俺たち転生者 蟹魚復権活動中   作:キューマル式

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第09話 蟹と魚、温泉で療養する

「行ったよ、フェイト、なのは!」

 

「早いから気をつけて!」

 

アルフとユーノからの念話を受け、なのはとフェイトは正面へと杖を構えた。

 

「暴走体は2体…」

 

「お互い1体ずつだね、フェイトちゃん」

 

なのはの言葉にフェイトは静かに頷くと、2人は揃って杖を構える。

目標は森の出口。

そして…野良犬を素体にしたジュエルシードの暴走体が森から飛び出す。

その2体に向かってなのはとフェイトから、魔法が放たれた。

 

「ディバイン・バスター!!」

 

「サンダー・スマッシャー!!」

 

なのはが放つ桃色の光線が暴走体を直撃する。

その暴力的な破壊力に、バウンドするように吹き飛ばされ暴走体が制止する。

一方のフェイトの放った電撃も暴走体を直撃、痺れたかのように痙攣すると暴走体は倒れ伏した。

 

「「やったぁ!」」

 

満面の笑顔でハイタッチのなのはとフェイト。

だが…。

 

「グルァ!!」

 

フェイトの倒した暴走体が起き上がり、2人に襲いかかったのだ。

余りの速さになのははおろか、フェイトですら反応できない。

そしてその暴走体が2人の喉笛を狙って飛びかかった瞬間だった。

ガキン、という音と共に、喰らいついた暴走体の鋭い歯が止まる。

 

「はぁい、高級食材の蟹は美味いか、駄犬」

 

2人の前に割り込んだ快人が、腕を暴走体に噛ませていた。

だが聖衣(クロス)を纏っていない快人にも傷一つない。

人の肌など容易く貫くだろう鋭い牙が、どうやっても快人の肌を喰い破れないのだ。

濃密な小宇宙(コスモ)が快人の全身を覆っており、牙から快人を守っている。

 

「ふん!」

 

快人が無造作に腕を払って暴走体を引きはがすと、暴走体は空中で姿勢を整え、着地した。

と、ほぼ同時に、暴走体の身体がゆらゆらと揺れ始める。

そしてコテンと倒れると、そのまま眠ってしまった。

良く見ればその肩に、赤い薔薇が一輪突き刺さっている。

 

「睡眠毒を仕込んだデモンローズ。 いい夢見てくれてるみたいだね」

 

ゆっくりとシュウトが快人たちの方に向かって歩いてくる。

 

「相変わらず、えげつない攻撃だな」

 

「まぁ、毒攻撃こそ魚座(ピスケス)の神髄だからね。 このぐらいはお手の物さ」

 

「違いない。 おい、なのは。ボケッとしてねぇでさっさと封印しろ」

 

「フェイトも早く封印を」

 

兄弟に促され、なのはとフェイトはそれぞれの杖にジュエルシードの封印に成功した。

 

「大丈夫かな、この子」

 

暴走体から元の姿に戻った犬を眺めながら心配そうになのはが言う。

先程なのはのディバインバスターの直撃を受けたやつだ。

 

「駄目だ、終わった。

 破滅の魔獣デスなのラーの大口径収束荷電粒子砲の直撃を喰らったんだ。原型とどめてるだけでも奇跡」

 

「なにその破滅の魔獣デスなのラーって!?

 なのはは大気の魔力を集めて砲撃する収束魔法を使うけど、荷電粒子は集めてないからね!」

 

「何言ってるんだ、供給ファンがコンバーターに変わってる後期型だろお前?

 それにお前のライバルのフェイトは…ほら雷じゃん。

 雷神様ってことで壮絶な相討ちを…」

 

「その理屈だと、フェイトちゃんのバルデッシュにマグネーザーモードとかあるの!?

 それで相手のお腹貫通しちゃうの!?」

 

「まぁ、大怪獣同士、同士討ちしてくれれば平和ということで」

 

「だ・か・ら! なのは怪獣じゃないもん!!」

 

いつも通りのガヤガヤと賑やかな快人となのは。

一方のシュウトとフェイトは2人揃って落ち着いた雰囲気だ。

 

「シュウ、ごめんなさい。 私が仕留め損ねたせいで…」

 

「まぁ油断はいただけないけど、フェイトは大出力魔法はあんまり得意じゃないんでしょ?

