魔法少女リリカルなのはstrikers――六課の鷹―― 作:マジフジ
オリキャラ無双気味ではありますが、完結まで頑張る一存です。
Ⅰ
ティアナが撃墜した昼の模擬戦からおよそ九時間が経過したその日の夜、ホークはなのはを探していた。ティアナとコミュニケーションを円滑にして、しこりを無くすという重要な部分を放置してしまったのか。自分もティアナと話してしこりを解消させろと言う声を何故無視したのか。納得できず悶々と、彼の頭の中で駆け巡っていた。
「ホーク……」
声をかけられると、そこにはフェイトがいた。彼女は心配の感情と怯んだ様な感情をしている。ホークの表面に鷹の様なするどい目つきで睨みつけていて、誰が見ても怒りの感情をしているせいだろう。それを無視してホークは続けた。
何故――話をしなかったのか。分かっていると自分勝手に判断して、互いの心の中で思っていることを伝えずに距離を開いてしまい、最悪の結果になってしまった。上の立つ人間に必要なスキルは何も実力だけが必要なわけじゃない。上司としての義務として、部下のメンタルやモチベーションを管理するのも重要であり、チームの質を上げる為の条件であるとフェイトに説き、彼女は黙ってそれを聞いていた。彼女もまた、未然に防げなかったことに後悔をしていた。ホークの話を黙って聞くと、なのはの所へと到着する。
「なのは?」とフェイトが心配そうに尋ねる。
「フェイトちゃん、ホーク……」
「立ち話では難だ、六課に戻りながら話をした方が良いな」
というホークの提案に賛同して、なのはとフェイト、ホークの三人は六課に戻りながら話をした。
あれから――昼の時から、ティアナは再び意識を取り戻した、と医務官のシャマルから聞いたこと、オフィスにスバルが謝罪しにきて、明日の朝一に謝りに行ったら良いと伝えてしまった事をフェイトがなのはに告げる。
「ありがとう。でも、ごめんね。監督不行き届きで、フェイトちゃんやホーク、ライトニングの二人にまで巻き込んじゃって」
と、なのはが軽くしょんぼりと目を落としながら、自分の犯した失敗を認識しつつ、フェイトとホークに謝罪する。
「ティアナとスバル、どんな感じだった?」
「やっぱり、まだご機嫌斜めだったかな」とフェイトが返すと、なのはは明日の朝にきちんとフォワード陣全員と話す、と言った。
「なのは隊長、フェイト隊長。少し良いか? 勿論、歩きながら話そう」
ホークは口を開いた。確かにティアナは叱責されて当然のことをした上に、最悪フォワード陣全員の機能を停止しかねない程のミスをやらかしたのは庇いようが無かった。あの場面でティアナを叱責するのは当たり前だと言ったが、同時になのはサイドにも問題点があることを指摘する。
それはなのはが教導官として、ティアナに肝心な部分を伝えずに焦らせてしまったことと、上官として部下の監督義務・管理義務を怠った責任を第一に説いた。ティアナ本人とコミュニケーションを取り、無茶している所を注意、共同の目的の意味を教えるなど、ケアが出来た部分がたくさんあるはずだ。肝心な部分が大欠損している、とホークは指摘する。
なのははそれを黙って聞き入れる。けど、言葉に出して、自分の教導の目的や気持ちを伝えなければならなかった。フォワード陣の訓練内容を考えるなど、自分自身の忙しさもあったが、時間を見つけて行うべきだったと後悔する。
「俺は言いたいことは以上です。明日、少なくともティアナ達にこの意図を説明するべきだ」
とホークは、失礼を承知しつつも自分の考えを二人に伝え終える。終わったのを見計らったように、突如、隊舎内に警報と赤いアラート画面が現れた。
警報を聞き、フォワード陣と隊長達はヘリポートに集まり、出撃の準備をしている。ガジェットドローンII型の強化型が複数出現したと、ロングアーチが報告を整理していた。
今回の任務は空戦になるため、なのは、フェイト、ヴィータの三人で出動ということになり、シグナムの指揮の元、フォワード五名は待機の指示を受けてフォワード陣は返事をする、ティアナはワンテンポ遅れてしまって、のだが。
