ARMORED CORE for Answer Last <R>   作:かつて世界を目指した

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 いよいよChapter1も終わりが見えてきました。(このチャプターけっこう長くなるかも・・・。)


第9話

 ---あいつらが来るようになって、2日経った。

 

 ウィルは俺にリンクスのことについて、いろいろ聞いてきた。

 

 他の2人も、興味があったようで、俺に食いついてくる。

 

 「ねぇ、兄ちゃん。」

 

 「今度は何だ?ウィル。」

 

 「兄ちゃん何でお爺ちゃんみたいな髪なの?リンクスって、みんなそうなの?」

 

 「・・・これは銀髪だ。白髪じゃない。」

 

 「僕には違いが判んないです・・・。」

 

 ローグが首を傾げながら言った。

 

 「それにお兄ちゃんの眼、真っ赤だね!」

 

 クレアが楽しそうな声でそう言った。

 

 「・・・確かに普通じゃないか・・・。」

 

 俺は生まれつき銀髪、赤い目という、珍しいであろう容姿をしていた。

 

 ・・・そういえばサナはこのことについて触れなかったな。

 

 別に何か理由があるわけでもないうえに、コンプレックスでもないが、もしかしたら気を使ってくれていたのかもしれない。

 

 そんなことを考えていると、不意に、ローグがこんなことを聞いてきた。

 

 「グラムさんって、どこ生まれなんですか?」

 

 「あー・・・分からないんだ。」

 

 「忘れちゃったの?お兄ちゃん。」

 

 「・・・そうかもな。」

 

 俺がそう返すと同時に扉のノックが聞こえて来た。

 

 「失礼します。こんにちは、3人とも。」

 

 「あ!サナねーちゃん!」

 

 クレイドルに買い出しに行ったサナが戻ってきた。

 

 「お帰り。けっこう買ったのか。」

 

 「はい・・・。やっぱり少し多いですかね・・・。」

 

 「別にいいだろ。よく食う奴らもいることだし。」

 

 「ねーちゃん、お腹すいた!」

 

 「・・・ここ俺の部屋なのに・・・。」

 

 「今更過ぎますよ。・・・作りましょうか。」

 

 「分かったよ・・・。」

 

 ちなみに料理だが、俺が油断した結果、大量の塩コショウをサナがぶちまけてしまったため、すごく濃い味になった。

 

 

      ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 サナとウィルを除く2人が洗い物をしていると、

 

 「ねえ、兄ちゃんこれ何?」

 

 不意にウィルが手に持った小さな銀色の物体を見せてきた。

 

 「!?・・・それ俺の物だ。返せ。」

 

 「・・・これが何なのか教えてくれたら!」

 

 「こいつ・・・。ハァ・・・。それはネクストを動かすキーだよ。」

 

 「こんな小さいのが?・・・そんな大事なものなのに落ちてたよ?」

 

 「・・・小さいから失くしやすいし、落としても気づかないこともあるからな。何度師匠に絞られたかな・・・?」

 

 「ふーん・・・。あ!そうだ!」

 

 ウィルが何かをバッグから取り出して、キーを持ったまま、何やらし始めた。

 

 「・・・変なことしたら顔面殴るぞ?」

 

 「変なことじゃないよ!・・・よし!後は・・・。」

 

 ややあって、ウィルがキーを俺に渡した。

 

 「はい!これでもう落とさないでしょ!」

 

 キーには先程までなかった、銀色のチェーンがついていた。

 

 「・・・このチェーンお前が作ったのか!?」

 

 「そうだよ!父さんが技術者で、ガラクタが部屋にあるからそこから作ったんだ。」

 

 「・・・なるほど・・・。でもいいのか?」

 

 「いいよ!使って!」

 

 俺はネックレスのようになったキーを首に下げた。

 

 「・・・どうかな?」

 

 「ん。悪くない。ありがとよ。」

 

 「よかった!」

 

 ウィルは喜んだ顔で言った。

 

 ・・・師匠以外から何かを貰ったのは初めてだな。

 

 俺は首に下がったキーを見つめながら、笑みを浮かべた。

 

 

       ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 ・・・まさか、本当にこんなことになるとはな。

 

 椅子に座りモニターに目を向ける。

 

 そこには、その場所にミスマッチな、高価な服を着た男がいた。

 

 「・・・わざわざ本社に訪れる必要もなかったのでは?」

 

 「そんなことはありませんよ・・・。アレックス総帥。」

 

 彼は、恭しく礼をした。どこか、その動作には芝居がかったような感じがする。

 

 「・・・さて。用件を聞こうか・・・。”オーメル”の使い。」

 

