俺たち転生者 蟹魚復権活動中   作:キューマル式

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今回はなのは&フェイトの超絶魔改造回。
あと今後の管理局魔導士強化の伏線。
そして伏線の回収です。
伏線と言っても誰も覚えてないんだろうなぁ、『あの時』の魚の行動なんて…。



第26話 魔法少女、新たな力を得る

 

「なのは嬢、調子はどうかな?」

 

「あ、セージおじいさん」

 

セージたちはリンディとの会談を終え、なのはの病室を訪ねて来ていた。

 

「うん、もう大丈夫です」

 

「そうか…医者からも聞いたがもう家に戻ってもいいそうだ」

 

「それよりじいさん、詳しい話を聞かせてくれよ。

 どうせこの事件、俺たちが関わることになるんだろ?」

 

見れば、快人・シュウト、そしてなのはもフェイトもセージの次の言葉を待っている。

 

「せっかちなものだ」

 

セージは苦笑すると、リンディとの会談の内容と状況を話し始めた。

 

アースラの捜査していた『魔導士襲撃事件』…その名の通り魔導士を襲いその魔力を奪うという通り魔のような事件が地球周辺の次元世界で起こっていたらしい。

なのはを襲った相手がその容疑者で、なのはもこの事件の被害者ということだそうだ。

そして今回のことで『魔導士襲撃事件』の真の意味が判明する。

それこそロストロギア『闇の書』である。

魔導士の魔力と資質を奪いページを増やし、完成したときには強大な力を主に与えると言うものである。

 

「強大な力ねぇ…『神』の力でも貰えるのか?」

 

「分からないけれど、碌なことにならないことだけは断言できるよ」

 

頬杖つきながらの快人の呟きにクロノが若干力を込めながら答えると、快人はその口調に眉をひそめた。

 

「いやに力入ってるな。 何かあるのか?」

 

「…『闇の書』は過去何度も歴史上に現れた。 それに対して有効な手はなく、いつだって魔導砲『アルカンシェル』の砲撃で吹き飛ばすしかなかったんだ。

 そして11年前に現れた『闇の書』の時、僕の父さんは乗っていた艦ごと『アルカンシェル』で…」

 

「…悪い」

 

快人はクロノの話にバツが悪そうに謝った。

そこにシュウトが疑問の声を投げかける。

 

「ちょっと待って、11年前クロノさんのお父さんごとその『闇の書』は吹き飛んだんでしょ?

 『闇の書』はそんなにいくつもあるの?」

 

「いや、今回の『闇の書』と11年前の『闇の書』は同一のものだ。

 『闇の書』には本体の消滅や所有者の死亡をトリガーにして、新たな主の資質を持つ者の下に転移し自動再生する『転生機能』という機能があるんだ。

 これのせいで何度破壊してもまた『闇の書』はどこかで再生し、破滅を呼ぶ。

それでも破壊すれば少なくとも十数年は『闇の書』は行動出来ない。

 今まではそれを続けていたんだ…」

 

「…なんだかもぐら叩きみたい」

 

フェイトの言葉に、言い得て妙だと納得した快人は呆れたように肩を竦める。

 

「でも、あの牡牛座(タウラス)はそんなヤバいものを望むような邪悪なやつにはかんじなかったな…」

 

「シグナムも悪い人には見えなかった。

 悪い人ならあんなに堂々と名前は名乗れないと思う…」

 

「あの赤い子もそうだよ」

 

快人の言葉に、フェイトとなのはは口々に賛同する。

実際に戦った快人たちは、彼らに対して邪悪な印象を受けなかった。

今までの魔導士襲撃事件でも死者は1人も出ておらず、軽傷で済んでるあたりも何かの事情を匂わせる一因である。

 

「まぁ、あの様子じゃ素直に事情を吐くとは思えないし、捕まえるか何とかしないと話は聞けないな」

 

「戦いは避けられない…ってことだね」

 

シュウトの言葉に、その場にいた全員が頷いたのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

病室を後にした一行は、クロノの案内の元に本局見学と共にデバイス用のラボへと向かっていた。

 

「快人くん、あれあれ!」

 

「おぉ! すげぇ!!」

 

地球出身の快人となのはは、本局の魔法文明に驚きの声を上げながら辺りを見ていた。

完全にお上りさん状態である。

セージも地球とは明らかに違う魔法文明の産物を感心するように眺めていた。

一方の魚師弟とテスタロッサ家、クロノとユーノは見知った風景だったため快人たちの姿に苦笑する。

そんな風にプチ観光を楽しんでいた時だった。

 

「ん? そこにいるのは…」

 

「あ、グレアム提督!」

 

クロノがビシッと姿勢を正す。そんなクロノに紳士然とした人物は苦笑した。

 

「別にかしこまる必要はないよ。

 ところでこちらの人たちは?」

 

「はい、民間協力者の人たちで…提督と同じ『地球』の出身です」

 

「ほぅ…」

 

その言葉にグレアムは驚きの声を上げた。

 

「始めまして、私はギル=グレアム。

今ではこうして管理局の仕事に着いていますが、『地球』のイギリスの出身です」

 

そう言ってグレアムが差し出した手を、セージが握った。

 

「これはご丁寧に。 私はセージ、ここにおる快人の保護者です。

 『地球』の日本から来ました」

 

「ほぅ、日本ですか。

 あの国は美しい国だと聞いています」

 

