ARMORED CORE for Answer Last <R> 作:かつて世界を目指した
「よもや、オーメルからこんな・・・うまい話を持ってくるとは・・・。」
近くにいた人の誰かが小さく言った。
「・・・どうしても受けねばならんのか?」
私は周りの人達にそう言った。
「総帥!これは好機でしょう!断る理由もない、そうでしょう?」
「リスクが高い。・・・それに嫌な予感がする。」
「そんなことを申されても・・・!反対は貴方だけですよ!?」
「・・・・・・。」
---厄介なことになってしまった。
アレックスはため息をつく。
「・・・ストレイドにできると? あのホワイトグリントも失敗したのだぞ?」
「すでに、技術部門のトリニティ・ランディスから手は見い出せた、とのこと。」
「随分準備がいいじゃないか。まるで---事前に知っていた奴がいるかのようだな。」
「!? そんなことは・・・。」
「・・・もういい。」
・・・やはりあらかじめ裏から話を通していたか。オーメルめ・・・。
今すぐにでも関わっていた奴らの首を刎ねたい衝動に駆られるが自制する。
「・・・最大限の支援をしろ。・・・首が惜しいならな・・・。」
その怒りと威厳に溢れる一言により、ざわついた空気が張り詰めた。
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スピリット・オブ・マザーウィル、略称:SoMは、BFF社が持つAFだ。
AFにおける、最古参であり、量産型であるギガベース、ランドクラブとは性能もケタ違いらしい。
全高600m、全長2.4km・・・途方もないデカさ、それに加えて主砲の射程範囲は100~200kmだ。
VOB無しではネクストでもキツイだろう。挙句の果てには甲板についたミサイルランチャーにより、近づいても、死角にはならない。
「さらに、こいつは堅い。ギガベースのようにブレードを闇雲に叩き付けてもビクともしないだろう。」
セレンさんはそう付け加えた。
「・・・ならどうするんですか?こいつはホワイトグリントにも打ち勝ったんですよ?」
「正確には、弾切れによる撤退だが・・・似たような物か。」
そう呟くと同時に部屋の扉が開く。そこにいたのは・・・。
「確か・・・トリニティさん、だっけ?」
「そうだよぉ・・・。お久しぶりぃ・・・。」
彼女のテンションがヤケに低いと思えば目の下に物凄いクマができていた。
「大丈夫ですか?凄い寝不足みたいですけど・・・。」
「あはは・・・。3日間徹夜は・・・マズイ・・・。」
そう言ってグラリと傾きかけた体をセレンさんによって支えられる。
「説明は私がするから寝ていろ。・・・無理させたな。」
「いやぁ・・・君も昔に比べて・・・優しくなったものだねぇ・・・。」
そう言ってトリニティはブリーフィング室のソファで寝てしまった。
「・・・あの人は3日間何を?」
「ミッションプランだ。SoMを”割る”ためにな。」
「割る?」
「・・・こいつの弱点は明らかになっていない。砲台を破壊すればある程度は、ダメージが入るかもしれんそうだが、何台壊せばいいかも分からん。」
「そこで、だ。トリニティが見つけたのだが、このマザーウィルのある部位を破壊すれば、高確率でやつを落とせる。」
「!!・・・この人本当に凄い人なんですね・・・。」
「ああ・・・。昔よりもお節介が過ぎる。」
セレンさんが、ソファで眠る人に目を向けながら言った。
「あの事を・・・気にしているのか・・・?」
「?”あの事”って・・・?」
「・・・お前は知らなくてもいい。明日が任務開始だ。部屋に戻れ。」
そう言ってセレンさんは、足早に出て行ってしまった。
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俺が部屋に戻ると、サナが俺を待っていた。
「グラムさん!・・・どうかしたんですか?」
「ああ、いや・・・ちょっと考え事してたもんだからよ。」
「・・・・・・。」
サナが俺の顔を覗きこんでくる。そして---。
「セレンさんの事でも考えていたんですか?」
「・・・やっぱりアンタ才能あるな・・・。」
図星だった。
今更過ぎるが俺は、自分の事も知らないし、師匠であるセレンさんの事もほとんど何も知らなかった。
「・・・知りたいんですか?」
「分からない。・・・ただ、知らないなと考えてただけだよ。」
「そうですか・・・。そういえば、どこで彼女と会ったか覚えてますか?」
「・・・スマン。思い出せない。ただ・・・。」
「ただ?」
「セレンさんはたぶん会った時---」
そこまで言いかけた途端に扉が開いた。
「グラム?いるか?」
入ってきたのはセレンさんだった。そして、後ろには見慣れない女性がいた。
「!?ちょ、セレンさん、サナが・・・!」
「問題ない。こいつはお前と同じだ。」
「同じ?・・・まさか。」
「初めまして、だな。ストレイドのリンクス。私はスティレットだ。」
そう言った女の人は、セレンさんと同じ歳くらいで、貫録を感じさせた。
「彼女は・・・リンクス、ですか。」
「そうだ。名前は聞いたことあるだろう?」
セレンさんが聞いてきた。
