そう、『アレ』の発動です。
そして…。
快人・シュウト・なのは・フェイト、そしてクロノにユーノにアルフ。
大悟・はやて・リインフォース・ヴォルケンリッター4人。
そしてアリサにすずか。
今現在、この夢神ボペトールと闇の書の闇の結界にいる全員がその場に集まった。
「って、あー!! あんたは!!」
快人の
「ふざけた蟹、キャンサー・デスマスクってアンタだったのね!」
「HAHAHA、何のことやら、このデンジャラスガール。
ミーの名前は伝説の蟹・キャンサーマニゴルド。
快人でもデスマスクでもないざんす」
「そんな嘘で騙されるかぁ!!」
快人のとぼけた口調に地団駄を踏むアリサ。
「あの時はありがとう、快人くん」
逆にすずかはそう快人にお礼を言い、快人はため息まじりに本当のことを話す。
「まぁ詳しい話は今は省くが、俺やシュウトになのはとフェイト、それに今日会ったはやてたち面々は、この通り不思議な力で戦う人間ってわけだ。
そして今、この街にとんでもない化け物が出てこようとしてる。
2人だけでも退避させてやれりゃいいんだが…」
『ごめん、ちょっと無理。
入るのは簡単なんだけど、どうしても出れないの』
快人の言葉に、空中に浮かんだウィンドウからエイミィが観測結果を言ってくる。
『神』であるボペトールの力の加わった結界は、やはり解けないようだ。
「そういうわけで、このまま戦闘に入るしかねぇな」
快人の言葉にクロノは頷くと方策を話し合う。
「『闇の書』の暴走まで時間が無い。
無限再生機能を持つアレに対し管理局が提示できる手段は、魔導砲アルカンシェルの砲撃で再生できないレベルまでアレを消し飛ばすこと。
強力な凍結魔法で封印することの2つだ。
何か、意見はあるか?」
「後者は絶対無理だよ。
ボクの話した通り、『闇の書』には夢神ボペトールが憑いている。
それを魔法で凍結封印させるなんて絶対に不可能だ」
クロノの封印案を、シュウトは即座に否定した。
「アルカンシェルも絶対反対!
こんなところで撃ったら、はやての家まで吹っ飛んじまう!!」
「いや、そういうレベルの被害じゃすまないだろ。
話聞きゃ、そのアルカンシェルってのは百数十キロ圏内を完全に吹っ飛ばすようなシロモノなんだろ?
海鳴市が消滅するだけじゃ終わらない。地球自体が齧りかけのリンゴみたいになるぞ。
第一、脱出できない以上、俺たちが巻き込まれるのが確実だ。
そんな決死隊みたいな作戦なんて却下だよ」
ヴィータに追随するように、快人がアルカンシェル砲撃案も否定した。
「だが、魔導砲アルカンシェルで無ければアレを消滅させることはできない…」
そんな時、話を聞いていたアリサが言った。
「ちょっと待ちなさいよ。
これから出てくるっていうヤバいものはその、核攻撃みたいなのをしないと倒せないのよね?
逆に、そのヤバいものを移動させることは出来ないの?」
その言葉になのはが首を振る。
「転移魔法っていう魔法があるんだけど…この結界が邪魔をして転移することが出来ないの…」
そう言うなのはにシュウトは待ったをかける。
「待って、アリサちゃんの話は発想としては悪くないと思うんだ。
夢神ボペトールと闇の書の闇の結界だって無限ってわけじゃない。
ボペトールと闇の書の闇にダメージを負わせれば、その強度は減っていくはずだ。
それでこっちの転送魔法が使えるまでに弱らせて…」
シュウトの言葉をフェイトが繋いだ。
「周りに被害が及ばない宇宙空間まで転移魔法で送ってアルカンシェルを撃って完全消滅させる!」
「…結界強度が弱まれば、という不透明な条件を前提としてるのが不安だが…計画としてはそれしかないだろう…」
「まぁ、最悪の場合は俺やシュウト、それとそこのクソ牛が押さえるさ。
その間に次の手を考えてくれればいい」
クロノが作戦内容に一抹の不安を覚えるが、快人はクロノの肩を叩き『心配するな』と言い放つ。
こうして作戦は決まった。
戦闘可能なメンバー全てで攻撃、『闇の書』を転移魔法が使用できるレベルまで攻撃し、転移魔法で宇宙空間に移送、そこにアースラからの魔導砲アルカンシェルの砲撃を叩き込むということになったのだ。
アルフ・ユーノ・ザフィーラの3人は一般人であるアリサとすずかを守り、シャマルは転送魔法の準備と情報支援を行うことになったのである。
そこまで決まったところで、ウィンドウにセージが映る。
『快人、シュウト、そして…
「きょ、教皇セージ様!?」
突然現れたセージに、大悟は慌てて礼を取る。
『
分かっているだろうが、相手は我ら
このままにすれば、多くの人々の命が吸われるだろう。
地上の愛と平和のために、必ず討伐する必要がある。
教皇として命ずる、夢神ボペトールと闇の書の闇、どのような手段を用いても必ず滅せよ!!