「イギリスも伝統と文化の根付く土地と聞いていますよ」

 

そんな感じの他愛も無い談笑をするセージとグレアム。

どうみても普通の光景だが、快人・シュウト・アルバフィカの視線は心なしか鋭かった。

それと言うのも、聖闘士(セイント)組はここに来るまでに何者かの視線を感じていたからだ。

そしてその視線の主こそ、このグレアムだ。

最初はもの珍しいのだろうと好意的に考えていたが、それがこうやって出てきてさらに提督という管理局の上層部の人間であることはとても好意的な要件には捉えられない。

聖闘士(セイント)のことをリンディから聞き、スカウトにでも来たのかという警戒心が湧きあがるが、予想に反してグレアムはそのまま去っていった。

 

「あのオッサン、何者なんだ?」

 

「ギル=グレアム、管理局ではかなり知られた人だよ。

 僕の父さんの上官でもあった人で、僕もよく面倒を見てもらったんだ…」

 

「成程、君の師といったところか。佇まいが良く似ている」

 

クロノの言葉にセージは頷くが、同時にグレアムの瞳の奥底にあるものを感じ取っていた。

それは…。

 

「『悔恨』と『決意』…か…」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「で、話ってのは何なんだ?」

 

快人の言葉には少々の棘があった。

クロノの案内でデバイスラボまでやってきた一行。

そこで損傷したレイジングハートとバルディッシュを預けて再び管理局観光に出発するところだったが、そこをレイジングハートとバルディッシュが話があると言って快人とシュウト、そしてプレシアを止めたのだ。

他のメンバーは一足早く管理局観光へと向かっている。

快人としても管理局の観光というのは物珍しく、それを邪魔されたのは面白くないらしい。

 

『私たちはあなたたちに意見を聞きたいのです。 私たち自身の強化のための意見を』

 

「強化、だって?」

 

シュウトの言葉に、バルデッシュが続ける。

 

『我々はマスターと共に戦うインテリジェントデバイス、マスターの勝利のために最大限の策を練る義務がある。

 しかし…マスターの敵となるものはあなたがたのような聖闘士(セイント)しかり『神』しかり今回の敵しかり強大です。

 これに対し、我々も今のままでは勝利を得る事は難しいと考えます』

 

「まぁ、確かに…」

 

快人とシュウトも、夏の『邪神エリス事件』でなのはとフェイトのパワーアップの必要性は感じていたことだ。

 

「それで、強化っていうのは技術的にできるの、プレシアさん?」

 

シュウトの言葉に、プレシアは頷いた。

 

「ここ、管理局のラボはデバイスの専門家であるデバイスマイスターも多いわ。

 強化・再設計はできるだろうけど…あなたたちその前に強化のプランはあるの?」

 

『はい、すでに』

 

『それについての意見を聞きたく、あなた方を呼び止めました。

 これが我々の強化プランです』

 

そう言って空中にホログラムが映し出される。

そこに映し出された文字を、快人とシュウトは胡乱気に読み上げた。

 

「「鋼鉄聖衣(スチールクロス)計画?」」

 

鋼鉄聖衣(スチールクロス)計画』―――レイジングハートとバルデッシュの考え出したその計画は次の通りだ。

 

 

1、レイジングハートとバルデッシュの外装を魔力装甲鎧の形状にし、バリアジャケットの上から纏うことで防御力を大幅アップする。

 

2、魔力装甲鎧各所に大量のスタビライザーとブースターを設置し、機動性を確保。

 

3、大幅に増える制御用魔力の確保のためのカートリッジシステムの搭載。

 

 

他にも色々あるが要旨はこんなところである。

聖闘士(セイント)との戦闘を想定した場合、単純な破壊力だけなら魔導士でも聖闘士(セイント)に迫るものが出せる。

だが、聖闘士(セイント)と比べ魔導士は圧倒的に防御力と機動力が劣っている。

防御魔法もバリアジャケットも聖闘士(セイント)聖衣(クロス)にはまるで歯が立たず、聖闘士(セイント)の戦闘速度にはまるで追い付けない。

だが、逆にこの2点さえ克服できれば魔導士も聖闘士(セイント)と正面から戦える可能性があるということだ。

そこでレイジングハートとバルデッシュのデザイン自体を高硬度の鎧とし、防御力をアップ。

魔法は拳などから放つように変更し、強度のアップによって以前のように小宇宙(コスモ)で強化された魔法でも耐えきれるように改造。

その分減った機動性を補うため、魔力稼働の推進装置を大量に取り付ける。

さらに消費魔力の増加による継続戦闘能力の低下を、カートリッジシステムを搭載し、カートリッジをプロペラントの代わりにする。

それがこの『鋼鉄聖衣(スチールクロス)計画』だった。

はっきり言ってデバイスというより、デバイスの機能を持ったパワードスーツの開発計画である。

 

『どうでしょう? この改造プランに関する意見を求めたいのですが…?』

 

レイジングハートの言葉に、内容を読んだ快人とシュウトが同時に息を吸い込む。

そして…。

 

「「あ、アホかぁぁぁぁぁ!!!」」

 

思いっきり否定した。

 

「何この魔改造計画? お前ら実はバカなの、死ぬの?」

 

「こんなのやったらフェイト、間違い無く泣くよ!」

 

兄弟の隣では、プレシアも頭を抱えた。

 

「相手を聖闘士(セイント)という規格外を想定したみたいだから言いたいことは分かるけど…これはかなり無茶ね」

 

そう言ってプレシアは計画の問題点を洗い出していく。

 

「防御力のアップは分かるんだけど、機動性の確保を魔力ブースターにするのでは上昇する速度に限界がある。

 当然、加速から使用者の身体を保護する防御魔法にも強力なものを使用する必要があるから魔力消費と制御難易度は格段に上がるわ。

 仮にこの改造が完成しても、その制御のための訓練にかなりの時間が必要になるでしょうね」

 

「で、そのバカ食いする魔力をカートリッジシステムとやらで補うって、何そのドーピングコンソメスープ?