 適正の問題、なのはちゃんみたくは出来ないよ。

 それに…頼ってよ。 ボクは何があってもフェイトを助けるためにいるんだからね」

 

「シュウ…」

 

シュウトの笑顔に、フェイトが頬を赤らめた。

 

「…何この雰囲気?」

 

「悪友系と正統系のバカップル2組だね、まるで。

 まったく、所在ないったらないよ」

 

ユーノとアルフは場の雰囲気に入り込むことが出来ず、ため息を付くのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

あれから…なのはとフェイトが出会い、快人とシュウトが戦い合った日からしばらくたっていた。

翌日に行われた話し合いは快人とシュウトの予想通り、というかそれ以上の協力関係の完成ということになった。

それというのも、シュウトからプレシアのジュエルシードの使用目的が病を治すためだと聞かされたからだ。

フェイトは大好きな母の命がかかっていることから、必死になのは達に頭を下げる。

その姿に嘘偽りはなく、そしてそんなものを見て見て見ぬふりができる快人となのはではない。

かくして、なのはは自分からフェイトへの協力を申し出た。

なのはのその姿に感極まったのか、感謝で泣きだすフェイトの手をゆっくりとなのはが握る。

 

「私、高町なのは。 フェイトちゃんは今日から私の友達だよ!」

 

「え? と、友達?」

 

「うん、友達はね、名前を呼び合って『友達だ!』って言えば誰だってなれるんだよ。

 だから言って、フェイトちゃん」

 

「…うん。なのはは私の友達!」

 

「うん!」

 

こんな光景が展開され、なのはとフェイトの2人は同じ魔法少女という仲間であり友達になったのだった。

ユーノも『人助けに使うなら』と寛容な態度を示し、また暴走によって一般人に被害が及ばないように迅速にジュエルシードが回収できる協力関係には賛成だった。

快人とシュウトの兄弟も言うに及ばず、地球の平和や、お互いの幼馴染のために協力を惜しむつもりもない。

こうして協力関係になったこの二組にとって、ジュエルシード集めなどもはや大した苦労ではなかった。

探索範囲の拡大に、より精度の高い捜査。人出が増えたことで出来る事の幅は一気に広がった。

なのはとフェイトも、一緒に訓練することでお互いの実力・連携・そして友情を高めていた。

しかも訓練場所は快人とシュウトの提供した『巨蟹宮』と『双魚宮』。

出会って僅かの時間のはずが、共に過ごす時間が膨大なものに膨れ上がり2人の関係を強固にする。

さらになのはとフェイトには、何があっても『文字通り』光の速さで駆けつける心強い幼馴染たちがいるのだ。

慢心はおろかなことだが、この状況で不安要素を見つける事のほうが難しい。

結果としてジュエルシードはトントン拍子で集まり、現在の所持数は13個。

快人が破壊してしまった1個を抜いて、残り7個である。

事件の終結は、誰が見ても近かった。

 

 

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「フェ、フェイト=テスタロッサです。 よろしくお願いします」

 

「シュウト=ウオズミです。 兄さんがお世話になっています」

 

温泉旅館の前で、シュウトとフェイトは頭を下げていた。

その相手は快人に高町家の面々、そしてアリサにすずかにその家族と、移動はワゴン車数台という規模の人数である。

ここは海鳴市郊外にある温泉施設、海鳴温泉。

今回はなのはたちの温泉旅行だったのだが、なのはの提案でシュウトたちも来れないかという話をしたところ、シュウトたちも乗り気になり、今合流したというところだ。

 

「あたしはアリサ=バニングスよ、あんたのことはなのはから聞いてるわ。

 よろしく、フェイト」

 

「私、月村すずか。 よろしくね、フェイトちゃん」

 

「よ、よろしく」

 

事前に話を聞いていたアリサとすずかは温かくフェイトを迎え入れ、フェイトはそんな新しい友人にまんざらでもない様子だ。

 

「君が快人君の弟か…」

 

「はい、兄がお世話になっています」

 

士郎がシュウトに話しかけると、シュウトは深々と頭を下げる。

 

