ARMORED CORE for Answer Last <R>   作:かつて世界を目指した

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 頭痛いなぁ。


第8話

 「---さて。」

 

 俺は師匠との通信を終えると、一息ついて呟く。

 

 「これからどうするかなぁ・・・。」

 

 「クレイドルの中でも見てきます?」

 

 サナが悪くない提案をしてきた。だが・・・。

 

 「・・・迷ったらヤバイぞ。ここ。」

 

 ・・・昔クレイドルにいた時に、調子に乗って歩き回ったら案の定、道に迷った。さらに、そこから15時間ほど経ってセレンさんに見つけられるまで何も食ってないし飲んでなかった。さらに周りには誰もいない。

 

 体的には問題ないが、精神的につらい。14歳ぐらいの心を折るには十分だった。

 

 「それに・・・いつ”来る”かも分からないしな。」

 

 「・・・そうですね。」

 

 沈黙が流れる。

 

 ・・・とにかく部屋の外にでも行くか。

 

 そう思い部屋の扉に目を向けると---。

 

 「「・・・・・・・・・。」」

 

 扉が少し開いている。それも覗けば中が見れるくらいの隙間が開いていた。

 

 「・・・ちょっと外行ってくる。」

 

 俺は警戒しながらドアに近づく。

 

 サナも、ある程度身構えている。

 

 静かにドアを開けて、外を見る。・・・誰もいないか。

 

 回りにあるのは、清掃用の類があると思われるロッカーとそれに立てかけてあるモップ、ごみ箱。そして---。

 

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

 逆さまの段ボール箱が3つあった。

 

 

      ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 「痛かったぞ!!いきなり蹴るなよ!!」

 

 「人の部屋覗いといて・・・よく言えたもんだな。」

 

 ・・・覗いていた犯人達はあっさり見つかった。それも、段ボール箱に紛れて。

 

 「まあまあ・・・それにしても、いると分かってて蹴るのは駄目でしょう・・・。」

 

 サナが呆れたように言う。

 

 「危険な奴らじゃない保証はなかったからな。」

 

 「・・・それでもやりすぎですよ。他の2人なんて完全におびえきってるじゃないですか。」

 

 部屋の隅に視線を向けると、半泣きの男の子と女の子がいた。視線が合うとすぐに逸らして身を縮こまらせる。

 

 「まるで俺が悪者みたいだな・・・。悪いのはお前らだろう。」

 

 俺が呟くと、サナに腕に包帯を巻かれている、3人の中で一番年長の男の子が口を開いた。

 

 「覗いただけじゃないか!それだけなのにこんな・・・。」

 

 「・・・反省する気なし、か。いいぜ。次は顔面に食らわしてやる。」

 

 「ちょっと!いい加減にしてくださいよグラムさん!」

 

 「あ?元々こいつらの---。」

 

 次の瞬間、堪えきれなくなった2人の泣き声が部屋に響いた。

 

 「!?」

 

 「ああもう!グラムさんのバカ!!」

 

 「・・・もう訳分からん。スマン、後は任せた・・・。」

 

 俺は逃げるように部屋から出て行った。

 

 

      ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 ・・・全く。なんでサナはあいつらには最初から優しいんだ?

 

 俺は迷わない程度にクレイドルの道をぶらぶらしていた。

 

 サナに全部任せてしまったが・・・たぶん問題ないか。

 

 そう考えているうちに、ずいぶん遠いところまで来てしまった。

 

 「これ以上行ったらマズイかな・・・。」

 

 だいぶ歩いた気もするしそろそろ戻るか・・・。

 

 「あの・・・すいません。」

 

 後ろを向いた途端に声が聞こえた。振り向く。

 

 そこにいたのは、薄い色の金髪をショートヘアにした、普通の服を着た女性がいた。

 

 「・・・なんですか?」

 

 「すいません・・・道分かりますか?迷ってしまって・・・。」

 

 「どこに行くんですか?」

 

 「行政区です。少し用があって・・・。」

 

 「それなら---。」

 

 俺は彼女に道を教えた。クレイドルの制御区や行政区の場所は他のクレイドルとも同じである。(迷った後師匠に教え込まされた。)

 

 「ありがとうございます。では・・・。」

 

 彼女は礼を言って俺と逆方向の道を行こうとする。

 