 ただでさえカートリッジシステムは身体に負担がかかるっていう話だし、魔法のド素人の俺でも無茶苦茶だって思えるぞ」

 

「それにバトルスタイルの変更も問題だよ。

 フェイトもなのはちゃんも『杖』での戦闘を訓練されてるんだよ。

 それをいきなり素手ベースの魔法戦闘に変更するのは無理すぎるよ」

 

『しかし、このレベルの改造を行わなければ、あなたたち聖闘士(セイント)級とはまともに戦えない』

 

プレシア・快人・シュウトが口々に反対するが、レイジングハートとバルディッシュは頑なだ。

それも仕方ないかもしれない。

『邪神エリス事件』の時、聖闘士(セイント)と『神』という強大な敵に、マスターが成す術無く傷つけられる姿を見ているのだ。

レイジングハートとバルディッシュも忸怩たる思いがあったのだろう。

それこそ、こんな無茶とも言える改造計画を本気で打診してくるぐらいには、だ。

快人とシュウトはお互いに顔を見合わせ、肩を竦める。

 

「仕方ない…いいな、シュウト?」

 

「ま、遅かれ早かれ、だからね…」

 

お互いに意味深なことを言いながら、快人はレイジングハートとバルディッシュへと言葉を投げる。

 

「お前らの気持ちは分かったが、俺たちの回答はノーだ。

 こんな無茶な改造案はなのはやフェイトはもちろん、お前らまで危険だ。

 よって却下だ」

 

『しかし、それでは今後強大な敵と出会ったときに、どうすればいいと?』

 

バルディッシュのその言葉に、快人はニヤリと笑った。

 

「大丈夫だ、俺にいい考えがある」

 

『…何やら失敗フラグのように聞こえましたが?』

 

「うっせぇ!」

 

なにやら異様に人間臭いことを言うレイジングハートに苦笑し、快人は続ける。

 

「俺たちだって夏の『邪神エリス』の一件以来、同じことを考えてたんだよ。

 このまま俺たちと行動したら、なのはとフェイトは確実にいつかヤバい奴らとぶつかることになる。

 その時、今のままじゃ手も足も出ない…」

 

「だからボクたちも考えていたんだ。

 フェイトとなのはちゃんの新しい力を!」

 

そしてシュウトは快人と共に準備を進めていた、とっておきの話をする。

その話の内容にプレシアはもちろんのこと、レイジングハートとバルディッシュまでもが息を呑んだ。

 

『…それは可能なのですか?』

 

「俺とシュウトで実験した。 その上で十分可能だって言ってるんだ」

 

『それが本当なら、マスターの大きな戦力アップに繋がる』

 

レイジングハートとバルディッシュは快人たちから提示された案に賛同してくれたようだ。

そこに、プレシアは1つの疑問を投げかける。

 

「でも、それはいいの? あなたたち聖闘士(セイント)としては?」

 

「まぁ、他でもないあの2人のためだし、このまま腐らせるよりははるかにマシだよ。

 むしろデバイスと同じで、あいつらも自分の生まれた意味を全うしたがってるだろうさ」

 

そう言って快人は何でもないように言う。

 

『そうなれば、後必要なのは私たち自身のフレーム強度の増強ですね』

 

「それに関しても、ちょっと意見がある」

 

そう言って快人はパチンと指を鳴らすと、出てきたのは片手で持てる程度の小さな袋だ。

それをプレシアへと手渡した。

 

「何なの、これ?」

 

見れば中には金と銀に輝く小さな金属片のようなものが入っていた。

 

「オリハルコンとガンマニオンとスターダストサンドで出来た金属片。

 まぁ…端材だけどな」

 

「どれも聞いたことの無い金属ね…」

 

プレシアは欠片を一つまみ取り出すと、照明へと掲げで見てみる。

 

聖闘士(セイント)にとっての秘密の金属ですよ。

 それをレイジングハートとバルディッシュのメインフレームに混ぜて使ってください。

 強度的にも面白いものが出来ると思うので…」

 

「ただし、管理局に提供する気なんか無いから扱いには気をつけてくれよ、おばさん」

 

「…一言多い気がするけどわかったわ。これはしっかり管理してこの子たちの強化に使うわ」

 

プレシアはそういってその袋をしまった。

 

「さて、それじゃ話はもういいだろ? 俺、ここを見て回りたいんだけど…」

 

『呼び止めてすみませんでした。 おかげで私たちは有意義な発展が望めそうです』

 

『ありがとうございます、ミスターウオズミ、ミスター蟹名』

 

「別にいいよ、ボクたちにも他人事じゃなかったからね」

 

そう言って兄弟はデバイスラボを後にした。

 

「さて…」

 

これでデバイスの強化に関しては決まった。いったいどのように管理局側を言いくるめてやろうかとプレシアは思案する。

 