 「はい。ではそうさせていただきましょう・・・。」

 

 ・・・サナを本社に置いておかなくて良かった。

 

 アレックスは、内心安心していた。・・・万が一にも彼女の存在は知られたくない。

 

 セレンからの情報で、本社に来る可能性があると言われていなければ、彼女をクレイドルに上げはしなかった。

 

 ・・・だが彼女にも、”真の理由”は告げていない。・・・さすがにこれはまだ無理だ・・・。

 

 「・・・実はこの度、依頼をしたいのです。」

 

 「・・・何?」

 

 予想外の言葉にアレックスは困惑した。・・・わざわざ本社に来てまで?

 

 「・・・怪しいな。」

 

 「そう警戒しないでください。私は武器も何も持っていないのですから。」

 

 確かに念入りの身体検査をされたであろう彼は丸腰だ。

 

 しかし、彼の背後の存在こそが、”武器”であることを彼も理解している。

 

 ・・・これだからオーメルは・・・。何を考えている?

 

 「・・・その依頼というのはなんだ?」

 

 「ええ、今から説明させていただきます。・・・ただ。」

 

 「ただ?」

 

 「・・・この依頼は、インテリオルへの依頼ではなく、1人のリンクスへの依頼です。」

 

 「!?・・・まさか。」

 

 アレックスは嫌な予感がした。そしてそれは見事に的中することになった。

 

 

      ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 「・・・昨日の話の事ですけど。」

 

 3人が帰った後、サナが話を切り出した。

 

 「”記憶がない”・・・。ようするに記憶喪失というものですか?」

 

 「・・・分からん。たぶんそんなものだと思う。・・・でも。」

 

 「でも?」

 

 「なんていうか、医者にも言われたんだけど・・・俺には”喪失感”がないらしい。」

 

 「?”喪失感”・・・ですか?」

 

 ・・・医者の話によると普通、記憶喪失になると、情緒不安定になったり、妙なことをし始めたり、落ち着かなかったりするらしいが・・・俺にはそういった症状がなかった。

 

 医者はこう言っていた。

 

 ---まるで最初から記憶がなかったかのようだ。

 

 「まあ、そんなことはまずあり得ないから、特殊なケースとして扱われたんだ。」

 

 「そうなんですか・・・。」

 

 サナが俯きながらそう言った。

 

 「・・・俺の過去なんてどうでもいい。今生きている、これだけで十分だ。」

 

 「・・・貴方は、何のために生きているんですか?」

 

 「え・・・?」

 

 ・・・彼女は俯いたままそんなことを聞いてきた。

 

 「何のために・・・か。・・・よく分からないけど・・・。」

 

 俺は続けて言った。

 

 「・・・どうでもいいんじゃないか?一々考える方が面倒だと思うぞ?」

 

 「・・・悪くない考えだと思います。」

 

 彼女は顔を上げて、笑顔を見せて言った。

 

 だが、俺は気付いた。

 

 その笑顔が偽物であることに。

 

 「・・・悪いな、こんなことしか言えなくて。」

 

 「いいえ・・・。すいません。」

 

 ・・・気まずい空気が流れた。

 

 その時、通信の音が部屋に響く。この音は・・・。

 

 「セレンさんからか。・・・どうしました?」

 

 通信に出る。すると、通信機の奥からセレンさんの声が聞こえてきた。

 

 「グラム・・・。明日の午後に本社に戻れ。」

 

 「!? クレイドルはどうするんですか!?」

 

 「代わりのリンクスが来るはずだ。・・・よりによって、こんな時によく依頼をしてくるものだな・・・。」

 

 「依頼・・・。インテリオル・・・じゃないですね。」

 

 「カンがいいな。依頼主は・・・オーメルサイエンス社だ。」

 

 「オーメル!?」

 

 ---オーメルサイエンステクノロジー。通称:オーメルは企業の中でも、あらゆる分野において、ずば抜けていた。

 

 それに加えて、崩壊したレイレナードから、多くの技術者を取り込んでいる。レイレナードは、ネクスト技術に遥かに精通していた。

 

 故に、企業全てのトップにいる立場と言っても他言ではなかった。

 

 「・・・オーメルの依頼を俺に?」

 

 「ああ、その通りだ。生憎拒否はできそうにない・・・。お前の名指しだ。」

 

 「・・・分かりました。」

 

 俺はそう言うと、通信を切った。

 

 「・・・依頼、なんですね?」

 

 「ああ・・・明日、日が一番高くなる前に、ここを出るぞ。」

 

