そんな2人にヴォルケンリッターは警戒を強めるが、なのはたちは開口一番に言ったのは話し合いをしたいということだった。
「私たちは戦いに来たんじゃない、お話をしに来たの」
「あなたたちにも事情があることはわかる。
話してくれれば、私たちが力になれるかも知れない…」
なのはとフェイトはそう言って、ヴォルケンリッターに話し合いを呼び掛ける。
ヴォルケンリッターはその言葉に顔を見合わせると、ヴィータはグラーフアイゼンで肩をトントンと叩きながら言った。
「ベルカの諺にこういうのがあるんだよ。『和平の使者なら槍を持たない』ってな」
「「??」」
意味がわからず小首をかしげるなのはとフェイトに、ヴィータは小馬鹿にしたように続けた。
「『話し合いしようってんのに武器を持ってくるやつがあるかバカ』って意味だよ、バ~カ!!」
「それ、いきなり襲ってきた子が言う!?」
「ちなみにヴィータ、それは諺ではなく小話のオチだ」
ヴィータの話を聞いて、なのははあきれ顔で突っ込み、ザフィーラが訂正する。
「確かにヴィータの言うとおりではあるな。
会談の場に武器を持ち込まれては互いに信用できまい、テスタロッサ?」
「それは…そうですけど…」
シグナムにもそう言われ、正論ではあるのでフェイトは口ごもった。
そんな時、快人が手を挙げながら言う。
「はいはいは~い!
俺が
ほら、俺武器持ってないし」
両手を広げながら武器を持っていないことをアピールする快人の、その言葉に対するヴォルケンリッターの反応は早かった。
「拒否する!」
「ぜってぇヤダ!!」
「全力で遠慮させてもらう!」
「え~、なんでだよ? 俺、武器なんて持ってないじゃん」
全力の拒否に快人が口を尖らせると、ヴィータが快人を指をさしながら言う。
「ふざけんじゃねぇ、この非常識全身凶器!
お前ら
特に
ヴィータの言葉に、シグナムもザフィーラもウンウンと全力で肯定する。
「…お前、なんかやったの?」
「生身で少々、組み手をな…」
快人がアルデバランに聞くと、アルデバランもバツが悪そうに頬を掻いた。
おそらく、完膚なきまでに叩きのめしたことがあるんだろうなぁ…などと快人はため息をつくと、ヴォルケンリッターへと話しかける。
「じゃあ結局、『話をしたけりゃ適度にぶっ飛ばしてみやがれ、この野郎』、って解釈でいいんだな?」
「なかなかに乱暴な解釈だが…それで相違ない」
苦笑しながらシグナムが返し、ここに完全に交渉は決裂した。
後は…戦いの時間だ。
「俺は
なのははあの赤チビを、フェイトはあの侍女を。
で、アルフとユーノはあの色黒マッチョマンを…」
「ザフィーラだ。 盾の守護獣、ザフィーラ」
「ご丁寧にどうも。 で、クロノは…邪魔すんな」
「了解、理解したよ」
全員が互いの相手を見据えて距離を取る。
そして、全員がほぼ同時に戦端を開いた。
~~~~~~~~~~~~~~~
「クソっ! あいつ、この前と全然ちげぇ!」
なのはと戦うヴィータが毒づく。
以前戦った段階でのなのはとは、攻撃力・防御力・機動力が段違いだったからだ。
だが、その能力の向上に一番驚いていたのは他ならぬなのはである。
(すごい! 身体が…軽いよ!)
