快人たち4人と
「ほう…やはり我らのことを知っているか?」
「あなたたち
自分の名声のために、邪神に魂を売り渡した愚か者どもってことも含めてね」
シュウトの言葉を、先頭のローブの男は鼻で笑って返す。
「ふん、所詮下らん貴様らには分かるまい。
自らの築き上げた名と功績が、死によって忘れ去られてしまうという恐怖を」
「ああ、確かに俺らにゃわかんねぇな。
まぁ、テメェらが何を考えてようが勝手だがよ…アリサとすずかに手を出したのは許せねぇ…!」
「アリサちゃんを返して!!」
「2人をこんな目にあわせて…私はあなたたちを許さない!」
快人は言葉と共に
だが、そんな快人たちをあざ笑うように、男は小脇に抱えたアリサを見せ付けた。
「いいのか? 今戦いになればこの娘は巻き添えになるな」
「くっ…」
その言葉の正しさに4人は揃って臍を噛む。
確かに、アリサが人質にとられたような今の状態では下手に手出しをすることは出来ないだろう。
おまけにこっちには倒れたすずかもいるのだ。
今ここでの戦いは賢明とは言いがたい。
「それに、心配せずとも遠からず我らはお前たち2人の前に再び現れる。
お前たち2人を殺すためにな」
「…お前らも俺たち2人を殺せって命令されてるのか?」
「理解が早くて助かる。 そういう訳だ、貧弱な
今は我々も準備の段階でな、相まみえるつもりはない」
そう言ってローブの男たちから攻撃的な
すずかを抱える快人と、シュウトが即座に反応し、全員の前で
事実、爆発と同時にローブの5人はアリサを抱えたまま後ろに跳躍する。
「また会おう、
「ちぃ! 待ちやがれ!!」
快人の言葉には答えず、ローブの5人はそのまま空間に溶けるように消えていった。
「い、今のは…?」
「恐らくテレポート…転移魔法みたいなものだ」
なのはの言葉に答えながら快人は苛立たしそうに頭をガリガリ掻く。
「…どうする、兄さん?」
「どうするって、そりゃぁ…」
快人は腕の中の気を失ったすずかを見る。
なのはとフェイトの視線も集中していることを感じた快人はすぐに結論を出した。
「
快人が言葉を紡ぐと同時に光が溢れ、それが収まった時にはその場には誰も残っていなかった…。
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快人たちが消え、誰もいなくなった場所に突如として人影が降り立つ。
それは黄金のマスクを左で小脇に抱え、
「…邪神エリスとはな。
『あの女』…ふざけたことをしてくれる」
少年は吐き捨てると、思考を巡らせる。
だが、どうしようもない。 自分は『あの女』には逆らえないのだ。
邪神エリスが『あの女』の差し金なら邪魔は出来ないし、邪神エリスと
自分は未だ命令で動くことを許されていないため、その目的のために動けない。
だが、邪神エリスと
それに…。
「…ちィ!」
脳裏に横切ったのは倒れたすずかの姿。
それを振り払うように頭を振ると、少年は右手を掲げる。
バチィ!
瞬間、電気がショートするような音と共に、中空の一部分がバチバチと不気味な紫電を纏う。
「…」
それをチラリと見ると、少年は現れた時と同じように無言で闇に溶けるように消えていった…。
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『巨蟹宮』にやってきた4人は、すぐにすずかを横にならせる。
「セージおじいさん、すずかちゃんの様子は!?」
切羽詰まったような顔で、なのははすずかの様子を見ているセージへと詰め寄る。
フェイトも心配そうにセージの言葉を待った。
すると、セージはゆっくり首を振ると静かに語る。
「…魂を邪神エリスに掴まれ、その生命力を吸われている。
このままでは目覚める事は…」
「そんな!?」
セージの答えに、なのはが悲鳴のような声を上げた。
「…シュウ、あの人たちは何者なの? それに邪神エリスって…?」
その言葉に、黙って立っていたシュウトは頷くと説明を始めた。
「『邪神エリス』っていうのは、争いの女神のことなんだ。
地上を絶え間ない争いの渦に巻き込むと言われている、まさに邪神だよ。
神話によれば『邪神エリス』は『黄金のリンゴ』に姿を変えさせられ、永遠に封印されたと言われている」
「『黄金のリンゴ』…あのローブの人が持ってた…」
なのはの呟きに、シュウトは頷いた。
「あの『黄金のリンゴ』は『邪神エリス』の本体そのもの。 その『黄金のリンゴ』に若い瑞々しい女性の生気を吸って、完全復活をしようとしているんだ。
そして…すずかちゃんは生気を吸われた…」
「じゃあ、連れてかれたアリサちゃんも!?」
「…ほぼ間違い無く、邪神復活の生贄として生気を吸われると思う…」
親友たちが邪神の復活の生贄とされていることに、なのはとフェイトは言葉を失っていた。
そんな2人を前に、シュウトは話を続ける。
「そしてあの5人は『邪神エリス』に仕える
「
「そう。 その名の通り、
昔、彼らは全員、その名を知らぬ者がいないほどに強力な
