幕間「戦いを呼ぶもの」
自室でトロワはPCの前で情報収集を行っていた。
情報収集、といえば聞こえはいいが、行っている先はIS学園の教員用にあてがわれている共用サーバだった。
―まあつまりは、ハッキングである。
「・・・また転校生か・・・」
新たな転校生の情報を閲覧する。
ディスプレイに転校生の名前や履歴と写真が出てくる。
表示された履歴には「男」の性が記されていた。
「シャルル・デュノア。デュノア社の御曹司か。一夏、俺に続いての男のIS操者とあるみたいだが、やけにシナリオができすぎている気がする」
画面の写真を少し眺めてから開いていたファイルを閉じる。
「注意しておこう」
そして別のファイルを開く。
今度はもう一人の転校生の情報がシャルルと同じように表示される。
左目に眼帯をした女性の写真が画面に出てくる。
「そしてもう一人、ラウラ・ボーデヴィッヒ。ドイツ軍IS部隊『シュバルツェ・ハーゼ』隊の隊長か。なるほど、俺に近いタイプの人間と言えるな」
少し目を瞑り、過去の自分の姿を思い出す。
―与えられた任務をこなすだけの自分自身の姿を。
(果たしてこのラウラ・ボーデヴィッヒは昔の俺たちに近いタイプか、それともそうでないか・・・)
「この女も、要注意だな」
そう心にとどめ、トロワは引き続き「情報収集」を行っていった。
ドイツのとある研究所。
研究所とはいったものの、各所で爆発がおき、もはやその機能は停止寸前であったが。
「け、研究所が・・・」
崩れ行く研究所を見て研究員の一人が悲痛な声を上げる。
「だが、あのシステムを導入できたのは良しとしよう。解析できなかったのは心残りだが・・・」
また別の研究員はこれ以上研究が続けられず残念だ、といった表情でつぶやいた。
「しかし、あのシステムを使用した軍の検体が死亡していますが?」
「次の検体は“ドイツの冷氷”だ。使いこなせるさ」
若い研究員の不安を背に、年季の入った研究員は自信を持って答える。
「なるほど。ですが、このシステムのことを公にしてよろしいのですか?」
若い研究員が年上の研究員に確認する。
「それには抜かりは無い。損壊レベルDでのみ発動するようにしておいた」
「あまり効率的だとは言えないな・・・」
限定されたシステム設定に苦言を呈す別の研究員。
それと同時にまた一つ研究所から爆発が巻き起こる。
「それは仕方ない話だよ。さて、逃げるぞ。この研究所ももう終わりだ。他のメンバーも避難していることだろう」
爆発する研究所を背に、研究員たちはその場から逃げていった。
初の試み、幕間を作ってみました。
話にするには短すぎますが、少し描写しておきたいところだったので削除せず、記載してみました。