「ははは、礼儀正しい子だね。 ところで君と快人君は同い年のようだし、見たところ生まれも違いそうだが…」

 

「その辺りは複雑な事情がありまして…あまり聞かないで欲しいというのが本音ですね。

 ただ、ボクが快人兄さんの弟である、というのは一片の偽りも無い事実です」

 

「…わかった、深くは聞かないよ。

 君も何かあったら、いつでも頼って欲しい」

 

「お心遣い、ありがとうございます」

 

「…本当に礼儀正しい子だ」

 

再び深々と頭を下げたシュウトに、士郎は苦笑する。

 

「ねぇ、快人。 あれがあんたの弟なの?

 全然似てないんだけど?」

 

「すっごくしっかりしてる…」

 

それを見ていたアリサとすずかが驚きの声をあげた。

 

「おーい、その言い方だと俺がダメダメみたいに聞こえるぞ」

 

「「「え、違ったの?」」」

 

「…OK、俺にケンカ売ってるんだな、この三バカ娘」

 

思わずハモるなのは・アリサ・すずかに快人は青筋を立てながらポキポキと指を鳴らす。

 

「だって一目瞭然でしょ?」

 

「兄より優れた弟などいやしねぇ!!

 俺のどこが劣ってるんていうんだ!!」

 

「顔」

 

「態度、かな?」

 

「性格なの」

 

ノーウェイトで言葉を返す3人娘。

 

「…お前ら、俺のイメージを言ってみろ!」

 

「ただのバカ」

 

「ムードメーカーで居ると楽しい人…」

 

「困った幼馴染」

 

「ヘイ、兄弟(ブラザー)!

 深刻なイジメにあっている兄を助ける栄誉をくれてやろう!!

 助けろ!!」

 

割と真剣に涙目になりながら快人はシュウトを振り向くが、シュウトはすごくイイ笑顔でこういった。

 

「うん、それ無理」

 

「神は死んだッ!!」

 

決定的なダメージを受けた快人ががくりと膝を付く。

そんな快人を3人娘は見つめていた。

 

「こんなだからバカだって思ってるのよ。 黙ってりゃ、そこそこいい男なのに」

 

「面白い人なんだけど…」

 

何とも言えないアリサとすずかだが、なのはは違うようで困ったように笑いながら言葉を続けた。

 

「でも、優しくていいところもたくさんあるんだよね。

 本当はすごい人なんだって思うし。

 なのはが快人くんをしっかりさせなきゃ、って思うの」

 

なのはがそんな風にもらすと、アリサとすずかは驚愕の表情のまま固まった。

 

「なのは…」

 

「なのはちゃん…」

 

「え、どうしたの2人とも?」

 

「あんた…人生終わったわ」

 

「今の…ドラマとかのヒモの男の人を支える女の人の台詞だよ」

 

「え、えぇぇぇぇ!!」

 

盛大に驚くなのはの肩を、アリサとすずかはポンと叩く。

 

「やっぱ、あんたの将来はあいつの宿主だわ」

 

「苦労するだろうけど頑張って、応援するから」

 

「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

なのはのこの世の終わりのような声が木霊する。

そんななのはを見ながら、自然と笑顔になったフェイトは楽しい旅行になりそうだと思った。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

湯けむりの立ち込める大浴場に、なのは・フェイト・アリサ・すずかの4人とお供のユーノは来ていた。

初めて見る巨大で独特な風呂に、フェイトは驚きを隠せない。

 

「大きなお風呂…」

 

「フェイトちゃんは温泉は来たこと無いの?」

 

「うん。 知識としては知っていたけど、初めて見た」

 

「まぁ、この国は無類の風呂好きだからね」

 

「おっきいだけじゃなくて、色んな種類があるんだよ」

 

そんな話をワイワイしながら、4人はユーノを洗って遊んだり、4人で色んな風呂に入ってみたりと温泉を楽しむ。

 

「ふぅ…いいお湯なの」

 

「私はちょっとのぼせちゃったかも」

 

4人は最終的には露天風呂で、夜空を眺めながら並んで湯船に浸かっていた。

お互いに楽しそうに色々な話をする。

そんなうち、自然と話はシュウトの話になっていた。

 