でもその功績も名前も、死と共に人々から忘れ去られることに恐怖した彼らはその魂を『邪神エリス』に売り渡し、死から蘇ったんだ。
それが彼ら…
死から蘇った
彼らのような強力な
すると、それまで壁に背を預け黙って話を聞いていた快人はセージへと問うた。
「じいさん、対策を言ってくれ。
どうすればすずかとアリサを助けられる?」
その言葉に、全員の視線がセージへと集中した。
そんな中、セージの重苦しい言葉が放たれる。
「方法はただ一つ。
その生気が吸いつくされる前に邪神エリスを、『黄金のリンゴ』を壊すしか方法はない」
「…上等。 行くぞ、シュウト!」
「うん!」
そう言って快人とシュウトは連れだって出て行こうとするのを、なのはとフェイトは慌てて止めた。
「待って、2人でどこ行くの!」
「そうだよ、行くなら私たちも行く!」
そう言って着いてこようとするなのはとフェイトを、快人とシュウトは慌てて止めた。
「おいおい、バカ言ってんなよ。
相手は名の知れた
そんな相手の本拠地に殴りこみをかけるんだぞ。 俺とシュウトで行く」
「そうだよ、2人はここで待ってて」
そう言って快人とシュウトは2人を止めようとするが、なのはとフェイトは引き下がらない。
「アリサちゃんもすずかちゃんも大切な友達なの!
その友達のピンチに、黙って待ってるなんて嫌なの!」
「危険は承知だよ。 でも…2人は大切な友達だから、助けたい!」
快人とシュウトは顔を見合わせる。
こうなればこの2人の幼馴染は絶対引かない頑固な性格だということを、快人もシュウトもよく知っていたからだ。
どうしたものか…2人はそんな風に考え、気絶させるという最終手段まで考えだしたころ、それを見ていたセージが口を開く。
「なのは嬢とフェイト嬢を連れて行ってやるがいい…」
「おいおい、じいさん…」
「快人、お前の言いたいことは分かるが彼女たちの目を見てみろ。
あれは戦士の目…友を想い、戦いに赴く者の目だ。
それに彼女たちの力はバカにしたものではないことは知っているだろう?」
それに関しては快人もシュウトも分かっていた。
とはいえ、相手が歴戦の
「戦いの経験は、なのは嬢とフェイト嬢にも必要になる。
なに、いざとなればお前たちで守ればいいのだ。
まさか最強の
「当たり前だ!」
その挑戦的な物言いに快人は即座に答え、セージはほくそ笑む。
「ならば問題はあるまい」
かくして、4人はアリサの救出と、『邪神エリス』の『黄金のリンゴ』を破壊するため出発するのだった。
「…行ったか」
すずかの眠るベッドの隣で、セージは一人呟く。
セージがなのはとフェイトを連れていくように言ったのは、何も2人の想いをくみ取ったり、その覚悟を確かに見て、その成長を信じたからだけではない。
快人とシュウトの2人の成長のためにも、なのはとフェイトの2人の同行は必須だと感じていたからだ。
「運命の一手先を読んでこその教皇よ」
セージがうったこの一手がどのような結果になるのか…それは今の段階では神すら知りえぬことであった…。
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『巨蟹宮』から現世へと戻った4人。時間はあれから3分程度しかたっていない。
快人とシュウトは
「シュウ…どうやってあいつらの居所を探すの?」
「近くに必ず、あの不気味で特徴的な
フェイトがシュウトに問いかけると、シュウトはどこか困ったように答えた。
何故そんなに歯切れが悪い解答なのか疑問に思ったなのはは、小首を傾げながら尋ねる。
「? もしかして何も感じないとか?」
「逆だよ、なのは。 感じすぎて逆に不気味なんだよ」
そう言って快人が睨むのは中空、そこには空間に微妙な綻びがあり微弱な紫電が散っていた。
それはまるで本に挟んだしおりのようにその場所を示している。
その向こうには、あの不気味な
「連中の本拠地は、間違いなくあの空間の向こう側だ。
だが、ここまで分かりやすいとな…」
「罠の可能性が高いってこと?」
「高いどころかほぼ確実だよ」
なのはの言葉に、快人は肩を竦める。
「でも…罠だとしても私たちにはもう時間が無い…」
「…そうだね。
すずかちゃんとアリサちゃんを助けるためには、どれだけ時間が残っているか分からない以上、ボクたちに選択肢はない」
フェイトの言葉に、シュウトも深く頷く。
なのはも無言で頷いた。
すでに全員が覚悟を決めていたのだ。罠だと分かっても怖気づくようなことなどない。
「それじゃ突入と行こう。 だが、その前に…なのは、ちょっと来い!」
「フェイト、ちょっとこっち来て」
そう言って快人とシュウトはお互いの幼馴染に、保険として『あること』を行う。
それが終わると、快人は全員に向き直った。
「なのは、フェイト。 準備はいいか?」
「いつでもOKなの!」
「私も準備は出来てるから」
2人の言葉に快人とシュウトが頷くと、
そして、それを空間の綻びへと放った。
バリン!
