女尊男卑の世界にて新人類は何を見る   作:一撃男

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一週間に一度は更新したいんだけどなぁ....

地の文が多過ぎる自覚はあるのでなるべく台詞を増やすことを意識していきたいです。


第十話

一夏side

 

「....ハッ......ハッ.......」

 

一夏は走っていた。IS学園の広過ぎるくらいのグラウンドを。

一夏にとって夜のランニングは日課である。これは中学時代に自主的に始めたものだ。

徹の体術の指導では、まず前提として高い身体能力が必要だった。そのため一夏は身体を日頃から鍛えている。

そのひとつがこのランニングだ。

 

「.......フゥ......さすがにISを動かしたりするグラウンドだけはあって広いな....」

 

一夏は今日の代表選抜戦で全敗した。悔しくてたまらなかった。二人と戦うことで己の無力を痛いほどに実感させられた。

(ここからだ....ここがスタート地点だ)

どんな壁でも越えて大切なふたりの家族と肩を並べてみせる。改めて決意を固めた一夏は、にんじんが浮かぶ空を見上げた。

 

 

 

..........?

 

 

 

 

......にんじん?

 

 

 

 

空ににんじんが浮かんでいた。いや、あれはだんだん大きくなっている。否、だんだん近づいている。

 

「あ、あのにんじんこっちに向かって来てるぞ!」

 

空から謎のにんじん型の落下物が降っている。

謎の落下物は勢いを少しずつ抑えながらも、一定の速度を保ちつつ落下を続け......学生寮の部屋の壁に突き刺さった。

 

「........あの部屋はたしか徹の部屋じゃ......」

 

にんじんが刺さっているのは自分の部屋の隣あたりだ。

多分、徹の部屋ではないだろうか?

壁を破壊し、めり込んでいるにんじん。

一夏はともかく徹の安否を確認せねばと思い、ランニングを中断し学生寮へと駆け出した。

 

 

にんじんの衝突音でパニックになっている女子達を掻き分けながら徹の部屋に向かう。

 

いつもなら鍵をかけている徹の部屋の扉はセシリアを招き入れたあとなので空いていた。

 

扉を開けたその先で一夏が見たのは、壁に大きな穴が空いた、瓦礫だらけの部屋とぽかんとした表情で立ち尽くすセシリアの姿だった。

 

そこに徹の姿はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

時は一夏が徹の部屋を訪れる少し前へ遡る。

 

「「..................。」」

 

徹の部屋である1026号室にセシリアが訪れてから既に十数分は経過しただろうか。

1026号室は沈黙に包まれている。

徹がセシリアをとりあえず部屋に招き入れたはいいが、セシリアはそれきり口を閉ざしているからだ。

 

『今日のことについて....少しお話しさせていただけませんこと?』

 

今日のこと......それはおそらく今日の模擬戦についてのことだろう。

模擬戦の代表選出はまだ終わってはいない。

おそらく引き分けた自分たちのどちらかが代表になる流れになのが普通なのだろう。

だから徹とセシリアのどちらが代表になるか。それを話し合いに来たのだと思う。

しかし、徹はクラス代表になるつもりにはなれなかった。

先ほど代表戦ではジェガンが使用できないことを、知ってしまったからである。

(クラス代表戦に出場する気はこちらにはないんだよなぁ.....)

だからクラス代表は辞退する予定だ。その話であればその意思を伝えなくては。

 

なんにせよちょっとお話しいいですか?と、聞いてきたのは相手なのでセシリアの言葉を待つことにした。

 

それから十数分後にきたものは待ってもいない来訪者だったのだが。

 

 

壁を突き破って突入してきたにんじんから出てきたのはうさ耳をつけた篠ノ之 束であった。

 

「な.......あなたは束博士!行方不明のハズのあなたがなぜここに?」

 

徹は突然の来訪者に思わず声を大きくする。

セシリアも驚きの声をあげる。

もちろん徹は束を知っている。ISを少しでも知る人間ならば束を知らぬ人間などいないだろう。

だが直接会うのは初めてだ。

 

「あり?予告はしてたよね?とーくんとお話しにきたんだよー♪」

 

「え?.......いやいやこれは突然すぎませんか?

せめて壁を壊すとかなく会いにきてくれれば.....ウッ」

 

「場所を変えるよとーくん。ここであまりうるさくするとちーちゃんに怒られちゃうからね」

 

セシリアが見たのは手刀で意識を失った徹がにんじんで連れ去られる姿であった。

あまりの出来事に着いていけず置いてけぼりにされていたセシリアはなにがなんだか分からずに立ち尽くすしかなかった。

 

セシリアが正気を取り戻すのは数分後に一夏が訪れた後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙世紀0093年。

難民用コロニーのスウィートウォーターでのネオ・ジオン軍による宣戦布告から始まった戦いは終わりを告げようとしていた。

ルナツーにて和平交渉が行われることになったのだ。

地球連邦軍の戦力がネオ・ジオン軍のそれより圧倒的だったためジオン軍の停戦の要求は至極当然のことで、そこに疑いを持つ人物はいなかった。

 

(くそ.....なんだこの嫌な頭痛は...戦いは終わるんだぞ?)