 俺も戻ろうとした時、不意に彼女がこんなことを聞いてきた。

 

 「あの・・・知っていたらで構いませんが・・・。」

 

 「?」

 

 彼女は続けてこう言った。

 

 「・・・霞スミカ・・・って言う人を知りませんか?」

 

 「・・・知りません。」

 

 「・・・そうですか・・・。すいません。忘れてください。」

 

 そう言って彼女は反対側の通路に入って見えなくなった。

 

 「”霞スミカ”・・・。」

 

 誰のことだろう。・・・まあいいか。

 

 俺は来た道を引き返した。

 

 

      ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 ---夢を見た。

 

 ”あいつ”が私を呼んでいる。顔がおぼろげでよく見えない。

 

 呼ばれるままに歩むと丘に出た。

 

 そこから見える住宅地、草花、空。私はこの時初めて世界が美しいと思った。

 

 そして、一瞬の強い光で目が眩み、再び目を開けると---。

 

 全てが燃えていた。

 

 あらゆるものが焼き尽くされている。家、草花、そして空までもが赤く染まる。

 

 私はその中で、少年を見つけた。

 

 彼の眼は周りの色とよく似た真紅------。

 

 「セレンか?こんなところで何をしてる。」

 

 その言葉とともに目が覚める。

 

 目を開けるとそこは自室ではなく、本社の廊下にある古びた椅子で寝ていたことに気付く。

 

 「お前は・・・。」

 

 そして、先ほどの声は、私の目の前にいる元同期だった。

 

 「スティレット・・・。戻ってきていたのか。」

 

 「ああ・・・。こんなところで寝ている奴がいるもんだから誰かと思えば・・・。」

 

 スティレットは呆れたように言う。

 

 「・・・生憎忙しくてな。事情は聞いているだろう?」

 

 「・・・クレイドルの護衛、か。」

 

 「スティレットさーん?そこにいるんですか?」

 

 廊下の奥から若いような女が近づいてくる。この声は---。

 

 「エイか。スティレットとの共同任務だったのか?」

 

 「はい。テロリストから食料生産施設の防衛を。」

 

 「・・・そのテロリストは・・・。」

 

 私の言葉に合わせるようにスティレットが答えた。

 

 「リリアナ、だ。」

 

 ---やはりか。私の予想は当たっていた。

 

 「・・・奴らが動くのは時間の問題か。」

 

 「・・・私たちもそれに備えて待機だ。安心しろ。お前の弟子一人には重すぎる。」

 

 「そういえば、その弟子はどんな人なんですか?」

 

 エイは興味があるようで、私にそんなことを聞いてきた。

 

 「まあ・・・。生意気だが見込みは遥かにある。悪くないぞ?」

 

 「・・・貴方がそんなに褒めるなんてすごい人なんですね。」

 

 「そうか?・・・昔に比べて私も丸くなったかな・・・。」

 

 「バカなことを言うな。クレイドル1週全力疾走させた奴が・・・。」

 

 「・・・え?」

 

 「それくらいできるものだろう?」

 

 「・・・・・・相変わらずですね。セレンさん。」

 

 エイは苦笑いを浮かべながらそう言った。

 

 

       ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 ---ようやく泣き止んだ。

 

 サナはため息をつく。

 

 あやしている時に名前を聞いたところ、上の年から、ウィル、ローグ、クレア。

 

 彼らが一体なぜここに来たのかというのは・・・。

 

 「”りんくす”っていう人に会いに来たんだ!」

 

 ウィルはそう言った。

 

 「・・・さっきの男の人がそうですよ。」

 

 「「「え!?」」」

 

 3人は驚いた声を出した。

 

 「僕・・・もっと老けてると思ってた・・・。」

 

 ローグが小さな声で言う。

 

 「・・・あの人怖い・・・。」

 

 クレアはまた泣きそうになっている。

 

 「あの人は優しいですよ。・・・ただ突然過ぎただけですから。」

 

 ・・・それにしても。

 

 彼女は一つの疑問を抱いた。それは---。

 

 ・・・なんで彼はあんなに・・・。

 

 確かに、覗いたとはいえ相手は子供。それも聞いたところ、噂でそういう人が来たということを知って興味本位で来ただけ。

 

 それを分かっていてなお、あんな態度をとるなんて・・・。

 

 「サナねーちゃん?どうしたの?」

 