まるでガラスが割れるような音がして、中空にぽっかりと穴が開く。
「さて…亡霊どもの住処にカチコミと行こうか!」
「2人とも、絶対にはぐれないでね。
もしボクたちとはぐれそうになっても、2人は必ず一緒にいるんだ。
決して1人にはならないで!」
快人は宙に吠え、シュウトはなのはとフェイトに最後の注意を言うと、穴の中へと飛び込んだ。
「行こう、フェイトちゃん!」
「うん、行こう、なのは!」
2人の魔法少女も深く頷き合うと、手を繋いでその穴へと飛び込んでいった。
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跪く5人の
矛を杖の変わりに持つ、金髪の少女だ。
その少女は面白くなさそうに空を見上げる。
「…ふん、この私の世界にどうやらネズミが入り込んだようね。
あの金色のネズミどもよ」
その言葉に5人の
「まさかこの場所を知られるとは…」
「そんなことは今はどうでもいいわ。 今は…あのネズミたちの始末が先よ」
そう言うと、金髪の少女は矛を宙に掲げる。
そして、その矛から攻撃的な
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奇妙な空間を飛びながら抜けていく快人・シュウト・なのは・フェイトの4人。
だがその最中、快人とシュウトが前方へと鋭い視線を向けた。
「ちィ! やっぱり来やがったか!!」
「攻撃的で巨大な
フェイトもなのはちゃんもボクたちの後ろで衝撃に備えて!!」
快人とシュウトが前に出て、両手を突き出し
そして、それを見計らったかのように衝撃波が4人に襲いかかった。
「「きゃぁぁぁぁ!!」」
快人たちの構える
だが…。
「ヤベェぞ、これ!」
「流される!?」
それはまるで氾濫した川の濁流だ。それをいくらぶ厚かろうが板一枚で防ぐようなことは不可能である。
4人はその濁流にのまれ、流されていく。
「なのはぁ!!」
「フェイトぉぉ!!」
「快人くん!」
「シュウ!!」
快人とシュウトは2人に近付こうとするが、
「クソが! 俺たちをバラバラにしようって魂胆かよ!」
快人はまんまと罠にはまったことに苛立ちの言葉を吐きだした。
~~~~~~~~~~~~~~~
「これで黄金どもはバラバラ。
丁寧に駆除してやりなさい。
ただし…あの小娘たちだけは殺さないように私の元に連れてくるのよ。
この私…『邪神エリス』の贄とするためにね!」
「ははっ!!」
矛を持つ金髪の少女…邪神エリスの言葉に
~~~~~~~~~~~~~~~
「フェイトちゃん、ここは…?」
「うん、恐らく『邪神エリス』の本拠地…」
手を繋いでいたなのはとフェイトは、崩れた古代ギリシア風の神殿が沈んだ水場に一緒に空間から吐き出された。
「辺りにはシュウも快人もいない…。 どこか別の場所に転移したみたい」
「でも…目指す場所はわかるね」
2人の視線の先には、小高い山、そしてその頂上には神殿が建っている。
そこから、2人は禍々しい気配を感じ取っていた。
「あの神殿が邪神エリスの本拠地だね。
恐らく…アリサもあそこに捕らわれている」
「行くよ、フェイトちゃん! 友達を助けに!!