「……ティアナは出動待機から外れとこうか?」
至極当然の判断である。今のティアナは体調も魔力も万全ではなく、心の整理もまだ出来ていないので、とても任務につける状態ではない。ヴィータもなのはに賛成し、ティアナに待機から外れて休養するようにいう。
「言うこと聞かない奴は……使えないってことですか」と、ティアナが反論する。
「自分で言っててわからない?当たり前のことだよ、それ」となのはが返した。
そして、ティアナは悲痛な声でなのはに叫んだ。隊長達の様なエリートでもない、エリオやスバルみたいな才能も、キャロみたいなレアスキルもない自分は、死ぬ気で頑張らないと強くなれないのに、と。
なのはの主張したいこと、ティアナの主張したいこと、両方の立場がホークは理解に努めようとした。しかし、それは正しい部分もあるが誤りの部分がある。そして、緊急任務で一時を争う事態にも関わらず、一番のやってはならない行為に怒りで顔色を変えていたホークがティアナに寄ろうとしていたが、それをシグナムに止められる。そのまま、シグナムがティアナの胸倉を掴みつつ、彼女の頬を加減して殴り、殴られたティアナはその場に倒れた。心配になったスバルはティアナに近寄り、介抱する。
「駄々を捏ねるだけの馬鹿は、付き合ってやるからなまじ付け上がる……ヴァイス、出られるな?」
「ヘリに乗り込んでくれりゃ、すぐにでも!」
と、ヘリの操縦席から答えるヴァイス。それに続くように、フェイトとヴィータも乗り込んだ。
「ティアナ! 思い詰めちゃってるけど、あとでゆっくり話そうね!」
ティアナに声をかけるなのはに、ヴィータが無理矢理ヘリまで引っ張り込む。ハッチが閉まり、ヘリが離陸した。ヘリが離陸したのを見届け、シグナムはティアナを睨みつけつつ、部屋に戻るように指示をするが、スバルが立ち上がってシグナムと向き合った。
「確かに、命令違反は駄目だし、さっきのティアの言い方や、それを止められなかった私も駄目だったと思います。だけど……自分なりに強くなろうとする事や、きつくても何とか頑張ろうとする事って、そんなにいけないんでしょうか!? 自分なりの努力って、そんなにやってはいけない事なんでしょうか!?」
と、スバルが目に涙を溜めて肩を震わせながらティアナの気持ちを代弁した。
シグナムの睨む目が更に強くなる。ホークは庇ってはいけない内容にも関わらず、それでも庇おうとする態度に我慢できなくなったのか、自分の右手の拳を強く握りしめ、その握りしめた手から出血している。その血が地面に落ち、目じりが険しく吊り上げるのがホーク自身も分かっていた。
確かに自分なりの努力は間違っていないし、その努力を守るべきものの為に使うという思いだけは、確かに二人とも間違ってなどはいない。ただ、二人の力を付ける為の過程がおかしかっただけなのだ。
彼女達は、なのはを初めとする隊長陣と上司達に何も相談せずに、これまで積み重ねてきた訓練とは全く異なる戦法を行った。スバルは、自分の大事なパートナーであるティアナの魔法が優秀であることを示したかった、隊長たちに自分達の実力が向上している所を見せたかった。決して命令違反をしようとなど、考えていなかった。
今回の件――誰も責任が無いわけでもない。ティアナとスバルには隊長陣の配慮を分かってやれなかった責任、隊長陣は彼女達と話さなかった責任、そしてホークにはその両方の落ち度に気付いていながら、今回の一件を防ぎきれなかった責任。それを彼が口に出そうしていた時だった。
「自主練は良い事だし、強くなろうとするのも良い事だと思うよ」
と、シャリオが言いながらシグナムが何かを伝える前に、やって来た。リイン総長がメインオペレートを務めているから、大丈夫と言われたからだろう。彼女がここに来た理由だが、全員があまりにも不器用だった故に、見ていられずここに来たとのことだ。彼女は説明したいことがあるから、ロビーに集まる様にフォワード達に指示をした。