「・・・・・・。」(そっと端末を取り出す)
「知らないとか言わないよな?うん?」
俺の手を掴みながら、セレンさんがにこやかな笑顔をみせてきた。
---アカンやつだこれ。こんなんなら覚えときゃ良かった・・・。
「確か・・・カラードランク6の人・・・ですよね?」
後ろからサナが言った。
「! あーそうです、そうです!そうでしたね!」
「・・・・・・。」
セレンさんが冷ややかな目で俺を見てくる。
「・・・ハァ。まあいい、上がれ。」
セレンさんがそう言うと、部屋に4人が入ることになった。正直狭かった。
「それで・・・何をしに?」
「何、顔合わせにちょうどいいタイミングだと思ったからだ。後は・・・。」
そう言ってセレンさんが、何やら取り出した。
「それ、ビール・・・あっ・・・。(察し)」
「たまには飲もうじゃないか。」
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なし崩し的に始まった飲み会のようなものが始まって、1時間が経過した。
「やっぱりこうなるよなぁ・・・。」
部屋の惨状を見ながら、俺は呟いた。
「おい!もっと酒持って来い!この(ピーーー)野郎!!」
「アッハッハッ。やはり面白いな!昔となんら変わっていない!」
暴れるセレンを尻目にスティレットは腹を抱えて笑っていた。
「・・・えぇぇ。」
サナはドン引きしたようだった。・・・無理ないか。
「あの人毎回あんな感じなんだよ・・・。しかもタチが悪いことに、酔いが醒めたら全部忘れてる。」
「・・・お酒弱いんですね。セレンさん・・・。」
「言っとくけどこれ、序の口だから。」
「え!?」
---しばらくしていると、急にセレンが静かになった。
「・・・寝たんですか?」
「だといいな。・・・絶対違うって俺の経験が言っているけどな。」
セレンさんは次の瞬間---泣き始めた。
「!?」
「あー・・・ですよねぇ・・・。」
「アハハハハ!良く泣くねぇ!相変わらずだ!」
すっかりスティレットもできあがったようだ。この人笑い上戸かよ・・・。
「うぇぇ・・・ひっぐ・・・ふえぇぇ・・・。」
「・・・・・・。」
サナがこの世ならざるものを見たかのような目をしていた。普段の彼女を知る人が見れば誰でもこうなる。俺もなった。
「そんな目してやらないでくれ・・・。かわいそうだろ・・・。」
「・・・すいません。」
「全く・・・いつも誰が面倒みると思ってんだか・・・。」
俺はそう言いながら、セレンさんの傍に行く。
「セレンさん・・・泣かないでくださいよ。アンタのせいで女の人の涙に弱くなっちゃいましたよ。」
「・・・・・・。」
・・・お?泣き止んだか?
俺がそう思った瞬間---セレンさんが俺に抱き付いてきた。
「「!?」」
「!? ちょっと、セレンさん!?」
振りほどこうとするが、力が入っているせいで、ほどけない。
「お前は・・・。」
「?」
「お前だけは・・・いなくならないでくれ・・・頼む・・・。」
「・・・・・・。」
その声は、普段の彼女からは想像できないような悲しそうな声だった。
「・・・セレンさん、俺は---貴方の物だ。だから、いなくなったりはしませんよ。」
「・・・・・・。」
「セレンさん?」
「・・・グゥ・・・。」
---寝てしまった。なんだったんだ・・・?
「・・・さてと、私はそろそろ戻るか。スマンが片付けは任せる、缶や瓶はこっちで持っていくからな。」
酔いが驚きで醒めてしまったスティレットがそう言って部屋から出て行った。
「・・・セレンさん・・・。」
「・・・心配、してくれてるのかな・・・。」
いつも、ぶっきらぼうな彼女だが・・・内心は・・・。
「とにかく、部屋まで運ぼうか。」
「あ、はい!」
結局、片付けは俺とサナでやることになった。
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ネクスト内で私はグラムと話していた。
「グラム・・・ぶっつけ本番だ。準備いいか?」
「いつでもいけますよ。・・・やるしかないんでしょう?」
「必ず戻る、とあいつに約束したのだろう?しっかり守れよ。」
「当たり前です。俺は貴方の弟子なんですから。」
・・・こいつ・・・本当に意識ナシなのか?
「そうか・・・。そうだな。ところで・・・。」
「どうかしましたか?」
「いや・・・気のせいだ。気にするな。」
セレンは昨日の夢を振り返る。
---俺は貴方の---。
「お前は私の物だ・・・。そうだろう?」
「! ・・・モノって言い方やめてくださいよ・・・。」
「さて、・・・ミッションプランは覚えたか?」
「・・・大まかに。」
「・・・まあ、いいだろう。・・・VOBを起動する。・・・行くぞ!」
「了解!」
「・・・必ず帰って来い。これは命令だ。」
私はそう言うと同時に、VOBを遠隔起動させた。
---手に入れた力を振るう理由は変わらない。
それがどんな残酷な結果を導くことになろうとも。
ストレイドは荒廃した大地を駆け抜けて行った。
続く
あれぇ・・・尺が伸びちまったぞ・・・?
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