俺たち転生者 蟹魚復権活動中   作:キューマル式

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今回はイベント詰め込み過ぎなA'S編最終章、『聖夜決戦編』の序章です。
今回だけでも起きるイベント数が半端ない…。


第30話 蟹と魚と魔法少女、永い聖夜が始まる

フェイトが蒐集された一件以降、管理局の必死の捜索であるにも関わらず再びヴォルケンリッターたちを捉えることが出来なくなっていた。

 

「ここまで完全に裏をかかれるとなると、もうどう考えても偶然とはいえんな…」

 

セージたち聖闘士(セイント)組は、完全に内通者が存在することを疑っていない。

そしてその内通者もギル=グレアムたちで決まりだろうが残念ながら証拠がなく、クロノの調査結果を待つしかない状態だった。

そんな中、ユーノは無限書庫で『闇の書』についての資料を発見したらしい。

関係者を集めた会議の席でユーノからその結果が報告された。

 

「『闇の書』というのは管理局が付けた通称で、元々は『夜天の書』という名前だったんだ。

 その目的は、失われていく魔法や知識を後世に残すこと。『夜天の書』は記録装置だったんだ。

 『無限再生機能』や『転生機能』も記録の劣化や喪失を防ぐ為の単なる『復元機能』だったみたい」

 

「おいおい、あのヴォルケンリッターってのはそれを守るプログラムなんだろ?

 あれだけの機動戦力を保持するなんて、ずいぶんと物騒な記憶装置だな」

 

「当時の古代ベルカは戦国時代、見渡せば戦争がそこかしこで起こっている状態だったからね。

 自衛戦力が必要って観点から付加されたんだと思うよ」

 

呆れたように言う快人に、こちらも呆れたようにユーノが返す。

 

「しかし、そうなると何故現在のように変わってしまったのか解せないな」

 

「お師様の言う通りだよ。

 完成したら暴走して自滅するようなシステムを、後付けで組み込むことのメリットが分からない…」

 

アルバフィカの言うことにシュウトが頷く。

今の『闇の書』は完成と同時に主を喰い殺し、世界を滅ぼした後にまた新しい主の元へ転生する、まさに呪われた代物だそうだ。

だが、その仕様は最初からでは無いという。

ならば、最初の目的からあまりにもかけ離れてしまったこの姿にした『誰か』がいたことになるが、その人物が何を望んでこんなシステムを作ったのかが全くの不明だ。

普通、完成された物に付加機能を付け加えるのなら、それは何かしらのメリットがあるからに他ならない。

だが今の『闇の書』にメリットなど、どう考えても皆無だ。

 

「長い間に複数人のやった改造のバグが溜まって、今の『闇の書』に偶然なったんじゃないかしら?」

 

プレシアが学者としてそれらしい可能性を上げるが、ユーノは首を振る。

 

「それが、過去の記録を調べていくとある時突然、『夜天の書』は『闇の書』へと変化しているんだ」

 

「突然?」

 

「うん。

 現存する記録を調べていくと、ある時を境に不自然なくらいいきなり『夜天の書』は『闇の書』へと変わってるんだ。

 これが今、現存する太古の『闇の書』の暴走の記録なんだけど…

 

『空に門浮かび、嘲る影に、皆命を喰われ、世界は滅びた』

 

 …って書かれてる」

 

「何とも抽象的な破滅の描写ね」

 

「「「「……」」」」

 

余りにも抽象的で何があったのか全く分からない内容にリンディは肩を竦める。

だが、快人・シュウト・セージ・アルバフィカの聖闘士(セイント)組は無言だった。

 

「? どうしたの、快人くん?」

 

隣で何事かを考え込んでいる快人たち聖闘士(セイント)組の様子がおかしいことに気付いたなのはが快人に声をかけた。

 

「いや、すんげぇ嫌な想像をしちまっただけだ。 なぁ、シュウト?」

 

「…うん」

 

快人の言葉に、シュウトは頷く。

聖闘士(セイント)組は、今の記録の文章が比喩や抽象では無く、『見たそのまま』の光景だった場合を考えていた。

まさかと思うが『夜天の書』が『闇の書』に突然変わったというのは、『アレ』がとりついたということは…。

 

「現段階では想像の域を出ないが…どうあっても防ぐ必要があるな、快人」

 

「言われなくても分かってるよ、じいさん…」

 

セージの言葉に、珍しく快人は神妙に頷いたのだった。

 

結局、有力と思えるような情報がないまま時間だけが刻一刻と過ぎ去っていく。

その間もヴォルケンリッターは少数であるが故の機動性を最大限利用し、蒐集、撤退を繰り返していた。

そして、遂に決戦の時、『聖夜』を迎えることになる。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「はぁ? 見舞い?」

 

学校の屋上での昼食時、すずかからの提案に快人は素っ頓狂な声を上げた。

なんでもすずかの友人である『八神はやて』という少女が入院してしまったらしい。

そのお見舞いに行こうというのだ。

 