よいな?』
「…わかってるよ、じいさん」
頷く快人はそのままセージへと、ある確認を取ることにした。
「…じいさん、もしボペトールがちょいと厄介だったらだけど…。
『アレ』、使ってもいいよな?」
その言葉に、セージは渋い顔をしながらも頷いた。
『今言っただろう、『どのような手段を用いても』だ。
…使用の判断はお前たちに任せる。
教皇の名において『アレ』の使用を容認しよう…』
「よし、お許しは貰ったぞ!」
セージの回答に快人はガッツポーズを取る。
これは言うなれば保険だ。
アルカンシェルがどうしても使用できない場合を考えると、ボペトールを完全に吹き飛ばすためには瞬間火力が足りなくなるかもしれない。
だが『アレ』が使えるとなればその問題は解決する。
それどころか、『アレ』の威力を考えれば神相手でもオーバーキルになる可能性すらある。
「これで後は野郎を倒すだけだな…なのは、悪ぃけど回復魔法頼めるか?
そこの牛との戦いで数か所骨にヒビがな」
「うん、痛いのどこ?」
「ちょい待ち、なのはちゃん」
快人の治療を始めようとしたなのはを、はやてが止めた。
「そういうことならお任せや。 シャマル!」
「はい!」
シャマルが広域に回復魔法をかけると、そこにいた全員の傷が癒えていく。
「湖の騎士シャマル、回復魔法が得意です」
「おー、ヒーラー来た! これで勝つる!
例えるならスライムベホマズン!
これでなのはとフェイトのホイミに頼る必要は無くなったな」
「…そんなこと言ってると、次から怪我したら薬草食べさせるからね。
間違って火炎草とか毒草とか混じるかもしれないけど」
「…土下座するんでそれは勘弁してくだせぇ」
ジト目のなのはに快人は平謝りしながら、快人は
同じように回復を果たした大悟が
そして…。
「うっしー…」
「はやて…」
「うっしー、わたしは魔法と
みんなの足、引っ張ってまうかもしれへん。
でも、アレだけは、『闇の書』とだけはわたしは戦わなあかん。
『夜天の主』として、その最後は責任を持たなあかん。
だから…お願い、うっしー。 わたしと一緒に…戦って下さい」
「…何をバカなことを言っている」
はやてに、大悟はゆっくりと答えると跪いた。
「俺の誓いは変わらない。
俺の拳は、誇り高き黄金の牡牛の角は、お前を、家族を、愛と平和を守るために!!」
そんな大悟にはやては微笑みながら、
ゆっくりと大悟が立ち上がり、ここに
「兄さん、
シュウトの言葉の通り、『闇の書の闇』は鳴動を繰り返しながら不気味な
「それじゃ、行こうか。
予定通りユーノたちはアリサとすずかを連れて離れてくれ」
そんな快人たちをアリサとすずかは不安そうな顔で見つめるが、アリサはため息をついて言った。
「さっさと切り上げなさいよ!
それと! 終わったら事情を全部説明すること!