鎧である
それは一重に
なのはの
(これが
セージたちからの座学、そして夏の『邪神エリス事件』での
しかも、これで『一部分』だけなのだ。
これがもし『全部』ならどんなことになるのか…今のなのはには想像できない。
「ちくしょぉ! アイゼン、G型カートリッジ、ロード!」
ヴィータは切り札であるG型カートリッジをロードし、全身に濃密な
同時に、なのはの背後から誘導弾が襲いかかった。
「!?」
なのはは咄嗟に誘導弾を防御魔法で防ぐが、それと同時にヴィータ必殺のラケーテンハンマーががら空きのなのはに襲いかかる。
ヴィータの見事なタイミングの時間差攻撃だ。
防御魔法を展開する時間はなのはにはない。
だが…。
「えぇい!!」
なのはは左腕に装着された
そして、
「たぁぁぁ!!」
「!?」
その楯はヴィータ渾身の一撃を受け止め、はじき返していた。
「こ、こいつ…!」
ヴィータは戦慄しながらもグラーフアイゼンを構えなおす。
そんなヴィータになのはもレイジングハートを構えた。
「私が勝ったらお話聞かせてもらうからね、ヴィータちゃん!」
「この鉄槌の騎士ヴィータ様を舐めんなよぉ!!」
2人は吼えながら空中でぶつかり合った。
~~~~~~~~~~~~~~~
2つの影が、交錯し、離れ、また交錯する。
それが何度と無く繰り返されていた。
その2つの影はフェイトとシグナム。
「以前とは見違える動きだ、テスタロッサ。
すさまじい力を感じる…」
「いえ、バルディッシュと
シグナムの感嘆の声を、フェイトは首を振って否定する。
実際に強度が上がりアームドデバイスのレヴァンティンと正面から打ち合えるようになったバルディッシュと、
フェイトの最も得意とするものは高機動戦闘だ。
スピードによって相手に的確にダメージを与えていくものだが、スピードのためには装甲を削らなければならない。
装甲を増やせば当然スピードは遅くなるからだ。かといって装甲は直接生存性に関わってくる重要な部分、おろそかにすることは出来ない。
スピードと装甲…この矛盾する2つのファクターは永遠の課題だろう。
だが、
信じられない防御力を誇りながら、まったく機動性を阻害せず、それどころか
その反則的な力に驚きは耐えないが、それでも目の前の相手は油断できないとフェイトは気を引き締める。
「これほどの強者と戦えるとは、心が喜びに打ち震える。
テスタロッサ、手加減は出来んかもしれんが、そんな未熟な私を許してくれるか?」
「構いません。 勝つのは、私ですから」
そんなフェイトの答えが気に入ったのか、シグナムは満足そうに笑う。
「レヴァンティン、G型カートリッジ、ロード!!」
その言葉と共にガチャンという重い音が響き、シグナムの全身を濃密な
「いざ、参る!!」
「!」
踏み込んでくるシグナムを迎え撃つフェイト。
一進一退の攻防はまだまだ続きそうである。
~~~~~~~~~~~~~~~
アルデバランは快人と対峙しながらも、周囲の様子に苦笑を隠せなかった。
「あの子達の
「まぁ、その気持ちはよく分かる。
でも、あんなカートリッジに
アルデバランの言葉に、快人は同じく苦笑で返した。
アルデバランの言葉の通り、なのはとフェイトの今の様子は無茶苦茶の極みだという自覚はあったからだ。
夏の『邪神エリス事件』での一件で快人もシュウトも、なのはとフェイトのパワーアップの必要性を強く感じていた。
そこで利用しようと考えたのは、シュウトが何かの役に立たないかと回収していた
そう快人とシュウトは考えたが問題はいくつかあった。
まず修復をどうするか、ということだ。
快人とシュウトの
微弱な自己修復能力はあったが、明らかにそれでどうにかなる範囲を超えており、快人とシュウトには
普通にはどう考えても修復は不可能と思われた。
だが、シュウトの発想が状況を変える。
快人とシュウトの
それなら
邪神エリスとの激しい戦いのため
その破片を使い、
自身の血と
それを利用して、快人とシュウトは
おかげで2人は近頃、常時貧血気味という有様である。
こうして
それが出来なければ
最初2人は毎回、
こんなかさばる物を出して毎回毎回
それに実験をした結果、
そこで考えたのは『一部展開による高燃費化』と『
聖闘士星矢Ωにて、
同時に
そこで人前にあっても目立たない、『
これによって、どこでも目立つことなく快人とシュウトが
そしてデバイスの持つ魔法の技術によって
結果として、基本となるヘッドパーツ・胸部パーツ・片腕パーツだけを展開するなら5~8時間の使用が可能という、実戦に耐えれるだけの状態になったのである。