「別段行くのはやぶさかじゃないが、俺たちみたいな知らない相手がいきなり行ってもいいものなのか?」

 

「うん。 話をしたら『是非』って。 入院って動けなくて辛いから寂しいんだと思う。

 だからみんな…どうかな?」

 

「もちろん行くわよ。 ね、なのは、フェイト!」

 

「うん!」

 

「すずかの友達だもの。 ちょっと会ってみたいし…」

 

上目遣いに尋ねるすずかに、なのはとフェイトとアリサが答える。

いつもの仲良し4人娘は今日も健在のようだ。

 

「というわけで、蟹にシュウトも決定ね」

 

「それは良いけどよぉ…いきなりで気のきいたプレゼントなんて用意できねぇぞ」

 

「ボクもすぐ用意できるものなんて薔薇の花束くらいしか…」

 

「「「それは絶対やめろ(て)!!」」」

 

「…その言いぐさは酷いよ、普通の薔薇に決まってるじゃないか」

 

快人・なのは・フェイトの音速のツッコミに、シュウトは口を尖らせた。

 

「私たちも用意出来てないけど、その辺りはなのはちゃんの家でケーキを買っていこうかなって思ってるんだけど…」

 

「それなら私、お母さんに電話してくるね!」

 

なのはが家に電話をかけるために席を立ち、その日の放課後の予定は決まった。

この時はまだ、これが『闇の書事件』の最終章への序曲になるなど、神ならぬ身である快人たちには知る由もなかった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「友達か」

 

「そや! 今日、すずかちゃんがお友達連れてお見舞いに来てくれるんや!

 私楽しみで楽しみで…」

 

そうベッドから身を起こし大悟に語るはやては本当に楽しそうだ。

そんなはやての姿を見ていると、大悟の方まで笑みが漏れてくる。

見れば、大悟だけでなくシグナムもヴィータもシャマルからも微笑みが漏れていた。

 

 

コンコン…。

 

 

「来た来た! どーぞ!」

 

ドアを叩く音に、嬉しそうに答えるはやて。その視線を追い、入口へと振り向いた大悟。

そして…バッチリと目があった。

 

『『『!!?』』』

 

黄金聖闘士(ゴールドセイント)3人と魔法少女、そしてヴォルケンリッターたちの視線が交錯する。

 

「お邪魔します…はやてちゃん」

 

「いらっしゃい、すずかちゃん!」

 

すずかの言葉に、うれしそうに返すはやてはそのまま居並ぶシグナム・ヴィータ・シャマルを紹介していく。

 

「で、こっちにいるのが私の同い年の幼馴染の…」

 

「…牛島大悟だ。 よろしく…」

 

「…ハジメマシテ。 俺は蟹名快人だ」

 

そう言って快人と大悟は、互いに微妙な顔のまま握手を交わした。

微妙な雰囲気の中見舞いという名のお茶会は始まり、はやてとすずか、そしてアリサはそれを楽しんでいるらしい。

だが、快人たち4人と大悟とヴォルケンリッターは互いをけん制し合うように視線を交わしていた。

 

「快人くん…」

 

「…俺も連中には色々言いたいことはあるが、今は我慢しろ。

 すずかの企画でやってるお茶会だ、ここで台無しにしたらすずかの顔に泥塗ることになるからな」

 

「うん…」

 

その重圧に耐えきれなくなったようになのはが小声で言うが、快人は飲み物を飲みながら何でもないように言い放つ。

快人の視線の先では、同じようにフェイトをヴォルケンリッターたちからの視線から守るような立ち位置で立つシュウトがいた。

だが、これでこの『闇の書事件』の裏側にあった事情が読めた。

 

「八神はやて…か…」

 

彼女こそが『闇の書』の主、そして大悟とヴォルケンリッターたちが戦う理由は彼女のためなのだろう。

 

「なのは、『闇の書事件』の最終決着は…今夜だ。

 気合い入れていくぞ」

 

「…うん!」

 

快人の言葉になのはは頷くと、今は目の前のお茶会を楽しもうと決めた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

お茶会が終わり、名残惜しそうにしながらもはやての病室を後にした快人・シュウト・なのは・フェイトの管理局組と大悟・ヴォルケンリッターの面々はそのまま屋上へと移動し、互いに向かい合う。

 

「「…」」

 

互いに語る言葉を持たず、しばしの間視線を交わし合った。

 

「…一応確認だ。

 『闇の書』の主は八神はやて、そしてお前らが『闇の書』の復活に躍起なのはあいつの命を助けるためか?」

 

「…その通りだ。

 このままでは主はやてはそう遠くない未来、『闇の書』によって喰い殺される。

 それまでに『闇の書』を完成させ『闇の書の主』となって頂くしか、主の命を救う方法はない」

 

「まぁあの魂の揺らぎ様じゃ、そう長くはないわな」

 

シグナムの答えに、快人はポリポリと頭を掻きながら答える。

黄金聖闘士(ゴールドセイント)中もっとも『魂』について熟知している蟹座(キャンサー)である快人には、はやての状態が普通では無いことに気付いていた。

恐らくそれが『闇の書の呪い』というやつなのだろう。

 

「それなら事情を話してくれれば…」

 

「『力になれた』とでもいうのか、テスタロッサ?