なのはもフェイトもいいわね?」
「みんな…気を付けてね」
「うん!」
「全部終わったら…話すから」
なのはとフェイトが頷くのを確認したアリサとすずかが、ユーノたちに連れられて後ろに下がっていく。
そして快人・シュウト・大悟の3人の
「さて…俺たちは俺たちで派手なパーティとしゃれこむか。
シュウト、クソ牛、いけるな?」
「当り前だよ、兄さん」
「お前たちと相争ってきた俺だが、はやての命が助かった以上もはや迷いは無い。
「へっ、頼りにさせてもらうぜ」
「兄さんこそ、ヘマはしないでよ」
軽口を叩く
これから戦うものは様々な意味で桁が違うのだから当然と言えば当然だ。
だが、なのはもフェイトもはやても、心安らかだ。
溢れ出る魔力と共に禍々しい
それは揺るがぬ信頼。
互いに、信じる黄金の
「『闇の書の闇』…今まで幾多の破滅を呼んできた、呪われたシステム…。
『神』と呼ばれる者に乗っ取られ、幾多の世界の命を吸ってきたその呪い…今夜、ここで断ち切らなあかん!」
「できるよ、私たち皆でなら!」
「例え相手が神様だって…戦って見せる!」
はやての言葉に、なのはとフェイトが答える。
『…暴走、臨界。 来ます!』
リインフォースの言葉と共に、禍々しい魔力と
同時に、辺りの景色が変わっていく。
今までのビル街から一面の荒野に、そして空にはいくつもの門の浮かぶ異様な光景へと結界内は変化していた。
「こ、これは一体!?」
『結界強度が増した!? 不味い、通信が…』
クロノの戸惑いと共に、アースラからの通信が切れた。
結界の強度が増して通信すら不可能になったのだ。
「くっ、快人、これでは…!?」
今回の作戦…アルカンシェルの砲撃にはアースラとのタイミングを合わせる必要がある。
だが、通信すらできなくなったとなればそれすらできない。
いきなり作戦の根底が覆されクロノが呻くが、快人は言い放つ。
「作戦は続行だよ。
どうせ逃げ道はないしな」
快人たちの目の前では、黒い球体がその姿を変えていった。
それは巨大な触手の群れ。
そしてその頂点には翼を生やした、黒い鎧の男の姿…これぞ『闇の書』の防衛プログラムを肉体に復活を果たした夢神ボペトールだ。
『オオオオォォォォォォォォ!!!』
「こ、これが…『神』!?」
咆哮と共に放たれる圧倒的なまでの威圧感・存在感に、シグナムが呻く。
その手の震えは武者震いか、あるいは…。
『おのれ…許さんぞ、虫ケラどもが!
貴様ら全て、我が一族の糧としてくれるわ!!』
だが、そんなボペトールの威圧感に快人は笑って答えた。
「じゃあ、テメェはその虫ケラに潰されるクソ虫だ。
プチッて潰してやるよ!」
『人間如きがぁぁぁぁぁ!!』
怒号と共に触手たちが動き出す。
「行くぞ! みんな!!」
快人のその号令と共に戦いは始まった。
~~~~~~~~~~~~~~~
「
「ロイヤルデモンローズ!!」
蒼い炎が、紅い薔薇竜巻が迫る触手をなぎ払う。
そこに魔法少女たちの波状攻撃を敢行した。
「ちゃんと合わせろよ、高町なのは!」
「ヴィータちゃんもね!」
ヴィータはG型カートリッジをロードさせ、ありったけの魔力を持ってその魔法を形作る。
それは巨大な、ただひたすら巨大な鉄槌。
これぞ鉄槌の騎士ヴィータの必殺魔法。
「ギガントシュラーク!!」
『こんなものが我に通用するか!!』
ボペトールが手を振りあげ、それを受け止めた。
巨大なハンマーヘッドが、バキバキと砕けていく。
だが、そんな中でヴィータは笑った。
「今だ、がら空きのところにブッ込め!」
ヴィータは最初から、囮のつもりだったのだ。
巨大なハンマーヘッドで視界が塞がれる一瞬、それだけで他の全員の攻撃の準備が済んでいた。
「
「ディバインバスター!!」
快人からの巨大な蒼い火球が、なのはからの極大の光線がボペトールに直撃しその身体が揺らぐ。
『き、貴様ら!!』
「効いてる! 攻撃の手を休めるな!」
クロノに言われるまでも無く、すでにシグナムとフェイト、シュウトが攻撃の態勢に入る。
「シュツルムファルケン!!」
「ライトニングアロー・ファランクス!!」
「ピラニアン・ローズ!!」
数え切れない矢の雨と黒薔薇が、ボペトールの身体を穿ち、貫く。
『図に乗るな、虫ケラども!!』
ボペトールは反撃に強大な
だが、それが発射されることは無い。
「おおおぉぉぉぉぉ!!」
大悟が飛び出し、ボペトールへとぶつかる。
『な、にぃ…!?』
ボペトールの巨体が、押し出される。
全長40メートルを越える巨体を、人の形をしたものが押し返すその光景はとてもシュールだ。
ボペトールへと肉薄した大悟の右手に光が宿る。
「タイタンズ・ノヴァ!!」
その剛腕から放たれる大地を砕くエネルギーをゼロ距離からまともに受け、ボペトールは吹き飛ばされた。
『な、何故だ? 何故こうも虫ケラ相手に手間取る!?
