ARMORED CORE for Answer Last <R> 作:かつて世界を目指した
---あいつらが来るようになって、2日経った。
ウィルは俺にリンクスのことについて、いろいろ聞いてきた。
他の2人も、興味があったようで、俺に食いついてくる。
「ねぇ、兄ちゃん。」
「今度は何だ?ウィル。」
「兄ちゃん何でお爺ちゃんみたいな髪なの?リンクスって、みんなそうなの?」
「・・・これは銀髪だ。白髪じゃない。」
「僕には違いが判んないです・・・。」
ローグが首を傾げながら言った。
「それにお兄ちゃんの眼、真っ赤だね!」
クレアが楽しそうな声でそう言った。
「・・・確かに普通じゃないか・・・。」
俺は生まれつき銀髪、赤い目という、珍しいであろう容姿をしていた。
・・・そういえばサナはこのことについて触れなかったな。
別に何か理由があるわけでもないうえに、コンプレックスでもないが、もしかしたら気を使ってくれていたのかもしれない。
そんなことを考えていると、不意に、ローグがこんなことを聞いてきた。
「グラムさんって、どこ生まれなんですか?」
「あー・・・分からないんだ。」
「忘れちゃったの?お兄ちゃん。」
「・・・そうかもな。」
俺がそう返すと同時に扉のノックが聞こえて来た。
「失礼します。こんにちは、3人とも。」
「あ!サナねーちゃん!」
クレイドルに買い出しに行ったサナが戻ってきた。
「お帰り。けっこう買ったのか。」
「はい・・・。やっぱり少し多いですかね・・・。」
「別にいいだろ。よく食う奴らもいることだし。」
「ねーちゃん、お腹すいた!」
「・・・ここ俺の部屋なのに・・・。」
「今更過ぎますよ。・・・作りましょうか。」
「分かったよ・・・。」
ちなみに料理だが、俺が油断した結果、大量の塩コショウをサナがぶちまけてしまったため、すごく濃い味になった。
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サナとウィルを除く2人が洗い物をしていると、
「ねえ、兄ちゃんこれ何?」
不意にウィルが手に持った小さな銀色の物体を見せてきた。
「!?・・・それ俺の物だ。返せ。」
「・・・これが何なのか教えてくれたら!」
「こいつ・・・。ハァ・・・。それはネクストを動かすキーだよ。」
「こんな小さいのが?・・・そんな大事なものなのに落ちてたよ?」
「・・・小さいから失くしやすいし、落としても気づかないこともあるからな。何度師匠に絞られたかな・・・?」
「ふーん・・・。あ!そうだ!」
ウィルが何かをバッグから取り出して、キーを持ったまま、何やらし始めた。
「・・・変なことしたら顔面殴るぞ?」
「変なことじゃないよ!・・・よし!後は・・・。」
ややあって、ウィルがキーを俺に渡した。
「はい!これでもう落とさないでしょ!」
キーには先程までなかった、銀色のチェーンがついていた。
「・・・このチェーンお前が作ったのか!?」
「そうだよ!父さんが技術者で、ガラクタが部屋にあるからそこから作ったんだ。」
「・・・なるほど・・・。でもいいのか?」
「いいよ!使って!」
俺はネックレスのようになったキーを首に下げた。
「・・・どうかな?」
「ん。悪くない。ありがとよ。」
「よかった!」
ウィルは喜んだ顔で言った。
・・・師匠以外から何かを貰ったのは初めてだな。
俺は首に下がったキーを見つめながら、笑みを浮かべた。
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・・・まさか、本当にこんなことになるとはな。
椅子に座りモニターに目を向ける。
そこには、その場所にミスマッチな、高価な服を着た男がいた。
「・・・わざわざ本社に訪れる必要もなかったのでは?」
「そんなことはありませんよ・・・。アレックス総帥。」
彼は、恭しく礼をした。どこか、その動作には芝居がかったような感じがする。
「・・・さて。用件を聞こうか・・・。”オーメル”の使い。」
「はい。ではそうさせていただきましょう・・・。」
・・・サナを本社に置いておかなくて良かった。
アレックスは、内心安心していた。・・・万が一にも彼女の存在は知られたくない。
セレンからの情報で、本社に来る可能性があると言われていなければ、彼女をクレイドルに上げはしなかった。
・・・だが彼女にも、”真の理由”は告げていない。・・・さすがにこれはまだ無理だ・・・。
「・・・実はこの度、依頼をしたいのです。」
「・・・何?」
予想外の言葉にアレックスは困惑した。・・・わざわざ本社に来てまで?