「それにしても…」

 

レイジングハートとバルディッシュの提示してきた『鋼鉄聖衣(スチールクロス)計画』、これはなかなか面白いとプレシアは思う。

結果的に快人とシュウトがより良い案を提示したためお蔵入りとなってしまったが、付加機能を搭載した魔力駆動のパワードスーツというアイデアはかなり有効かもしれない。

それが完成すれば、数さえ揃えれば魔導士でも聖闘士(セイント)を相手取ることも可能だろう。

とはいえ、ざっと考えただけでも技術的問題点は多い。

これが解消できるとなれば、よほどの変態的な天才科学者でなければ不可能だ。

 

「少し研究してみるのもいいかもしれないわね…」

 

プレシアはこの時から少しずつだが、この『鋼鉄聖衣(スチールクロス)計画』の研究を重ねていくことになる。

その研究が実を結ぶまでにはあと2人ほど重要な人物が必要なのだが、それはまだ未来の話だった…。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

管理局見学の後、結局リンディから話を聞かされたなのはとフェイトは管理局への協力することになった。

ここはなのは、フェイト、そして快人の家からほど近いマンションだ。

『魔導士襲撃事件』こと『闇の書事件』はこの第97管理外世界、つまり『地球』周辺の世界で起こっている。

地球に来た管理局の拠点である次元航行艦アースラは、ロストロギア『闇の書』の存在が発覚したため改装のため管理局のドックへ入り使用不能。

そのことから地球に仮設の司令部を設け、活動することになったのだ。

 

「…以上3班に分かれて行動します。

 そして最後に現地協力者である魔導士の…」

 

「高町なのはです」

 

「フェイト=テスタロッサです」

 

「こちらのお2人と、そしてこの地球を古来から守ってきたという存在、聖闘士(セイント)の…」

 

蟹座(キャンサー)黄金聖闘士(ゴールドセイント)、蟹名快人」

 

魚座(ピスケス)黄金聖闘士(ゴールドセイント)、シュウト=ウオズミです」

 

「快人の保護者、セージです。 皆さま、どうぞ宜しく…」

 

「シュウトの師、アルバフィカだ」

 

「こちらの4人が協力をしてくれることになっています。

 なのはさんとフェイトさんのデバイスが修理中のため、快人くんとシュウトくんの2人にはしばらくは彼女たちの護衛をしてもらうことになったわ」

 

リンディの紹介に、アースラスタッフ一同の視線が聖闘士(セイント)に集まる。

聖闘士(セイント)に関しては今のところリンディから厳重な緘口令がひかれており、アースラスタッフ以外は知りえない話だ。

だが、アースラスタッフは先の武装隊を魔力を使わずに一掃する強さを見せ付けられ、その不可解なまでの強さの一端を知っている。

その上、今回の事件の容疑者一派には彼らと同じ聖闘士(セイント)がいるため、その押さえとしても聖闘士(セイント)への期待は大きかった。

 

「この事件を過去のような惨事にすることだけは避けなければならないわ。

 各員の努力と奮戦を期待します」

 

リンディはそう締めくくり、対闇の書作戦は開始された。

 

 

 

「…んで、やってることがこう何日も待機ってのも暇なもんだな」

 

「汚いよ、快人くん」

 

仮設司令部の近くにあるなのはの実家、翠屋で待機中の4人。

快人は暇そうにストローに息を吐いてジュースをブクブクと泡立たせ、その様子になのはは顔を顰めながら止めようとする。

 

「まぁ、探索っていうのも難しいだろうからね」

 

「私もなのはも、今はデバイスが修理中だから手伝えないし…」

 

シュウトとフェイトも進展が無いことに退屈気味だが、腐る快人を諌める。

そこに思い出したかのように、快人は言った。

 

「そう言えばレイジングハートとバルディッシュ、修理終わったんだって?」

 

「うん、今日帰ってくる予定なの!」

 

「なんだか母さんが『楽しみにしてなさい』って言ってったけど、何のことだろう?」

 

なのはは相棒が帰ってくることに素直に喜び、フェイトはプレシアの言葉を思い出し可愛らしく小首を傾げる。

その様子を見ながら快人とシュウトは自分たちの思い通りの結果になったのだろうと、顔を見合わせ苦笑した。

 

「まぁ、こっちの準備は万端。 あとはあいつらが網に掛かれば次こそ一網打尽だな」

 

快人はこの事件は次で終わりだ、とほぼ確信していた。

何故なら、こちらには快人とシュウトの2人の黄金聖闘士(ゴールドセイント)がいるからだ。

黄金聖闘士(ゴールドセイント)にはあのシグナムとヴィータがいかに優秀な魔導士でもまったく敵わない。

唯一戦えるのは同じ黄金聖闘士(ゴールドセイント)牡牛座(タウラス)だけである。

だがその牡牛座(タウラス)の相手は快人がすることになっているから、他の援護などできようはずもない。

そうなればシュウトが他を制圧し、この事件は終了だ。

もっとも、なのはとフェイトはそれぞれヴィータとシグナムと戦いたいようだからそれは任せる気でいるが、勝っても負けてもシュウトが捕縛すればいい。

黄金聖闘士(ゴールドセイント)が2人いるという段階で、もはやどうあがいても牡牛座(タウラス)とヴォルケンリッターには勝ち目はないのだ。

 

「そういう訳だから気楽に行こうぜ、気楽に」

 

