ARMORED CORE for Answer Last <R>   作:かつて世界を目指した

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 遅くなって申し訳ない。いつもより長めです・・・。


第11話

 「ついに始まったか・・・。」

 

 「何としてでも成功してほしいものですな!」

 

 周りの声を聞き流しながら、彼はただ思考していた。

 

 「・・・そうだな。ところで・・・先ほどの使いはどうやってここへ?」

 

 「? 何を一体・・・。」

 

 「だから、初めて来るならなら”絶対に迷う”本社のあの部屋にどうやって来たのかだ。」

 

 「!!」

 

 ・・・誰も気づきもしなかったか・・・。

 

 この本社は襲撃に備えて、わざと入り組んだ作りになっている。それを迷わずこの場所に案内なしで来るのは・・・。

 

 「事前に知っていた、か・・・。」

 

 一体何人スパイを持っている・・・?まさか上層部の半数近くが内通者、なんてことは・・・。

 

 いや、あり得る。あり得ないなんてことはない。

 

 「とにかく、”洗い出し”は後だ・・・。クレイドル21には今誰が?」

 

 彼は隣の秘書に尋ねた。

 

 「ヴェーロノークが先日まで、先程任務を終えたレイテルパラッシュが交代したそうです。」

 

 「あのリンクスなら問題はないな・・・。」

 

 ・・・あとはこの任務が無事に終わることを祈るしかないか・・・。

 

 おそらくこの任務、成功しようが”厄介なこと”になるだろう。

 

 「すまない・・・セレン殿・・・。」

 

 アレックスの声はざわめく”老人”達の声にかき消された。

 

 

     ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 「ミッション開始!まずはVOBでSoMに接敵する。」

 

 「高速戦闘だ。目を回すなよ・・・!」

 

 「了解!」

 

 ストレイドは”オールドピースシティ”のビル群に突っ込む。

 

 「・・・!!」

 

 遥か遠くから光が見えた瞬間、3発の主砲が飛んできた。

 

 QBで右へ回避。再びSoMとの距離を詰めていく。

 

 「さすがBFF製・・・。精度は見た目よりあるじゃないか。」

 

 セレンが呟くと同時に再び発光。だが。

 

 「当たるかよ!」

 

 3発分の弾はストレイドにかすりもしない。

 

 「・・・VOBは順調だ。このプランは速さが重要、もたもたしていると削り取られるぞ。」

 

 「分かってます・・・よっと!」

 

 主砲から飛んでくる弾をひたすら避ける。

 

 そして、前方に微かに巨大な何かが見えて来た。

 

 「あれがSoM・・・!」

 

 その姿は巨大な翼を持った空母を彷彿させるような、”要塞”だった。

 

 「VOB使用限界近いぞ。通常戦闘準備しておけ!」

 

 「了解・・・!」

 

 昂る気持ちによりAMSの接続が深くなるような錯覚を覚える。

 

 「VOB使用限界!パージする!」

 

 背中のVOBが散らばると同時にOBを吹かす。

 

 「!!」

 

 先ほどより接近したためか、光が見えると同時に弾が飛んできた。

 

 「くっ!」

 

 OBを吹かしたまま、QBで前に動く。ストレイドの後ろをなぞるように弾が地面を抉った。

 

 「このまま・・・!」

 

 その時、レーダーに大量の熱源反応のアラートが聞こえて来た。

 

 「ミサイル・・・!?なんて量なんだ!?」

 

 レーダーの半分以上を埋め尽くすミサイルが1機のネクスト相手に向かってくる。

 

 「グラム!エナジーとPAは保つか!?」

 

 「ギリギリ・・・!」

 

 「限界まで引きつけて回避しろ!両肩に着けたソレも使え!」

 

 「了解!」

 

 ミサイルがこちらに近づいて当たる---その一瞬を逃すことなくストレイドは前、左へと連続QBをした。

 

 だが、完全に避けきれず数発被弾してPAが削られる。

 

 「ぐっあ・・・!」

 

 「第2波が来るぞ!」

 

 再びミサイルが襲い掛かってくる。避けようとするが、OBやQBに必要なエナジーとPAは限界。ならば・・・。

 

 ストレイドの両肩から折りたたまれた兵器を展開した。

 

 ---SAPLA。”アルゼブラ”製のグレネードキャノン。

 

