俺たち転生者 蟹魚復権活動中   作:キューマル式

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第11話 蟹、『死』を語る

5人と1匹の前には、荒れ狂う海原。

空は稲妻が走り、海面には6本の竜巻が荒れ狂う。

そしてその6本の竜巻の中心にはジュエルシードが輝いていた。

 

「しかし、まぁ、凄い光景だな」

 

「本当だね。 海洋パニックムービーみたいな光景だよ」

 

快人とシュウトは軽口を叩き合うが、他の4人はそうもいかない。

何と言っても渦巻く魔力の量が尋常ではない。

だが兄弟は笑って返す。

 

「なぁに、心配すんな。 あんな程度俺たちでどうとでもなる」

 

「フェイトとなのはちゃんは封印に集中して」

 

そう言って快人とシュウトは聖衣(クロス)を装着した。

 

「さぁて、いっちょやるか」

 

「退屈はさせてくれそうにないしね」

 

そう言って2人は空を駆けあがり、向かってくる無数の稲妻を叩き落としていく。

稲妻は一つたりともなのはたちには届かない。

 

「そうだったね。 私たちには心強い味方がいるんだった。

 こんなジュエルシードくらい訳無いもんね!!」

 

「うん。 2人を信じて私たちは私たちのすべきことを!!」

 

なのはとフェイトが竜巻を見据える。

 

「いくよユーノ!」

 

「わかってるよ!」

 

「「チェーンバインド!!」」

 

アルフとユーノの拘束魔法によって、6本の竜巻が束ねられる。

 

「やりな、2人とも!!」

 

アルフの声に頷くと、なのはとフェイトは最大まで集中させた魔法を解き放つ。

 

「ディバイン・バスター!!」

 

「サンダー・スマッシャー!!」

 

2人の魔法が正確にジュエルシードを貫いた。

荒れ狂う海はその姿を変え、雲の切れ目から日が差し込む。

 

「やったね、フェイトちゃん!」

 

「うん! これで母さんが助かる!」

 

最後の6個のジュエルシードを回収し、お互いにハイタッチするなのはとフェイト。

地球に散ったすべてのジュエルシードは回収され、なのはたちは事件の解決を思った。

だが快人とシュウトだけは、これこそが本当の始まりだと確信していた…。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「ここが時の庭園だよ」

 

「ほぇぇぇ…ここがフェイトちゃんの家? まるでお城みたい!」

 

フェイトの案内に、なのはは物珍しそうな声をあげる。

ジュエルシードの回収も終わった週末、快人・シュウト・なのは・フェイト・アルフ・ユーノはプレシアへとジュエルシードを届けるため、時の庭園へとやって来ていた。

目的を達したフェイトは始終笑顔だ。同性の友達を家に招く機会も初めてで、今日のフェイトのテンションは異常に高い。

なのはも見たことのない光景に好奇心が刺激されっぱなしで、こちらもテンションは高かった。

だが、快人とシュウトだけは違う。2人は不気味なほどに静かだった。

あたかも敵地に乗り込んだ戦士のように。

 

「それじゃ、早速母さんにジュエルシードを渡して来るね」

 

そう言ってフェイトは奥へと入っていこうとするが、シュウトがその手を取った。

 

「シュウ?」

 

「フェイト…プレシアさんにジュエルシードを渡すのはボクと兄さんに任せてくれないかな?」

 

「え? シュウと快人が?」

 

フェイトは訳が分からないといった感じだ。他の皆も大なり小なり同じように思っていることが雰囲気で分かる。

 

「プレシアさん、フェイトにあまり近付かなかったでしょ?

