ARMORED CORE for Answer Last <R>   作:かつて世界を目指した

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 小説書くのって難しい上に時間かかると今更気付いた。


第2話

 ・・・気づけば俺は自分の部屋で正座させられていた。そりゃそうだろう。部屋を開けたら俺はいなくて探し回っていたら女を背負いながらふらついていた俺を見つけたのだ---歩かせられた上にいつになく機嫌が悪いのも相まった師匠のお説教は・・・効いた。

 

 「・・・さて・・・言いつけを破った件はこれぐらいで済ませてやるが・・・。で、だ。そこの女はどういうことだ?」

 

 小1時間ほど絞られていた俺の横でもはや空気と化していた俺が背負っていた彼女を指で指しながら師匠は言った。

 

 「あの・・・」ややおびえていた彼女が声を出した。

 

 「彼はただ、私がケガをしていたから助けてくれたので・・・彼に非はあまりないと・・・」

 

 しばらく彼女を見つめていた師匠は、

 

 「・・・今の話は本当か?」

 

 「はい。・・・まぁそんな感じです。すいません・・・」

 

 俺はそう弁明した。というか”弁明”というより白状した感じだった。

 

 「なるほど・・・少し待っていろ」

 

 すると彼女はなにやら端末を取り出してどこかに連絡をし始めた。

 

 「もしもし、・・・ああ私だ。・・・・ああそのことなんだが・・・何?・・・そうか。今すぐ向かうと伝えてくれ。・・・分かった」

 

 彼女は誰と何の話をしているのか俺には全く分からなかった。

 

 ---この女と何か関係あるのか?などと考えている内に通信が終わったようであり、彼女は俺を見ながらこう言った。

 

 「・・・・お前はいつも厄介なことをしでかしてくれる」

 

 「すいません・・・。で、この人はどう---」

 

 「・・・腹筋、腕立て200だ。おい、しっかり測ってやってくれ」

 

 そういって彼女は部屋を出ていった。

 

 ---しばしの沈黙が流れ、彼女が口を開いた。

 

 「・・・えーと・・・。」

 

 「・・・え?いや・・・セレンさん?この人放置するんですかー!?」

 

 俺はこの時まるで状況を理解してはいなかったが、また二人きりにされるのは予想外だった。彼女を連れていくだろうとばかり考えていた。

 

 「・・・とりあえず、やりますか?・・・筋トレ?」

 

 「そうだな・・・」

 

 俺はまるで意味が分からないという感情をごまかすために体を動かすことにした。

 

 

     ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 セレン・ヘイズは困惑していた。彼女は長い廊下を早歩きで歩いている。

 

 あの女は一体何者なのだろうか。・・・分かることは、一つだ。あの女がドッグにいた女なのだろう。事情はともあれ、とにかく連絡をしようとしたのだが・・・。

 

 「ああ、それならもう解決しました。どうやら”勘違い”だったらしいです。」

 

 ---あり得ない。さっきあれ程まで、探していたということは、それなりの数の人が気付いたということだ。それがこんな短時間で”勘違い”と言い切る方が難しい。明らかに不自然過ぎる。

 

 すぐにでも、あの女の素性を聞き出すべきだったかもしれない。だが、私の予測が正しければその必要はないだろう。

 

 むしろ、聞く方が後々マズイことになるかもしれない。・・・あの女は恐らく。

 

 アイツはとんでもないトラブルメーカーだ。

 

 それにこのタイミングで”上”からの依頼だ。詳細はまだ聞かされていないがどうやら護衛の任務らしい。果たしてグラムにできるのか・・・?

 

 明るくなってきた廊下の先に大きなドアが見える。彼女は思案を打ち切ると、ドアへと向かっていった。

 

 

     ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 「197・・・198・・・・199・・・・・・200!!」

 

 回数分の運動をこなすと俺は床に倒れ伏せた。

 

 「お疲れ様です。グラムさん。・・・冷蔵庫から水を持ってきましょうか?」

 

 自分を見下ろしている彼女の少しだけ見えた顔は自分よりもほんの少し年上のように見えた。

 

 「・・・あー・・・いや、流石にそこまでやらせるのは・・・。」

 

 俺は若干ふらつきながら冷蔵庫を開ける。中には簡素なジャンクフードと手ごろなペットボトルに入った水がある。水の入ったペットボトルを掴み彼女の前に座り込む。

 

 「大丈夫ですか?つらそうですけど・・・。」

 

 心配した表情を浮かべながら彼女が聞いてくる。

 

 「何、気にするなよ。・・・そのフード取れば?」

 

 彼女のフードは時間が経っていたせいで隠れていた顔が見え隠れするようになっていた。別段顔に病気を持っているわけではなさそうな割に顔全体がすっぽり収まりそうなフード。・・・今更ながら普通じゃないなと俺は感じた。

 

 「あ・・・!いや、これはですね・・・。」

 

 彼女はフードをまた深くかぶってしまった。

 

 「・・・外したくないなら構わないけど、ここ暑苦しいぞ。無理してまで着ることないだろ・・・あっ。」

 