 飛んでくるミサイル群目がけてロックすると同時に両肩からグレネードが放たれる。

 

 ミサイルに命中。それと同時に爆風が巻き起こり大量のミサイルを飲み込んだ。

 

 「よし、なんとか懐に潜り込めたな。」

 

 セレンの声とともに、ストレイドはSoMの真下に潜るとOBを停止させた。

 

 「ここからだ・・・!機銃に注意して前進だ。」

 

 「了解!」

 

 機銃からの弾を通常ブーストで避けながらSoMの背後に出る。

 

 「そのまま上だ。ヘリポートから下はすべて壊せ。スピード勝負だぞ!」

 

 一気に急速上昇する。中心から伸びる甲板が見える。

 

 QBで突っ込むと同時に右手のブレードを振り回す。

 

 次々にヘリポート、甲板、その下の階層状甲板までもを破壊した。

 

 「ミサイルだ!来るぞ!」

 

 「!!」

 

 ブレードを振り回したせいでエナジーに余裕がない。

 

 さらに、マザーウィルが影になり撃ち落とすのも不可能。

 

 「なら---削られる前に終わらせてやる!」

 

 壊した甲板を飛び越え反対側に一気に回る。

 

 ミサイルが目に見えると同時に闇雲にライフルを撃ち続ける。

 

 数発は撃墜したものの、7割は残ったミサイルが向かってきた。

 

 被弾。PAが半分以上削られると同時にAP(アーマーポイント)がごっそり減る。

 

 「AP30%減少・・・!これで終わらせるぞ、グラム!」

 

 「セレンさん!次は・・・。」

 

 「2つあるカタパルト!後は同じだ!」

 

 「了解!」

 

 2つのカタパルト目がけ両肩のグレネードキャノンから2発ずつ放たれた。

 

 命中。カタパルトが折れたように爆発した。

 

 「終わりだ・・・!」

 

 上昇すると同時に両手を下に掲げてOBする。

 

 青い刀身をヘリポートに突き刺し、ライフルを連射した。

 

 上から下にストレイドが突き抜けて行く。

 

 そして、地面に着地すると同時に、SoMのあらゆるところから爆発が起きた。

 

 「第8ブロックから火災発生!第5ブロックもダメです!」

 

 SoM内の通信をストレイドが捉えた。

 

 「被害拡大!抑えられません!」

 

 「総員地上配備用意!!マザーウィルが倒壊するぞ!!」

 

 ある程度通信を流し聞きした後、グラムは捉えた通信を切り、SoMから離れる。

 

 OBを吹かして領域を離脱するストレイドの後ろでSoMが嫌な音を立て始める。

 

 ストレイドがOBを停止させた瞬間、

 

 

 ---SoMが一瞬大きく膨れ上がり、大爆発した。

 

 破片が飛び散り、ストレイドの足元に”BFF”と書かれた板が落ちて来た。

 

 「・・・こんなくだらない物作ってんじゃねえよ。」

 

 ストレイドは右手のブレードでその板をたたき切った。

 

 

     ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 上空8000m、クレイドル03の一番広い一室でざわめきが起こっていた。

 

 「本当にやり遂げるとは・・・!」

 

 「あの女が育てたリンクス、中々使えるじゃあないか!!」

 

 「・・・・・・。」

 

 ---やってくれたか。

 

 アレックスは安堵のため息をつく。

 

 「さてと・・・。---!」

 

 不意に手元を見ると通信のコールだった。これは・・・。

 

 「みんな静かにしてくれ。ランク3のお方からだ。」

 

 場がある程度静まると、彼は通信をつないだ。

 

 「久しぶりですね。ウィン・D・ファンション殿。」

 

 「つまらん世辞はいらない・・・。」

 

 ・・・相変わらず堅いお方だ。僅かにヘリの音が聞こえる。

 

 アレックスは心の中で苦笑いをした。彼女はいつもこんな感じだ。

 

 「世辞ではないですよ・・・。どうでしたか?」

 

 「・・・キタサキジャンクション襲撃にもやはり”後ろ”がある。」

 

 「そうか・・・。」

 

 ---先月辺りから、企業の管理地であるところにたびたび正体不明の襲撃が来るようになった。

 

 他の企業からも報告があるため、無差別的なものであると推測されている。

 

 そして何より---目的が不明だった。

 