Ⅱ
ロビーに於いてフォワード達に混じり、なのはの過去を聞くことになったフォワード陣の五名。シャーリーとシグナムにシャマルを加えた面々から聞かされた話、見た映像は高町なのはの少女時代の映像、それも小学生と間違いなく断言できる年齢のなのはの姿。
彼女は半ば巻き込まれる形で魔法を知り、生死に関わるような実戦を繰り返しいた。映像の中には、なのはがフェイトに目掛けて砲撃魔法を打つ場面、ヴォルケンリッターの面々がなのは、フェイトと戦う姿。そして、最後に――度重なる事件で繰り返し酷使してきたツケが原因で、任務中に僅かな判断ミスをして再起不能になりかねない程の大怪我を負い、病院のベッドに横たわり呼吸器を付けられている姿。その映像を見終えたフォワード陣は、悲しみと驚きの表情であった。シャマルが悲しげな表情を浮かべながら、飛べなくなる恐怖は愚か、立って歩くことさえ出来なくなるかもしれない恐怖がどれほどの物だったか、と呟く。
「無茶をしても、命をかけても譲れぬ戦いの場は確かにある……だが、お前がミスショットをしたあの場面は自分の仲間の安全や命を賭けてでも、どうしても撃たねばならない状況だったか?」とシグナムはティアナに問いかけた。
ティアナは鮮明に覚えている。自分自身の無茶な射撃、周りに嫉妬して焦燥感に駆られて自分の実力に見合った行動がとれなかった姿。なのはの過去の映像、シグナムの問いかけに、頭では分かっていても、それを口で答えることが出来なかった。
「なのはさん、皆にさ…自分と同じ思いをさせたくないんだよ。だから無茶なんてしなくてもいいように、絶対絶対……皆が元気に帰ってこられるようにって、本当に丁寧に、一生懸命考えて、教えてくれてるんだよ」とシャーリーが言う。
それから程なくして、ロングアーチから出動したなのは達がガジェットを殲滅したと知らせが入り、ロビーで待機していたフォワード達は解散することになった。ホークはロビーに居残り、残ったシグナムと話している。
「彼女の過去があそこまでだったとは。俺が言うのはおこがましいが、実力と言う面では勿論、精神的にも勝てるはずが無かった」
「知らなかったのか?」
シグナムは冷静な声で言う。勿論、ホークも六課襲撃前になのはの情報は事前に集めていて、ミッドでも有名だから知っていた。いや。それどころか、知らない人間の方がごく僅かだろう。
「いや、大怪我した所までは知っていた。だが、そこまで重傷だったことまでは正直想定していなかった。俺も新しい守るべきものの為に、戦うだけだ」
例えこの身がボロボロになろうとな、そう最後に呟く。それに対して、シグナムは「なるほどな」と返答した。
「だが、俺はまだまだひよっ子だ。その為には、あんたから色々と剣の立ち回りを聞かないとな」
「その言葉、偽りが無いと信じているぞ」
「俺が、シグナムより力を身に着けたその時は、守護騎士のアンタも守るさ」
ホークが真剣な表情をして言うのを見てか、シグナムは、馬鹿者と言う。
「私は誇り高き騎士だ。何が有ろうとも主はやてを、最後の最後まで守り切る。それが私の存在意義だからな。それに守られるなど、もってのほかだ」と答えた。
その頃と同じ頃――ガジェットを全機撃墜して六課に帰還していたなのは、フェイト、ヴィータ、ヴァイスの四人は両手を合わせながら、謝罪していたシャーリーに出迎えられていた。先程、フォワード陣の五名に見せたビデオはどうやら許可を取って無かった様子である。なのはは、軽くムッとしながら人の過去を勝手にバラしてはいけない、と釘を刺した。ヴァイスは「駄目だぜー、口の軽い女はよお」と軽口を叩き、ヴィータからはいずれはバレてしまうことだ、と結論付けた。
Ⅲ
「ティアナ……」
模擬戦での一件、ホテル・アグスタでの一件、自分自身の焦燥感、隊長の配慮を分かっていなかったことなど、様々な出来事に後悔と苦悩をしていたら、彼女は後ろからなのはに声がかけられる。ティアナは自分の不甲斐無さから、なのはとまともに目を合わせることが出来なかった。