 彼女の姿を改めてみていると、俺はあることを忘れているのに気が付いた。俺は棚の中から目的の物を漁り始める。

 

 「どうしたんですか・・・?」

 

 「確かここら辺に・・・お、あったあった。」

 

 俺は目的の物---救急箱を取り出すと彼女の横に座った。

 

 「足。ケガしてたろ・・・って膿んできてないか!?」

 

 「え?あ・・・本当ですね。・・・ちょっとだけ痛くなってきました・・・。」

 

 ケガしてからずいぶん時間が経っているせいで傷口が若干黄ばんでいた。細菌感染でもしていたらマズイ---。

 

 「仕方ない・・・。座ってくれ。」

 

 「?・・・はい。」

 

 彼女は怪訝そうな表情を浮かべながら右足を出す。

 

 ---見様見真似だがやるしかないか。

 

 俺は彼女の膝に顔を近づけて---口をつけ膿を吸い出し始めた---。

 

 「---!?グラムさんっ!?」

 

 彼女がいきなり大声をあげながら足を思い切り上げたせいで顔面を強く蹴られた。凄く痛い。

 

 「痛ってえ・・・。いきなりどうしたってんだよ・・・。」

 

 「それはこっちですよ!なにするんですか!?」

 

 「何って・・・口で膿を吸おうとしただけだが・・・。」

 

 「口で・・・。汚いですよ!」

 

 彼女を意図せずに怒らせてしまった俺はどうしていいか分からなくなる。彼女は若干顔が赤くなっている気がした。

 

 「・・・多分やり方はあってる筈なんだが・・・。」

 

 「やり方の問題じゃありません!!」

 

 また怒られた。申し訳ない気分になった俺はのどに違和感を感じた。苦いようなよくわからないものが喉を通っていく。

 

 「あ、やばい。膿飲んじまったかな・・・?まあいいや、包帯巻くから・・・。」

 

 「じ、自分でやります・・・。」

 

 「なんというか・・・スマンかった。」

 

 余談だがこの後俺は彼女に人にそういうことを乱りにしてはいけない、そもそも貴方には恥じらいとか何やら云々と言われ続けた。

 

 ・・・なんで俺また説教されてんだろ。

 

     ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 彼女と話している内に分かったことがいくつかあった。まず、彼女はおそらく俺より少し年上であること。そして---彼女は”クレイドル”についてあまり知らないということ。

 

 「クレイドルって・・・確か偉い人達がいる空飛ぶ家・・・でしたよね!?あそこにいたことがあるんですか!?」

 

 彼女は驚いた声を出した。・・・無理もないか。あそこに行ける人はほんの少数だ。

 

 ”クレイドル”は「リンクス戦争」によりコジマ粒子によって完全汚染された大地から避難するために作られた居住高空プラットホームの呼び名である。

 

 現在クレイドル1から20まで、そして最近21が完成したらしいという情報があった。まあ、原則あそこにネクストを持ち込むことは不可能であるため、こうして1ヶ月ほど前に地上に来たのだが・・・。

 

 そこで俺はふと疑問に思ったことを口にした。

 

 「なあ・・・ここってどこなんだ?」

 

 「ここは・・・多分インテリオル・ユニオンの本社、だと思います。」

 

 「そうか・・・。”カラード”にしては妙に静かだし師匠はいつになく忙しそうだし・・・。ん・・・?」

 

 「そういえば・・・アンタ、インテリオル・ユニオンの人なのか?ここがそうだって知ってるってことは・・・。」

 

 「えっ!?・・・まあ、はい・・・。そういうことだと思います・・・。」

 

 ---自信がないような返事が返ってきた。・・・ますます分からない。

 

 「んじゃあ、質問変えるぞ。・・・何処から来たんだ?」

 

 「・・・・・・。」

 

 「・・・。」

 

 ---聞きにくいことをきいてしまったか。別にそんなに興味があるわけでもなかった為俺は話題を変えることにした。

 

 「まあいいさ。・・・暇だ。暇な時は何かしてることとかあるか?」

 

 「え・・・。あ、はい。少し料理を・・・。」

 

 「お・・・。奇遇だな。俺もだ。」

 

 「・・・。」

 

 「・・・。」

 

 話題終了。頼むから師匠、早く帰ってきてください。

 

     ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 セレンは大きな部屋の中にいた。回りには2,3人秘書らしき人物がいる。

 

 そして、彼女の目の前には、巨大ともいえるスクリーンがあった。そこに映し出されているのは、高そうなデスクに両手を組んでいる一人の男がいた。

 

 その男はセレンの姿を見ると落ち着いた声で話し始めた。

 

 「久しぶり・・・ではないな。つい2時間ほど前に一応会っているな。」

 

 「珍しいですね。貴方ともあろう方が私などを直々によびだすとは、インテリオル・ユニオン総帥、アレックス・ラインヘルツ殿。」

 

 そう、この男は”総帥”・・・つまり文字通りインテリオル・ユニオンにおける最高権力者だ。

 

