俺たち転生者 蟹魚復権活動中   作:キューマル式

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今回は管理局との会談となります。
完全な準備回ですね。



第42話 聖域、管理局と手を結ぶ

『聖域暦1年1月8日』

新暦で換算した場合は新暦66年1月8日…この日は後の歴史書には必ず記される日になった。

転送ポートから管理局玄関へと続く道、その両側をバリアジャケットを展開した局員がズラリと並ぶ光景は、壮観であると同時に威圧的であった。

今日は管理局上層部と聖闘士(セイント)たちの組織、『聖域(サンクチュアリ)』との正式な第一回会合の日であった。

この時点で、管理局上層部の方針は『聖域(サンクチュアリ)』との友好関係を築くことで一致していた。

それもそのはず、管理局上層部はアースラが持ち帰った『闇の書事件』での映像・データを見ていたのだ。

黄金聖闘士(ゴールドセイント)同士の桁違いの戦闘、そして黄金聖闘士(ゴールドセイント)の切り札とも言うべき秘奥義『アテナ・エクスクラメーション』…これだけのものを見て『友好』以外の道を選ぶとすれば、それはもはや正気ではないとしか言えない。

もっとも、あまりの内容に魔法以外の力でこんなことが出来ることを信じられず、間違いや幻惑の類を疑った高官はいたが、そんな相手にはリンディとグレアムがしっかりと説得してくれたようだ。

とにかく、この段階で管理局上層部は聖闘士(セイント)とその統率組織である『聖域(サンクチュアリ)』に対して冷静な判断が出来ていたのである。

だが、一般の局員にはそんな意識は無かった。

それ以前に、管理局上層部は『聖闘士(セイント)』についての情報は混乱が生じる恐れから極秘としていたのだ。

今現在バリアジャケットを展開している局員の知らされている情報は、

 

『管理外世界の組織の上層部が会談に来る』

 

という程度のものなのだ。

ここ管理世界に蔓延する思考として『魔法至上主義』がある。

管理局員、特に武装局員はその、人の扱う最高の力であると信ずる『魔法』の力で戦う者だ。

そのことに誇りを持っている彼らはそのため、大なり小なり『魔法至上主義』的な考えが全員にある。

今から迎える相手は『管理外世界』の組織…つまり『魔法』が無い。

恐らく有望な資源でもその『世界』で見つかってその採掘権などの交渉なのだろう、『魔法』の無い遅れた文化の奴を驚かせ交渉をスムーズに進めるために自分たちを整列させた…いわゆる『砲艦外交』の一種なのだとその場にいた局員たちは思っていたのだ。

やがて転送ポートが輝き、客人の到着を知らせる。

どんな田舎者なのか、と注目していた局員たちは次の瞬間、彼らに目を奪われ言葉を失った。

歩いてきた者、それは絶句するほどに美しい黄金の鎧に身を包んだ5人の少年だった。

快人を中央に、5人が横並びでゆっくりと歩く。

全員が黄金聖衣(ゴールドクロス)纏い、左手の小脇にヘッドパーツを抱え、儀礼用の純白のマントを羽織っていた。

その後ろからは、今度は白銀に輝く鎧で身を包んだ3人の少女たちが歩いてくる。

なのはを中心にした3人もそれぞれの白銀聖衣(シルバークロス)を纏い、左小脇にヘッドパーツを抱えていた。

そしてその8人が綺麗に左右に分かれると、片膝をついて礼を取る。

そんな少年・少女の作った道を、悠然と2人の老人が歩いてきた。

黒い教皇の法衣を纏ったセージと、白いローブを纏ったハクレイだ。

2人が通り過ぎると、再び黄金と白銀の少年少女は整った動きで、その後ろを歩く。

その光景に、集まった武装局員から最初にあった侮りは消えていた。

『美しさ』というものは、実は非常に『強い』。

物理的な攻撃力こそ無いが『美しさ』は人の精神に訴えかけ、ある時は畏敬の念を、ある時には安心を見る者に与える。

神話の時代から伝わる聖衣(クロス)のその神々しいまでの美しさは、武装局員たちの精神に確実に影響を与えたのだ。

その場にいる者で最初の『魔法を知らない田舎者』という考えで聖闘士(セイント)を見る者はすでにいない。むしろその強大な何かに呑まれていた。

『艦砲外交』のつもりが、逆に『艦砲外交』をかけられた管理局である。

 