 

謎の頭痛の訪れは嫌な知らせを連れてきた。

 

「ルナツーが占領されただって?」

 

連邦軍の宇宙基地、ルナツーがジオン軍に占領されたという知らせだ。

その知らせを受け、連邦軍は混乱の渦に包まれた。

連邦軍とジオン軍では圧倒的戦力差が存在しているのだ。

この交渉の機会を逃すことなど誰が予想しただろうか?

 

ましてやジオン軍の狙いが“小惑星アクシズを地球に落とすこと”などと誰も予想できたはずもない。

 

アクシズの地球への落下の阻止はもはや不可能であると思われた。

地球はアクシズ落下と地表付近での核爆発による核の冬で人が住めない場所となるだろう。

まんまと連邦軍はジオン軍にしてやられたのだ。

 

《こちら地球連邦軍外郭部隊ロンド・ベルである。我が艦はこれよりアクシズの落下の阻止に向かう。可能な限りの支援を願う》

 

......いやひとつだけジオンに対抗する戦力が存在した。

ロンド・ベル隊を中心とした勢力だ。

連邦軍のルナツーの指令系統が壊滅状態にある中、その時、周辺空域の警戒に当たっていた徹たちも独断でロンド・ベル隊の支援に向かった。

 

(まだ希望は潰えていない....光を───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───ッ.....そうか....夢か....頭を走った鈍い痛みで目を覚ます。

 

(アクシズショックの直前か....また懐かしい夢を見たものだな)

(....それにしてもここはどこだ?見知らぬ天井だが)

 

徹はベッドの上で寝かされていた。

.....どうやら気絶していたらしい。

身体を起こし辺りを見渡す。見覚えがない部屋で人影はない。

 

(身体は拘束されていないな....いまいち状況が把握できん)

 

徹が頭を悩ませていると部屋に人が入ってきた。

 

「お!目が覚めたんだねとーくん♪さぁさぁ束さんとお話しようよ」

 

......そうだ。思いだした。自分はこの目の前の人物に.....

 

「手刀ではじめましてとは随分前衛的な挨拶ですね....できれば遠慮願いたかったですよ」

 

入学初日に肩にグーパンを入れてきた家族を連想する。

徹は知らないことではあるが目の前の束と千冬は、歪な関係ではあるが親友である。

何かしら似通った性質があるのかもしれない。

 

「いや〜君が.....なんだっけ?たしかじぇがん?だかを開発したのを見た時はびっくりしたよっ」

「まさか私の思考の及ばない領域を私以外が発見するなんて驚きだよっ」

「特にミノフスキー粒子!あれは───

 

徹の皮肉混じりの言葉は完全にスルーされたらしい。

束は興奮しつつ徹の技術を賛美しながらその技術に対する自分の解釈を伝えていく。

驚くことに目の前の人物は、この世界に初めてもたらされた宇宙世紀産の技術を独力で理解したようだ。

展開されていく理論の数々は、専門用語こそ使われていないものの徹の記憶している知識と一致したものだった。

 

「......で、俺を誘拐した目的はなんです?話ってのはそれだけじゃないですよね?」

 

「........察しのいい子は嫌いじゃないよ。束さんが聞きたいのはこの技術はどこのものかだよ?」

 

驚いた。まさか前世の存在に気づきつつあるのか?

徹が束と対峙して感じたものはこのISの開発者の人間離れした性能であった。

 

そもそも大きな軍事技術の発展には戦争が必要不可欠である。

宇宙世紀においてMSがあれほどの速度で強化・発展してきたのはそれが必要だったからだ。

生きるために必要だからこそ、皆死に物狂いで産み出した、産みだせた技術なのである。

必要に迫られたわけでもないこの平和な社会でどうしてISなど生み出せたのだろうか?

また身体能力のスペックも常人をはるかに上回っている。いくら不意をつかれたといえども、軍人である徹を手刀で気絶させるなど本来不可能に近い。

色んな面において束はオーバースペックだった。

 

「いや....なんの話でしょう?」

 

少しとぼけてみる。すると束は口角がつり上がり笑うような表情になった。得意気な口調になりながら話を続ける。

 

「最初はとーくんも私と同じく違う生き物なのかなーって思ったんだ....でも君は違った」

「とーくんは確かにそこらの凡人とは異なるけど....それでも私とは違ったんだよっ!さっすがの束さんだよねっ!私は歴史上ナンバーワンの科学者を自負してるんだよっ」

 

徹は束の表情が一瞬暗くなったような気がしたがすぐに先の口調に戻るのを見て気のせいと思うことにした。

その裏にある空虚な強がりにも目を逸らさなければ気づけたハズなのに。

 

「君がちーちゃんの前に突然現れたあの日....その場所では過去に類を見ないほどの時空の歪みが観測されたんだよ」

「束さんはテレポーテーションの類いだと結論づけてたんだけどね」

「君が数々の技術を発表してしばらくして気づいた。君は私の同類じゃなくて別世界の人間なんじゃないかってさ?」

 