 あれはきっと、フェイトに病気をうつさないためだと思うんだ。

 ここでフェイトが行って病気になったら本末転倒だよ。

 でも、ボクと兄さんのような聖闘士(セイント)にはそういうのにも耐性があるんだ」

 

そのシュウトの言葉に相槌を打つ快人。

 

「そうなの、快人くん?」

 

「おう! 俺が風邪ひいたことなんて無いだろ?」

 

「えっ、それバカだからじゃなかったの?」

 

「…はぁい、ほっぺ伸び伸びしましょうね!」

 

「いはいいはいいはいの!!」

 

快人となのはのじゃれあいをシュウトは無視すると続ける。

 

「そういう訳だから、ボクの薔薇園で皆で待っててよ。

 まずはボクと兄さんで話をしてくるから」

 

「…分かった。 シュウ、待ってるからね」

 

フェイトは言いたいことはありそうながらも、言われた通りになのはとユーノを連れて薔薇園の方へと歩いていく。

アルフもシュウトを一睨みすると、フェイトたちに着いていった。

 

「今のアルフ、すげぇ目だったぞ。

 完全に『何手柄独り占めしようとしてるんだテメェ?』って顔だった」

 

「実際そう思われただろうし、仕方ないさ」

 

快人の言葉に、シュウトは肩を竦めて返した。

 

「それじゃ行こうか、兄さん」

 

「鬼が出るか蛇が出るか…」

 

2人はゆっくりと歩き出す。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

重厚なドアの一室を、快人とシュウトは躊躇することなく開け放つ。

 

「…相変わらずの礼儀知らずね。 おまけにそれが一人増えているみたい」

 

「どうも、シュウトの兄の蟹名快人でーす。 おばさんがプレシア=テスタロッサでいいのかな?」

 

「兄、ね…無礼なのも納得だわ」

 

嘆息まじりのプレシアの声を無視して、兄弟は話を進めることにした。

 

「プレシアさん、あなたの言われたジュエルシード集めは終わりました。

 1つは回収不能ですが、この通りフェイトの頑張りで20個のジュエルシードを集められましたよ」

 

それを見せるとプレシアの目の色が変わる。

 

「良くやったわ、それをよこしなさい!」

 

「いえ、それはボクたちの質問に答えてもらったらにします。

 プレシアさん、あなたはジュエルシードを集めて何をしようとしてるんですか?」

 

「言ったはずよ、私の病を治すとね」

 

その言葉にシュウトは首を振る。

 

「嘘ですね。 不治の病を治すだけなら、ジュエルシードは20も必要無い。

 1~2個あれば十分すぎる。 それだけ回収して持ってこさせればいい。

 それなのにあなたは大量のジュエルシードを欲した…。

 あなたは自分の病以外のことにジュエルシードを使おうとしてますね」

 

確信を込めたその言葉に、プレシアは答えず杖を握りしめ敵意を露わにしていく。

 

「あなたに余計なことは言う気は無いわ!

 早くそれを寄こしなさい! さもないと…」

 

プレシアの周囲に、電撃が集まっていく。完全に戦闘の態勢になったプレシア。

その時、快人が前に出てプレシアに言ったのだ。

 

「で、あんたの目的はその後ろにある『死体』に関係あるのかい?」

 

その言葉に、プレシアもシュウトも動きを止めた。

 

「兄さん、『死体』って…」

 

そんなシュウトに、快人は真面目な顔で頷く。

 

「シュウト、お前は奥からのあれを漠然と小宇宙(コスモ)として感じただけだろうが、俺ら蟹座(キャンサー)の黄金聖闘士(ゴールドセイント)には分かる。

 あれは人の魂、しかも供養されること無く、惑っている魂だ。

 その元は…あの奥にある!」

 

「「!?」」

 

その言葉と共に快人は拳を振るった。衝撃波が隠し扉を破壊し、煙が舞う。

 

「アリシア!!」

 

プレシアが何事かを叫んで煙の中に飛び込んでいった。

快人とシュウトもそれを追って隠し扉をくぐった。

そこには…。

 

「こ、これは!?」

 

「…」

 

シュウトは驚きに目を見張り、快人は無言だった。

2人の目の前では、巨大なカプセルに縋りつくプレシアの姿があった。

そしてそのカプセルの中には、フェイトに瓜二つの、5歳くらいの少女が液体にぷかぷかと浮いている。

 

「これは…フェイト?」

 

「フェイト? この子をあんな出来損ないと一緒にしないで!