 ウィルが上目でこちらを見ていた。

 

 「いえ。なんでもないですよ。・・・ですけど。」

 

 サナは続けて3人にこう言った。

 

 「彼が帰ってきたら謝ってくださいね。」

 

 「え!?なんで!?」

 

 「何でじゃないです。彼にも非がないとは言い切れませんが、覗いたあなたたちにも責任がないわけじゃないでしょう?」

 

 「・・・うん。」

 

 ウィルが俯きながら返してきた。

 

 「・・・3人でしっかり謝ってください。あの人がそれでも許さなかったら・・・。」

 

 「許さなかったら?」

 

 ローグが聞いてくる。

 

 サナはにこやかな笑みを浮かべながら言った。

 

 「実力行使、です。」

 

 

       ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 「・・・あいつら帰ったかな?」

 

 俺はそう独り言を言いながら、廊下を歩いている。

 

 「・・・油断はできないな。」

 

 ・・・あいつらの素性が分からない以上、警戒するに越したことはない。

 

 その時、ポケットの通信機に着信。

 

 どうやら師匠からのようだ。俺は通信をつなぐ。

 

 「どうも。師匠。そっちはどんな感じですか?」

 

 「まあ、ぼちぼちだ。それより今どこにいる?」

 

 「廊下に。少しトラブルがあって・・・。」

 

 俺は師匠に事情を話した。

 

 「グラム・・・少し聞くが・・・。」

 

 彼女は俺になにやら頭を抱えながら質問してきた。

 

 「?なんです?」

 

 「・・・まさかその子供らに対して暴力やら暴言吐いてないだろうな・・・?」

 

 「・・・。」

 

 「・・・・・・。」

 

 「・・・してない。」

 

 「・・・汗だらけの顔でよく言うな、このバカが・・・。」

 

 セレンさんは呆れたような言葉を漏らした。

 

 「・・・まずかったですか?」

 

 「非常にマズイ。」

 

 「・・・だって・・・。」

 

 「だってもこうもない。・・・しつけなかった私が悪いな・・・。」

 

 「・・・すいません。」

 

 「いや、お前に非はない。・・・お前の事情は知っていたのにな・・・。」

 

 「・・・・・・。」

 

 「おそらく、サナならうまいことやってくれているはずだ。とにかく部屋に戻れ。」

 

 「了解。」

 

 話をしている内に、部屋の前についた。

 

 ・・・また泣かれたらたまったもんじゃないな。

 

 そう思いながら部屋を開けると---。

 

 「「「ごめんなさい!!」」」

 

 3人の子供が頭を下げていた。

 

 「・・・・・・。」

 

 どう反応していいのか分からないでいると、サナがこう言った。

 

 「この子達に悪意はないみたいです。・・・許してあげてくれませんか?」

 

 「・・・とにかく・・・。」

 

 俺は3人に向けてこう言った。

 

 「・・・時間もちょうどだ。飯食ってけ。」

 

 

      ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 2人でいつもより3人前多く料理を作った。

 

 3人は、小さい割に結構食っていた。・・・多めに作って良かった。

 

 「・・・悪いな。いろいろ大変だったろ。」

 

 「ええ、まあ・・・。それより彼らのこと許してくれたんですね。」

 

 「・・・泣かせ過ぎたからな。」

 

 そう言っている内に、彼らもそろそろ戻る時間になった。

 

 「ねえ・・・兄ちゃん。」

 

 ウィルが俺に話しかけて来た。

 

 「・・・なんだ?」

 

 「また来ていい?」

 

 「・・・・・・もう覗かないならいいぞ。」

 

 「「「やった!ありがとう!!」」」

 

 そう言って3人は帰って行った。

 

 「さてと・・・。」

 

 「あの・・・グラムさん。少し・・・。」

 

 サナがそこまで言った時、端末からセレンさんの声が聞こえた。

 

 「グラム・・・どうする?」

 

 「・・・問題ないでしょう。教えても。」

 

 「ああ。そうだな・・・。」

 

 「?・・・いったい何の話ですか?」

 

 セレンさんは、サナに向けてこう言った。

 

 「・・・できればこの事は口外しないでくれ。・・・。」

 

 セレンは一度区切ってから言った。

 

 「グラムは------私と会う以前の記憶がないんだ。」

 

 

                         続く

 

 




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