に輪は広がり、クラスメイトたちも周りに集まってきていた。

「あっちも代表候補生がクラス代表になるかもだけど、こっちは専用機持ちが3人もいるもんね」

「専用機持ちはウチのクラスと4組だけだって。大丈夫だよ、勝てるって」

「織班君が勝てばクラスみんなが幸せになれるよー」

「その情報、古いから」

教室のドアの方から話に割り込むかのように声が入る。

「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には勝てないから」

その姿を見、トロワはすぐさま誰なのかを察し、一夏は驚いた表情を浮かべていた。

「鈴・・・?お前、鈴なのか?」

一夏の知り合いなのか、ドアの傍に立っていた女性の名前を言うことができた。

「そうよ!中国の代表候補生・鳳鈴音よ!今日は宣戦布告に来たってわけ!」

(・・・なるほど、あれが専用機持ちか・・・)

一瞬その姿を視線で確認し、すぐ視線を逸らす。

「・・・って、何でもう一人男がいるわけ!?男でISを動かせるのって一夏だけじゃないの!?」

トロワの姿を確認し、驚く鈴。

おそらく、男性のIS操者は一夏しかいないと聞いていたからだろう。

トロワの存在はIS学園外では非公式ということになっているので知らなくても当然なのだが。

「その情報はもう古いぞ」

「ぐっ・・・」

鈴のセリフをそのまま返す。

鈴が言葉に詰まっていると後ろからHRを始めようとする千冬が鈴の後ろに立っていた。

「こんなところで何をしている。お前も自分の教室に戻れ」

「あれ?千冬さん―ぐげ」

「織斑先生と呼べ。それと邪魔だ。どけ」

出席簿の一撃と辛らつな言葉で鈴の排除にかかる。

「・・・すいません・・・。一夏、またあとで来るからね!」

鈴は千冬に一礼し、自身の教室へと駆けていった。

(なんなんだ・・・あの女は・・・)

(一夏さんと親しく・・・どういう関係なの!?)

そんな走り去る鈴の姿を見、箒とセシリアは歯軋りをするのだった。

 

 

昼休み、先の言葉のとおりにやってきた鈴とともに一夏は昼食を食べていた。

その会話の内容は久々の再開を喜ぶものだった。

「それにしてもびっくりしたよ。お前が転校生なんて。元気にしてたか?」

「元気にしてたわよ」

そんな二人の空気を歯軋りしながら睨み付ける箒とセシリア。

「それで、いつ日本に帰ってきたんだ?おばさんは元気か?というか、いつ代表候補生になたんだよ?」

「ああもう!質問ばっかりね!あたしもアンタのことで聞きたいことはいっぱいあるの!そもそも、あんたがここに入るとは思ってもなかったんだから」

「俺も、まさかこうなるとは思わなかったよ。平凡な高校生したかったのに」

ため息をつく一夏。

「一夏、そろそろどういう関係か説明してくれないか?」

「まさか、付き合っているとか、そういうのじゃありませんわよね!?」

痺れをきらせた二人が一夏と鈴を囲むように会話に割ってはいる。

「ああ、そんなんじゃないって」

一夏は鈴との関係を二人に説明し始めた。

 

 

 