何故我の
ボペトールは体勢を立て直すが、その姿は上半身は鎧がほとんど砕け、下半身の触手の群れもほとんどが無くなってしまっている。
こうも圧倒される理由が理解できず、ボペトールは呆然と呟く。
そんな『神』の間抜けな顔に、快人はニヤリと笑って答えた。
「気付いてなかったのか?
お前、もうとっくの昔に詰んでるんだよ」
シュウトの最終奥義『ゴールデンローズ・ストリーム』…神を殺すことを目的としたその毒は完全にボペトールを蝕んでいたのだ。
瞬間的な消滅は免れたようだが、ただそれだけ。
毒の恐ろしいところは、その効果が持続するということだ。
結果、ボペトールはその『神』の力をほとんど発揮できないところまで追い詰められていたのである。
さらにボペトールの誤算はもう1つあった。
それは、『闇の書』の防衛プログラムを肉体にしなければならなかったことだ。
『神』は現世に干渉しようとする時、自らの選んだ人間の肉体を自分のものとして降臨する。
強大な
これは伊達や酔狂でやっているのではない。
人間とは、『神』を模して作りだされた模造品だと神話では言われている。
人間の形状は、『神』のそれと似て同じ感覚で使用できるのだ。
本来、ボペトールは『闇の書』の主となった人間の肉体を乗っ取り、降臨する。
だが今回は『闇の書』の主が切り離され、ボペトールは手元に残っていた『闇の書』の防衛プログラムを肉体にしなければならなかった。
『闇の書』の防衛プログラム…人間の身体とはまるで形状の違うものをである。
これは、F1ドライバーにいきなり豪華客船を動かせと言っているようなものだ。
ボペトールの持つ力や能力を発揮できるわけもない。
結果として、今のボペトールは『神』としての強大な力や
今現在のボペトールの強さは、夏の時の『邪神エリス』よりもさらに下だ。
しかし、『闇の書』の防衛プログラムが優れている点も存在する。
『この我が虫ケラに、人間ごときに遅れをとるなどあってはならない!
あり得るはずがないのだ!!』
自分の弱体化を認められず咆哮すると同時に、ボペトールの身体がみるみる再生していく。
無限再生能力…『闇の書』の防衛プログラムの固有の能力であるそれは明らかに人間の肉体を元にしているものより優れている点だ。
如何に弱体化していてもボペトールがいつまでも再生を繰り返すのでは戦いは終わらず、いつか押し切られてしまう。
「くそっ、アルカンシェル無しで一体どうすれば…!?」
地道に凍結魔法で触手を砕いていたクロノが毒づく。
そんなクロノに、快人はため息とともに言った。
「こうなったらもう、『アレ』しかねぇよな」
その言葉に、バッと振り返りシュウトと大悟が快人を見る。
「兄さん、『アレ』をやるつもり!?」
「確かに『アレ』に必要な条件は揃っているが…」
抵抗のある様子のシュウトと大悟に快人は言い放つ。
「さっきじいさんには確認取ったし、もうそれぐらいしか火力の当てがねぇ。
『神』の結界のせいで外部への干渉は無しだし、おあつらえ向きじゃねぇか」
「…で、兄さん。 本音は?」
「折角3人揃ったんだから、思いっきりブッ放ちたい」
「やっぱり…」
胸を張って答える快人に、シュウトは深くため息をつく。
だが、実際にそれぐらいしか手が無いことは分かっている。迷ってはいられない。
「クロノ! 俺たち
ボペトールの足を止めるのと同時に、アリサたちのところまで全員後退!