なのはは、真っ先にティアナの気持ちを考えていなかったことを謝罪した。言葉に出さなければ伝わらないこと、を思い出しながら。
ティアナは意地を張っていて何も言わなかった上に、自分勝手な行動までして、チームの迷惑をかけていた。ティアナはなのはの気持ちを考えていなかったことを悔いる。そのせいでなのはの思いを裏切り、苦しい思いをさせた。そんな彼女がティアナの心配をしている。
「ティアナは自分のことを凡人で射撃と幻術しかできないって言うけど、それって間違っているよ」となのはがティアナに優しい口調で続ける。
エリオはスピード、キャロは優しい支援魔法。スバルはクロスレンジの爆発力。三人を指揮するティアナは射撃と幻術の魔法で仲間を守り、身に着けた知恵と勇気でどんな状況も切り抜けること、エリオ、キャロ、スバル、ホーク、そしてティアナの五人の誰かが優れていないわけじゃなくて、みんなが優れている――とティアナが気付かなかったことを柔らかい微笑みを浮かべながら、なのははフォワード陣を、いつも見てくれていなければ、理解できてないことを丁寧に教えた。
「一番魅力的なことに気がつかないで、慌てて他のことを無茶してやろうとしたから、昔の自分に重なっちゃった。それで私は話も聞こうとしないで、突き放した……ごめんね」
ティアナは自分も謝罪をしなければならない、と思っていた。しかし、泣きそうにしていたせいか、言葉が思う様に出てこない。
そんなティアナに配慮してか、なのはは「クロスも、もう少ししたら教えようと思っていた」と優しく告げつつ、なのはが彼女のデバイス、クロスミラージュを取る。
「システムリミッター、テストモードリリース」と指示をなのはがする。
クロスミラージュはそれに応答して、テストモードになる。なのはは、デバイスをティアナに返しつつ、モードツーと命令するように指示をした。
掠れた声ながらも、ティアナは命令を下す。「セット、ダガーモード」
彼女が昼間の模擬戦で、なのはに対して使用したダガーブレードの形をした、近接戦の武器へと切り替わった。なのはは、ティアナが執務官希望であることを覚えており、機動六課で力を蓄えた後、将来の個人戦を想定して用意していた物だった。
「けど教えてないことをしたから、ティアナのことも考えないで私怒っちゃった。私の教導地味だから、あんまり成果が出てないように感じて苦しかったんだよね。自分が正しいと思って、ろくに説明もしないでいたから余計不安にさせちゃった。本当にごめんね」
ティアナは我慢することが限界だったのか、目じりに溜めていた涙がぽろぽろと溢れ出して止まらない。そして、何度も謝罪を繰り返した。
自分もなのはの気持ちも考えないで勝手なことをやり、意地を張って、何も相談しようともしなかった。歩み寄ることもしないで、なのはの教導の意味を理解しようともせずに、怒鳴ってしまった。それでも、そんな自分を、なのはは受け止めてくれて、ティアナはなのはの胸の中で泣き続ける。
茂みの向こうでは、ホークを除いたフォワード陣、シャーリー達が、心配そうに見ていたのが見えた。皆が、ティアナのことが心配だったのだ。
そしてその翌朝。フェイトがフォワード陣五人に質問を投げかける。技術が優れて、かつ、華麗で優秀に戦える魔導師をエースと呼ぶことは全員が知っていた。が、その他にも、優秀な魔導師をあらわす呼び名があることを知っているか聞いた。
その言葉に、フォワードの五名は顔を見合わせた。お互いに視線で、そのことを存じているか訴えるが、答えられなかった。そんなフォワード陣の様子に、フェイトは微笑みを浮かべながら、「困難な状況を打破できる、どんな厳しい状況でも突破できる。そういう信頼を持って呼ばれる名前、ストライカー」と言い、快晴で曇り一つも無い空を見上げた。
フェイトはなのはが、訓練を始めて言ったことを思い出す。フォワードの五人が全員、一流のストライカーになれると信じていて、だからこそ厳しい教導を行い、だけど大切に丁寧に育てることを五人に、優しい笑みを浮かべて言った。