なのはとフェイトの現状はまさに『奇跡』だ。
2人の
「さて…こっちも始めようか、クソ牛!」
「いいだろう。
来い、
快人の右腕に蒼い炎が生まれ、アルデバランが腕を組む。
「
「グレートホーン!!」
蒼い炎の渦と野牛の形をした衝撃波がぶつかり合い、相殺しあい、爆発する。
「「おおおぉぉぉぉ!!」」
その爆発の中で拳を振り上げながら接近した2人の黄金が激突した。
~~~~~~~~~~~~~~~
「全員揃って無茶苦茶だな…」
クロノは戦場の様子を離れた場所で、仮設司令部から送られてくるモニターで見ていた。
信じられない高威力・高機動で縦横無尽に動き回るヴォルケンリッター。
そしてそれを相手に一歩も退かない、2人の少女魔導士。
どちらも管理局にいたのなら、すぐにでもエースと呼ばれるような存在になるだろうほどの化け物じみた才覚の持ち主だ。
その使い魔と協力者もザフィーラを2人でうまく抑えており、サポートとして一流。
と、ここまでなら魔導士として理解の出来る範疇である。
黄金の鎧を纏った、
拳を打ち合う2人は、光が流れるようにしか見えない。
サーチャーの超高感度カメラで、限界までスローにしてなお、光しか見えないのだ。
それを、隣にいた人物が解説する。
「ボクら
兄さんと
「…快人を包囲したとき、本格的な戦いになってたらと思うとゾッとするよ」
クロノは冷や汗を流しながら隣にいる黄金の鎧の人物、シュウトに言った。
ここは戦場から離れた地点だ。
クロノは戦闘が始まったと同時にその場所を離れ、合流したシュウトと共に探し物の真っ最中だ。
それは、もう1人の敵である。
遭遇したヴォルケンリッターたちは『闇の書』を持っていなかった。
そして、『なのはを貫いた女の手』に該当する人物がそこにいなかったのだ。
となれば、それに該当する人物が近くにいるはずである。
『闇の書』を確保してしまえば、この事件は終わる。
そこでシュウトとクロノはその捜索に当たっていたのだ。
そして…2人はあるビルの屋上でその探し物を発見した。
緑の服の、金髪の女だ。
その細い腕は、なのはを貫いたもので間違いないだろう。
クロノは即座に、その女の背後を取りデバイスを突きつけた。
「ロストロギアの所持、および使用の疑いであなたを逮捕します。
抵抗しなければ弁護の機会があなたにはある」
「いつの間に…」
「はっきり言いますが抵抗は無駄ですよ。
僕だけじゃない、彼がいますからね」
そう言ってクロノが顎で指す場所にいる、黄金の鎧を着た少年の姿にシャマルは驚きの声を上げた。
「ゴ、
「
無駄な抵抗はやめてください、ボクも女性に手を上げるのは好かないので…」
シュウトの有無を言わせぬ降伏勧告。
これでこの『闇の書事件』は終わる…クロノがそう思った瞬間だった。
「!?」
シュウトがクロノの横に割り込むと、クロノを狙ったであろう蹴りを防ぐ。
そこにいたのは仮面をつけた男だ。
クロノは突然現れた仮面の男に驚愕するが、シュウトにとっては脅威でもなんでもなく、眉一つ動かさない。
だが、そんなシュウトは突如、背中にツララを突き刺されたような寒気を感じ、クロノの首根っこを捕まえて後ろへと跳んだ。
ドゴッ!?
同時に、今まで2人のいた場所に1つの影が降り立つ。
それは、全身を隠すローブを纏った人物だった。
身長は180前後、体格的におそらく男。それが仮面をつけた男と並んで立っている。
「エイミィ、こいつらは!?」
『わかりません! こっちのサーチャーには何の反応も…!?』
突然の乱入者たちはまったくの謎の存在らしい。通信の先からはエイミィの戸惑った声が聞こえた。
しかし、それはシャマルにとっても同様なようで、乱入者たちに驚愕で目を見開いている。
そんなシャマルに仮面の男は言った。
「今のうちに、闇の書の魔力で結界を破壊しろ」
「あなたたちは一体…?」
「早くしろ、手遅れになる前に」
その言葉にシャマルは意を決したのか、何事かを始める。
「貴様ら、そいつらの仲間か!」
クロノは即座に仮面の男に向けて駆け出そうとしたが、シュウトが即座にその前に入る。
そして衝撃音が響いた。
「ぐっ!?」
シュウトのガードしている腕に、ローブの男の拳が振り下ろされていた。
その衝撃に驚愕しながらも、シュウトは空いた左手で黒薔薇をローブの男に放つ。
「ピラニアンローズ!!」
ローブの男は咄嗟に後ろに跳んで避けるが、ピラニアンローズはローブの男を逃さない。
だが…。
「な…に!?」
噛み砕く黒薔薇、ピラニアンローズはローブの男の手で受け止められていた。