全力で防御魔法を張ってろ!」
「わかった! 君ら
同時に、クロノから作戦内容が全員へと伝えられた。
「エターナルコフィン!」
クロノがグレアムから預かったデュランダルを使い、最大級凍結魔法『エターナルコフィン』を放つ。
瞬間的にボペトールの身体を凍りつかせるが、それは3秒にも満たぬうちに打ち砕かれた。
『こんなもので、我が止められると…』
だが、そのときにはなのは・フェイト・はやての3人の魔法少女は持てる魔力と
「スターライト…!!」
なのはへと集っていくのは星の如き光。
邪悪な星を砕く願いを込めた極光。
「ライジングアロー…!!」
フェイトの構えるのは弓。
バルディッシュの新砲撃形態『アーチャーモード』につがえられた矢は電光を纏う矢。
全てを貫く、想いを乗せた必中の矢。
「ラグナロク…!!」
はやての周りに集う、眩しき光。
それは悲しみの歴史を終わらせるための決意の光。
3人の魔法少女は同時に、その光を解き放った。
「「「ブレイカーーーーァァァ!!!」」」
全てを破壊し尽くすかと思える3人の少女たちの想いの奔流は邪悪な『神』へ、ボペトールへと突き刺さる。
爆発が巻き起こり、ボペトールの身体が千切れ飛ぶ。
『おのれ、小娘どもが…!!』
しかし、それすら『神』には致命傷には至らない。
だが、それでいいのだ。
彼女たちには、あとを任せられる者が、何より信頼する黄金の
「快人くん!!」
「シュウ!!」
「うっしー!!」
「「「やっちゃえぇぇぇぇ!!!」」」
全速力で退避していく少女たちの声に答えるように、黄金の強大な
『こ、この
人間が、虫けら如きがこのような
そのあまりの
そして、ボペトールは少女たちの一撃が生んだ爆煙の向こうにその
片膝をつき両手を前に突き出し構えを取る快人。
そして左右で構えを取るシュウトと大悟。
「やるぞ!!」
「「おう!!」」
3人の
3人の
これぞ3人の
あまりの威力故に、アテナによって禁じられたという最強の禁じ手。
その名は!
「「「アテナ・エクスクラメーション!!!」」」
その力に、ボペトールには抗う術など存在しなかった。
幾多の世界を滅ぼし、数え切れない命を吸いつくした邪悪な『神』は叫び声を上げる間もなく、細胞の一片・魂の一欠片残らず砕け散ったのだった…。
~~~~~~~~~~~~~~~
ボペトールが、邪悪な『神』が消滅した。
その光景をどこからともなく見ている者が1人…それはあの図書館にいた少年だった。
「…」
ボペトールの消滅と同時に、少年は自分に掛けられた枷が1つ外れたことを感じる。
それが意味することはすなわち…。
「…今から始めろ、ということか。
あの女神め…!」
少年はそう見えぬ相手に毒づいた。
自分に掛けられた枷…『もっとも目立つタイミングまで動くな』という命令が解除されたということは『今動け』ということだ。
「あいつらの見ている前で見せつけるように…というわけか。
相変わらずいい趣味しているな」
少年は毒づくが思考を切りかえる。
自分のすべきことは決まっている。
そして…そのためには迷わないと誓った。
だから…。
「…」
そして…少年は行動を開始した。
~~~~~~~~~~~~~~~
「な、な…」
アテナ・エクスクラメーションのあまりの威力に、一同は絶句していた。
あれだけ強大だったボペトールが、文字通り跡形もなく消滅したのだ。
「ど、どこまで規格外なんだ、
クロノが呻くように呟く。
だがこれで、すべてが終わった。
『闇の書』も、それに憑く邪悪の『神』ボペトールももういない。
その証拠に、ゆっくりと結界が崩れていく。
少女たちはホッと息をつき、事件の終わりを思った。
3人の
だが…。
「えっ…?」
崩れつつあった結界…だがその外側が奇怪な光景によって包まれ結界の崩壊が止まる。
それは異次元空間としか形容できない、奇怪な空間だ。
「シュウト、クソ牛! 避けろぉぉぉ!!」
快人の声が響き、そして…そこに居たすべての人間がその尋常ならざる光景を目撃した。
「銀河が…砕ける!!?」