「フェイトとシュウトってどんな関係なのよ。

 ほら、ちゃっちゃと吐きなさい」

 

アリサがニヤニヤしながらフェイトを肘でつつく。

 

「か、関係って幼馴染だよ!」

 

「とか言って赤くなってるわよ」

 

「これはお風呂のせい!」

 

「それでシュウトくん、趣味とか得意なこととかあるの?」

 

アリサに続いてすずかが尋ねると、フェイトは指折りしながら応えていく。

 

「シュウは料理とガーデニングが得意なんだ。 実家では毎日シュウがご飯作ってくれて、庭で薔薇を育ててた。

 シュウの育てた薔薇で淹れたローズヒップティ、凄く美味しいの」

 

「へぇ…顔よし性格よし、おまけに家事よし。 完璧じゃない」

 

「いいなぁ、私もそのローズヒップティ飲んでみたいな」

 

アリサとすずかはうんうんと頷く。

フェイトとしても幼馴染を褒められて悪い気はしなかった。

そんな時、アリサが何か思いついたのかイイ顔で言う。

 

「ねぇフェイト、シュウトを快人のバカとしばらくトレードしない?」

 

「えぇ!!?」

 

「だって今の話を聞くと、すっごく執事とか似合いそうじゃない。

 だからちょーっと貸してよ。 替わりにあのバカ貸すから」

 

「だ、駄目だよ! そんなの!!

 シュウは物じゃないんだよ」

 

アリサの言葉に、フェイトはぶんぶん首を振って思い切り拒絶を示す。

だが、アリサはなおも食い下がった。

 

「いいじゃない、減るもんじゃないし。 ほら、快人貸すから…」

 

再びフェイトが拒絶の態度を示そうとするが、それより早くなのはが動いた。

 

「そんなのダメなの!!?」

 

「え?」

 

「なのはちゃん?」

 

ちょっとしたおふざけなのに意外ななのはの反応にアリサもすずかもポカンとしている。

 

「シュウトくんはすごいけど、トレードで快人くんを貸すなんて駄目なの!?

 だって快人くんだよ? フェイトちゃんにきっと迷惑かけちゃうから。

 だから…えーと…快人くんはなのはが見張って無いと駄目なの!」

 

途中で自分でも何を言っているのか分からなくなってきたのか、なのはは所々で言葉を詰まらせながら、勢いに任せて言葉を出し切る。

シーンと静まる場に、なのはも少しだけ冷静さを取り戻した。

 

「え、えーと…」

 

そんななのはに、黙ってアリサとすずかはポンと肩に手を置いた。

 

「アンタ、ダメ男に惚れるタイプだっのね」

 

「そういうのって、ありだと思う」

 

「ち、違うの!

 今のは幼馴染として、世間に迷惑を掛けちゃいけないっていう責任から…」

 

「いい、分かってるから。

 なのはがあのバカにベタ惚れだってことは」

 

「苦労するだろうけどお幸せに、なのはちゃん」

 

「ち・が・う・の!!」

 

結局、快人とシュウトをネタにした、なのはとフェイトへのからかいはアリサとすずかが風呂から上がるまで繰り返されたのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

一方その頃、男湯では快人とシュウトも星を眺めながら露天風呂に入っていた。

 

「ふぅ…いい湯だ、それに綺麗な星だな」

 

「本当だね、兄さん」

 

「ふっ、今日は北斗七星のそばの小さな星まで見えるぜ!」

 

「兄さん、それ死ぬから! 見えちゃいけない星だから!!」

 

「ちなみに、古代エジプトの兵士は目がいいことが条件で、皆それが見えなきゃなれなかったらしいぞ」

 

「あー、だから滅亡したんだ」

 

そんなどうでもいいことにシュウトは相槌を打つ。

 

「しかし…お互い色々あったなぁ」

 

「本当だね…」

 

色々と言いつくせない思いを込めて2人は吐き出す。

 

「死んで、生まれ変わって…今じゃ黄金聖闘士(ゴールドセイント)の一人だと。

 人生何があるか分からないもんだな」

 

「それは同感。 特にボクは魔法の栄えたミッドチルダ出身だからね」

 