 我ら『闇の書』は管理局と何度も敵対した覚えもあるのだぞ。

 今まで管理局は『闇の書』を発見次第、魔導砲アルカンシェルで吹き飛ばしてきた。

 『闇の書とその主です、助けて下さい』とでも言えば、主を助けてもらえたか?

 答えは否。 管理局は嬉々として主ごと我らを魔導砲アルカンシェルで吹き飛ばしただろうな」

 

「それは…」

 

フェイトも今までの管理局の『闇の書』に対する対処を知っているため、シグナムの言葉に口ごもる。

だが、それでは駄目だ。

ユーノの調べた結果では、『闇の書』が完成しても待っているのは破滅のみで『絶大な力』など手に入らないのだ。

 

「お願い、話を…」

 

「うるせぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

なおも呼びかけようとするなのはに、激昂したヴィータがバリアジャケットを展開しグラーフアイゼンを叩きつける。

 

 

ガギン!!

 

 

なのはは、緊急展開した楯座聖衣(スキュータムクロス)の楯でその一撃を防いだ。

ギリギリと火花散らすグラーフアイゼンと楯座聖衣(スキュータムクロス)の楯。

 

「もう少し、もう少しなんだよ。

 もう少しではやての病気が治って、アタシたちは静かに暮らせるんだ。

 だから邪魔すんな、邪魔すんなよおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「!?」

 

叫びと共に渾身の力の込められた一撃がなのはを吹き飛ばす。

 

「なのはぁ!?」

 

「おおおぉぉぉぉぉ!!?」

 

「「!?」」

 

なのはの元に向かおうとしていた快人だが、突然動きだした大悟のタックルによってシュウトともども押され彼方へと飛んでいく。

 

「なのは! 快人、シュウ!!?」

 

「ジャミングと結界を張らせてもらったわ。 これで外部への連絡は不可能…」

 

「まだだ、まだ我らのことを管理局に知られるわけにはいかん!

 テスタロッサ、ここで沈んでもらうぞ!!」

 

戦闘態勢に入ったシグナムとシャマルに、フェイトもバリアジャケットと矢座聖衣(サジッタクロス)を展開し、戦闘態勢に入る。

そんな中、ヴィータはなのはの吹き飛ばされた瓦礫を見ていた。

燻ぶる炎をバックに、バリアジャケットと楯座聖衣(スキュータムクロス)を展開したなのはの姿がある。

 

「この悪魔め…」

 

「悪魔で…いいよ」

 

ヴィータの呟きに、なのははレイジングハートを構えながら答える。

 

「悪魔らしいやり方で…力尽くでもお話を聞いてもらうから!!」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

なのはとフェイトが聖夜の決戦へと入ったそのころ、吹き飛ばされた快人とシュウト、そしてそれを行った大悟は病院近くの公園へと墜落していた。

 

「痛ぅ…あのバカ力が…」

 

「流石牡牛座(タウラス)、このパワーは噂以上だよ」

 

快人とシュウトは立ちあがってパンパンと服についた埃を落とすと、大悟を正面から見据える。

 

蟹座(キャンサー)ァァ、魚座(ピスケス)!!

 はやてのため、はやてのために貴様らは…殺す!!」

 

「おうおう、すげぇ殺気だ」

 

大悟の放つ濃密な殺気に、快人はヒュゥと息を漏らす。

 

「兄さん…」

 

「…シュウト、お前は行け。 あのクソ牛との決着は俺が付ける」

 

「それはいいけど…一筋縄じゃ行きそうにないよ」

 

「なぁに、何とかするさ」

 

快人の言葉にシュウトは頷くと、魚座聖衣(ピスケスクロス)を装着して空へと飛び上がりなのはたちの元へと向かう。

残ったのは互いに向き合う快人と大悟。

 

「思えばこの『闇の書事件』…始まりは俺とお前の戦いからだったな。

 …決着つけようや、牡牛座(タウラス)!!」

 

蟹座(キャンサー)ァァ!!」

 

吠えて、2人は同時に自らの聖衣(クロス)を呼び出した。

 

蟹座聖衣(キャンサークロス)!!」

 

牡牛座聖衣(タウラスクロス)!!」

 

そして、同時に一歩を踏み出した。

 

「「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」」

 

蟹座(キャンサー)牡牛座(タウラス)、2人の最後の戦いが始まる。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

魚座聖衣(ピスケスクロス)を装着してフェイトたちの元へと向かおうとしていたシュウトは、強力な小宇宙(コスモ)を感じ取るとその方向を見上げる。

そして、そこにはある意味予想通りの存在がいた。

 

「またあなたか…」

 

「…」

 

宙に浮かぶそのローブの男はやはり無言だ。

だが、明らかに戦闘態勢であることを示す濃密な小宇宙(コスモ)を感じる。

 

「あなたは何の目的があってボクたちの邪魔をするんですか?