この出来事は後の歴史書では『魔法至上主義の終焉の瞬間』と称したり、『歴史上、もっとも平和的でもっとも美しい艦砲外交』と称されたりする。

 

ともかく、こうして『聖域(サンクチュアリ)』は正式に管理局との接触を図ることになったのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

さて、肝心の会談ではあるが、正直快人たちに大人たちと交渉で渡り合うような力量は無い。

そこはセージとハクレイの戦場だった。

聖闘士(セイント)の存在と、その統率組織である『聖域(サンクチュアリ)』の説明。

さらに『神』やそれを守る戦士、それに太古の『魔物』たちが復活してくる危険性を説いた後、10年後に迫ったハーデス軍の来襲を語る。

この内容には管理局一同驚きを隠せなかった。

そして、その後管理局からも『預言者の著書(プローフェティン・シュリフテン)』という予言能力によって次元世界の破滅が予言されていることを語った。

その中に語られる希望、『黄金の闘士』こそ黄金聖闘士(ゴールドセイント)のことではないかというのだ。

ここに双方の未来に対する危機意識の合致となり、管理局とは正式に『聖域(サンクチュアリ)』との共闘関係が開始されることになる。

そして、いくつかの取り決めがなされることになった。

まず、『聖域(サンクチュアリ)』の自治権である。

聖域(サンクチュアリ)』はあくまで独立した勢力であり、そこでの自治権を認めさせることになった。

これは受け入れられ『聖域(サンクチュアリ)』は『特殊自治世界』という括りになった。

管理局側からの要求だが、これは聖闘士(セイント)の持つ小宇宙(コスモ)の力の研究・技術提供だった。

これに関しては計画していた『パライストラ計画』を提案したところ、案の定管理局も快諾、聖闘士(セイント)の育成が行われることになる。

その他様々な取り決めがなされたが、ほとんどは『聖域(サンクチュアリ)』側が想定した内容だ。

 

1、『聖域(サンクチュアリ)』の自治権の獲得

2、『パライストラ』の開校

3、魔法と小宇宙(コスモ)の研究

4、対小宇宙(コスモ)部門の設置

 

である。

友好を考えていたためか、管理局側の譲歩がかなり見て取れた。

小宇宙(コスモ)部門の設置についても聖闘士(セイント)と友好的な関係を築いているアースラスタッフをそのまま配置換えとなる予定らしい。

また『聖域(サンクチュアリ)』への転送ポートなどのインフラ整備や『パライストラ』建設などの面を受け持つとも管理局いうが、その辺りや『パライストラ』の建設・運営に関する費用は『聖域(サンクチュアリ)』が負担するという形をとった。

あまり好意に甘えては足元を見られる可能性があるからだ。

さらに管理局からは『聖衣(クロス)・神具の提出』という要請があったが、これは突っぱねた。

流石に、どんな理由であろうとこれらを管理局に渡すのは危険すぎるという判断からだ。

しかし完全に突っぱねるというわけにもいかず、結局『聖域(サンクチュアリ)』内での研究で『聖域(サンクチュアリ)』管理の元で聖衣(クロス)を貸し出すことまでの譲歩をすることになった。

これとて『聖域(サンクチュアリ)』としては苦渋の決断だが致し方ない。管理局との共闘のための譲歩だった。

『パライストラ』でのカリキュラム作成など詰めるべき話は多くあるが、大筋の方針は決まり、場の緊張も抜け始める。

そんなとき、管理局高官の1人が言いだした。

 