きっとそこに快人くんたちも向かってるはずだから!」
言って、白と黒の魔法少女は超低空飛行でエリスの神殿へと向かい始めた…。
~~~~~~~~~~~~~~~
快人の出た場所は、遺跡と森とが融合してしまったかのような場所だった。
倒れた遺跡の巨石にツタが絡みつき、まるで森が遺跡を飲み込もうとしているように見える。
「まったく…分断して各個撃破っていうのは戦術として正しいさ。
この熱烈歓迎もな」
快人の目の前では、地面と言う地面から現れる骸骨の群れ。
そしてその身に纏うのはボロボロの
「ホント…最高に悪趣味で楽しいこと考えてくれるな、神様ってやつは」
言いながら、快人が拳を振るうと、その拳圧だけで数体の骸骨が消し飛ぶが骸骨たちはすぐに再生を始める。
「無限再生ってか? どうやっても死なないんだから、普通に考えりゃ厄介な相手だ」
快人に一斉に骸骨の群れが飛びかかる。
だが…。
「
快人の一閃した蒼い炎に焼かれ、骸骨たちが粉々に崩れていく。
そして、再生する気配もない。
相手の魂すら焼く煉獄の炎は、骸骨たちを消滅させていく。
「相性が良すぎだな、俺とお前ら」
そう言って快人は獰猛に笑うと、その『
「全員揃って火葬にしてやるぜ!!」
快人の炎が骸骨たちの一団を包み込んだ。
~~~~~~~~~~~~~~~
「ここは…」
シュウトが降り立ったのは神殿の廃墟だった。
無残に崩れた神殿の柱が、折り重なるようにして何本も倒れている。
シュウトはフェイトたちの姿を探し、辺りを見渡したその時。
「!?」
シュウトは大きく後ろに跳んだ。
するとさっきまでシュウトのいた場所に、カカカッという小気味のいい音と共に何かが連続して突き立つ。
そこに突き立っていたのは数本の矢だった。
それをシュウトが認めると、シュウトの視線の先にローブの人影が降り立つ。
「さすがだな、
それでこそ、俺の獲物だ」
そして、その人影はバッと己の纏ったローブを引きはがす。
その下から出てきたのは、紺色の
「俺の名は
狙った獲物は決して外さぬ必殺の矢を持つ死の狩人よ!!」
「
長ったらしい通り名までの丁寧な自己紹介をありがとう。
でも、時間もないんでさっさと潰させてもらうよ…」
そう言って構えをとるシュウトに、あることに気付いた魔矢は眉をひそめた。
「貴様、その
魔矢の言う通り、シュウトの
シュウトの右手は生身の状態である。
その魔矢の言葉に、シュウトは肩を竦めて返した。
「さぁね。 でもあなたくらいはこれで十分すぎる。
それとも、もっとハンデが欲しい?
「舐めるなよ、貧弱な
この
シュウトの言葉に激昂した魔矢が突如として5人に増える。
5人に増えた魔矢のすべてが跳び上がり、そしてその
「ハンティング・アロー・エキスプレス!!」
魔矢の突き出した左手から数え切れない矢が放たれる。
それを5人で同時に放ったのだから、それはもはや矢の雨である。
シュウトに迫る矢の雨。だが、シュウトはその場から動かず、その矢の雨に向かって構えをとる。そしてその矢をその手で弾き始めた。
目にも止まらぬスピードで迫る矢の雨を、シュウトはそれよりも早いスピードで捌いていく。
そして、魔矢が地面へと降り立つと、そこには変わらずに同じ場所に立つシュウトの姿があった。
その姿に魔矢は驚愕の声を上げる。
「俺のハンティング・アロー・エキスプレスをすべて捌ききっただと!?」
そんな魔矢にシュウトは当然のことのように言った。
「
あの程度の矢の雨、捌ききれないはずがないでしょう」
その言葉にしかし、魔矢はニヤリと笑って言う。
「…確かに、俺はお前を甘く見ていた。
だが…お前も俺を甘く見ていたようだな」
「何?」
そしてシュウトが視線を下げてみると、右腕にほんの少しのかすり傷を見つけた。
ツゥっと一滴の血が流れ落ちる。
「
俺の矢は必殺の矢、相手の五感を破壊し死に至らしめる猛毒の矢よ。
かすり傷で十分、貴様はもうすぐ毒に身悶えて死ぬ運命だ!!」
勝利を確信した魔矢が言い放つが、しばらくしてなんの変化もないシュウトに魔矢はその表情を驚愕へと変えた。
「何故だ! 即効性の猛毒なのだぞ!