ところ変わって少し離れた卓。

トロワも女子数人に囲まれながら昼食をとっていた。

「トロワ君、向こうはヤな空気だけど止めないの?」

「情報が手に入るならば特に止めはしないさ」

特に表情を変えずに自身の昼食を口に運ぶ。

「素直に気になるって言えばいいのにねー」

「そういうガラじゃないさ」

そんな中、一夏がセシリアと箒に何か話している姿が目に付いた。

「ちょっと、何か話してるみたいだよ?」

「どうする、近づく?」

女子が騒ぎ立てる中、トロワは冷静に会話を分析していた。

「・・・なるほど、鳳鈴音も一夏の幼馴染だったということか」

「聞こえるの!?」

「すごい能力だねー?」

席は近くも遠くもないところで、普通の声の会話程度では聞こえないような場所だったが、トロワはそれを耳にしていた。

\わたくしのことをご存じないの!?/

「あれは聞こえるけどねー」

セシリアの叫び声が響く。

この音量であれば学食のどこにいても聞こえるような大きさだった。

「どうやら鈴音がセシリアにふっかけたようだな・・・」

「セシリアも短気だね・・・」

\わたくし、あなたのような方には負けませんわ!/

「あはははは・・・」

セシリアの宣戦布告にクラスメイトが苦笑する。

「おーい、トロワー」

一夏がトロワに向かって手を振り、呼ぶ。

「呼ばれてるよー?」

「今行く」

そう返事をし、手元のお盆を持ち、一夏のテーブルへと歩いていった。

 

 

「悪いな、呼んじゃって」

「大丈夫だ。気にするな」

「えと、こいつは鳳鈴音。俺の幼馴染なんだ」

一夏が鈴を紹介する。

「トロワ・バートンだ、よろしく」

軽く会釈をしながら挨拶をする。

「よろしく。あんたがもう一人の男のIS操者ね?」

「そうだ」

「ふーん・・・、あんた、どこの国の人間なわけ?」

「悪いな。機密だから喋れないんだ」

国のツッコミに対して定例の文句で答えるトロワ。

そこに鈴は突っ込む様子は無かった。

「ふーん。まあいいわ、アンタにも負けないんだからね」

「そうか。・・・次のクラス対抗戦は楽しみにしている」

「まあ見ておきなさい。この鳳鈴音の実力を!」

(どこかの代表候補生と似たような言葉だな)

そう心の中でつぶやきながら、トロワは昼食を進めていった。

 

食事もある程度進み、鈴が話題を切り出す。

「それでさ、一夏、ISの操縦教えてあげよっか?一夏が、良かったら、だけど」

「本当か?そりゃ―」

鈴の提案に乗っかろうとするが、そうはいかなかった。

「一夏に教えるのは私の役目だ!頼まれたのは私なんだからな!」

「それにあなたは2組でしょう!?敵が敵に教えるなんて聞いたことありませんわ!」

鈴の提案にズズイと割ってはいる箒とセシリア。

「私は一夏に言ってるの。部外者は黙ってくれない?」

箒とセシリアをにらみつける。

「あなた、後から出てきてなんですの!?」

そんな威圧に屈せず、セシリアが反論する。

「付き合いは私の方が早いけどね」

「付き合いなら、私も長いぞ!家族ぐるみで食事もしたし・・・」

セシリアに次いで、今度は箒も反論を始める。

「食事?それは私もしたわよ?」

「・・・いーちかぁー(さーん)?」

新たなファクター発生に恨めしそうに一夏を見る二人。

「箒、お前も食事をしたと言っていただろう。幼馴染同士が食事をしても何も問題は無いはずだ」

「グッ・・・、だが、それはそれ、これはこれだ」

トロワが突っ込みを入れるが、箒は子供のような理論でトロワに反論する。

そんな熱くなっている箒を見、トロワは

「・・・そうか」

とだけ返事をし、説得を諦めた。

「あぁ、鈴の家は中華料理屋だったんだ」

「・・・なんだ、店か」

「お店なら、何も問題はありませんわね」

『店』という単語であからさまにほっとする二人。

そんな二人のリアクションに少しむっとしたのか、鈴が再度攻勢に出る。

「それじゃあさ、一夏、放課後時間空いてる?どっか行こうよ!」

「あいにくだが、一夏は放課後はISの練習が入っていてな」

「対抗戦に向けて特訓をしなければなりませんの」

箒とセシリアが無為やり鈴と一夏の間に体をねじ込ませて阻止する。

「むぅ・・・、じゃあ、それが終わったら行くから、時間空けといてよ!」

「あ、ああ・・・」

そう言い残し、鈴は食器を片付け、帰っていった。

「いいか!特訓優先だからな!?」

「一夏さんはわたくしたちに教えてもらうことの有意義さに感謝してくださいまし!」

鈴が帰った後、箒とセシリアに思いっきり釘を刺された一夏は逃げられる状況に無かった。

 