 あんな見た目だけアリシアとそっくりなだけの、ただの人形に!」

 

「人形? フェイトが…人形だって!?」

 

「そうよ。

せっかくアリシアの記憶をあげたのに、見た目だけしか似ていないお人形よ!」

 

その言葉に、シュウトの拳が震え、それを振りあげようとする。

すると、シュウトの拳を快人が掴んで止めた。

 

「…今の話を聞いてると、フェイトの正体はその子の記憶を写されたその子のクローンか?」

 

「ええ。

 私の研究、人工生命の精製と死者蘇生のための研究、プロジェクトFATEの成果。

 でも今の技術では死者蘇生はどうやっても不可能。

 だからジュエルシードの力で私たちは旅立つのよ、アルハザードに!!

 そして私は全てを取り戻す!!」

 

感極まったように言うプレシアを見つめながら、快人は知らない単語についてシュウトに尋ねた。

 

「…シュウト、アルハザードってのはなんだ?」

 

「次元の狭間にあるっていう、あらゆる秘術が眠るって言われる伝説の地…早い話がおとぎ話に出てくる宝島のことさ」

 

「成程…行き詰っておとぎ話に縋ったってわけか…。

 く、くく…ははははははははは!!!」

 

そこまで快人は理解したように呟くと、突然快人は笑いだした。

 

「何を笑うの!?」

 

「これが笑わずにいられるかよ! 無知ってのはすごいな、おい!」

 

激昂するプレシアを前に、快人の大笑いだけが木霊する。

そして…笑い終えた快人の雰囲気が変わった。

 

「「!!?」」

 

薄く笑っている快人からの不気味な気配に、プレシアは当然として、シュウトですら声が出ない。

そんな中、快人は静かに話し始める。

 

「プレシアさんよ、悲しいことにあんたは『死』を知らなすぎる…。

 人は死ぬとな、暗い坂を大きな穴めがけて歩いていくんだ。

 ゆっくりゆっくり…そしてその穴に飛び込んでいく。

 それが…『死』だ。

 その『死』は、どんな技術も、魔法も、小宇宙(コスモ)だって覆せない。

 もし覆されるときは…それは邪悪なる神々のおもちゃにされた時だ」

 

その快人に、いつものお茶らけた雰囲気は無い。その雰囲気に、誰もが呑まれる。

快人の口は薄く笑ってはいるが、その目は遠く、どこかの何かを思いだしているような虚ろな目だった。

 

「『命も幸せも塵芥』…でも、だからこそ、そんな儚いもんを誰もが必死に精一杯輝かせて生きてるんだ。

 あんたのやろうとしてるのは、そのアリシアって娘の、生きた輝きを無駄にする行為。

 あんただって実は冷静な部分では気付いてるんだろ?

どんな技術でも死者蘇生なんて夢物語が出来るはず無い、って…」

 

「…」

 

図星なのか、プレシアは押し黙る。しばらくの間、沈黙がその場を支配した。

そして、プレシアの絞り出すように言葉を発する。

 

「確かに、どこにも死者蘇生の技術なんてないのかもしれない。

 それでも…夢物語でも、もう私にはそれに縋るしかない!

 それしか、私には何も残っていないのよ!!」

 

そう言ってプレシアは杖を構える。

そんな姿を見て、快人はため息をついた。

 

「俺たちじゃ説得は無理か…。 仕方ない…」

 

シュウトは、快人がスゥっと掲げた手に小宇宙(コスモ)が集中していくのを感じた。

シュウトは咄嗟にプレシアに攻撃を仕掛けるのかとギョッとしたが、それは違った。

快人の小宇宙(コスモ)が光を放ち、その光が集まっていく。

そしてその光はしっかりとした輪郭を伴い、人の形となっていった。

その姿に、プレシアは驚愕の表情で杖を取り落とす。

その姿は…。

 

「アリ…シア?」

 

「ママ? 私が見えるの?」

 

プレシアも、そしてアリシアも信じられないといった感じで呆然とする。

 

「兄さん、これは?」

 

「俺の小宇宙(コスモ)で漂っていた魂を明確化・視認化できるようにした。

 俺たちじゃ説得できそうにないから、説得をお願いしようと思ってな」

 

そう言って快人は肩を竦める。

 

「アリシア…アリシア!!」

 

夢にまで見た娘の姿に、プレシアはアリシアを抱きしめようと駆け寄る。

だがアリシアからの返答は…。

 

バシン!