何故効いてこない!?」
「…
驚愕の表情の魔矢に、シュウトは憐みにも似た表情で静かに語りだす。
「あなたの矢は、フェイトやなのはちゃんには致命傷、兄さんにだってそれなりの効果は発揮できるだろう。
ボク以外ならば、その矢は厄介なものになっていたはずだ。
でも…ボクにはいかなる毒も効かない」
そう、
だが、毒とはその対処法をセットで持ってこそ始めて効果的に使える。
シュウトたち
最強の毒と最強の対毒耐性…この二つが
そんなシュウトにとって、
「ぐ、こんなことが…」
魔矢が一歩下がろうとするが、そのとき違和感に気付いた。
「身体が…動かない!?」
「そう…もう勝負はついている…」
花の香気に魔矢が視線を巡らすと、魔矢の足元にはいつの間にか赤い薔薇が敷き詰められている。
「さっきの攻防の時、すでにデモンローズをあなたの足元に敷き詰めらせて貰った。
デモンローズの毒により、あなたの五感はもはやズタズタだ」
「バカ…な…」
シュウトは赤い薔薇を作りだし
「その薔薇はプレゼントです。
その薔薇を持って元の場所…あの世への葬列に加わるといい!」
そしてシュウトの
「ロイヤルデモンローズ!!」
「うぉぉぉぉぉぉ!!?」
足元から赤い薔薇が竜巻となって魔矢を天空高くに吹き飛ばす。
そして魔矢は頭から地面へと叩きつけられた。
しばらくはビクビクとその身体は痙攣するが、それもすぐに収まる。
「これで1人…急がないと」
快人は1人でも何とかなるだろうが、もしフェイトとなのはが1人だった場合非常に危険だ。
そう思いシュウトは移動を始めようとしたが、シュウトは倒れた魔矢へと振り返る。
「…」
シュウトは何かを考えるように数瞬の間沈黙すると、倒れた魔矢へと近づいた…。
~~~~~~~~~~~~~~~
超低空飛行で飛びながらエリス神殿を目指すなのはとフェイト。
澄んだ湖のような場所に、ところどころから崩れた神殿の柱や建造物が水面から顔を出していた。
その景色はなかなかに見応えのあるものである。
「綺麗な景色だね」
「こんなときで無ければゆっくり見てたいけど…」
そう言い合いながら、なのはとフェイトは並んで飛び続ける。
すると…。
「「!?」」
なのはとフェイトは背筋にゾクリと来る悪寒を味わった。
ほぼ同時に、なのはとフェイトは本能的に左右に分かれる。
ズドォン!
さっきまでなのはとフェイトがいた場所に衝撃波が襲いかかった。
衝撃によって発生した水柱が天高く上る。
巻き上げられた水が豪雨のように降りしきる中、なのはとフェイトは手近な水面から出ている遺跡に着地すると揃って杖を構える。
やがて水柱が収まれば、そこにいたのはローブを纏った人影だった。
「よく避けたな、小娘ども。
褒めてやろう」
「
フェイトの呟きに、なのはのレイジングハートを握りしめる手に力がこもる。
そして、その人影がバッと己の纏ったローブを引きはがす。
その下から出てきたのは、明るい赤色の
左手には特徴的な形状の楯が装着されている。
「俺は
エリス様のご命令だ、お前たちをエリス様復活の贄として連れていく。
大人しくしていれば痛い目を合わずに済むぞ」
「誰があなたたちなんかに!」
「アリサとすずかをあんな目に合わせたあなたたち
なのはとフェイトから放たれる敵意に、ヤンは楽しそうに嗜虐的な笑みを見せる。
「いいだろう。
どうせ小娘、骨の1、2本も砕けば大人しくなろう。 そうしてから運んでやる。
来い、少し遊んでやろう」
同時にヤンから放たれる
ヤンの強さは明らからに自分たち以上だということを、2人は正確に感じ取っていた。
だが、その程度では2人の魔法少女の心は折れない。
「フェイトちゃん!」
「行くよ、なのは!!」
2人の少女は頷き合うと、己の相棒である杖を強く握りしめ大地を蹴って飛び上がった。
視線の先には強大な力を持つ
親友たちを救うため、2人の魔法少女は
亡霊聖闘士との戦闘が開始されました。
サジッタェ…。
次回はなのは&フェイトVS楯座のヤン。
最強の楯(笑)を相手にどう戦うのかご期待下さい。