「よーっし、今日も頑張っていこう!」とスバルが叫び、「オーッ!」と叫びつつ、エリオとキャロがそれにつられて拳を突き出した。ティアナとホークは、いつものように肩を竦めて、それでも笑っている。しこりが取れたのか、心なしかティアナもなのはも吹っ切れたような表情をしているようにも見えた。
ⅳ
「ちょっと良いか? なのは隊長、フェイト隊長」
ホークはこの日の訓練の後、なのはとフェイトの二人に相談を持ちかけた。今日の模擬戦で、隊長陣だけでなく、フォワード陣にまで露呈した発覚した弱点であり、六課に入隊する前からずっと抱えていた弱点。彼が両手剣モードの時は、シグナムの日頃の厳しい訓練のおかげか、持ち前の豪腕を活かしつつ、スピードが身に着いており、その成果も着実に形として表れていた。しかし、ジェットブーツモードの時の決め手が欠けてしまい、長期戦に陥りやすいという弱点は思う様に克服が出来ていなかったのだ。
事実、彼がジェットブーツモードの時では、他のフォワード陣に比べ、周囲の適応力こそ高いが、捕獲及び殲滅する能力が各段に下回っている。今回の模擬戦でも時間稼ぎ、誘導役でしかホークは活躍できなかった。
「確かにそうだったね。でも、いきなり必殺技なんて無茶だよ」とフェイトが反論する。
「その点もちゃんと考えている。これは今まで俺が封印してきた、と言っても過言では無い誘導制御型の射撃魔法だ。口で説明するよりも、実際に見てもらった方が速い」
そう言って、隊長達も巻き添えを食らうのは危険という理由でバリアジャケットとシールドを展開するように指示を出した。次に、ソーカルに威力調整、誤差修正などと言った細かな指示をして、ホークは両手に魔力を溜める。
「であだだだだだだ!!」
右手から左手から、なのはが普段の訓練で使用しているアクセルシューターよりも数倍大きい魔力弾を連続して打ち出して弾幕を形成する。それが連続的になのはの用意してくれたターゲットへ一斉に襲い掛かった。
ホークが全ての魔力弾を打ち終え、ターゲットを破壊した。凄い威力と弾速だ、となのはとフェイトが驚く。が、同時に彼女達はこの技の欠点を見抜いた。
「……凄い威力だね」
ターゲットが爆発したのを見て、フェイトが呟く。
「高火力、素早い弾速な部分は確かに凄いけど……。問題はコントロールだね」
なのはが言う。確かに、ホークの放った魔力弾は非常に大きなダメージが期待できる技。しかし、コントロールがあまりにもアバウトであり、その魔力弾は周囲にいる自分の味方にも当てかねないものだった。
「封印してきた理由は、上手く制御が出来ないからかな?」となのはが冷静に問う。
「そうだ。上手くコントロールが出来なかったから、ずっと封印してきた。この技は一対一でなら心置きなく使えるが、チームではそうはいかない。それに教導でもこの様な技を一度も使わなかったからな」
自分の弱点をいち早く把握し、分析してその弱点を無くすと言う向上心――それがホークの長所ではある、となのはとフェイトは感心していた。
「この技が実戦で使えるようになれれば、複数に囲まれた状況でも対処が出来る。俺はこれを完璧にマスターできるように、練習がしたい。駄目だろうか?」
オーバーワークにならない程度という条件ではあるが、ティアナもスバルもなのはの組んだ自主練習プランを基に、各自で自主練習を行っている。そして、それはエリオとキャロも同じことだった。ホークも彼らに負けてられない、自身の使える魔法の幅を増やしたほうが色々と戦術も増えて負担も減らせる、そう判断してのことでの申し出だった。
「そういう事なら、分かった。時間はかかるけど、しっかりと組むね」となのはが言う。
「ご協力とご理解を感謝する」とホークが頭を下げて答えた。
「面白いことをしているな」
と、いきなりシグナムが現れ、自身の感想を述べながら三人の元へと歩いて向かった。
「高速、高威力を保ったまま相手へと向かう複数の魔力弾。面白い技じゃないか」