 無論最高権力者とはいえ好き勝手できるような立場ではないということを本人を含め彼女も把握していた。そして何より------あらゆる権力者の中で、ほぼ唯一と言い切れる「良識」を持った人物ともいわれる男だった。無論彼女も彼に対しては悪い印象はなかった。・・・まあ昔からある程度の”つながり”があったからだろう。

 

 「そんなに改まらないでくれ。私なんぞ・・・。さて、霞・・・いや今はセレン・ヘイズ殿だったな。失敬。」

 

 「大体の事情は聞いています。その詳細からで構いません。おそらく、そちらもいろいろ忙しいでしょう?」

 

 「ああ、全くもってその通りだ・・・。嫌になるな・・・。スマンな、いつも弱音ばかり貴方の前では出てしまう。申し訳ない。」

 

 「・・・・昔とは立場も違うのですから、気になさらず・・・。なぜこんな直々に依頼を?”カラード”に回すことができないということですか?」

 

 「生憎その通りだ。これはわが社において最重要機密だからな。詳細はデータで送信済みだ。」

 

 ---なるほど、レッドバレー突破支援・・・。秘書から渡された資料に暫く目を通して、ある程度流し読みをして再びモニターの彼に向き直った。

 

 「承りました。直ぐに準備に取り掛からせます。」

 

 「ああ。助かる・・・。」

 

 彼は一瞬何かを悩んだようだったが、不意にこんなことを言った。

 

 「すまない。そこの人達、できれば今から2人だけで話をしたい。構わんかね?」

 

 「「了解」」

 

 そういうと、秘書達はドアを開けて外に出ていった。

 

 「・・・・世間話ならまた今度にしていただければありがたいのですが。」

 

 「それも悪くないかもな。・・・だが今回はそうではない。」

 

 口調が変わった。その口調はいつも会談で扱う口調そのものだった。

 

 「貴方に折り入って頼みがある。貴方にしか任せられない。聞いてはくれないだろうか?」

 

 「・・・できることならできるだけお力添えしましょう。何ですか?」

 

 「ああ、少し長くなる。・・・何処から話すべきか---」

 

 

      ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 数分の沈黙を破りドアからノックが聞こえてきた。おそらく・・・

 

 「グラム、起きているか?返事をしろ。」

 

 やはり、セレンさんか。ドアの前まで行って鍵を開けた。そこには片手になにやら資料を持った師匠がいた。

 

 「セレンさん、もしかして”ソレ”・・・。」

 

 「ああそうだ。3日ぶりに依頼だ。今回は護衛任務だ。やれるな?」

 

 「了解!」

 

 ついに依頼が来た。正直待ちわびていたところだったため俺は喜び勇んだ。

 

 「ちなみにどこからの依頼ですか?GA?BFF?」

 

 「インテリオル・ユニオンからだ。・・・失敗は許されんぞ。」

 

 「インテリオル・ユニオン・・・確かに失敗できませんね。」

 

 寝床の提供だけでなく、ネクストの整備にも協力を得ている企業からの依頼をしくじるわけにはいかない。中々のプレッシャーになりそうだ。

 

 「まあ任務までまだ猶予はある。コンディションを整えておけ。後そこの女はお前が面倒みろ。以上だ。」

 

 「任せてくださ・・・。」

 

 ---ん?今この人なんて・・・?

 

 「あのー・・・俺疲れてるかもしれないんで改めて聞きますけど・・・。」

 

 「・・・もう1度だけ言うぞ。”そこの女はお前が面倒を見ろ”・・・理解できたな?」

 

 良かった。幻聴じゃなくて---?

 

 「なにぃ!?」

 

 「なんだ?イヤなのか?随分美人じゃないか。拒む理由はないだろう?・・・・・それとも私の言うことが聞けないのか?」

 

 彼女は満面の笑みを浮かべてこう言った。

 

 ---これ拒否権なんてないやつだ。俺はなんとなく師匠の顔を見て察した。

 

 「・・・できる範囲で、善処します・・・。」

 

 「分かった。お前も中々物分りがよくなってきたじゃないか。」

 

 というか・・・この女の人はそれでいいのか・・・?

 

 俺は後ろにいる彼女に目を向ける。

 

 「あの・・・。」

 

 彼女が声を上げる。その声は少し緊張したものだった。

 

 「どうし・・・”どうされましたか”?」

 

 師匠の似つかわしくない敬語は久々に聞いた。

 

 「もしかして・・・頼まれたんですか・・・?」

 

 「・・・その通りです。」

 

 ---頼まれた!?いったいだれに・・・!?

 

 師匠のいつも皮肉交じりの敬語しか聞かない俺にとってはますますわからない。

 

 「迷惑をかけて申し訳ありません。・・・どうかよろしくお願いします。」

 

 「いや、あのセレンさん?頼まれたって・・・?」

 

 「・・・その分だと自己紹介はまだのようだな。お願いしても構いませんか?」

 

 「はい。---初めまして、サナ・ラインヘルツです。これからよろしくお願いします。」

 

 そう言ってインテリオル・ユニオン最高権力者の娘は満面の笑みを浮かべてお辞儀をした。

 

        

 

                 

                      続く




次回からようやくネクストに乗ります。少し遅れるかもしれませんが、早目に投稿します。
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