「兄さん、そう気を緩めると足元すくわれるよ。

 牡牛座(タウラス)はボクたちと同じ黄金聖闘士(ゴールドセイント)なんだ。

 相手を舐めた瞬間、ヘタをすると瞬殺されるよ」

 

「分かってる、油断はしないさ…」

 

そう言って珍しく快人は神妙な顔で頷いた。

事実、星矢たちに倒された多くの敵は彼らを侮り、油断していたために敗北した事例は多い。

そこから快人は、慢心こそ聖闘士(セイント)最大の敗因ということを正しく理解していた。

 

「ところでシュウト、お前…『アレ』できた?」

 

ここまで真面目な話で場が重くなったせいか、快人は話題を変えることにした。

その言葉にシュウトは大きく頷く。

 

「もちろん…というか一昨日完成したところだけどね。

 兄さんの方は?」

 

「俺も昨日完成したぜ。

 おかげで今日は眠いのなんのって…」

 

そう言って快人は欠伸をかみ殺す。

今回の事件もあり、快人もシュウトも緊急時に連絡が取れないことから守護宮を使うことを一時的にやめていた。

おかげで仕上げのために純粋に睡眠時間を削ることになり、2人は寝不足気味だ。

だがこれで快人とシュウトの2人が夏から進めていた計画は完成となったわけである。

 

「何なの?」

 

「2人で何の話?」

 

快人とシュウトの2人の話になのはとフェイトはそのことを問い返す。

そんな2人に、快人とシュウトは顔を見合わせた。

 

「まぁ、いいか」

 

「いいんじゃないの、ちょっと早いけどね」

 

「そうだな、それじゃ2人とも、実はな…」

 

そうやって快人とシュウトは頷くと、なのはとフェイトの耳に入るような小声で話そうとするが、その時…。

 

ヴーヴー

 

4人の携帯電話が震えだす。

その相手はアースラからやって来たスタッフからだった。

この電話が鳴るということは間違いない。彼らが動き出したのだ。

 

「行こっ、フェイトちゃん!」

 

「うん、なのは!」

 

4人は手早く勘定を済ませ、席を立つ。

そして走り出すなのはとフェイトを眺めながら快人はポツリと呟いた。

 

「こりゃ、お披露目の機会になりそうだ。

 ちょっと早いクリマスプレゼントのな」

 

その言葉にシュウトは頷き、兄弟も2人を追うように走り出すのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「じいさん、状況は?」

 

仮設司令部に入るなり、快人はそこにいたセージへと聞く。

セージとアルバフィカは、快人とシュウトに対してこの司令部から指示をすることになっていた。

 

「見ての通りだ」

 

セージの視線を追いモニターを見ると、シグナムとヴィータとアルデバラン、そして筋骨隆々の男が管理局の武装隊に取り囲まれていた。

 

「容疑者グループを発見、現在結界内に閉じ込め逮捕のためにクロノくん率いる武装隊が突入しています」

 

モニター前のオペレーター然とした女性が答えた。

その女性は、快人たち4人ににこりと微笑むと自己紹介する。

 

「私はエイミィ=リミエッタ。 アースラの通信主任兼執務官補佐をしてます。

 よろしくね」

 

「よろしく、エイミィさん。 それにしても…やばいなぁ…」

 

モニターを見ながら快人はポツリと呟く。

アルデバランがいる以上、武装隊などいくらいたところで役には立たない。

今のところ問答の最中のようだが、すぐにでも快人が行かなければならないだろう。

 

「エイミィさん、私たちのデバイスは?」

 

「もう届いてるよ」

 

なのはの言葉にエイミィが指差す先では、レイジングハートとバルディッシュが主を今か今かと待つように待機状態で宙に浮いていた。

それを見て、なのはとフェイトはお互いに顔を見合わせ頷く。

 

「1人知らないやつがいるみたいだが…」

 

「それならアタシに任せな!」

 

「僕も行くよ。 シュウトのことはギリギリまで伏せたいだろうし、その方がお互い全力で戦えるでしょ?」

 

アルフとユーノがそう言って、初見の筋骨隆々の男への対処を買って出る。

事実シュウトを最初から投入すれば相手も逃げに徹するだろうから思い切った戦いは期待できないが、その存在を知らないとなれば思いっきり戦えるだろう。

打算的な話をすれば、疲弊したところを一網打尽できる。

 

「エイミィさん、俺たちの転送は?」

 

「もう準備できてるよ、後はポートに入ってもらえればすぐに!」

 

その答えになのはとフェイトは互いの相棒に手を伸ばしたときだった。

 

「なのはっ!」

 

「フェイトっ!」

 

「「ひゃっ!?」」

 

突然大声で自分の名前を呼ばれ、なのはとフェイトは驚きで飛び上がった。

そんな2人の反応を無視して快人とシュウトはそれぞれの幼馴染に近づく。

 

「な、なんなの?」

 

「どうしたの、2人とも?」

 

突然の2人の反応に、なのはとフェイトも訳がわからないといった顔だ。

快人はなのはの左手を、シュウトはフェイトの右手をとる。

そして、その上腕に触れた。

すると…。

 

「これ…」

 

「黄金の腕輪?」

 

なのはとフェイトの腕には黄金の腕輪が付いていた。

飾り気のない小さな、しかし綺麗な腕輪である。

 

「少し早いんだが…メリークリスマス、なのは!」

 