「映像や資料では見せてもらいましたが、私はまだ聖闘士(セイント)の力が信じられないのですよ。

 そこで今後のためにも模擬戦を受けてはくれませんか?」

 

そう言って模擬戦の相手として管理局高官が指名してきたのはシャウラだった。

 

「ぼ、僕?」

 

シャウラは指名されたことに驚きの声を上げるが、ほかの者としてはシャウラの指名は納得だった。

管理局はシャウラの存在を今日まで知らなかった。

あの『闇の書事件』で多少なりとデータのある快人たちと違いその情報がないため、シャウラのデータを取りたいというのが本音なのである。

また、これは管理局上層部が聖闘士(セイント)の力を直に見たいという意味も含まれていた。

こうして会談終了後、シャウラVS管理局武装隊という模擬戦が開催されることになったのである。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

会談の休憩時間、聖闘士(セイント)一同と少女たちは休憩所で飲み物を片手に談笑する。

 

「全く…管理局もバカを言うな。

 よりにもよってシャウラを相手に模擬戦だなんて…」

 

「知らないっていうのは怖いもんだよね」

 

「だな。

 さて、何人無事で済むと思う?」

 

「ゼロだね、間違いない」

 

苦笑し合う快人とシュウト。

そんな2人になのはとフェイトが問う。

 

「ねぇ、シャウラくんが戦うってそんなにまずいの?」

 

「まずいというか…ヤバい。

 シャウラの技は凶悪だからな」

 

「酷いよ、快人君。

 僕の技は平和的に戦いを納める『慈悲深い技』なのに…」

 

快人の言葉にシャウラは唇を尖らせるが、快人は肩を竦めてシュウト、大悟、総司へと言葉を投げる。

 

「おい、シャウラのあの技が『慈悲深い』と思うやつ手ぇ上げてくれ」

 

「バカを言うな、上げるわけないだろう」

 

大悟が苦笑し、シュウトと総司は「言うまでもない」と言った感じで肩を竦める。

 

「まぁ、そういうこった。

 俺でも喰らいたくない技の上位に入るな、アレは」

 

「そんなに危険な技なの?」

 

フェイトは眉を潜めるが、快人は首を振る。

 

「いや、確かにあの技は最後までは殺傷を目的としていない、相手に投降を呼びかけるお前ら風に言えば『非殺傷設定』の技だよ」

 

「『非殺傷設定』やのに危険?」

 

「精神攻撃とか何かかな?」

 

「…まぁ、確かにあれって怖い技よね」

 

はやてとすずかは首を捻るが、その正体を知るアリサは苦笑をするだけだ。

 

「まぁ、模擬戦見ればわかるさ。

 相手さんご愁傷様ってことで…」

 

快人は意味深にそう言うとグイっと缶コーヒーをあおったのだった…。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

急な模擬戦の話を聞かされた管理局武装隊だが、その士気は高かった。

黄金聖衣(ゴールドクロス)を纏った聖闘士(セイント)に気圧されはしたが、時間がたつにつれてその気圧された『何か』を忘れ、装飾によるこけおどしだと結論付ける。

それに長年に渡って次元世界全体に染みついた『魔法至上主義』はそう簡単には払拭できない。

だからこそ、模擬戦の話を聞いた管理局武装隊の隊長は「田舎者の化けの皮を剥がしてやる」と息巻いていた。

そして部下総勢20人をつれて模擬戦会場に到着した彼らを待っていたのは、一見少女と見紛う少年だった。

 

「あの…よろしくお願いします!」

 

「あ、ああ…」

 

息巻いていた武装隊はそう言ってペコリと頭を下げたシャウラを見て、顔を見合わせる。

 

(隊長、これは一体…?)

