さて、VSイルファング・ザ・コボルトロード戦も、終盤戦です。
楽しんでもらえれば幸いなのです!
それでは、本編どうぞ!!
獣王は、己の刀を、地面に突き立てた。
―――こんな攻略法があったとは。
絶対必殺と言われていた戦法、《デッドエンドゲイル》の攻略法が、今、AIであるはずの《イルファング・ザ・コボルトロード》によって編み出された。いや、
――――さて、どうすっかな?
オレは考えた。このまま突っ込めば、真っ二つ。止まろうとすれば、ブレーキをかける隙に、刀を抜いて切りかかってくるだろう。なら、
「軌道・・・修正ッ!」しか無い。若干左に軌道をそらし、コボルト王の後方に駆け抜ける。《デッドエンドゲイル》を中断すべく、ブレーキをかける。その間に、キリトが、刀ソードスキルが来る方向を読み違えたのか、クリーンヒットで喰らっていた。連続技だったらしく、アスナが「あっ・・・!!」と小さく叫ぶ間にも、もう一撃入った。 ガクリと膝をついたキリトに代わって入ったが、ソードスキル特有の技後硬直が無いんじゃないかと思うくらい短かい技らしく、もう一撃、ソードスキルを放とうとしていた。
「ぬ・・・おおお!!!」太い叫びが轟き、アスナを切り裂く直前だった刀を、巨大な武器が弾き飛ばした。
エギル、という斧戦士だ。ボス戦前にシュンが紹介してもらってたので、分かった。
「あんたらがPOT飲み終わるまで、俺たちが支える。いつまでも、ダメージディーラーにタンクやらせちゃ、立場無いからな。」
「・・・すまん。頼む!」
「君もだ。下がれ。」エギルの仲間の一人が言った。
「・・・対して減ってねぇだろ。」だが断った。シュンと代わる前に、頬にセンチネルの斧が掠めていたので、それだろう。HP減少量は、引き継がれるらしい。でも、まだゲージは緑だ。
「いや。25%も減ってる。ほら、飲め!」口に瓶の飲み口を突っ込まれた。結構な力で突っ込まれたので、痛かった。あの野郎、後で覚えてろよ。
このタイミングで、《ヒート・オン》が切れたが、この剣が強いことは変わらない。
キリトのHP回復をのんびり待つ俺ではないが、キリトが、「囲むと、全方位攻撃が来ると言うので、自分のHP量と相談し、これまで忘れてたブーメランでチマチマやってくことにした。アスナとエギルと仲間たちが、HPを減らしてく。入る隙間がない。だが、ウズウズして、仕方ない。
「おめぇら・・・タンクがダメージ稼いでんじゃねぇよ!!」そう叫びながら、突っ込んだ。建前である。
「エギル、スイッチ!」後方にスタンバイする。
「おう!」エギルが刀を弾いて下がる。
「セアァァ!!」ソードスキル並みに素早い3連撃に<バーチカル>を繋げる。
「エギル、スイッチ!」<バーチカル>で作った隙を活かし、エギルと後退。エギルしか使えるメンバーがいなかったが、ホントはアタッカーと代わりたかったが、まぁ仕方ない。
獣王のHPが残り30%を切ったあたりで、1人のタンクが、気を抜いたのか、足をもつれさせ、あろうことか、みんなで避けてた、コボルトロードの後ろに行ってしまった。
「早く動け!!」キリトが叫んだが、わずかに間に合わず、コボルト王は《囲まれたこと》を感知してしまった。
獣王は、全身のバネを使って高く跳びあがり、刀とその身体を、一つのゼンマイのように巻き絞って、全方位攻撃の準備を進める。
「う・・・おおああ!!」叫びながら、キリトが突っ込んできた。
あの剣の輝きは、ソードスキル<ソニックリーブ>だろう。あの技、跳べたんだ・・・
「届・・・けぇーーー!!!」見事、左腰に届いた。
「ぐるぅっ!」ソードスキルは中断された。
キリトが、全方位攻撃を封じたことで、大きな隙が生まれた。
「全員―――
キリトの言う通り、囲んでソードスキルを全員で叩き込んだ。
その時。
ビン!と音を立てて、コボルト王の目が、紅く光った。
「下がれ!!」叫びつつ、バックステップをするオレ。
キリト、アスナは反応できた。が、タンク勢が遅れた。直後、またさっきの全方位攻撃のモーションに入った。
「馬鹿なッ!?あんな派手に
「馬鹿も阿保もないだろ!いくぞ!!」そう言って、さっきキリトがやってた技を見様見真似でやる。
が、切っ先が触れただけだった。
「アスナ!!」キリトが叫ぶ。
「・・・ハァッ!!」アスナが、名も知らぬ突進ソードスキルを叩き込む。
「ぐるあああ!!」コボルト王のHP、残り5%。
「「お・・・おおおおおおお!!」」オレとキリトは、同時に叫び。
同時に<バーチカル・アーク>を発動し、、上と下からふたつのⅤ字に挟まれて。
第一層で最強のモンスター、第二層への道に立ち塞がる、獣の王は。
断末魔と言うには少々細い叫びをあげ、野太刀を取り落して。