「ボクと兄さんで作ったクリスマスプレゼント、気に入って貰えるかな?」

 

そう言われたなのはとフェイトは顔を赤くしながら、その腕輪を撫でる。

 

「あ、ありがとう…」

 

「ありがとう、シュウ。 大事にするね」

 

「へっ。

まぁ、落ち着きのない子犬みたいななのはには首輪の方があってるかもしれないが、今回は腕輪で勘弁な」

 

「ぶぅ、そんなことないもん!」

 

快人の憎まれ口になのはは頬を膨らませる。フェイトは大事そうに何度もその腕輪を撫で上げていた。

すると、フェイトが疑問を口にする。

 

「シュウ、確かにうれしいんだけど…なんでクリスマスじゃなくて今渡すの?」

 

なのはやフェイトだって、クリスマスには2人に何か贈ろうとは思っていたのだ。

だが、今はこれだけの物を貰っておいてお返しも何もできない。

クリスマスプレゼントなのだからクリスマスに渡せばいいだろうに、それを今のタイミングに前倒しする意図がわからなかった。

そんな2人の疑問に快人とシュウトは顔を見合わせる。

 

「まぁ、すぐ分るよ」

 

「そう、今のタイミングでどうしても必要になったから渡したんだよ」

 

「「??」」

 

謎かけのような2人の言葉になのはとフェイトは首を傾げるが、その思考はエイミィの声で中断させられた。

 

「いい雰囲気なところで悪いんだけど、急いで!

 どうも武装隊と相手とが話し合いが決裂しちゃったみたい。

 いつ戦端が開かれてもおかしくないよ!」

 

「俺とアルフ、ユーノで先行する!

 すぐに来いよ!」

 

エイミィの言葉に快人はアルフとユーノを連れて転送ポートへと入り、現場へと転送された。

 

「私たちも!」

 

なのはの言葉にフェイトも頷き、改めてデバイスへと手を伸ばすが、そのデバイスを横から先にとる手があった。

セージとアルバフィカだ。

2人は待機状態のデバイスを握りながら、なのはとフェイトを見つめる。

そして、セージがなのはに口を開いた。

 

「なのは嬢…一つ尋ねよう。

 今後戦い続ければ、この間のように痛い思いを、苦しい思いをすることもあるだろう。

 このデバイスを、『力』を手にすれば否応なくその運命は君を逃しはすまい。

 そこまでして君は何故戦う? その先に何を望む?

 なのは嬢、君は何のために『力』を望む?」

 

それはあの時、時の庭園でデスマスクと対峙した時に、すでに出ていた答えだ。

だがその答えに揺らぎはないか、あえてセージはそれを聞き直す。

そして、それはアルバフィカも同じだった。

 

「フェイトよ、君が戦わなくても世界の誰かが戦う。

 君が傷つき、戦い続ける必要はない。 君は戦いから身を引いてもいいのだ。

 その上で君に聞こう。

 君は何故、戦う? 何故『力』を望む?」

 

セージとアルバフィカの心を貫く視線を前にしながら、なのはとフェイトは穏やかだった。

そして、想いを言葉に変えていく。

 

「セージおじいさん、私の心は変わらないです。

 世界には悲しいこと、つらいことがたくさんあるの。

 理不尽な、どうしようもない力がそれを押し付けてくることがあるの。

 でも、それに屈していいわけない。

 誰だって幸せがいいに決まってるもん。

 だから、なのはは『力』を望みます。

 何処かの誰かに降りかかる悲しみを、一つでも振り払う力を!」

 

なのはのその心の名は『不屈』、人の歩みを止めさせる『悲しみ』に抗う心。

 

「確かに、戦うのは私でなくてもいいかもしれない。

 でも…私は戦う!  そう、私が決めたから。

 誰かのために、傷つきながらも戦う人の、その背中を守りたいから!

 だから私は『力』を望みます。

 共に歩み、共に支えあい、共に何かを救うために!

 その想いを、『誇り』と共に私は貫きます!」

 

フェイトのその心の名は『誇り』、『悲しみ』にいついかなる時も気高く立ち向かう心。

その2人の言葉に、しばしの後セージとアルバフィカは頷いた。

 

「なのは嬢、君の『不屈』の心…この私が確かに見届けた。

 その魂は天空の星のような、強い光を放っていた…」

 

「フェイト、君の纏う美しき『誇り』…確かに見せてもらった。

 真の聖闘士(セイント)とは、愛と平和のために正しき己の心の掟を貫く者…君の心に私はその輝きが見えた…」

 

そして、セージとアルバフィカはなのはとフェイトにデバイスを差し出す。

 

「行くがいい。 その『不屈』の心で、正しき『力』を振うために!」

 

「行け、フェイト。 その『誇り』と共に前に進むために!」

 

「「はい!!」」

 

なのはとフェイトは力強く返事をしながら、互いの相棒を受け取り転送ポートへ駆け込む。

その後ろ姿を見つめながらセージとアルバフィカは頬笑みながらも呟いた。

 

「「少女たちに星々の加護を…」」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

結界内部の市街地で、管理局武装隊とヴォルケンリッターが睨み合う。

通例どおりの包囲しての降伏勧告。

だが、それが効果がないことぐらいは武装隊を指揮するクロノは理解していた。

降伏勧告とは、武力的に絶対的有利側が相手にするものだ。

その優位性が、目の前の黄金の鎧の少年相手には全くない。

 