 

(うむ…)

 

武装隊隊長は念話で部下と話をしながら、今回の模擬戦の意図を考える。

今回の模擬戦は上層部の意向だということは聞いている。

さらに相手が魔法とは違う技能、レアスキルのようなものを持っていることも概容としては聞いていた。

だが、自分を含めた20人にも及ぶ武装隊が相手だというのにシャウラは1人、さらに先ほどの黄金の鎧も纏ってはおらず生身だ。

その意図を武装隊隊長は考える。

そして導き出したのは『生贄』という言葉だった。

管理局上層部がその武威を見せつけるために模擬戦を提案、断りきれなかった相手組織が仕方なくこの少年を模擬戦に出した。

外見的にも攻撃を躊躇したくなる相手ではあるし、こちらの温情に期待しての人選であろう。

そこまで考えた武装隊隊長は、さっきまでの「鼻を明かしてやる」という考えはなりを潜め、こんな意味のないことで武威を誇ろうとする上層部のやりくちに眉をひそめると同時に、この少年を『生贄』として差し出した相手組織への不信感を露わにした。

 

(隊長…)

 

(…任務である以上、模擬戦は遂行する。

 だが出来るだけ傷つけず気絶させ、すぐにこんな茶番は終わらせよう。

 この少年があまりに哀れだ)

 

(了解であります、隊長!)

 

武装隊隊長はある種の使命感を持って部下たちへ模擬戦の早期決着を指示する。

武装隊隊長も正義を志し、この管理局に入った人間だ。

正義感は人一倍強いのである。

 

「あの…僕、あまり戦いは好きじゃないんで痛かったらすぐに降参してくださいね」

 

「ああ、その時はそうしよう」

 

シャウラが握手と共に言ってくるその言葉も、武装隊隊長としては憐憫を誘う言葉にしか聞こえなかった。

そして、模擬戦開始のブザーが鳴る。

同時に、紅い閃光が駆け巡った。

 

「スカーレットニードル!」

 

「!?」

 

何が起こったのか、全く分からなかった。

突然の激痛に立っていることもできず、痛みを発する肩口を押さえて叫びを上げながら地面を転げまわる。

見ればあるものは腕を、あるものは足を押さえながら武装隊全員が地面を転げまわっていた。

そんな中、シャウラの少女のような声が響く。

 

「皆さん、降参して下さい。

 僕、戦いたくないんです…」

 

そう申し訳なさそうに言うシャウラを見て、果たして『生贄』はどちらだったのかということが頭の片隅をよぎる。

痛みに悶えながら顔を上げ、敗北の宣言をしようとするがあまりの激痛に悲鳴以外の声が出ない。

「参った」「降参」…これらのセリフが誰一人として絞り出せなかった。

気絶による戦闘不能とて、激痛で気絶し激痛で叩き起こされるというエンドレスの状態。

結局、模擬戦が終了したのはその後10分間痛みに悶えた隊長が絞り出すように敗北を宣言してからだった…。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「「「「…」」」」

 

模擬戦という名の訳のわからない蹂躙に、管理局上層部と少女たちは目が点だった。

その様子を面白そうに眺めた快人が解説しようとすると…。

 

「ぬぅ、あれぞ世に聞くスカーレットニードル…」

 

「し、知っとるの、うっしー!?」

 

「相手の星命点――絶対的な急所へと針の穴ほどの穴を穿つ技だ。

 15発で命を奪うその技は1発ごとに耐えがたい激痛を生み、相手に降伏か死かを選ぶ時間を与えるという…まさかこの目で見る日がこようとは…」

 

芝居がかった口調の大悟。存外ノリがいい八神家コンビであった。

そんな2人に苦笑して、快人が改めて説明する。

 

「まぁ、いま大悟が言ったみたいに15発で致命傷になるまで、投降の機会を与える『慈悲深い技』と呼ばれているんだが…あれ、あんまりな激痛と麻痺で普通なら喋れなくなるんだよなぁ…」

 

「おまけに普通だと4~5発で痛みで発狂死するんだよね」

 

快人の言葉に、シュウトもうんうんと頷く。

 

「…シュウ、それってタダの『拷問』って言わない?」

 

「うーん、聖闘士(セイント)の業界なら『ご褒美』とか?」

 