 

 

放課後、箒、セシリアの言うとおりに一夏は『白式』とともにアリーナへ足を運んだ。

そこには既にISを装着した箒とセシリアが待っていた。

「・・・一夏を呼んだのは確かだが」

「なんでトロワさんまでいますの!?」

ただし、トロワというオマケ付きで。

「何、そっちが二人いるのだからこっちも二人いても問題は無いだろう」

「ありがとな、トロワ・・・」

しみじみ感謝する一夏に「気にするな」と答え、ルールの確認をする。

「・・・さて、2対2の練習試合でもやるか?」

「私は別にかまわないが?」

「あはは・・・、お手柔らかに頼むよ・・・」

「まあ、チームワークの練習にはなりますわよね。遠近のISが1機ずついるわけですし」

各位の賛成を得たことで、トロワがそのまま話を進めていく。

「各自のISは装着済みだから早速始めよう。試合開始はこのコインが落ちてきてからだ。じゃあいくぞ」

トロワが硬貨を指で弾く。

コインがアリーナに着地した瞬間、各チームのメンバーは各自の得意距離へと布陣を張った。

 

 

 

「さて、と。一夏の練習はどうなってんのかなぁ・・・っと」

鈴が一夏の様子を見にアリーナへと顔を出す。

「試合中なのかな?それにしてはすごいやかましいけど・・・」

アリーナの状況を確認する鈴。

そこはチーム戦を行っている4人の姿があった。

 

 

箒が一夏に近づき、ISの斬撃をくらわせようとするも、その行き先を読んでいるかのごとく、トロワのガトリング砲でけん制されていた。

「くっ・・・近づけない・・・!セシリア、援護を―」

「させるか!援護の前に決着をつける!」

一夏が箒に急接近する。

「そこまでですわ!」

セシリアが一夏に向けてライフルを構える。

しかし、片手のガトリングと一部のミサイルでセシリアの援護を阻止する。

「くっ!?こっちもですの・・・!?」

援護のタイミングを失い、回避に専念するセシリア。

専用機2機という差もあるのだろうが、チーム戦はトロワと一夏のチームが押しているようだった。

 

 

 

「一夏、結構やるじゃん」

アリーナの隅で観察していた鈴だったが、一夏の動きに感心する。

「というか、もう一人の男のIS操者、何者?」

視点を変え、トロワの動きも重点的に観察する。

「援護の的確さとか、射撃の精度とか、本当に並みのレベルじゃないんだけど・・・」

「・・・トロワ・バートン、要注意かもね・・・」

そして、トロワが得意の宙返りを繰り出すのを目にする。

「・・・って、何あの回転!?雑技団にでもいたの!?」

初見の人が浮かべるリアクションを鈴も同様に浮かべるのだった。

 

 