 

「アリ…シア?」

 

叩かれた頬をプレシアは呆然と押さえる。

アリシアからの返答は小さな怒りに燃える瞳と、その手から繰り出されたビンタだった。

 

「アリシア、どうして…?」

 

「ママ、私ね、すっごく怒ってるんだよ!」

 

5歳ほどのアリシアは、その身に合わない怒気を纏いプレシアに対峙する。

 

「私を生き返らせようと違法研究に手を出して、今度はロストロギアのジュエルシードまで手を出そうとして!

 もし本当にアルハザードへ行くためにジュエルシードを使ったら、いくつもの次元世界が跡形もなく無くなっちゃうことは知ってるはずだよ!!」

 

「待ってアリシア! 全てはあなたのために!愛しいあなたのために…!!」

 

「私のために犯罪をやりました、って言うの?

 そんな押しつけがましいママの愛なんていらないよ!

 そんな風に数えきれない人を犠牲にしてまで、私は生き返りたくなんかないよ!!」

 

「アリ…シア」

 

今までの自分の行動全てを、自分の目的である娘に否定されプレシアは膝をついた。

それでもアリシアは止まらない。

 

「そして何より私が許せないのは…フェイトを、あんなにママが大好きな私の妹を愛してあげなかったこと!!」

 

「ち、違う。 あの子はあなたを模しただけの…」

 

「そう、フェイトは私とは違う!

 死んだ私とは違って、今、生きてそこにいる私の妹なんだよ!」

 

「違う! 違う!!」

 

アリシアの言葉を、プレシアは耳をふさいでそれを否定した。

そんなプレシアに、快人はゆっくり語りかけた。

 

「プレシアさんよ、あんた…怖かったんだろ?

 フェイトを自分の娘だって認めること、それはアリシアの死を受け入れるってことだ。

 そしてフェイトを愛せば、あんたの中のアリシアの占める重みは減っていく。

 そうやっていつかアリシアのことを忘れるのが怖かったんだ。

 だから死者蘇生なんて夢物語に縋って、アリシアの復活に固執した。

 違うか?」

 

「…」

 

プレシアは何も答えない。それは図らずも肯定を意味していた。

そんなプレシアを快人は笑う。

 

「プレシアさん、あんたはやっぱり『死』には無知だな」

 

「…なんですって」

 

ゆっくりと顔をあげるプレシア。

快人は遠くを眺めるように宙を眺めて、ゆっくり語る。

 

「『死』は何も残さない訳じゃない。

 いや、とても、とても『重い』想いを生きる者に残していく。

 その『重み』はいくら経とうが消えはしない…」

 

「ママ…私はママが大好きだよ。いつか言ったよね、『妹が欲しい』って。

 ママ、そのお願いを叶えてくれてありがとう。

 だからこれは新しいお願い。

 フェイトと…妹と一緒に幸せに生きて、ママ!」

 

アリシアのその『重い』想いはその時、間違い無くプレシアの心に埋め込まれた。

 

「本当に、いいの? あの娘を、フェイトを娘として愛してもいいの?