「もう一度言う。 今投降するなら弁護の機会も与えられ、情状酌量の余地もある。

 おとなしく武器を捨てて投降しろ」

 

それを知りながらもクロノがこんな降伏勧告をしているのは一重に時間稼ぎだった。

 

「我らに降伏の意思はない。

 ここは貴殿らを倒し、押し通らせてもらう!」

 

そうシグナムが言ったことで完全に決裂、ついに戦端が開かれると言ったその時。

 

「よぅ、面白そうだな。

 俺も混ぜてくれよ!」

 

戦場に響くその声に、全員の視線が集まる。

そこに居たのは黄金の闘士、蟹座聖衣(キャンサークロス)を纏った快人だった。

 

「快人!」

 

待ち望んだ増援の到着に、クロノの声に喜色が混じる。

そんな快人に、アルデバランは静かに問うた。

 

蟹座(キャンサー)、お前は管理局についたのか?」

 

「別につるんでるわけじゃないさ。

 ただ…通り魔にまで堕ちた聖闘士(セイント)がいるとなりゃ、その始末はこっちの、聖闘士(セイント)の領分だろ?

 それに…個人的にもなのはをボコってくれた借りを返してないからな」

 

そう言って快人は獰猛に笑うと、指をバキバキと鳴らす。

そんな快人にアルデバランは、静かに言った。

 

「…蟹座(キャンサー)、あの子のことは詫びよう。

 事さえ終われば、粛清だろうがなんだろうが、俺は受け入れる。

 だから…今だけは黙認してはくれないか?」

 

「『闇の書』とやらが完成するまでか?」

 

「そうだ」

 

その言葉に、快人は頭をポリポリと掻いた。

 

「やっぱり何か事情があるんだな。

 俺と同じ黄金聖闘士(ゴールドセイント)が世界の破滅なんて笑えない冗談を望むとは思えなかったからな…。

 その事情、話す気はないのか?」

 

「ない」

 

「そうかい、だったら…こっちも力づくで事情を吐いてもらう」

 

交渉はこれまでと快人が構えを取ると、アルデバランも腕を組んだ。

 

「おいクロノ、武装隊を下がらせろ。

 戦闘能力が違いすぎて、庇いながら戦える相手じゃない」

 

「わかった…全員退却! 別命あるまで待機だ!」

 

その言葉に武装隊は転移で何処かへと消えていった。

 

「お前は行かないのか、クロノ?」

 

「君よりは弱いかもしれないが、僕も腕には自信がある。

 相手は君らより数が多いんだ、君たち聖闘士(セイント)の戦いの邪魔にならないようには他を抑えるよ」

 

「いいや、いらんよ」

 

クロノのその申し出を、快人は首を振って断った。

 

「数の差は無くなるさ。

 何故なら…」

 

その時、空から2つの光が舞い降りる。

空中に浮くのは2人の少女。

 

「2人の到着だ。 な、数的不利は無くなっただろ?」

 

「そうみたいだね」

 

快人の言葉に、クロノは肩をすくめる。

そして、なのはとフェイトの声が戦場へと響き渡った。

 

「「セットアップ!!」」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

転移したなのはとフェイトは戦場を見下ろしながら、己の相棒を掲げて叫んだ。

 

「レイジングハート!」

 

「バルディッシュ!」

 

「「セットアップ!!」」

 

そのキーワードと共に光が2人を包み、その姿を変えていく。

その時になって、2人は異常に気付いた。

 

「あれ? レイジングハート?」

 

「バルディッシュ?」

 

光の止んだそこにはレイジングハートとバルディッシュを持つなのはとフェイトの姿があった。

だが、それは以前までの姿とは違う。

まず、レイジングハートとバルディッシュが以前とは違った。

形状はそれほど変わらないが、柄と外装に金と銀のラインが走っている。

そして2人のバリアジャケットも形状が変わっていた。

各所に装着されていた装甲パーツが無くなっているのだ。

 

「これは…?」

 

そんななのはの疑問の声に、レイジングハートが答えた。

 

『落ち着いてください、マスター。 私たちは生まれ変わったのです。

 ミスター蟹名とミスターウオズミの提供してくれた鉱物によって私たちのメインフレームの剛性は驚くほどに上がりました。

 この銀と金のラインがその証、『邪神エリス事件』の時のように力に耐えきれず自壊するような無様はもはやさらしません』

 

「でも装甲が…防御力が減っているのはどうしてなの?」

 

『それは今の形態が中間形態に過ぎないからです』

 

「中間形態?」

 

『はい。 新たなる姿になる前の、いわば仮の姿』

 

その言葉に眉をひそめたフェイトに、バルディッシュが答える。

そして、デバイスは同時に、新たな力を展開した。

 

『『聖衣(クロス)展開(オープン)!!』』

 

光がなのはとフェイトに集まっていく。

そしてその光が形作るものは間違いない、星々の力を込めた聖なる衣。

 

「これって…!?」

 

聖衣(クロス)!?」

 

ティアラ状のヘッドパーツ、胸を守るブレストパーツ、そしてなのはの左腕には六角形の楯、フェイトの右腕には矢をかたどったアームパーツ。

それは紛れもない、聖衣(クロス)の一部分。

それを見ていたアルデバランは驚きで目を見開いた。

 

「バカな、聖衣(クロス)だと!?