 あなたはアレに、『闇の書』に憑いているかもしれないものを理解して邪魔してるんですか?」

 

「…」

 

だが、シュウトの言葉に答えたのは言葉ではなく、ローブの男からの攻撃的な小宇宙(コスモ)の放射だった。

 

「くっ…そっちがその気なら…ボクも相応の態度をとらせてもらう!!」

 

シュウトはそう宣言すると、黒薔薇を取り出して小宇宙(コスモ)を爆発させた。

 

「ピラニアンローズ!!」

 

噛み砕く黒薔薇が、ローブの男へと迫り、ローブの男はそれを回避していく。

シュウトとローブの男との空中戦が始まった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「墜ちろ、墜ちろよ高町なんとかぁ!!」

 

「そこだ、テスタロッサ!!」

 

シャマルからの的確な情報援護を受けたシグナムとヴィータの猛攻に晒され、なのはとフェイトは防戦一方だった。

デバイス性能、そして聖衣(クロス)の装着によって各種能力が強化されているなのはとフェイトは確かに強い。

個人での戦力は装備の質もあり、シグナムとヴィータを超えているかもしれない。

だが、ヴォルケンリッターは元々4人で一つの機動戦力集団。

その真価が発揮されるのは全員が揃っての連携戦術である。

そのコンビネーション攻撃はなのは&フェイトコンビを凌駕していた。

 

「そこぉ!!」

 

「フェイトちゃん!?」

 

シグナムと打ち合い、足を止めたフェイトに襲いかかるヴィータ。

それをなのはが割り込んで楯座聖衣(スキュータムクロス)の楯と防御魔法で弾いて双方が距離をとった。

 

「倒す、高町なんとか!」

 

「我らは負けられん、主のために!!」

 

今日のヴォルケンリッターは今までとは気迫がまるで違う。

退くことのできない事情があり、ヴォルケンリッターは背水の陣の状態なのだ。

その主への想い、八神はやてへの純粋で美しい想いがヴォルケンリッターの実力をいつも以上に引き出している。

それが痛いほど分かるからこそ、余計になのはとフェイトは悲しかった。

 

「何で、何でなの! 一緒に協力して、はやてちゃんを救えるかもしれないのに!!」

 

「戦いなんてやめて! はやてのために出来る事があるかも知れないから!!」

 

「うるせぇ!

 もうこれしか、はやてを救うにはもう『闇の書』を完成させるしかねぇんだよ!!」

 

「そうしなければ主は死ぬ! それが呪われた『闇の書』の運命だ!

 そんな呪われた『闇の書』のプログラムである私たちを愛してくれた主のため、我らは戦うしかないのだ!!」

 

なのはの声もフェイトの声もヴォルケンリッターには届かない。

でも、なのはは我慢がならなかった。

そんな尊い想いを持っているのに、何故、どうして…。

 

「何で…? 何で『呪われた魔道書』とか『闇の書』なんて呼ぶの!?

 あなたたちにはもっと他の、創った人が夢と情熱を託した、本当の名前があったでしょ!!」

 

そのなのはの言葉に、ヴォルケンリッターの様子に変化が生まれた。

明らかに動揺している。

 

「本当の…名前?」

 

ヴィータがそう呟いたときだった。

 

「「「!!?」」」

 

ヴォルケンリッターにバインドが絡みつく。

同時に、なのはとフェイトにもバインドが絡みつき、その自由を奪っていた。

 

「これは…!?」

 

「一体…何なんだよ!?」

 

「フェイトちゃん、そっちは!?」

 

「駄目、かなり強力なバインドでしばらく動けない!?」

 

ヴォルケンリッターはもとより、小宇宙(コスモ)で強化されているなのはとフェイトですらその拘束を振り払うことが出来ない。

 

「成程、小宇宙(コスモ)という力での魔法の強化…予想以上だな。

 これだけのバインドが、あまり長く持ちそうにない」

 

その声に全員が視線を向けると、そこには2人の仮面の男が浮いていた。

 

「お前たちは!?」

 

「一体、何が目的だ!!」

 

ヴォルケンリッターの言葉に、仮面の男たちが答える。

 

「何、お前たちの願い通り『闇の書』を完成させてやろうと思ってな…」

 

「どういう、ことだ?」

 

「丁度、役者が揃ったようだ。

 見せてやろう…」

 

仮面の男たちの視線の先には、ザフィーラの姿があった。

はやての身辺警護のため、限界まで潜んでいたザフィーラだがシグナム達の危機に、仮面の男たちへと襲いかかる。

だが、その動きは見透かされていた。

バインドで拘束されたザフィーラが、それでも仮面の男たちに一撃をみまおうともがく。

そんなザフィーラへと、仮面の男たちは『闇の書』を向けた。

 

「ぐ、おおぉぉぉぉぉ!!?」

 

「ざ、ザフィーラ!!?」

 