「トロワ、助かったよ」

「別にかまわない」

チーム戦の結果は一夏・トロワチームの勝利だった。

「あ、相変わらずの精度ですわね・・・。・・・結局はまた弾切れみたいでしたが」

「勝てるなら十分だ」

「潔いことでしてね・・・」

最後はミサイルの全弾発射で箒をし止め、爆炎の中から突っ込んできた一夏にセシリアが斬られ、ゲームセットとなった。

「・・・一夏」

「ん?どうした?」

箒が少し顔を赤らめながら一夏に話しかける。

「練習して喉がかわいただろう?ほら―」

そう言って箒が飲み物を差し出したところでスッと割り込む人影があった。

「どうぞ、一夏。あまり冷えてない飲み物とタオルだよ!」

鈴が箒と一夏の間に入り、飲み物を差し出した。

「お、ありがとうな!って、鈴?」

「な、何の用だ!?」

突然の来訪者に驚く二人。

セシリアも少し離れた箇所にいたが、同様に驚いていた。

「さっき言ったでしょ?一夏に練習終わったら時間空けといて、って。だから一夏は返してもらうね♪」

「俺は物ですか・・・」

鈴の発言に突っ込む一夏。

突然の来訪者と一夏に飲み物を渡しそびれたことで箒の機嫌が悪くなる。

「・・・一夏、シャワーなら先に使っていいぞ。じゃあまた後でな」

「おう、ありがとうな」

何気なく会話したが、端から聞いた者からすれば明らかに異常な会話を鈴は聞き逃さなかった。

「・・・シャワー?」

「ああ。箒と相部屋なんだ」

「・・・。えええええええええええええ!?」

思い切り驚きの叫び声をあげた後、トロワの方に思い切り振り返る。

「えっと・・・」

「トロワだ」

「トロワ、アンタも女の子と相部屋なわけ!?」

キッとにらみつけながらトロワに詰問する。

「俺は個室だが」

「じゃあなんで一夏は相部屋なのよ!?」

今度は一夏に振り返り威圧する。

「・・・なんでだろうな?」

そんな鈴の迫力に視線を逸らす。

「・・・じゃあ、幼馴染だったら相部屋が許されるわけね・・・」

「え」

鈴の発言にイヤな予感を走らせる一夏。

その予感はその夜に的中することになるのだった。

 

 

翌日、一夏は朝から疲れた表情をして着席していた。

そんな一夏にトロワは思わず話しかける。

「どうした?いつもよりも表情に陰があるな」

「・・・わかるか?」

「わかる」

即座に答える。

「・・・実は昨日の夜に鈴が押しかけてきてな・・・」

一夏がぽつぽつ話し始める。

一夏の部屋に鈴が押しかけてきたこと。

鈴が箒と部屋を変われと詰め寄ったこと。

それが理由で鈴と箒がひと悶着起こしたこと。

そして最後に一夏自信がどういうわけか鈴を怒らせたこと。

それらすべてを用件をかいつまんで一夏はトロワに話した。

「なるほどな」

「・・・やっぱり、女の子って難しいな・・・」

弱音を吐きながら机に突っ伏す。

「・・・その気持ちはわからんでもないが、しっかり話さないと伝わらないこともある。お前もあとは鈴といったか。も少々気持ちが一方通行になっているきらいがある。少し他人の気持ちに気づいてやれ。・・・まあ、俺が言えた義理ではないがな」

そんなトロワのアドバイスに突っ伏していた顔を上げる一夏。

「なんか、トロワがそんなこと言うなんて意外だな。お前もそんなことがあったのか?」

「・・・それはお前の想像に任せるさ」

そう適当にごまかす。

直後、いいタイミングでチャイムが鳴ったため、一夏もそれ以上の追及はしなかった。

 

 

 そして月日は流れ、1ヵ月後のクラス対抗戦当日。

一夏のピットにはトロワ、箒、セシリアが集まっていた。

「あれから聞いてはいなかったが、鈴と仲直りはできたのか?」

「いや、全然。むしろ悪化したかも・・・」

鈴の話をするとあからさまにイヤそうな表情になる一夏。

そんな一夏の様子を見、軽くため息をつくトロワ。

「そうか。わだかまりはあるかもしれんが、今は目の前の試合に集中しろ」

「・・・言われなくても!」

そう言い、パンパン!と顔を叩き気合を入れる。

「鈴音さんのISは近距離戦闘型。一夏さんと同じタイプですわ」

「練習の時の同じようにやれば勝てる。そう硬くなるな」

出撃直前、セシリアと箒が最後のアドバイスを入れる。

「ああ」

「それじゃあ俺は観客席に戻る。健闘を祈る」

トロワが一夏から離れ、ピットの出口へと向かう。

「ありがとな。それじゃあ、行ってくる!」

「行ってこい!」

「行ってらっしゃいまし!」

「行ってこい」

三人に見送られ、一夏はアリーナへと出撃した。

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