久々の更新となりましたね。
読んでくれる方に感謝してます。
「おーい!徹〜!次は俺とお前の模擬戦なんだから準備してくれよ〜!」
「ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナ.....ハッ!一夏くん、試合は終わったのか?」
一夏vsセシリアはセシリアが勝利を収めた。
一夏のISの白式は、どんな状況下でも一発逆転を狙えほどの強力な武器"雪片弐型"を装備している。
白式が使う単一仕様能力の"零落白夜 (れいらくびゃくや)"は、発動時に自分のシールドエネルギーを消費しながら、敵のシールドバリアー無効化攻撃を放ついわゆる諸刃の剣である。
持ち前のセンスが半年の訓練で磨き上げられたためだろうか?
一夏は、セシリアの強力な攻撃の嵐をある程度回避することができていた。
単一能力を使用しながら、セシリアへと接近。シールドバリアー無効化攻撃を叩き込もうとする。
だが、シールドエネルギーが削られ過ぎていた。
セシリアの懐に入り込むことに成功したときにはシールドエネルギーの値は"0"を告げた。
その後、試合を終えた一夏が待機室にてパソコンに懺悔する徹の姿を発見し、今に至る。
「ふーん、オルコットさんが勝ったのか?」
「いや.....言い訳したくはないけどさ....あのセシリアに対して武装が剣一本はさすがにおかしい」
話を聞くに一夏もセシリアの懐に入り込んだようだ。
(オルコットさんの懐に剣一本で潜り込むなんて.....一夏くんは末恐ろしい少年だな....)
中学時代に、護身用にと軍式の体術を仕込んでいた時も感じた。
一夏には大きな才能がある。
大きな才能を持つ者の中には、その才能に溺れ、驕り高ぶった態度をとる者も少なくない。
だが一夏は、その才能を鼻にかけるような真似はせずに、こちらの指導することに対し、実に素直だった。
そういう人間は伸びる。実際、一夏は半年で代表候補生に迫るほどの実力を得ている。
「ん.....一夏くん、そろそろ試合開始時間だし...俺は向こうの待機室に行くよ。楽しい戦いにしようぜ」
徹が関われなかった半年間。その間にどれだけ一夏は成長したのか。
「二連敗は嫌だからな.....覚悟しとけよッ!」
◇
代表候補選抜戦を終えた徹は自室にて、倉田への戦闘データの報告をしていた。
世界初の技術を大量に搭載したジェガンの実戦データにはそれなりの価値がある。
今日の模擬戦は反省点も多かったが、かなりISの感覚に馴染むことができた。
(今日実際に戦闘してみて、感覚のズレがどの程度が認識できた。
あとはコレを修正していくだけだな.....)
徹にとって得るものも多かったわけだし、今日の模擬戦は充分に有意義と言えるだろう。
「倉田さん、戦闘データそちらへ送信しますよ。一勝一分けでした。
.......シールド修理は急がなくて結構です。ハイ」
一勝一分け....それは徹が一夏に勝ったことを表していた。
.....半年たっても一夏は一夏だった。
一夏の動きの本質は中学時代とたいして変わっていない。
動き方が素直すぎる。ようするに単純な攻撃しか仕掛けてこない。
単純な攻撃だろうと極めていけば、そこには鋭さが生じ、自分の切り札へと昇華することもあるだろう。
だから一概に単純な動きが悪いとはいわないが、一夏の攻撃はまだ切り札といわれるような域まで達していなかった。
単純な攻撃はいとも簡単に読み取られてしまう。
徹にとって、敵の動きを読むことは得意分野といえる。
それは前世の戦闘での経験によるところが大きい。
MSの戦いにおいて生き残るために制さねばならないことは"動きの読み合い"だ。
敵がどう動くのか?戦場では常に二手、三手先を読む能力が求められる。戦闘経験により磨きあげられた感性。その感性で危機を察知することが大切だ。
一度のミスは死に直結している。
動きの読み合いを見誤ったら簡単に人の命など散る。
ゆえにMS同士での戦闘では全弾回避が理想だ。ビームライフルがかすっただけでも場所によってはそれが致命傷になりうるので細心の注意をしながら回避する。
この前世の経験からくる徹の動きを予測する力は、ISに搭乗する今世で身につけることは難しい。
ISにおける戦いでは回避はMSの戦いほど重要ではない。
シールドバリアーの存在があるからだ。
もちろん攻撃を回避しなければシールドエネルギーが消え、敗北するため回避は重要だ。
しかしそこにはMS戦における回避のような切迫した命のやりとりなど確認しようもない。
命の危機を常に感じていた戦場では、危機察知能力の成長がとてつもなく早かった。常に危険と隣り合わせなので、自然と危険の"匂い"を感じとれるようになるからなのかもしれない。
そのように死の匂いを感じ取ることは、シールドバリアーがある限りは難しい。
それゆえこの敵の動きを予測する危機察知能力の最終形、"戦場での勘"とも言われる能力は徹だけの特別な力といえるのだろう。
つまり動きを読むことに特化した徹に対して、単調だが強力な攻撃で勝負をかける一夏は相性が悪かった。
結局、一夏が二連敗する結果となった。
「ん....シールドが壊れたと聞いたときは柄にもなく怒ってしまいましたが、そんなにかしこまらなくても結構ですよ....