光となって消えていくザフィーラ。

彼らヴォルケンリッターは『闇の書』のプログラムが魔力で現出している存在である。

その命とも言うべき魔力が『闇の書』に蒐集されたのだ。

 

「『闇の書』完成の最後を飾るのはお前たちの魔力だ。

 どうだ、光栄だろう?」

 

「き、貴様ぁ!!」

 

激昂したシグナムが魔力を込め拘束を振りほどこうとするが外れない。

そして抵抗も空しく、シグナムが、シャマルが『闇の書』に蒐集され消えていった。

 

「シグナム!?」

 

「何で!? 何でこんなことをするの!!」

 

「全ては平和のためだ」

 

なのはとフェイトの言葉に仮面の男はそう答えると、手をかざす。

するとなのはとフェイトの周囲に壁のようなものが展開された。

 

「これ…視認阻害の魔法?」

 

それは外部からこちらが見えなくなる視認阻害の魔法だ。

それで覆われたなのはとフェイトは外部からは見えなくなる。

どうしてそんなことをするのか分からないなのはとフェイトだが、その2人の前で仮面の男たちの姿がなのはとフェイトへと変わった。

変身魔法を使ってなのはとフェイトに成り済ますつもりなのだ。

 

「さぁ…最後の仕上げだ」

 

その時、仮面の男たちの呟きに答えるように、屋上のドアが開いた。

 

「あれは!?」

 

「はやて!!」

 

なのはとフェイトが声を上げる。

やってきたのははやてだった。

はやては不思議な感覚に襲われ、それに導かれるように屋上へとやってきたのである。

 

「なんや、これ…?」

 

全く理解のできない光景に、はやてはポツリと呟くが宙にヴィータの姿を認めた瞬間、悲鳴のような声を上げる。

 

「ヴィータ! それに…なのはちゃんにフェイトちゃん!?」

 

はやての目には、なのはとフェイトに変身した仮面の男たちが見えていた。

その時になって2人は自分たちを取り囲む視認阻害の魔法の意味を悟った。

なのはとフェイトの姿を騙って何かをするつもりなのだ。

その予想通り、なのはとフェイトの姿の仮面の男たちがはやての目の前でヴィータを『闇の書』へと蒐集していく。

 

「あああぁぁぁぁ!!?」

 

「ヴィータ!? やめて、なのはちゃん、フェイトちゃんやめてぇぇ!!」

 

ヴィータの悲鳴にはやての懇願の声が響く。

だが、その声も虚しく、ヴィータは『闇の書』へと蒐集され消えてしまった。

 

「あ、ああ…」

 

目の前で消えていった家族に、はやての心が絶望で黒く塗りつぶされる。

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そしてはやての絶叫を産声にして、遂に『闇の書』は覚醒したのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

『闇の書』の覚醒と共に目的を果たした仮面の男たちは一気に離脱すると、ビルの屋上へと降り立った。

 

「『闇の書』の復活は計画通り。 後は予定通り永久封印を…」

 

「悪いけれど、ここまでだよ」

 

その声にハッとして仮面の男たちが反応するがすでに遅い。

気が付いた時には幾重ものバインドが仮面の男たちを絡め取っていた。

 

「大人しくしてもらおう…」

 

「クロノ…」

 

それはデバイスを構えたクロノだった。その顔は何かに耐えるように沈痛だ。

 

「2人の言葉がただの冗談だったら…何度だってそう思ったよ。

 でも…いくら調べても真実はただ一つだった…」

 

「こ、これは!?」

 

仮面の男たちから光が立ち上っていく。

クロノのこのバインドはストラグルバインドという特殊なバインド魔法だ。

この魔法は対象にかかっている強化魔法などの魔法効果を強制解除するという効果を持っている。

その効果によって仮面の男たちの変身魔法が解除されてきたのだ。

そしてその下から現れたのは…。

 

「ロッテ…アリア…」

 

クロノの魔法の師である、猫の使い魔姉妹だった。

快人たちの言葉は全て正しかったのである。

 

「この事件の重要参考人として説明してもらう。

 もちろん…グレアム提督にもだ」

 

「くっ…」

 

クロノはリーゼ姉妹を捕縛したまま、転移したのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

仮面の男たちのかけたバインドをなのはとフェイトが突破するのと、はやてを包んでいた黒い光が消えていく。

そして、そこに居たのははやてでは無く、銀の髪の少女だった。

その少女…『闇の書』の管制人格は静かに、繰り返された悲劇に涙を流す。

 

「また…すべてが終わってしまうのか…」

 

その涙で濡れた瞳で、なのはとフェイトを見る。

そして、掲げた手に集まった禍々しい光を解き放った。

 

「…デアボリック・エミッション」

 

「「!?」」

 

強力な砲撃を、なのはとフェイトは散開して回避する。

 

「やめて! 何であなたは私たちに攻撃するの?」

 

「すべては主の望み…愛しき家族、守護騎士たちを破壊したお前たちを破壊する…」

 

「あれは私たちじゃない! 私たちに変身したあの仮面の人たちなの!!」

 