 「・・・あの子達どうしますか?」

 

 「そうだな・・・。どうせ朝から来るし、全部話す。」

 

 「また泣かれたらどうします?」

 

 サナが茶化すように聞いてきた。

 

 「・・・泣かれないように、手伝ってくれ。」

 

 

      ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 「・・・そっか。帰っちゃうんだね・・・。」

 

 ウィルは寂しそうな顔をしていた。

 

 「これが仕事だからな。・・・なあ。」

 

 「?」

 

 「・・・お前何か今、やりたいこととかあるか?」

 

 「俺、父さんみたいな技術者になって、ネクストを作りたい!」

 

 「そうか・・・。できると思うぞ。お前なら。」

 

 「兄ちゃんって・・・不思議な人だね。」

 

 「何でだ?」

 

 「最初は悪い人だと思ったけど、僕たちの事、”子供だから”って理由でバカにしなかったから。大人は皆そういうものだと思ってた。」

 

 「・・・。」

 

 ・・・別にそれは単に俺が・・・。

 

 ウィルは俺に抱き付くと小さな声で言った。

 

 「だから、さ。できればまた来てよ。仕事じゃなくてもさ。」

 

 「・・・ああ。約束する。」

 

 「ローグ。いつまでねーちゃん困らせるんだよ。」

 

 「うん・・・。バイバイ。」

 

 ローグが泣いた顔でそう言った。

 

 「また来てね!絶対だよ!」

 

 「はいはい、分かりました。・・・それは?」

 

 サナが何かを、2人から貰っていた。あれは・・・。

 

 「何だそれ?」

 

 「ミサンガ!作るの大変だったんじゃ・・・。」

 

 サナが驚いた声を上げた。

 

 「えへへ。兄ちゃんにも!」

 

 そう言ってクレアは、俺にも同じものを渡してきた。

 

 「ありがとよ。・・・これどこに着けるんだ?」

 

 「手首や、足首に着けたりするんですよ。」

 

 「なるほど・・・なら。」

 

 そう言いながら俺は手首にそれを着ける。

 

 「んじゃ・・・行くか。」

 

 俺はそう言って、部屋のドアノブに手を掛けた。

 

 「・・・そうだ。」

 

 「?どうしましたか?」

 

 俺は3人に向かってこう言った。

 

 「ネクスト・・・見たいか?」

 

 

      ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 「任務お疲れ様でした。整備できてますよ。」

 

 ここに来た時、出迎えてくれた若い男と同じ声。

 

 「ありがとう。・・・なあ、もしかしてあんた、息子さんいる?」

 

 「!?・・・なんでそれを?」

 

 「名前はウィル・・・か?」

 

 「会われたのですか・・・。申し訳ない、あれ程近づくなって言ったのに・・・。」

 

 「まあ、いいさ。・・・ローグとクレアとは関係あるのか?」

 

 「・・・彼らは孤児で私が面倒を見ている・・・のですが、忙しくて、ここのところ会ってないんです。」

 

 「そうか。無駄話して悪い。ストレイド、準備できてる。」

 

 「行きますか。グラムさん。」

 

 キーを差し込み、ネクストを起動。AMSはまだ接続しない。

 

 「ハッチ開放。ではお気を付けて。」

 

 その言葉ともに、ネクストのブースターを吹かして、大空に出る。

 

 空は青く澄み渡るような色。空の旅には悪くない。

 

 ---AMS接続。

 

 ネクストと一体化したような錯覚とともに、一直線に本社へ---。

 

 ・・・ではなく俺は少しクレイドルの外周を移動した。

 

 「確か、ここらへんだな・・・。」

 

 「グラムさん!あれ!」

 

 見ると、ガラス張りのテラスから3人が手を振っている。

 

 「お、見えたか。んじゃあ、そろそろ本社に行くぞ。」

 

 俺はネクストの右手を動かして、手を振る動作をすると、緩やかに地上へと降りて行った。

 

 

      ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 本社に戻ると、セレンさんが俺を待っていた。

 

 「戻ったか、グラム。今回も時間が惜しい。ブリーフィングをするぞ。」

 

 「了解!・・・依頼内容は?」

 

 「・・・ブリーフィング室で話す。」

 

 彼女はそう言った。・・・どことなく寝不足のようだが・・・。

 

 ブリーフィング室に入る。すでに、モニターには映像が映っている。

 

 「これは・・・確かBFFの・・・。」

 

 「そうだ。今回の任務は---BFFのAF、”スピリット・オブ・マザーウィル”の撃破だ。」

 

 

                          続く。




 後2話(予想)でChapter1は終了です。

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