「・・・怪しいな。」
「そう警戒しないでください。私は武器も何も持っていないのですから。」
確かに念入りの身体検査をされたであろう彼は丸腰だ。
しかし、彼の背後の存在こそが、”武器”であることを彼も理解している。
・・・これだからオーメルは・・・。何を考えている?
「・・・その依頼というのはなんだ?」
「ええ、今から説明させていただきます。・・・ただ。」
「ただ?」
「・・・この依頼は、インテリオルへの依頼ではなく、1人のリンクスへの依頼です。」
「!?・・・まさか。」
アレックスは嫌な予感がした。そしてそれは見事に的中することになった。
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「・・・昨日の話の事ですけど。」
3人が帰った後、サナが話を切り出した。
「”記憶がない”・・・。ようするに記憶喪失というものですか?」
「・・・分からん。たぶんそんなものだと思う。・・・でも。」
「でも?」
「なんていうか、医者にも言われたんだけど・・・俺には”喪失感”がないらしい。」
「?”喪失感”・・・ですか?」
・・・医者の話によると普通、記憶喪失になると、情緒不安定になったり、妙なことをし始めたり、落ち着かなかったりするらしいが・・・俺にはそういった症状がなかった。
医者はこう言っていた。
---まるで最初から記憶がなかったかのようだ。
「まあ、そんなことはまずあり得ないから、特殊なケースとして扱われたんだ。」
「そうなんですか・・・。」
サナが俯きながらそう言った。
「・・・俺の過去なんてどうでもいい。今生きている、これだけで十分だ。」
「・・・貴方は、何のために生きているんですか?」
「え・・・?」
・・・彼女は俯いたままそんなことを聞いてきた。
「何のために・・・か。・・・よく分からないけど・・・。」
俺は続けて言った。
「・・・どうでもいいんじゃないか?一々考える方が面倒だと思うぞ?」
「・・・悪くない考えだと思います。」
彼女は顔を上げて、笑顔を見せて言った。
だが、俺は気付いた。
その笑顔が偽物であることに。
「・・・悪いな、こんなことしか言えなくて。」
「いいえ・・・。すいません。」
・・・気まずい空気が流れた。
その時、通信の音が部屋に響く。この音は・・・。
「セレンさんからか。・・・どうしました?」
通信に出る。すると、通信機の奥からセレンさんの声が聞こえてきた。
「グラム・・・。明日の午後に本社に戻れ。」
「!? クレイドルはどうするんですか!?」
「代わりのリンクスが来るはずだ。・・・よりによって、こんな時によく依頼をしてくるものだな・・・。」
「依頼・・・。インテリオル・・・じゃないですね。」
「カンがいいな。依頼主は・・・オーメルサイエンス社だ。」
「オーメル!?」
---オーメルサイエンステクノロジー。通称:オーメルは企業の中でも、あらゆる分野において、ずば抜けていた。
それに加えて、崩壊したレイレナードから、多くの技術者を取り込んでいる。レイレナードは、ネクスト技術に遥かに精通していた。
故に、企業全てのトップにいる立場と言っても他言ではなかった。
「・・・オーメルの依頼を俺に?」
「ああ、その通りだ。生憎拒否はできそうにない・・・。お前の名指しだ。」
「・・・分かりました。」
俺はそう言うと、通信を切った。
「・・・依頼、なんですね?」
「ああ・・・明日、日が一番高くなる前に、ここを出るぞ。」
「・・・あの子達どうしますか?」
「そうだな・・・。どうせ朝から来るし、全部話す。」
「また泣かれたらどうします?」
サナが茶化すように聞いてきた。
「・・・泣かれないように、手伝ってくれ。」
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「・・・そっか。帰っちゃうんだね・・・。」