だがそんななのはとフェイトの必死の言葉には答えず、管制人格の少女は砲撃魔法の準備に入っていく。

その魔力の凄まじさは、2人をして戦慄させるのに十分だった。

 

「この距離で受けたら不味いよ!」

 

「なのは、後退しよう!」

 

なのはとフェイトは頷きあって管制人格の少女からの距離を取る。

だが、その時だった。

 

『マスター、結界内に一般人が取り残されています』

 

「ええーー!? どこ!?」

 

『右後方5時の方向、地上です』

 

その言葉に視線を向けたなのはとフェイトは驚きで目を見開いた。

 

「「アリサ(ちゃん)にすずか(ちゃん)!!?」」

 

そこに居たのはまぎれもなく親友の2人だ。

そして、驚きによって生じたその1秒にも満たない思考の空白は、なのはとフェイトの退避の時間を奪った。

放たれる極大の砲撃魔法。

それはなのはの必殺魔法である『スターライトブレイカー』だ。

管制人格の少女は、『闇の書』が蒐集した魔法を使うことが出来るのである。

そして当然のように殺傷設定での砲撃、直撃を受ければ命が危うい。

 

「! やるよ、レイジングハート!?」

 

『いつでも、マスター』

 

フェイトの前に出たなのはは左腕の楯座(スキュータム)の楯を構えると、魔力と小宇宙(コスモ)のありったけを込めて、新しい魔法を展開した。

 

「パーフェクト・スクエア!!」

 

楯座(スキュータム)の楯を一回り大きくしたような光の楯がなのはの前に展開される。

それはなのはの魔力と小宇宙(コスモ)、そして防御力に優れた楯座(スキュータム)の楯によって作られた防御魔法だ。

防御面は前面のみだが、今までの防御魔法とは一線を画す防御力を誇っている。

その光の楯が管制人格の少女の放った『スターライトブレイカー』を防いでいた。

だが…。

 

「!?」

 

遮られた破壊の光の奔流は、その行き場を求めるように横に逸れていく。

そして、その一筋がなのはとフェイトの後方に位置していたアリサとすずか目掛けて伸びていった。

 

「ダメ、逃げてぇぇぇぇ!!」

 

それに気付いたフェイトが叫ぶが、そんな声が届くはずもない。

そして、その破壊の光は容易く2人の身体を焼き尽くすだろう。

その事実に、なのはとフェイトの頭が真っ白になる。

だが…。

 

「えっ?」

 

何かがその光を遮り、2人を守っていた。

それは…。

 

「男の子?」

 

それは同い年くらいの少年だ。

彼はアリサとすずかを焼くはずだった光を弾き飛ばすと、まるで最初からそこに居なかったかのように掻き消える。

 

「今の…何だったの?」

 

なのはの呟きに、フェイトは答えることが出来なかった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

激しい空中戦を繰り広げていたシュウトとローブの男は一進一退とも言える攻防を続けていた。

その目的は明らかに時間稼ぎだ。

シュウトにヴォルケンリッターを倒させないように時間を稼いでいるように見える。

 

「くっ…」

 

その技量によって釘づけにされたシュウトは憎々しげに舌打つ。

そんなことを続けているといつの間にか、不気味な気配が生まれていることに気付いた。

 

「何だ?」

 

見ればいつの間にかヴォルケンリッターたちは消え、変わりになのはとフェイトは銀の髪の少女との戦いを始めている。

 

「あれは…」

 

「あれは『闇の書』の管制人格だ。

 『闇の書』は完成したということだな」

 

「くっ…」

 

目の前のローブの男の思い通りになってしまったことに、シュウトは臍をかむ。

その時、管制人格の少女が放った閃光の先に、見覚えのある姿をシュウトは確認した。

それはアリサとすずかだ。

 

「まずい!!?」

 

どうして結界内にいるのか、それは後回しだ。今は2人を助けるために動かなければならない。

シュウトは攻撃的な小宇宙(コスモ)をローブの男に放つと、同時に一直線にアリサたちを目指そうとした。

視線の先にはローブの男の姿がある。

シュウトはローブの男が攻撃的な小宇宙(コスモ)を避けたその横を通り過ぎて行こうと考えていた。

今まで自分と一歩も引かずに戦えたこのローブの男が、あの程度の攻撃的な小宇宙(コスモ)を避けれないはずが無いという、ある意味では信頼したうえでの行動だった。

だが…。

 

「何!?」

 

ローブの男はシュウトからの攻撃的な小宇宙(コスモ)を避けるどころか棒立ちのまま受ける。

通り過ぎるつもりだったシュウトはそのままローブの男と空中でぶつかってしまった。

何故ローブの男が避けなかったのか考えるのは後と体勢を立て直し彼方を見ると、そこには不思議な光景が広がっていた。

1人の少年が管制人格の少女からの閃光を防いでいたからだ。

しかもその身から立ち上っているのはまぎれもない小宇宙(コスモ)である。

 

「あれは一体…?」

 

やがて、閃光が消えると少年は掻き消えるように姿を消す。

 