「いや、普通に聖闘士(セイント)の業界でも『拷問』だ。

 というか、少々奇妙なものに毒されておりませんか、お嬢様?」

 

フェイトに続いて奇妙なことを言い始めるすずかの言葉を、総司はため息交じりに正す。

 

「とはいえ、問答無用で相手を一撃でブッ飛ばす俺たちの技よりは、選択の時間がある分だけ『慈悲深い技』かもな。

 もちろん異論は認める」

 

その言葉に、改めて聖闘士(セイント)の凄まじさを知る一同だった。

同時に快人たち黄金聖闘士(ゴールドセイント)もシャウラの力を知ることになった。

快人たちとしてはシャウラの戦う姿は初めて見るのだ。

どれほどの腕かと思ったが…戦闘能力にかけては流石は黄金聖闘士(ゴールドセイント)、その自分たちと互角と言える実力に全員が感心する。

蠍座(スコーピオン)の凄さは『目』と『命中率』だ。

聖闘士(セイント)小宇宙(コスモ)を集中することによって相手の絶対的な急所である『星命点』が見えるのだが、それには集中と時間を要する。

だが蠍座(スコーピオン)はその『星命点』が克明に見えているのだ。

さらに、その『星命点』を正確に射抜く技量。

限界まで小宇宙(コスモ)を細く圧縮したことで貫通力に特化した『スカーレットニードル』。

これらすべてが揃った蠍座(スコーピオン)は最強のスナイパーである。

きっとその気になれば聖闘士星矢原作の瞬のチェーンのごとく、相手が光年の先にいようが射抜くことが可能になるだろう。

末恐ろしいが、同時に頼もしい。

快人たち4人は改めてシャウラを仲間として認めたのだった…。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

管理局上層部との会談を終えた聖域(サンクチュアリ)組。

残った時間は各々の見学などに費やされることになった。

すずかはデバイスに興味があるらしく、総司と共にクロノに案内されてデバイスラボへと向かった。

残ったメンバーも施設見学などに勤しむ。

そんな中、シャウラ・アリサそしてセージはユーノに導かれて無限書庫へとやってきていた。

シャウラとアリサが次元世界のことを知りたがったことと、そしてセージはユーノと大切な話をするためだ。

 

「スクライア族との交渉の仲介、ですか?」

 

「その通りだ」

 

ユーノの言葉にセージは頷く。

セージは聖域(サンクチュアリ)とスクライア族との交渉の場を持ちたいと考え、その仲介役をユーノへと頼んだのである。

その目的は、聖衣(クロス)や神具などの『神話級遺物』の回収であった。

この『世界』には、次元世界のどこかに必ず残りの聖衣(クロス)があるという。

それに『神』が存在していることからも、神具の類もどこかにあることは間違いない。

それらの発見のために、次元世界を飛び回り発掘作業を行うスクライア族の助力を得たいという考えだった。

聖域(サンクチュアリ)と管理局の共同設置する、対小宇宙(コスモ)部門の目的の一つはこう言った『神話級遺物』の回収も含まれるが、極秘裏に管理局の一部がこれらの存在を隠す可能性は高いだろう。

そのため、聖域(サンクチュアリ)としても1つでも多くの『神話級遺物』を回収するために手数が欲しいのだ。

そこで白羽の矢が立ったのがスクライア族だったのである。

 

「ユーノ君、頼めないだろうか?」

 

「セージさんに言われては断れませんし、皆も必ず未知の古代遺物に興味を持つはずです。

 族長への会談を打診してみますよ」

 

「頼む」

 

こうして実現した聖域(サンクチュアリ)とスクライア族の会談の結果、スクライア族は全面的な協力を約束し、聖域(サンクチュアリ)はその活動をバックアップするパトロン的な存在になったのだった…。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

会談が終了し、聖域(サンクチュアリ)へと帰還した一同は帰宅までの間、それぞれに思い思いの行動を取る。

ここ黄金十二宮の『双魚宮』では、快人・シュウトの兄弟となのはとフェイトが、シュウトの入れたお茶を飲んで時間を潰していた。

 