幸い確認してみたところ、シールドに関しては予備がありましたし。
量子化して拡張領域の方に入れておきます....予備まで壊さないでくださいね徹博士」
「あ、ハイ.....善処いたします」
それと博士呼びは完全に定着している。
「実は.....今日はいいお知らせが二つほどあるんですよ」
倉田さんはもう怒ってないみたいだった。.....良かった。
むしろお知らせの話をしようとしてから珍しく気分が高揚しているようだ。
......何があったんだろう?
「まずひとつはスタークジェガンへの換装装備が完成したことです。
ジェガンが一次移行で追加装備を装着するのに適した形態に変化したものですから換装装備の製作の手間が大分省けました。
装備実装のため今日から五日後にジェガンを引き取らせていただきますね」
ジェガンがD型へと一次移行で変化したことは思いがけない幸運だったのかもしれない。
本来ならマウントハッチの製作はジェガンの一次移行した姿に合わせて設計する予定だったのだ。そのため完成予定は完全に未定だった。
だが変化したジェガンは様々な追加装備を換装可能なマウントハッチを装着したジェガンD型だった。
だが五日後と言うとクラス代表戦が近くに控えている。
(別に代表候補生になりたいわけでは断じてないがそこは知っておかねばならないだろう。
だ、代表候補生になりたいわけではないが!)
誰に伝えるわけでもない言い訳だ。
「あの......スタークジェガンへの換装にはどれくらいの時間を有するんですか?」
「.....なにかそちらでISを使用する機会があるのですか?
少なく見積もって三日といったところなので都合が合わないならばジェガンの換装は先送りにしますよ?」
徹は思ったことが顔に出やすい。倉田は徹が少し換装をためらっていることに気づいた。
このままだと仮に代表になったとしても愛機での出場ができない.....そのことに徹は少しショックを受けていた。
.....だが背に腹は変えられない。いち早く前世における最後の相棒と再開するためには、そんなこと程度で改修を先送りにはできない。
「........いや、問題はないです。
五日後にそちらにジェガンを送りますのでよろしくお願いします」
「わかりました。責任をもって最高の機体に仕上げさせていただきますよ。任せてくださいね!」
ただ愛機の使用ができないことは代表候補戦を望んでいた徹の熱意を一気に冷ました。
(なんだかなぁ....ジェガンが使えないならクラス代表は辞退しようかねぇ....)
倉田から続けて語られたもうひとつの報告はジェガンではなくJEGANのことであった。
「私たちジェガンプロジェクトメンバーは、JEGANの量産体制の確立を実現する実案を世界で初めて完成させたんです」
「この功績により、私たちは国際IS委員会管理下の世界企業として起業することを認められました」
JEGANの量産体制の確立。これは徹自身が密かに望んでいたことだ。
この世界の人間はISを兵器だと認識していない。スポーツの道具程度に思っている人も少なくはないだろう。
徹は別に皆がISを兵器だと認識できていないことはしょうがないだろうなと思う。
実際"絶対防御"などという代物があるのだから、前世のMSのように殺しあいにしか使えないものではないのだ。
搭乗者の安全が完全に保証されている兵器ならば、もはやそれは兵器ではないのかも知れない。
徹にとって兵器であるなしを判断する基準は人命を奪いさるか否かが最も大きなものだ。
だから相手の命を奪う心配がないなら兵器とは呼ぶこともないだろうと思う。
だがISは兵器としての一面を少なからず持っている。
絶対防御が全ての攻撃を無限に受け止め続ければあるいはISは兵器とは呼ばないかも知れない。
.....だが、そんなことは不可能だ。
ISの攻撃たちを何の力も消費せずに防げるわけはないのだ。
絶対防御発動にもエネルギーは消費する。
発動後に受け止める攻撃の威力の大小でエネルギー消費の量は変わる。
発動後に強力な攻撃を何度か叩き込めば、絶対防御とて耐えることはできないだろう。
つまり絶対防御の発動下で追撃を加えるようなことがあれば搭乗者の命を奪うことができるのだ。
この点において間違いなくISは兵器なのである。
もちろんそんなことはスポーツとしてISを使用する分には起こりえない。
だからこそ人々がISを兵器として見て非難することが今日までなかったのだ。
徹が恐れるのは、ISを"兵器と認識せざるを得ない出来事"が起こることである。
だがISが兵器だと認識されてしまうきっかけを生みかねない火種は存在している。
467個....いや現在は468個となったコア。そのほとんどは国際IS委員会に所属する各国で管理されている。
だが全てのコアが管理されているわけではない。
所在が不明となってしまっているコアも存在しているのだ。
各国に運搬されている最中に行方の知れなくなったものや、テロ行為により各国で研究中に奪われたコアなどが主に当たる。
.....各国は自国のプライドを守るために奪われた事実をひた隠しにしていることが多いため所在の知れぬコアの正確な数の把握は不可能だろう。
こうして奪取されたコア及びそれを使用したISがテロ行為に利用された実例がある。
それに対抗する戦力として軍事用ISなるものも、民衆の知らぬところで作り上げられた。
(ISが兵器として利用されることがあれば.....それを止める抑止力が必要だ。JEGANをその抑止力にできれば....)