「テレポーテーション? それよりあいつは一体…?」

 

辺りを見渡せば、あのローブの男はいつの間にか消えていた。

そのときになって、シュウトはローブの男にぶつかったときの違和感を思い出す。

それは感触、まるで『中身の入っていない缶』のようなどこか手応えのない感覚だった。

 

「…ん? 『中身の入っていない』?」

 

そのフレーズに、シュウトの脳裏をよぎるものがあった。

だがシュウトは頭を振り、その考えを片隅へと押しやる。

 

「兄さんはまだ戦いの真っ最中か…」

 

今はなのはやフェイトを助けるほうが先決だろう。

そう考えると、シュウトは2人の下へと飛んでいく。

シュウトは気付いていない。

先程脳裏をよぎった考えを片隅へと押しやったこと…それは無意識に『そうなって欲しくない予想』から逃げたということに。

そしてその予想は…兄である快人が辿りついた推測と、同じものであったことをシュウトは知らなかった…。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

その時のアリサとすずかは混乱の極みに居た。

2人はなのはたちと別れてから街を歩いていた。

イルミネーションに彩られ、多くの人々の行き交う街…そのはずなのに、人がどこにもいなくなっていた。

見上げてみれば、まるで色を失ったような不気味な空。その空に閃光が乱舞する。

 

「何なの、これ!? 一体どうなってるの?」

 

「落ち着こう、アリサちゃん。 とりあえず、どこかに避難しようよ」

 

「どこかって…どこに避難すればいいのよ?」

 

「それは…」

 

アリサの言葉にすずかが口ごもる。

地震なら建物から離れて公園などの広いところに避難すればいい。

津波なら高い建物に避難すればいい。

だが、今、何が起こっているのか全く分からない状況ではどこに避難すればいいのかすら、全く見当がつかない。

2人が途方に暮れていたその時だった。

 

「すずか、あれ!」

 

「えっ?」

 

アリサの指さす方を見れば、そこには流れ星のように空の一点に光が集まっていく光景が広がっていた。

その光が禍々しく見えたのはアリサとすずかの気のせいではないだろう。

閃光は空中で何かに遮られるが、そこから逸れた一条の光が2人に向かって突き進んでくる。

 

「「!?」」

 

アリサとすずかは反射的に手で顔を庇うが、それが無駄だろうことは分かっていた。

あの閃光は2人の身体を跡形もなく蒸発させるだろう。

そんな時、すずかはあの時の言葉を思い出していた。

 

(そう言えば今日は出歩くなって言われてたのに…)

 

その脳裏に浮かんだのはあの図書館の少年。

彼の言葉に従うべきだったと、少しの後悔とともにすずかの人生は幕を閉じるはずだった。

 

「えっ?」

 

どこからともなく躍り出た人影が、2人の前に立ち右手を突き出す。

すると、その凶暴な光は最初からそこに無かったかのように掻き消えていった。

 

「あ、あの…ありがとう…」

 

「…」

 

その言葉にその少年は無言で半分だけ振り返る。

その時、すずかはあることに気付いた。

 

「!? 待って!!」

 

顔はしっかりとは見えない。だが、その首筋には見覚えのあるイルカのネックレスが見えたのだ。

 

「…」

 

だが、その少年は何も答えず、そのまま幻のように消えた。

 

「すずか、今のって、もしかしていつかの蟹?」

 

アリサはこの不思議な光景に、いつぞや自分とすずかを助けた『正義の蟹 キャンサー・デスマスク』を思い出していた。

だが、すずかはアリサのその言葉に首を振った。

 

「違う…でも、知ってる人だと思う…」

 

そして、すずかはその少年の名前を呟いたのだった。

 

「総司くん…」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

管制人格の少女からの閃光を防ぎ切ったなのはとフェイトは、すぐに2人へと近付く。

 

「アリサちゃん、すずかちゃん!!」

 

「その声は…」

 

「なのはちゃんにフェイトちゃん!?」

 

魔法少女姿のなのはとフェイトに、アリサとすずかは驚きの声を上げる。

そこにシュウトもやってきた。

 

「みんな、無事!?」

 

「って、今度はシュウト!?

 しかもその金ぴかの鎧って…アンタもしかして『正義の蟹 キャンサー・デスマスク』の仲間?」

 

「…どういう偽名を名乗ってるんだか」

 

あまりにもな快人の偽名にシュウトは頭を抱えるが、今はそれどころではない。

その時、なのはとフェイトにアースラにいるエイミィから通信が入った。

 

『なのはちゃん、フェイトちゃん!!』

 

「エイミィさん」

 

『よかった。やっと繋がった!』

 

安堵のため息を漏らすエイミィに、シュウトは矢継ぎ早に状況を話す。

 

「兄さんは牡牛座(タウラス)と交戦中、それと結界内に一般人が2人巻き込まれてるんだ」

 

『わかった。 その子たちはユーノくんとアルフさんを向かわせるよ。

 みんなは『闇の書』の主…そのはやてちゃんって子に投降と停止を呼びかけて!』

 