「『パライストラ』の開校は3月予定…かなりの規模の施設になるらしいな」

 

「心配なのは施設よりも人の方だね。

 管理局が人を募るって話だけど、どうなるか…」

 

シュウトはそう言って呟く。

その裏にあるのはいくつかの不安だ。

今回の管理局で行った模擬戦で小宇宙(コスモ)という『魔法ではない力』でシャウラが、武装隊20人を一瞬で圧倒したことは管理局の中に広がっていった。

同時に、なのはたちのように『小宇宙(コスモ)によって魔法が強化された』という話も管理局には話してある。

今まで魔法が使えないために忸怩たる思いをしていた者や、さらなる魔法の力の発展を望む者…管理局が募ることになった『パライストラ』の一期生は、そういった者たちがやってくるだろう。

どれだけが聖闘士(セイント)となるのか?

過酷な修行に耐えきれるのか?

不安要素は事欠かない。

さらに聖域(サンクチュアリ)上層部が危惧していることが、管理局からのスパイが入り込む点だ。

これはもう、確実に『パライストラ』の一期生の中に混じっていることだろう。

この黄金十二宮や宝物庫などに忍び込むことはないと思うしさせないが、それでも色々探られるのは気分のいいものではない。

 

「俺達の聖域(サンクチュアリ)の前途は多難だな」

 

言って快人は伸びをする。

と、そこまで言って快人はなのはに話を向けた。

 

「そう言えばお前らは『パライストラ』には入校しないんだって?」

 

「うん、日本での学校と両立しなきゃならないから入校できないし、それにもう聖衣(クロス)貰っちゃってるから立場的にも一緒に訓練させるのはマズいって。

 セージおじいさんがその辺りも一番いいように考えてくれるって言ってたよ」

 

「…じいさん、甘やかしすぎだろ。

 俺への対応と全然ちげぇ…」

 

妹弟子とも言えるなのはとの待遇の違いに、快人は天を仰いだ。

なのは・フェイト・はやての魔法聖闘士(マジックセイント)3人娘の修行だが、

 

1、教皇セージによるクロストーンの『守護宮』の使用許可

2、過去の黄金聖闘士(ゴールドセイント)からの小宇宙(コスモ)指導

3、ヴォルケンリッターたちによる魔法指導

 

という破格の条件になった。

聖域(サンクチュアリ)の歴史でも稀に見ぬ好条件と言えるだろう。

 

「でも、こんなに良くして貰うとかえって緊張しちゃうよ」

 

フェイトがそうぼやくように言う。

実際、これらの待遇には聖衣(クロス)に見合う者になって欲しいという絶大な期待も見て取れる。

それが分かるからそこの言葉だった。

 

「大丈夫だよ、フェイトなら出来るから。

 ボクだって手を貸すし…」

 

「ありがとう、シュウ」

 

スッとフェイトの手を握りほほ笑むシュウトに、顔を赤くしながらも同じくほほ笑むフェイト。

またも形成された甘い空間に、快人となのはは頭を抱える。

 

「なんと言うのか…」

 

「ごちそうさまなの…」

 

顔を見合わせ快人となのはは苦笑する。

 

「なのは、お前も頑張れよ。

 何たってお前はもう聖衣(クロス)持ち、聖域(サンクチュアリ)の重要人物の一人なんだからな」

 

「分かってるよ。

 快人くんも頑張んなきゃダメだよ」

 

「分かってるさ」

 

そう言って快人は冷めたローズヒップティを喉に流し込む。

聖域(サンクチュアリ)の長い長い戦いは、まだ始まってすらいなかった…。

 

 

 