 それでも…私のアリシアは無くならないの?」

 

「今、あんたの心に届いたソレが答えだろ?」

 

快人の言葉に、プレシアは涙を流しながら自嘲気味に笑いだす。

 

「は、はは…私は…失った何もかもを取り戻せる道が、すぐそばにあったのに…。

 なんて…愚かなの」

 

「まだ間に合いますよ。 フェイトはあなたを母親と慕っている。

 あなたさえ心を開けば…道はそこにある」

 

「そうね、そうなのね…」

 

シュウトの言葉に、プレシアはゆっくりと頷いた。

すると快人は話は終わったとばかりに、シュウトを押して隠し部屋の出口へと向かっていく。

 

「その子…アリシアが今の状態を維持できるのは3時間くらいだ。

 時間が来たら、その子の魂はあるべき場所へ俺が送る。

 そうだな…1時間したらフェイトを連れてくるから、考えを纏めておきな。

 自分の進む道のな」

 

「そうさせてもらうわ。 ありがとう…」

 

「へっ、あんたのためじゃない。 弟の彼女、フェイトのためだ。

 そうじゃなきゃ、ここまで肩入れしないよ」

 

「あの子はいい男を捕まえたのね」

 

「当然、この俺の弟だぞ」

 

そう言って、快人はシュウトを伴って隠し部屋を出ていく。

後にはただ、母と娘だけが残された。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

廊下に出た快人とシュウト。

シュウトは快人に感謝の言葉を述べた。

 

「兄さん、ありがとう。 これでフェイトは上手くいくと思う」

 

「なぁに、ちょっと得意分野だっただけだ。

 『生と死』に関しては、俺ら蟹座(キャンサー)の黄金聖闘士(ゴールドセイント)は嫌というほど思い知るからな。

 こうやって綺麗に纏まるっていうのは嬉しいもんだ」

 

そうやって何でも無い風に伸びをする快人。

 

「でも…少し悔しいな。

 ボクがフェイトを助ける、って意気込んでたのに、全部兄さんのおかげで上手くいくなんて…」

 

「まぁ、それは相性の問題もあったさ。

 それに…実は上手くいった理由はお前のおかげみたいなもんなんだぞ」

 

「え?」

 

快人の予想外の言葉に、シュウトは目を丸くする。

快人は言い聞かせるようにシュウトに語った。

 

「ああやってプレシアが戻ってこれたのは、『引き返せない出来事を起こしていない』っていうところが大きい。

 仮に…プレシアがフェイトに日常的に暴力でも振るっていたとしよう。

 フェイトは最愛の娘に顔だけ似た別人だ、タガが外れれば十分あり得る話だろうよ。

 そうなれば今日の出来事があっても、『あんなことしたのに今さらどの面下げて母親なんて…』ってなって自暴自棄で突っ走る可能性は大だ。

 だが、お前のおかげでそういう『引き返せない出来事』がプレシアとフェイトの間に起こっていない。

 だから、今日すべてが上手くいった。

 すべてはお前がフェイトを守り続けた結果だよ」

 

「でも…」

 

「いいかシュウト、何か起こってからそれを納めるなんてのは誰でもできる。

 本当にすごいのは『起こる前に納める』ことだ。

 シュウト、胸張って自信持て。

 フェイトを救ったのはまぎれもない、お前だ」

 

そう言って背中を叩くと、快人は一人薔薇園へ歩きだした。

その背中を見ながら、シュウトは思う。

 

(兄さん…さすがは兄さんだ)

 

同い年になり、たいして変わらないその背中が大きく見える。

それはきっと、魂がそうだからだろう。

姿が変わり、どんな風に生きても、その兄の姿は魂に焼きついた、自分の自慢の兄のもの。

 

「おー、なのは、戻ったぞ。

 どうだ、俺が居なくて寂しくて泣いていたのだろう?

 正直に言ってもいいんだぞ?

 愛い奴愛い奴」

 

「…なのはの平和が終わったの」

 

「おい、そりゃどういう意味だ?

 俺は慈愛に満ち、『神にもっとも近い』と言われ…るといいなぁと思っている男だ」

 

「小さっ! なんか志が小さすぎるよ!!

 それじゃ『蟹にもっとも近い男』程度になっちゃうよ!」

 

「んだとテメェ!!」

 

いつも通り、快人となのはのじゃれあいを見てシュウトは苦笑する。

 

(やっぱ兄さんには色んな意味で敵わないなぁ)

 

そんな風に思うのだった…。




生と死を見続ける蟹座の結論でした。
次回は一部ボス登場。
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