 テロリストならば、要求、契約を持ち掛けてくる、などといったことをしてくる、企業の差し金であればなおさらだ。だが、そういった類のものは何もなかった。

 

 「一体何が目的だ・・・?」

 

 「少なくとも、企業の資本無しでネクストを動かすのは厳しいだろう。」

 

 「他に情報は・・・あれば貴方はとっくに言っていますか。」

 

 「・・・生憎、もったいぶるような言い方は好まんのでな。」

 

 ・・・全くもって情報がつかめない。

 

 彼は内心で舌打ちを漏らすと、思考を始めた。

 

 ---企業の資本無しでネクストは動かせない。彼女の言葉は間違いではない。ならば、どの企業だ?

 

 だが、襲撃を受けていない企業は---ない。

 

 あのオーメルグループでさえ、同じような襲撃があったのだ。だが、あのオーメルだ。それはもしかして茶番である可能性も否定できないが・・・。

 

 「・・・?」

 

 彼はふと違和感を感じた。

 

 いや、今の思考とはなんら関係のないことだった。

 

 だが、違和感は徐々に膨らみ、動悸が激しくなる。

 

 「ウィンD殿・・・少しよろしいかな・・・?」

 

 「何だ? ・・・少し声がかすれているぞ。」

 

 彼は言った。

 

 「貴方は今------」

 

 

      ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 「それなりになってきたじゃないか。お前も。」

 

 セレンさんは俺に向けてそう言った。

 

 「最後はゴリ押しでしたけどね・・・。」

 

 「悪くない判断だと思うぞ。・・・BFFの最強のAF相手に勝利を収めた、か・・・。」

 

 「どうかしたんですか?」

 

 「・・・戦果が上がれば上がるほど依頼は相対的に増えるものなんだ。」

 

 「・・・それが?」

 

 「・・・お前には大した事ではないか。スマン、忘れてくれ。」

 

 「・・・。」

 

 回収のヘリが来るまで彼女と話しているのだが・・・。

 

 ---セレンさんなんか変だな。

 

 俺は漠然と師匠の様子がおかしいことに気付いた。

 

 いつも依頼が終わった後は、戦い方が悪いと怒られたり、調子に乗るなということを言ってくるのだが、今は何も言われない。

 

 まるで何か別の事を考えているようだった。

 

 「らしくないですよ。セレンさん。」

 

 「・・・・・・。」

 

 「セレンさん?」

 

 「! ああ・・・何だ?」

 

 「何だ、じゃなくて・・・どうしたんですか?」

 

 「考え事だ。・・・昔の事のな。」

 

 「昔・・・。」

 

 俺はセレンさんに言った。

 

 「良かったら、セレンさんの昔話聞かせてくれませんか?」

 

 「!? ・・・聞いてもつまらんぞ。」

 

 「いいですよ。セレンさんって昔は何やってたんですか?」

 

 「リンクスだ。」

 

 「えっ。」

 

 「リンクスだと言っているだろう?」

 

 ・・・さらっと凄い事言ったよこの人。でも、確かにいろんな人とのパイプがあるらしいので言われてみれば納得できた。

 

 「もうリンクスじゃないんですか?」

 

 「まあな。・・・単なる乗り過ぎだ。」

 

 「リンクス戦争には・・・。」

 

 その言葉を聞いた途端彼女の表情が変わった。

 

 「・・・やっぱりいいです。」

 

 「参戦はしていないぞ?」

 

 「!? でもリンクスだったんじゃ・・・!?」

 

 「私が止めたのは始まる1週間前・・・運が良かったやら、悪かったやら・・・。」

 

 セレンさんはどこか悲しそうな表情を浮かべていた。

 

 「止めた後は・・・?」

 

 「・・・・・・ヘリが遅いな。」

 

 「確かにそうですね・・・。」

 

 露骨に話題を反らされた。ここから先はあまり話したくないようだった。

 

 「・・・もう30分近く待ってません?」

 

 「企業の犬のくせに待たせるとはな・・・覚悟しておけよ・・・。」

 

 その時、通信の音がした。セレンさんがそれに応対した。

 

 「・・・何だ?・・・!?何!!?」

 

 「!? どうしたんですか!!?」

 

 「ああ、分かった・・・ふざけるな老人共が!!!」

 