 俺たちの黄金聖衣(ゴールドクロス)以外の聖衣(クロス)が何故存在するんだ!?」

 

「まぁ、ちょっとした事件で手に入れた、剥ぎ取り品だ。

 レストアに夏からずいぶん時間がかかったが…完成だぜ。

 お前たちもよく見ろよ、新生楯座聖衣(スキュータムクロス)と新生矢座聖衣(サジッタクロス)を纏ったなのはとフェイトをよぉ!!」

 

快人の言葉がなくても、その戦場に居たものすべての視線がなのはとフェイトに集中していた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

仮設司令部でセージとアルバフィカは映し出されるその映像を見ていた。

 

「邪悪の神の走狗と成り果て、そのまま朽ちさせるのはあまりに無念。

 なのは嬢、その聖衣(クロス)の真の意思…愛と平和のためにその聖衣(クロス)の力を正しき心で振うのだ」

 

「フェイトよ、君の進むべき正しき道を進め。

 その聖衣(クロス)と共に!」

 

2人の視線は、モニターに映るなのはとフェイトに、優しく注がれていたのだった。

まるで娘や孫、愛弟子を見るような優しい瞳で。

 

 

 




今回はちょっと長めのあとがきです。

なのは&フェイトの今後を見据えた魔改造の内容は

1、聖衣の破片によって強度を増したデバイス
2、亡霊聖闘士の聖衣をレストアした新生聖衣の装着

でした。
せっかくの聖闘士星矢とのクロス、なのは勢にも聖衣を着せたいと思っていたのでこうなりました。
第17話で倒した魔矢に魚が何かを考えて近づくシーンがありましたが、あれが伏線です。
というか、『邪神エリス編』自体がなのは勢用の聖衣を手に入れるための壮大な伏線なんです。そのため魚はすべての亡霊聖闘士の倒れたところに足を運んでいます。
『邪神エリス編』の真の目的は、設定的に現状新しい聖衣は手に入らない状況なので敵で聖闘士を出してそこから剥ぎ取りなのは達に着せようというものでした。
感想で『亡霊聖闘士が弱くてなんで出したのか分からない』、というのがありましたが、彼らの纏っているのが『聖衣』で、はぎ取っても特に罪悪感を感じない敵だから出したというのが真相です。


次回作中で語る予定ですが、先になのは&フェイトの設定について書いておきます。


新生楯座聖衣(スキュータムクロス)と新生矢座聖衣(サジッタクロス)について

亡霊聖闘士が纏っていたものをシュウトが回収、快人と共に無理矢理なレストアを施したもの。
レストア方法はエリス戦での激しい戦闘によって脱落した黄金聖衣の破片を血と共に塗りこみ、『黄金聖衣の破片から自己修復機能を移植して自己修復させる』という無茶仕様。いわば黄金聖衣の破片と大量の血を接着剤にして再生した白銀聖衣。
しかし、当然ながらなのはたちの小宇宙では重量軽減その他に全く足りない。
それを補うのが2人に贈られた黄金の腕輪。『G型カートリッジ』と同じく、『小宇宙を物に長期的に保存し、使用できないか?』という考えの、快人とシュウトの回答は『自身の小宇宙を黄金聖衣の破片と血を利用した黄金の腕輪に込め、それを聖衣の装着のために使う』ということ。
黄金の腕輪はいわば『小宇宙のバッテリー』であり、通常の一部展開状態なら5~8時間、聖衣全展開状態なら30分ほどの装着が可能になっている。
『G型カートリッジ』との最大の差は、『G型カートリッジ』が仕様者の身体、内側に向かって小宇宙を流すのに対し、こちらは最初から小宇宙の循環を前提としている聖衣…外側に向かって小宇宙を放出している点。そのため仕様者の身体への悪影響はなく、聖衣の小宇宙増幅効果と重量軽減、防御力の恩恵を『時間制限付き』で受けられる。
『G型カートリッジ』に瞬発力では及ばないが、防御力・機動力・安定性の面で優れる。


なのは&フェイトの小宇宙では普通には聖衣をつけれないので、『蟹・魚の全面協力の元の時間制限付きの聖衣装着』となります。
これでやっと今後の目標の一つである、『黄金聖闘士の援護なし・なのは勢単独での神族撃破』のための土台が出来上がりました。正直ここまで魔改造しても『神族撃破』はキツ過ぎますが…現状での土台としてはこんなものでしょう。
さらに話の都合上か、原作でもΩでも雑魚扱いされてる不遇な白銀聖衣たちの活躍をと思った結果、ヒロインに白銀装備となりました。


矢座の活躍
劇場版…普通に星矢に敗北。しかし毒矢でその後星矢を苦しめる辺り大金星か?
原作…アテナを殺しかかり、十二宮編のスタートを切るのはいいが聖衣なしの星矢に瞬殺。
LC…操られてハーデスの走狗に。出てきたときには死んでいた。
Ω…パブリーン師匠に戦闘シーンもなく撃破されたと推測される。

楯座の活躍
劇場版…一方的に追い詰めてたのに脱衣した紫龍の一撃で撃破。
Ω…ビックシールドガードナーになった。ライオネットボンバーのためのかませ犬。


…この作品で活躍させても構わない、不遇っぷりじゃないですか。


次回は蟹VS牛、なのはVSヴィータ、フェイトVSシグナムの第二ラウンド。
謎の仮面第三勢力の登場となる予定。

次回も宜しくお願いします。

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