ウィルは寂しそうな顔をしていた。
「これが仕事だからな。・・・なあ。」
「?」
「・・・お前何か今、やりたいこととかあるか?」
「俺、父さんみたいな技術者になって、ネクストを作りたい!」
「そうか・・・。できると思うぞ。お前なら。」
「兄ちゃんって・・・不思議な人だね。」
「何でだ?」
「最初は悪い人だと思ったけど、僕たちの事、”子供だから”って理由でバカにしなかったから。大人は皆そういうものだと思ってた。」
「・・・。」
・・・別にそれは単に俺が・・・。
ウィルは俺に抱き付くと小さな声で言った。
「だから、さ。できればまた来てよ。仕事じゃなくてもさ。」
「・・・ああ。約束する。」
「ローグ。いつまでねーちゃん困らせるんだよ。」
「うん・・・。バイバイ。」
ローグが泣いた顔でそう言った。
「また来てね!絶対だよ!」
「はいはい、分かりました。・・・それは?」
サナが何かを、2人から貰っていた。あれは・・・。
「何だそれ?」
「ミサンガ!作るの大変だったんじゃ・・・。」
サナが驚いた声を上げた。
「えへへ。兄ちゃんにも!」
そう言ってクレアは、俺にも同じものを渡してきた。
「ありがとよ。・・・これどこに着けるんだ?」
「手首や、足首に着けたりするんですよ。」
「なるほど・・・なら。」
そう言いながら俺は手首にそれを着ける。
「んじゃ・・・行くか。」
俺はそう言って、部屋のドアノブに手を掛けた。
「・・・そうだ。」
「?どうしましたか?」
俺は3人に向かってこう言った。
「ネクスト・・・見たいか?」
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「任務お疲れ様でした。整備できてますよ。」
ここに来た時、出迎えてくれた若い男と同じ声。
「ありがとう。・・・なあ、もしかしてあんた、息子さんいる?」
「!?・・・なんでそれを?」
「名前はウィル・・・か?」
「会われたのですか・・・。申し訳ない、あれ程近づくなって言ったのに・・・。」
「まあ、いいさ。・・・ローグとクレアとは関係あるのか?」
「・・・彼らは孤児で私が面倒を見ている・・・のですが、忙しくて、ここのところ会ってないんです。」
「そうか。無駄話して悪い。ストレイド、準備できてる。」
「行きますか。グラムさん。」
キーを差し込み、ネクストを起動。AMSはまだ接続しない。
「ハッチ開放。ではお気を付けて。」
その言葉ともに、ネクストのブースターを吹かして、大空に出る。
空は青く澄み渡るような色。空の旅には悪くない。
---AMS接続。
ネクストと一体化したような錯覚とともに、一直線に本社へ---。
・・・ではなく俺は少しクレイドルの外周を移動した。
「確か、ここらへんだな・・・。」
「グラムさん!あれ!」
見ると、ガラス張りのテラスから3人が手を振っている。
「お、見えたか。んじゃあ、そろそろ本社に行くぞ。」
俺はネクストの右手を動かして、手を振る動作をすると、緩やかに地上へと降りて行った。
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本社に戻ると、セレンさんが俺を待っていた。
「戻ったか、グラム。今回も時間が惜しい。ブリーフィングをするぞ。」
「了解!・・・依頼内容は?」
「・・・ブリーフィング室で話す。」
彼女はそう言った。・・・どことなく寝不足のようだが・・・。
ブリーフィング室に入る。すでに、モニターには映像が映っている。
「これは・・・確かBFFの・・・。」
「そうだ。今回の任務は---BFFのAF、”スピリット・オブ・マザーウィル”の撃破だ。」
続く。
後2話(予想)でChapter1は終了です。
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