管理局との話し合いも終わり、ついに聖域が本格的に活動を開始。
そしてスカーレットニードルは誰がどう見ても『拷問』です、本当にありがとうございました。

次回からはしばらくの間、修行風景や各種イベントを短編形式で綴っていこうと思います。
とりあえず次回は…やっぱり許されてなかった猫姉妹への魚の復讐といきましょう。



そして、前回チラリと書きましたオリジナル聖闘士の募集のついて。
オリジナル聖闘士の募集をやろうと思います。
ルールは以下の通り。

1、装着する聖衣は青銅一軍・黄金聖衣・オリオン座・琴座を除外する。
2、送ってもらった聖闘士がどんな目にあってもいい(死んだりしてもいい)という心の広い方限定。

でお願いします。
まず1ですが、これらは使いどころが決まっていたり扱いに困るため除外してください。
次に2ですが、話の都合でどう扱われるかは未知数ですのでその辺りを許してもらえる方限定でお願いします。
一応、作中で登場させる場合、考えて下さった方にはメッセージの方で事前にお知らせようとは思ってます。
また、内容のフォーマットですが、ここは『快人』を例にして紹介します



1、蟹名快人(かになかいと)
2、10歳、男(聖域暦1年)
3、蟹座聖衣(黄金)
4、教皇セージを師とする蟹座の黄金聖闘士。この物語の主人公の1人であり転生者。
  両親とは死別しており、家族は魚座のシュウトのみ。
  どんな絶望的状況でも不敵に笑い飛ばす度胸と実力で『神』に戦いを挑む。
  魂を焼く青い炎、『積尸気』の技の使い手。魂にかけてなら聖闘士随一。
5、『積尸気鬼蒼焰』、『積尸気魂葬破』、『積尸気蒼焔弾』、『積尸気冥界波』、『積尸気転霊波』
6、「火葬決定だ、クソ神が!」
  「後悔しやがれよ、クソ野郎!」
  「燃えろ、俺の小宇宙よ!!」



1は名前となります。
2は年齢と性別です。括弧内はどの時にどの年齢という具合になります。
 対照表は以下の通りです。

新暦   聖域暦    なのはたちの年齢
75年   10年    19歳
74年   9年     18歳
73年   8年     17歳
72年   7年     16歳
71年   6年     15歳
70年   5年     14歳
69年   4年     13歳
68年   3年     12歳
67年   2年     11歳
66年   1年     10歳
65年          9歳

3は纏う聖衣です。括弧内は聖衣の階級となります。
4は簡単なプロフィールです。あまりに作品に合わせられない設定(転生者など)はご勘弁を。
5は必殺技です。
6はキャラクターを象徴するようなセリフや決めゼリフです。


これらの内容でオリジナルキャラを考えて、使ってもいいよという心の広い方はメッセージでお待ちしています。
正直使いきれるかどうかも分からないので、せっかく頂いたのに登場しないこともありますのでそこはお許しください。
また、同じ要領でオリジナル冥闘士を考えてくれても構いません。
まぁ、これ以上ハーデス軍強くしてどうすんだというのはありますが…。

私はスパロボやらのコラボ作品が大好きですので、これもそんな一環で考えています。
私の作品からいろんな派生を、とか妄想したり。
オリジナル聖闘士の外伝を書いてくれてもいいんじゃよ(チラッチラッ
まぁ、これは流石に冗談ですが(笑)

次回もよろしくお願いします。



今週のΩ:山羊座がもう酷すぎて声が出ません。
     私、聖闘士星矢のファンとしてΩも好意的・積極的に受け入れてきました。
     しかし、今回ばかりはそれは無理です。
     設定も何もかも丸忘れ何じゃないかなぁ、Ωのスタッフ。
     山羊座はエクスカリバーが無いとかそういうもの以前の問題。
     色々設定の根底部分から破綻している。
     結局、こいつが黄金聖衣を纏って現役だったのはいつのことなんだろう…?
     セブンセンシズに目覚めた光牙のペガサス彗星拳がでた件についてはGOOD。
     次回は魚座さんの活躍…は無理か?
     何だか四天王召喚とか言ってるし…このまま行くとマルスの元に辿りついたら一輝兄さんが『安心しろ、マルスはもう倒した』とか待っていてももう驚かない。
     むしろそれでいい気がしてきた…。
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