IS以外を抑止力にできればそれがベストだが、ISに対する抑止力たる兵器はISしか存在しない。
(だからISは好かんのだ.....MSならば戦車や戦闘機.....それどころか歩兵の爆撃であっても落とせる。
だがシールドエネルギーがある限りはISを落とすことはISにしかできない)
JEGANは抑止力としては不完全だ。今世を戦乱の世に変えないためにも、自分がもっと努力せねば....と徹は決意を固める。
「それに伴い、我が企業の社名を社長となるあなたに決めていただきたいのです。何かいい案はありますか?」
「しゃ....社長ですか今度は....
ハァ....社名は考えておきますから待っていてください....」
少し大きめのため息をつきながらPCの電源を落とす。
確かにいい知らせではあったが考えさせられる内容だった。
この世界を丸ごと変えるほどの力は自分にはない。
だから徹はこの世界の人々を信じたいと思った。
それぞれの国の人々にJEGANのデータを託したのには、そんな願いがこめられている。
各国の平和に貢献するための糧になることを機体して。
(ネオジオン抗戦の最後....俺は人類の可能性を目の当たりにした。あの温かい光....)
"コンコン"
思考を遮る扉をノックする音。
その音は来訪者の存在を示していた。
扉を開けノックをした人物を確認する。
「今日のことについて....少しお話しさせていただけませんこと?」
自室への来訪者はセシリア・オルコットだった。
◇
鈴音side
「やっと....やっと会えるのね...」
IS学園に一人の転校生が訪れようとしている。
名は凰 鈴音。彼女は二年前の時を経て想い人とその友に再開することとなる。
〜過去・二年前、教室〜
「ねぇ?徹?ひとつ聞いていい?
「もし再会したら───
ああああっ////無理ッ! やっぱなし!今はまだ待ってッ!」
妄想ではなんでもできても現実だとそうはいかない。
伝えたい思いに恥ずかしさが打ち勝ってしまい自分の本心を伝えることができなかった。
徹も目の前でいきなり声を荒げ涙目になる鈴の姿に困惑していた。
....なぜ涙目なんだろう?
そんなに自分に別れの挨拶をして欲しくはなかったのか?
このようなことを考えるほど徹は完全に斜め上をいくどうしようもない思考回路の持ち主だ。
とりあえず泣かれるのも困るので機嫌を直してもらうことにした。
「......うーん。俺にできることならなんでもするよ?」
〜回想終了〜
「オレニアイニキテクレタンダネ?」
「むふふ.....やっぱりいい」
再生機から流れるのは編集された徹の声。
二年前に鈴が頼んだのは徹の五十音の録音だった。
徹本人は何故だかわからなかったが
自分でなんでもと言った手前断れなかった。
ましてや本人が土下座しかけてまで依頼してきたのだ。断れるわけもない。
手に入れた五十音は鈴の手により編集され様々な台詞に変貌した。
「この声が生で聞けるかと思うとテンション上がってくるわね...」
この羞恥心の使い所が完全におかしい少女はIS学園で何を見るのであろうか......?
感想欄にてNT能力をただの便利能力扱いしているとのご指摘をいただきました。
ご都合主義するためにNT能力を使ってしまった現状がありましたことをこの場で深くお詫びいたします。
今後も「あれ?こんなん原作のNT能力とちゃうやろ?見てられんわ....」みたいな描写がありましたらご指摘ください。
その他の矛盾点や改善すべき点も指摘していただきたいです。
いただいた意見は今後参考にさせていただきます。全部に目を通し、返信します。
面白いという感想は執筆する意欲が高まりますので感想もいただければありがたいです。
...................。
セカンド党のみなさんにもこの場を借りて謝罪しておくので石を投げないでください。