その言葉に頷くと、3人は再び空へと上がろうとした。

 

「待ちなさいよ! 一体何が起こってるのよ!?」

 

「…ごめんね。 終わったら全部話すから今は…」

 

アリサの声になのはは目を伏せると、手短にそれだけ言う。

するとすずかが横からアリサの肩に手を置いて静かに首を振った。今は駄目だというのだろう。

アリサは深くため息をつくと、3人に向かって

 

「分かったわよ! 何だか知らないけど、気をつけてよ!!」

 

「うん!」

 

「分かった!」

 

それだけ短く答えると、3人は再び戦いの空へと上る。

 

「さっきも言ったけど、ヴィータちゃんたちに酷いことしたのは私たちじゃないの!

 だからお願い、止まって! 話を聞いて!!」

 

なのはの言葉にしかし、管制人格の少女は攻撃の手を緩めず静かに答えた。

 

「それは理解している。 それとは別に、私は主の願いを叶えているのだ…」

 

「願い!? こんな風に暴れまわることがはやての願いだって言うの!?」

 

フェイトの言葉に、苛烈な攻撃の中、管制人格の少女は続ける。

 

「主は愛する家族を奪った世界が悪い夢であってほしいと願った。

 我はただその願いを叶える…主にはせめて穏やかな夢の中で永久の眠りを…。

 そして愛する家族を奪った世界に永久の闇を!」

 

「そんなもの…彼女が一時の悲しみの中で願っただけの想いじゃないか!

 そんなもの、彼女は叶えて欲しいとは思わなかったはずだ!!」

 

「そうだよ! そんな願いを叶えられたって、はやてちゃんは幸せにはなれないよ!!

 それに、あなただってそれじゃ幸せになれない!

 あなたはそんな間違った願いを叶えるだけの道具でいいの!?

 あなたにも、心があるんでしょ! こんな悲しいことやめたいって思ってるんでしょ!

 そんなに泣きながら、こんな悲しい戦い続けることなんて無いんだよ。

 だからお願い! はやてちゃんを開放して、もうこんな戦いやめて!!」

 

なのはの言葉に、だが管制人格の少女は首を振って答える。

 

「もう…どうしようもないのだ。 もうすぐ『アレ』が表層に現れる。

 遠い過去に、私を私で無くした、『アレ』が…。

 『アレ』には私もどんな魔導士も、世界の何人たりとも敵わない…。

 この世界も、『アレ』によって滅びる運命だ…。

 だからその前にせめて主の願いだけは…叶える」

 

「この駄々っ子! 言うこと…聞けぇ!!」

 

どこまでも頑なな管制人格の少女に、フェイトはバルディッシュを構えて突撃をする。

だがその一撃は強力な防御魔法で防がれていた。

 

「お前も…我が内で眠れ…」

 

そしてかざした手から黄金の光がフェイトを包みこうもした瞬間だった。

 

「フェイトぉ!!」

 

「!? シュウ!!」

 

シュウトはフェイトを寸でのところで投げ飛ばし、その黄金の光から逃がす。

だが、その代償としてシュウトはその黄金の光へと包まれてしまった。

そして、まるで分解されるかのようにシュウトは『闇の書』へと吸収されていく。

 

「シュウ! いや、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

その光景を目の当たりにしたフェイトの悲鳴がその場に響いた…。

 

 

 




今回は聖夜決戦編の始まりということで、色々なイベントが駆け足で起こりました。

『闇の書』に潜む『何か』の存在、はやての存在バレ、ヴォルケンリッターの消滅、猫姉妹の捕縛、3人目の黄金聖闘士、そしてシュウトの吸収…ざっと挙げただけでもイベント盛りだくさんです。
…ちょっとその所為で性急だったかも、とは今さらながらの反省。
そしてなのはの新魔法は、ライオネットボンバーのかませになってしまった楯座の技の魔法版です。前面のみの強力なシールドです。
…Ωスタッフ、白銀を雑魚にする風潮はいい加減やめてくださいよぉ。


次回からは同時進行している以下の3つの戦いを順々に見ていくことになります。

1、シュウトVS『闇の書』の中のヤバイもの
2、なのは&フェイトVS管制人格
3、蟹VS牛最終決戦

次回は今章における魚の見せ場です。
シュウトの見る夢と、『闇の書』の中のヤバいものとの戦いにご期待下さい。


今週のΩ:女黄金聖闘士パラドクスさんキターー!!
     そして日曜早朝からの、とんでもヤンデレタイム。
     双子座鉄板の二重人格のようだし、もう胃もたれするぐらい御馳走さんです。
     ゆかなさんの声で『クズがぁ!!』とか『このゴミムシめ!』とか超絶罵倒…さすが王者の星『双子座』、俺たちの予想の斜め上を全力疾走してやがる…。

     そして次回は遂に新蟹!! しかも対戦相手はヒロイン!!
     これはテンションが上がります。
     …頼むから今度の蟹で、蟹のTVシリーズでの復権を!!
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