岩すら粉々に噛み砕く黒薔薇を、まるで飛んできたボールでも取るかのように片手でキャッチしたのである。
そして、ローブの男が始めて口を開いた。
「
男か女か分からない、まるでボイスチェンジャーにでも通したような声の言葉に、シュウトは驚愕した。
「ボクを
この姿を見て
「お前、
しかも感じる
「…」
ローブの男は何も答えず、手を掲げた。
途端に、攻撃的小宇宙が放射される。
「!? プロテクトローズ!!」
シュウトは咄嗟に黄薔薇の壁を作り出して、クロノと自身の前に展開した。
シュウト自身は
強力な攻撃的小宇宙が、黄薔薇の壁とぶつかり衝撃となって周辺を震わせる。
その間に、展開していた結界がシャマルからの砲撃によって破壊されてしまった。
世界に色が戻っていく中、衝撃がやんだことで黄薔薇の壁を解いてみると、そこにはもはや誰もいない。
今の隙に逃げられたようだ。
「エイミィ、追跡は?」
『無理! 全然痕跡が見当たらないよ!?』
「くそっ!! 何なんだ今のやつらは!?」
捕縛が完全に失敗に終わったことを悟り、クロノが毒づく。
「あのローブの男…間違いなく黄金級の
一体何者なんだ…!?」
仮面の男とローブの男…シュウトは突如として現れた謎の勢力に戦慄を禁じ得なかった。
~~~~~~~~~~~~~~~
結界が破壊され、世界が色を取り戻していくことに戦っていたメンバーもこれまでと戦いを切り上げる。
「どうやら今回はここまでのようだ。
またの再戦を楽しみにしよう…」
「次は倒します」
シグナムは次の戦いを約束し、フェイトは自身の勝利を誓う。
「えーと、お前…」
「なのは。 高町なのはだよ」
「高町にゃの…。 にゃ…。
えぇい、面倒! 高町なんとか! 次はぜってぇ殺す!!」
「何その逆ギレ!?」
舌を噛んだヴィータが一方的な逆ギレと共に戦線を離脱。
ザフィーラもアルフ・ユーノとの戦闘を切り上げ撤退していく。
そして…。
「これまでの様だ。 ここは退かせてもらうぞ」
「まぁ、今の状態でおおっぴらに暴れるわけにもいかないからな。
俺も背中から相手を打つ趣味はない。好きに行けよ」
ヴォルケンリッターの殿を務めるアルデバランに、快人はシッシッと言った感じで手を振る。
「
「ああ、やってやるから好きな焼き加減を選んどけよ」
「ふん、言ってくれる…」
そう言って撤退していくアルデバラン。
「しかし今回で終わらないとは…シュウトが着いていながら遅れをとるはずがないんだがな…」
快人は打ち合って未だに痺れの抜けない腕を振りながら呟く。
こうして第二回のヴォルケンリッターたちとのぶつかり合いは、双方被害の無い引き分けで終わった。
しかし、前回はなのはとフェイトが実質的に撃墜されていたことを考えればその進歩は大きい。
快人としては自分とシュウトの策である、なのはとフェイトの強化が思い通りに行ったため満足ではあった。
だが、そんな気持ちも帰還して話を聞いた瞬間に吹き飛んでしまった。
仮面の男とローブの男という謎の存在の登場である。
シャマルの反応から、ヴォルケンリッターの仲間であるという可能性は低いだろう。
この突然現れた第三勢力の目的が読めない。
仮面の男は魔導士としてかなりの高ランク、侮れない相手だ。
だが、それ以上に侮れないのがローブの男である。
シュウトが、間違いなく黄金級と断ずる正体不明の
「謎の第三勢力にも、シュウトたちクラスの
その事実にフェイトが戦慄する。
「俺たちや
シュウト、相手の『星座』はわかるか?」
快人の言葉にシュウトは首を振る。
「それがまったく。
技は使ってこないし、見えた手足の部分も黒い布みたいなものでミイラみたいにしっかり覆われてて
「そうか…どの『星座』のやつか分かれば対策も考えられたんだがな…」
そう言って快人は息をつく。
「快人くん…」
「なのは、この事件、一筋縄じゃ行きそうにないぞ。
お前も気をつけろよ」
「うん」
快人の言葉に、なのはだけでなくそこにいた全員が頷いたのだった…。
~~~~~~~~~~~~~~~
八神家に戻ったヴォルケンリッターと、アルデバランこと牛島大悟は顔を突き合わせ話し合いの真っ最中だった。
ちなみに本日はこの家の主であるはやてはいない。
図書館で知り合ったという友達、月村すずかの家にお泊りに行っているのだ。
もっとも、だからこそ今夜全員で出掛けられたわけであるが…。
「あの魔導士の2人…テスタロッサと高町なのはだったか…あの2人は脅威だ。
まさか
「高町なんとかのやつ、アタシのG型カートリッジ使ったラケーテンを正面から受け止めやがったぞ」
「あの2人が管理局に付いたのは大きな脅威だな…」