―――何千何万というガラス片に姿を変えた。
着地し、顔を上げると、【You got the Last Attack!!】と書かれたウィンドウが、俺とキリトの前に浮かんでいた。
気付けば、センチネルも消滅していた。 場は静まっていた。アスナがキリトのもとへ駆け寄った。
「お疲れ様。」キリトに囁いた。
直後、この戦いに参加した全プレイヤーの目の前に、戦利品、つまり、入手したコルと経験値、獲得アイテムを表示するウィンドウが現れた。一瞬溜めた後、弾けるような歓声が響いた。
「コングラチュレーション。この勝利はあんたたちのものだ。」
そう言ったのは、エギルだった。
「いや・・・」とつぶやいたキリトが、大きな手と拳を合わせようとした時、
「なんでや!!」キバオウが叫んだ。
「なんでディアベルはんを、あんな危険な目に合わせたんや!!シュンはんがおらへんやったら、ディアベルはんが、どないなってた思とるんや!!」
「い、いいよキバオウさん。オレはこうして生きているんだ。キリト君を攻めr」
「黙っててもらえます!?」ディアベルが止めようとしたが、キバオウに吠えられ、言葉を詰まらせる。
「あんた、ボスのスキル知ってたやんけ!!あんたが、最初からあの情報を伝えとったら、ディアベルはんが、あんな」
そこでオレは、聞くに堪えなくなり、こう口をはさんだ。
「お前なぁ!なぜキリトを攻める!!」キバオウの声はデカかったので、怒鳴り声を出した。
「ディアベル、一つ聞きたい。あの時、お前は何故、1人で突っ込んだ?」
「・・・」ディアベルは、黙ってレイドメンバーの前に立った。そして。
「みんな、済まない!!!」
「オレは、みんなに隠し事してた!!オレは・・・」息を吸い、
「オレは、元βテスターだ!!」
「嘘だ!」 「有り得ない!」 「嘘だって言ってくれよ、ディアベルさん!!」混乱が起きた。
「・・・済まない、事実だ。」
「なんでや・・・!なんで、ディアベルはんまで、そんなこと・・・ワイらを騙すようなことを・・・!!」
「怖かったんだ。」ディアベルは答えた。
「一生懸命仲間を集めて戦って、気付いたら、攻略プレイヤー全体のリーダーになってた。そして、その立場を手放すのが怖かったんだ。」
「そ、そんな・・・じゃあ、これまでのディアベルさんは、嘘だったのか・・・?頼れるリーダーのディアベルさんは・・・?」
「ああ、そうだ。嗤ってくれていいよ。独りで突っ込んだのは、βの時からあった、【ラストアタックボーナス】を確実に手に入れたくて、焦った結果なんだ。これからも、この地位を保つために・・・」
「そうか、それは残念だったな。」オレは声をかけた。
「お前がそこまでバラしたんだ。オレも、
全員、「は?」という顔をしていた。
「オレの名は、《ゲイル》。シュンの中に潜む、『第二人格』だ。」
「は!?」とでも言いたげな顔だ。
「見分け方を教えとくよ。目が若干黄色っぽいのが《ゲイル》、黒いのが《シュン》だ。後、《ゲイル》のほうが何故か速いぜ。じゃ、もういつシュンが目覚めてもおかしくないんでな。そういえば。」
「【ラストアタックボーナス】、オレがもらったぞ。」そう言うと、キリトが、
「何?
「オレ、嘘ついてないぜ?疑うなら、見せるぞ。」
「奇遇だな。俺もそう思ってたんだ。」
そう言って、二人同時にウィンドウを操作する。
キリトは、黒いコートを、オレは黒地に赤い剣のマークが入ったマントを装備する。
「俺のは、【コートオブミッドナイト】だ。」
「こっちは、【マントオブルージュシャドウ】だ。厨二くさい名前だな、両方とも。」
「盛り上がってる所申し訳ないんだが。」ディアベルが割り込んできた。
「LAボーナス以外にもアイテムはあって、それの分配を決めたいんだ。悪いけど、【転移門】のアクティベートを頼めないかな。」
「他の奴は?なんて言ってた?」ディアベルが信用を失ってる可能性を危惧し、聞いておく。
「・・・やっぱ、最っ高の仲間だよ!あんなこと言っても、変わらずついてきてくれるって・・・!!」
ディアベルが泣いていた。
「そうか・・・じゃあ、オレは行くよ。キリトも来てくれるか?土地勘がねぇからなぁ、ナビゲーターを頼みたくて。」
「ああ。俺もいいか、ディアベル?」
「構わないよ。みんなにとっても、その方が都合がいいだろうし。」
「フッ、その通りだぜ。今日は、久し振りに出てきて、その上戦いまでできたんだ。楽しかったぜ。今度、
いかがでしたか?
今後、ゲイル君は、もっと暴れさせる予定です。
相変わらず、意見感想挿絵等々募集中であります。
ちなみに、提督名もこれの作者名と同じです。
次回も読んで下さい。