 セレンさんは通信機を投げ捨てた。壁に勢いよく当たった音が聞こえた。

 

 「緊急事態だ。・・・ちょうど真上だな・・・。」

 

 「真上・・・?」

 

 見上げても空しか見えない。いや、空にあるのは---。

 

 「まさか・・・!?」

 

 「・・・そのまさかだ。」

 

 セレンは続けて言った。

 

 

 「クレイドル21との連絡が途絶えた・・・。最悪の展開だ・・・。」

 

 

     ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 「今すぐに連絡をとれ!!」

 

 「なぜ気付けなかったんだ!? 無能共め!!」

 

 「リリアナなのか・・・!?」

 

 ---なんということだ。

 

 私のミスだ。もっと念入りに調べさせるべきだった。

 

 「今すぐにネクストを出せ!!」

 

 「無理です!!ヴェーロノークも、レ・ザネ・フォルも整備ドッグのままです!」

 

 「レイテルパラッシュとマイブリスは・・・!?」

 

 「武装の補給が終わり次第、出せるそうですが・・・!」

 

 ・・・八方ふさがりとは正にこのことだ。

 

 「!! 大変です!!」

 

 「今度は何だ!!?」

 

 「先ほど任務を終えたストレイドを回収に向かったヘリが落とされました!!」

 

 「何!? 次から次へと・・・!]

 

 ---短時間で何が起きている!?

 

 アレックスは対応に追われていた。周りの人間も緊急事態で慌ただしくなっている。

 

 「・・・クレイドル21の現在の真下は・・・オールドピースシティだな・・・。」

 

 「ストレイドに行かせるのですか!?」

 

 「それしかない!! すぐにあの女に・・・。」

 

 老人達の喧騒の中、通信音が聞こえた。すぐにアレックスは繋いだ。

 

 「セレン殿! 状況は・・・。」

 

 「把握しています・・・。なぜこのような事態に・・・?」

 

 「油断・・・いや私のミスだ・・・。」

 

 ウィン・Dはクレイドル21にいなかった。そればかりか、事情すら届いていなかったことが明らかになった。

 

 ヴェーロノークは既に帰還していたためつまるところ---クレイドル21にはネクストがいない状況だった。

 

 すぐさま交信を試みたが、繋がることはなかった。

 

 「今クレイドル21がどうなっているのかが分からないが、おそらく・・・。」

 

 「・・・リリアナに占拠された、と考える方が普通ですね。」

 

 「なんということだ・・・。」

 

 「アレックス殿、今からストレイドを向かわせます。」

 

 「!? しかし・・・!」

 

 「それしかないのでしょう? 時間がありません。」

 

 「・・・分かった。本当にすまない・・・。」

 

 「では。」

 

 セレンはそう言うと通信を切った。

 

 ---私は無力だ・・・。

 

 アレックスは頭を抱えた。

 

 「何!? 何だと!?」

 

 「どうした!?」

 

 「オールドピースシティを高速で移動する機影を確認したそうなのですが・・・!」

 

 モニターにその画像が映し出される。超速で動いているため、解像度は低いものの限界までズームアップされていた。

 

 「バカな・・・なぜ・・・あの”守護神”が・・・!?」

 

 

     ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 「グラム!! 準備できてるな!?」

 

 「行くぞ!!」

 

 ストレイドがOBを吹かして上空に向かおうとする、が、

 

 「!? 待て!!」

 

 「何ですか!? 時間が・・・!」

 

 俺はそこまで言って口を止めた。

 

 目の前から何かがこちらに来ている。物凄い速度で近づいてきた。

 

 「あれは・・・VOB!?」

 

 「バカな・・・。」

 

 その機体は背中のVOBをパージすると同時にOBを吹かして突っ込んでくる。

 

 背中からまるで羽が生えたかのように見えるブースター。

 

 全身白色のフレーム。青い複眼のようなアイカメラ。

 

 「ホワイト・・・グリント・・・!?」

 

 「・・・!!来るぞ・・・!!」

 

 ラインアークの守護神、ホワイトグリントはこちらを視認すると同時に両手のライフルを向けて来た。

 

 「こんな時に・・・! そこを、どきやがれえええええええ!!!」

 

 ストレイドはホワイトグリントへと突っ込んで行った。

 

 

                       続く




ということで一足早い登場になりました。

 次回Chapter1終了です。
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