.....全て正解だ。ここまで来ると恐ろしさすら感じる。

 

「ッ......へー面白い推測ですが、証拠はあるんですか?」

 

ある筈もない。証拠がないならば認めなければいいのだ。

そうすれば真実はうやむやになる。

 

だがその言葉を待っていたと言わんばかりに束は嬉しそうな表情を見せる。

 

「プルシリーズ....強化人間って知ってるかな?」

 

「.........どこでそれを?」

 

......あり得ない。プルシリーズの存在は徹も知っている。

第一次ネオ・ジオン抗戦の負の産物、クローンニュータイプの少女だちだ。

彼女らは人工子宮において育成され、発生の初期段階から肉体的な強化措置を施されている強化人間である。

単純に能力のみを求められ、作られた人間たち。

 

問題は、徹はこの知識をこの世界で明かしてはいないことである。

 

なぜ目の前の人物は知っている?

 

「どこで......本人から聞いたって言ってみたらどうする?」

 

「俺はそんな知識を言いふらした覚えはないんですがね」

 

「違うよ.....本人ってのは....プルシリーズの女性本人にって話だよっ」

 

馬鹿な.....それこそあり得ない。プルシリーズは徹の世界のものなのだ。

もし仮に徹と同じようにこの世界へ現れたにしてもおかしい。

プルシリーズは第一次ネオ・ジオン抗戦にて全て葬りさられたと聞いていたからだ。

......世界線だけでなく時間線まで超えているのか?

 

「まあ本人に直接聞いたというと語弊が生じるけどね.....正確には本人に刻まれていたDATAに全ては記してあった」

「半年と少し前....正確には243日と14時間27分前に新たな時空の歪みが観測されたんだよ」

「とーくんの時と同じ現象だからびっくりしちゃったよっ」

 

束は幼い少女のようにコロコロと表情を変える。

その表情はまたしても一転し、暗い表情へと切り替わる。

 

「私はそこで彼女.....プル・トゥエルブを保護した」

「彼女の名前を知るだけでも苦労したよ....強力かつ強固なプログラムで守られていたからね」

「記憶を自由に改竄されている人間....彼女が何者かは私にも分からない」

「ただ彼女は女性としての機能を失っていたよ。身体のスペックは強制的に上げられているしね.....」

「今だに彼女は目を覚ましていない....とーくん?君の世界ではこんな横暴がまかり通っていたのかい?」

 

徹はもはや自分が異世界人であること、自分の前世の存在を隠すことは不可能だと悟った。

だから束の質問にキチンと応じることにした。

 

「わからない.....わからないことだらけだ。プルシリーズや強化人間は俺の敵の技術でしたから.....知ろうともしてませんでした」

 

束の目には深い悲しみが宿っていた。徹も目を背けていた者を直視させられた気分だった。

 

「.......それでも君の世界の技術なんだね...」

 

「ハイ.....認めます。俺は異世界人でプルシリーズは俺の世界の技術です」

 

束は納得したように小さく何度か頷いた。

 

「......よかったよ。君がいなかったら彼女は真の意味で孤独になっちゃうからね。今の話を聞くと仲良しこよししていた相手じゃなさそうだけれど.....目を覚ましたら仲良くしてあげてくれないかな?」

 

徹はそれを了承した。プルシリーズの少女たちに罪を被せたのは自分の世界の大人たちで、彼女たちに罪はない。

せめてこの世界では幸せに過ごして欲しい。

 

「そうですね....俺の世界の事情も全て説明します。他言無用でお願いしますよ....」

 

それと、徹は目の前のおかしな科学者を少しだけ信じてみることにした。

 

 

 

 

 

 

「これがプル・ トゥエルブだよ、とーくん」

 

最後に顔くらいはチラッと見せてもらうと思いいたった。

目の前にいたのは少女は自分の想像よりも少し大きかった。

そこにいたのは20歳にいくかいかないかの女性だった。

 

(そうか....時間線は俺と同じなのかもしれない。プルシリーズは全滅していなかったんだな....この歳まで....一体どんな経験を背負って成長してきたんだろうか?)

 

その答えは彼女が目を覚ました時に聞けるだろう。

徹は束からの知らせを待つことにして束のラボを後にした。

 

 

............にんじんのロケットで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side???

 

「男性に対してあんなに心が高まったのは初めてでした」

「その原因を確かめにわざわざお部屋まで行ってみましたのに....」

 

「そうですわ!今は情報社会。インターネットで男性について調べてみることにしましょう」

 

「ん?BL?

.........なんですのコレは?」カチッ

 

 

 

「................////」カチッカチッ

 

 

 

 

「//////」カチッカチカチカチカチカチカチカチ

 

 

 

 

 

 

 

 




いったい最後は誰なんだー(棒

シリアスばっかり書いてたら辛くなってきたとかそういう理由でこうなったとかそんな事実はないです。

当初の予定通りです。


.......m(_ _)m(無言の土下座)
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