と、シグナムが内心でわくわくしながら言う。
「まだまだ完成系じゃない。今のままだと、シグナムには未完成のままのこの技になってしまうぞ」
「問題は無い」
「問題は無いって……シグナム?」
フェイトが疑問に思いながら、問う。
ホークがそれに対して体を使って止める。フェイトとなのはが彼らの顔を見た時は、既に意識が戦闘のことに行っていたため、止められないことを悟った。
「こいつは今、解禁したばかりだから、課題が山の様にあって、色々検討しなければならない」
「そういう事ならば、私と実践を通してやれば良かろう」
シグナムがレヴァンティンを構えながら言う。それに応える様に、ホークもピョンピョンと軽くステップを踏みながら構えた。
「丁度、ここは訓練場だ。ここで大丈夫だろう。では行くぞ、ネヴィル」
なのはとフェイトの二人は呆れてしまっていた。戦闘狂とも言っても過言では無い、二人のエンジンが入ってしまっては自分達が止めることが出来ないのだから。せめて自分達が出来ることとして、二人は医務室に連絡をしておいた。
・ジェットブーツスタイル(白兵戦スタイル)
攻撃・防御・スピードと全ての面においてバランスが取れたスタイル。全ての距離において万遍なく対処できるが、器用貧乏という感じは否めない。攻撃を捨てて、防御とスピードに意識を高めている。
光線銃…先述通り、魔力消費・殺傷能力が0の青いレーザーを発射。(というか、魔法では無い)
怯まないタイプと怯むタイプの2種類を使う。主に怯まないタイプはダメージ蓄積用、怯むタイプは相手の足止め用に使う。(普段の時もホルスターに入れている)
ホークスラッシュ…幻影を出しつつ、高速の切り裂き攻撃をしながら移動する。距離は短めなので、相手への奇襲で主に使用。移動中は何も出来ないという致命的欠点がある。
リフレクト…装置を起動させ、自分の体を覆う様に円形のバリアを張り、砲撃・射撃魔法を反射するリフレクトモード、打ち消すバニッシュモードの二種類を使い分ける。リフレクトモードは、その魔法は自分の所有権になり、展開直後はダメージを与えられる。バニッシュモードは相手の魔法を打ち消しつつ、相手にダメージを与える。ケースバイケースで前方に蹴り飛ばし、後方に肘打ちして使う。耐性に限りがあるので、何度も使える物ではない
バーニングホーク…少しの間その場で炎を纏い、パワーを溜める。パワーを溜めた後、相手に目掛け、炎を纏った突進攻撃を行う。持続時間がかなり短めなので、奇襲で使う
連続魔力弾…その名の通り魔力を連続発射。一発一発の威力や速度こそ、高めではあるがコントロールに難がある技。現在は一対一専用の最後の切り札。
両手剣スタイル
攻撃と防御を上昇させ、スピードを捨てたスタイル。一発一発の攻撃と耐久面を重く見たスタイル。大ぶりな攻撃が多いゆえに小回りが利きにくい難点を持つ。現在はシグナムとの模擬戦のおかげで、スピードは改善されている。(それでもエリオやスバルらと比べて、攻撃速度が遅く攻撃力が高い)
炎風…周囲に炎を伴う風圧を発生させ、勢いよく相手を前方に吹き飛ばす。フルパワーで放てば、自身もデバイスも多少のダメージを受けてしまうのが難点
反撃…剣を構え、突進してくる相手にカウンターをかます。砲撃・射撃魔法の場合は軌道を変えるだけで終わる。対肉弾戦用であり、相手に倍返しする
突進斬り…力を溜め前方へ猛突進。基本魔法の移動を応用しただけの技、シンプルな直線攻撃だが腕力も相まって「当たれば強い」
烈風…両手剣を高く投げ、その後自分がジャンプでキャッチし、そのまま急降下する。着地後は衝撃波が周囲に発生(範囲は自分の引ける魔法陣程度の大きさ程度だが)
超烈風…所謂、最後の切り札。振り上げた蒼く燃える剣を相手に当て、空高くに打ち上げ、その相手を空中に、左手バインドで拘束しながら、メッタ切りにした後、急降下して地面に叩きつけ大ダメージを与える技。この時、目の前の敵に意識が集中しているので、周囲から攻撃を貰いやすい。