そうとしか形容が出来ない光景が3人の
「ギャラクシアン・エクスプロージョン!!」
どこからともなく聞こえたその声と同時に、銀河が爆砕した。
「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
少女たちが見たものは黄金の雨。
それはボロボロに砕けた
そして、ベチャリという音と共に地面に広がる血。
それは真っ赤な血で地面に彩られた花のようだった。
その非現実的な光景を、少女たちの脳が受け入れられない。
だが、ゆっくりと侵食するようにその現実が少女たちの中に染み渡る。
そして、絶叫が響いた。
「シュ、シュウ!!!?」
「うっしーーー!!!?」
フェイトとはやてが2人に駆け寄ろうとするが…。
「な、何これ! 進めない!?」
「見えない壁があるみたいや!?」
そんな2人が壁のようなものにぶつかり、それ以上進めなくなっていた。
「ちぃ…」
「か、快人くん!?」
そんな中、ほとんど傷も無くただ1人起き上がった快人はシュウトと大悟に近付くとその真央点を突いて止血を施した。
「に、兄さん…」
「
「黙って休め! この怪我…洒落になってねぇ!!」
快人からも焦りが見える。
その時、快人たちの背後から声が響いた。
「外したか…勘がいいな、
その声に、応急処置を終えた快人はゆっくりと振り返った。
「いや…予想がついてた。
何考えてるのかわからねぇが、俺たちを潰すのならあのタイミングだろうってな」
「そうか…」
そこに現れたのはあのローブの男、そして…図書館の少年だ。
ローブの男が纏っていたローブがビリビリと千切れて行く。
そして、その下から出てきた物になのはたちは絶句した。
「
それは装着した形で立っている
だが、その中には装着者の姿は無い。
「やっぱりか…
シュウトの毒が効かないはずだ」
そう、このローブの男の正体は
シュウトは以前戦った時、毒が効かないことから
そして、その真の装着者は目の前の少年なのだ。
その少年を見たすずかは、震える声を絞り出す。
「何で…どうしてあなたが…。
総司くん、総司くん!!」
だが、すずかのその声には答えず少年は呟く。
「来い、俺の
その言葉に答え、
そこに立つのは黄金の闘士、最強の
そして少年は静かに、はっきりと名乗りを上げる。
「俺の名は双葉総司…
立ち昇るのは黄金の
というわけで安定のフルボッコ+A‘S編ラスボスの登場です。
神族のくせにあっさりだったボペトールさん。
ですがLC外伝でも聖剣一発でしたし、『シュウト最強の毒を受けていた』+『力を発揮できる肉体を手に入れられなかった』という悪条件が重なったため、なのは本編以上にフルボッコでした。
まぁ、ただの中ボスですしね(笑)
そして今まで頑なに姿を隠していた3人目の黄金聖闘士が、遂にA‘S編ラスボスとして表舞台に立ちました。
その正体は星座カースト第1位、頂点、王者の星である『双子座』でした。
まぁ、最初のすずか助けた時点でモロバレでしたね。
マスク抱えて、相手を異次元送りにするような星座はこいつだけですし。
大悟に魔拳かけた段階で確定でしたでしょう。
次回から数回に分けてA‘S編最終戦闘『蟹座VS双子座』をお送りします。
『カースト底辺VSカースト頂点』というだけではない、聖闘士星矢において外せないあるテーマについて掘り下げるつもりですのでご期待下さい。
今週のΩ:獅子座は忠臣…なんだけどやっぱ脳筋だな。
エデンを立ち直らせるために、『迷いをぶつけて来い!』という体育会系なところが非常に獅子座らしい。
でも駄目でした!
エデン、何か別の方向に悟っちゃったよ!?
次回は子獅子座+狼座VS獅子座…。
お前ら聖闘士の戦いは1対1というのはどこ行った?
まぁそれは星矢たちも結構破ってたからいいが…忍者、おまえはクナイ投げたり爆弾使うのはいい加減やめい!
聖闘士だったら、拳一つで勝負せんかい!
ゲームのΩ:なんか…鱗衣がすげぇ格好いいんですけど!
青銅聖衣、お前たちは泣いていい…。