シグナム・ヴィータ・ザフィーラは対峙したなのはとフェイトの力に舌を巻く。
だが、それ以上に謎なのがシャマルを助けた第三勢力の存在だ。
「お前を助けたというその男たち、一体何者だ?」
「分からない。 当面の敵では無いみたいだけど…。
それに管理局側にもう1人、
たしかローブの男に『
「管理局にもう1人の
「『
ヴィータの言葉に大悟が頷く。
「『
俺が最も苦手とするタイプだな」
「毒…対毒術式を組んでおく必要があるわね」
「ああ、シャマル頼めるか?」
「わかったわ」
「で、その新たな
状況は芳しくないな…」
ザフィーラの言葉に全員が目を伏せる。
「だが、我々には余り時間が無い。
今回の脱出で『闇の書』のページを使ってしまい、タイムリミットも僅かだ。
多少の無理は承知でも、分散して蒐集を行うほか無い…」
「こんなこと早く終わらせて、はやてと静かに暮らすんだ…」
ヴィータの言葉はこの場に居る全員の思いだ。
「そうだな、すべては主はやての未来のために」
そのシグナムの言葉で、その場は一旦のお開きとなる。
すると、大悟は立ち上がり玄関で靴を履き始めた。
「どっか行くのか、大悟?」
「ああ、少し夜風に当たってくる」
「なら、お土産でアイス買って来てくれよ」
「わかった、買ってくるよ…」
そうヴィータに言って、大悟は八神家から出て行く。
そして向かった先は、近所の公園だった。
その中央にまでやってきた大悟は、静かに、確信を持って呟く。
「出て来い。 さっきからこっちを見ていることは気付いている」
その言葉に答えるように、大悟の目の前に影が降り立った。
シャマルを助け、シュウトを抑えた謎のローブの男である。
「お前がシャマルの言っていた男か…。
シャマルを助けてくれたことには礼を言う。
だが…一体何が目的だ? 返答如何によっては…」
そう言って大悟は目の前のローブの男に向かって腕を組んだ。
「…」
だが、ローブの男は黙して何も語らない。
「貴様、答えろ!」
大悟は再度、ローブの男に向かって言ったその時だ。
大悟の背後に、巨大な
「なっ…!?」
大悟は慌てて背後へと振り返る。
そして…。
~~~~~~~~~~~~~~~
「なぁ、大悟のやつ遅くないか?」
夜の支度も終わった八神家のリビングでヴィータが呟いた。
「確かにシグナムの長風呂が終わっても帰ってこないなんて遅いわね」
「…私の風呂はそんなに長いか?」
シグナムが恨みがましい視線をシャマルに向けるが、シャマルは気にした風もない。
「…よもや、襲撃を受けているということはないだろうな?」
「…確かにありえるか」
ザフィーラの言葉に、シグナムとヴィータがデバイスを手に立ち上がろうとしたその時。
「ただいま」
玄関から声がして、大悟が家に帰ってきた。
「遅かったじゃん。 何してたんだよ?」
「お前の頼まれ物を買ってきてやったんだろうが」
そう言って大悟はアイスの入ったビニール袋を掲げる。
「やった! アイスアイス!!」
ヴィータが小躍りしながらそのビニール袋を受け取ろうとしたその時、ぐらりと大悟の身体が傾いた。
「!? 大悟!!」
慌ててシグナム、シャマルが大悟を支える。
「すまない、ちょっと頭痛が…」
「気をつけて下さい。 ただでさえG型カートリッジの作成で貧血気味なんですから…」
「今日の戦闘のこともある。 今夜はすぐに休め」
「…そうする。
アイス食いすぎるなよ、ヴィータ」
「あ、ああ。 お前もしっかり休めよ」
言われ、大悟は自室へと戻っていく。
ズキン、ズキン――
(本格的に無茶をしすぎたか? この頭痛は…)
止まない頭痛に顔をしかめる。その時、ある疑問が湧きあがった。
(? 何時だ? 俺は何時からこんな頭痛が出るようになった?)
G型カートリッジの作成のときではない、
もっと後に…何か、理由があったような…。
ズキン、ズキン――!
「くっ!」
大悟は頭痛を振り払うように頭を振って、自室へと戻っていった…。
というわけで第三勢力が満を持しての登場。
そして最悪のフラグが立ちました。
多分、聖闘士星矢を知る人なら今回の話、
『誰が』『何をして』『どうなったか?』
もう丸分かりでしょうが、そこはネタバレは禁止でお願いします。
追伸:Ωで今後、新聖衣ヒャッホウ!
ぜひともオブジェ形態を取り戻して下さい。
そしてとんでもないタイトル詐欺…『黄金集結』と言いながら出てきたのは牡羊座のキキだけとは…。
シルエットだけでもいいから出して欲しかった…。
そして普通に殴りかかってくる牡羊座…娘が人質にとられてるくらいであって欲しいですね。
次回もよろしくお願いします。