「おお、そうだ。 その話聞かせてくれよ。 面白そうだ」

 

頷いてシュウトは自分の生まれ育ったミッドチルダの話をする。

変わりに快人が話すのは何気ない地球の話だった。

 

「いやぁ…まさかこっちじゃ、あの漫画が打ち切られていないなんてどんな世界だよ」

 

「あの続き…そうなる予定だったんだ…」

 

そんな風に2人が一しきり笑い合った後だ。

 

「なぁ、シュウト…俺たちが生まれ変わる時の、女神との会話覚えてるか?」

 

「…忘れるわけ無いじゃないか。 しっかり覚えてるよ」

 

真面目な快人に、シュウトも神妙な顔で頷く。

 

「俺たちは世界を揺るがす大事件に関わる『運命』を背負ってる。

 この一連のジュエルシードの事件がそうなんだろう。

 でも…これ、ホントにそんなに大事件なのか?」

 

「確かに」

 

快人は疑問を口にすると、シュウトも同意する。

自分たちの協力があったとはいえ、あまりに順調過ぎて大事件という気がしないのだ。

だが…だからこそ、快人とシュウトはある一つのファクターが気になった。

 

「フェイトの母親…プレシアだかの願いって、本当に不治の病を治すことか?」

 

快人はその疑問を口にする。

この事件が本当にとんでもない事件になるとしたら、それしかトリガーとなりえるものが無いからだ。

 

「口ではそう言ってたけど、正直に言ってボクも違うと思ってる。

 それに…実はプレシアの私室から僅かな小宇宙(コスモ)を感じたんだ。

 あの場所には、ボクたちの知らない何かが『いる』」

 

「おいおい、実は世界征服を狙う悪の科学者で、生物兵器でも作ってるんじゃねぇだろうな?」

 

「それは無い…と言いたいけど、プレシアの研究内容を全く知らないから何ともいえないよ」

 

その言葉に、快人とシュウトは最悪の事態を想定して押し黙る。

それはプレシアが悪である場合。

この世界を消し去ろうなど危険なことを考えているなら、どうあっても止めなければならない。

だが、そうなればフェイトは母を守ろうと傷つく道を選ぶだろう。

シュウトはそれが許容できない。

そして、快人もそんな道は御免だった。

 

「可愛い弟の彼女だ。 多少メンドくせぇが、もしもの時は助けてやらないとな」

 

「彼女じゃないよ、幼馴染さ。

 それにそっちこそ、なのはちゃんはこれからも友達が危なくなれば火薬庫だろうと飛び込む性格だよ。

 面倒ごとをわんさか持ってくるだろうけど?」

 

「あいつはいいんだよ、俺にいくら面倒持ってきても。

むしろそんな時俺に頼らなかったらマジで怒る」

 

「幼馴染想いだね、兄さんは」

 

「お前こそな」

 

再び空を見上げる2人。

すると…。

 

「「!?」」

 

奇妙な小宇宙(コスモ)の揺らぎ。

そして遠くでなのはとフェイトの小宇宙(コスモ)が揺らぐのが分かる。

これは間違いなく、近距離にジュエルシードがあるのだろう。

 

「やれやれ、温泉でまで出るとは無粋だな」

 

「石ころに空気を読めっていうのは難易度高いんじゃないの?」

 

お互いに苦笑すると湯船から上がった2人は聖衣《クロス》を呼び出した。

 

「蟹座聖衣(キャンサークロス)!!」

 

「魚座聖衣(ピスケスクロス)!!」

 

光が引くと、そこには黄金聖衣(ゴールドクロス)を纏った2人。

 

「あー、全裸に聖衣(クロス)はやっぱ駄目だ。隙間風が普通に寒い。

 湯冷めする前に、速攻で片づけるぞ」

 

「同感だね、兄さん」

 

快人の言葉にシュウトが頷き、2人が空へと跳躍する。

そんな2人に白と黒の影が追い付く。

この夜、ジュエルシードの1つは稀に見る速度で回収された。

残りのジュエルシードは、あと6個…この演目の終幕は近い。




全裸で聖衣、ダメぜったい!
あれが許されるのは双子座だけです。
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