というわけでちょっと遅れましたが今回の投稿です。
そして、長い戦いの火蓋がついに切って落とされます。
「わぁ、綺麗なところ!」
「ほんまやなぁ」
「地球より文明が進んでるのに、こっちは自然が多いのね」
すずかとはやて、そしてアリサが周りの光景を見ながら感嘆の声を漏らす。
それを見ながら、総司は呆れたように言った。
「遊びに来たわけじゃないんだぞ…」
「まぁ、そう固いことをいうな、総司。
こんな心洗われる景色の中でのハイキングなのだ。
はしゃいでも仕方ないだろう」
総司の肩を叩きながらガハハと笑う大悟に、総司の頭痛が増す。
その視線の先では、シャウラは不安そうな顔をしていた。
「で、でも大丈夫かな?
犯罪者もいるんでしょ、その人たち?」
「その通りだが、それなりに事情もあるし、交渉の余地はあると思っている。
それに…俺の知る限り、魔法技術に関してはこれ以上の天才はいない。
今後お前やアリサの目指す『グラード財団』には、優秀な魔法技術者は必要だろう。
プレシア以外の技術者の確保もすべきだ」
シャウラの言葉に、総司はそう返した。
総司の『アナザー・ディメンション』でやってきたここは、次元世界のとある場所。
ちなみに今日の来訪は管理局には知らせていない完全にお忍び、不法入国であったりする。
そこまでして今回、このメンバーが次元世界にやってきたのは、スカウトのためだった。
ヘラからこの『世界』の元になったとも言える『世界』、『リリカルなのは』の物語を総司は資料として見て、僅かながらその概要を知っていた。
だがこの『世界』はヘラによって歪められ、10年後に起こるはずの『リリカルなのは』の『JS事件』と呼ばれる出来事はこの『世界』では起こりようがないだろう。
だが、そこで総司はふと考えた。
例えこの『世界』で『リリカルなのはの世界』の出来事が起こらなくても、そこに登場した人物は存在するはずである。
それはなのはたちの存在が証明している。
しかも、完全な破綻とも言える10年後までの出来事は、ある程度似通っているのではないだろうか。
ならば、その人材をなんとか自分たち
そこで考えたのがこのタイミングである。
「ゼスト隊、そしてジェイル=スカリエッティの戦闘に介入し、双方の人材をスカウトする」
次元犯罪者である天才科学者、ジェイル=スカリエッティ。
彼の研究する『戦闘機人』…かなり大雑把に言えば、いわゆるサイボーグのようなものの研究だがこれに対する強制捜査のため、ミッドチルダ地上本部の最強の部隊であるゼスト隊がその研究施設に突入するのだ。
だが、これには裏があった。
ジェイル=スカリエッティを作り出し、その研究を推進していたのはほかならぬ管理局、そしてそのトップとも言える『最高評議会』だったのだ。
『最高評議会』―――時空管理局に務めるものでもその全貌を知る者はいない、管理局を支配する存在である。
その正体は、とうの昔に肉体を無くした3つの脳みそだ。
自分たちの理想、『次元世界の平和』のために尽力し、人の体を捨てそれを見守る道を選びながら、いつの間にか歪んでしまった存在である。
最初の理想は尊かったが、それは歪みに歪み、現在では自分たちの考え出した正義・秩序に合わぬものを問答無用で排斥していく、ただの妄執の塊となってしまっている。
その彼らが考える正義・秩序のためにジェイル=スカリエッティは生まれ、次元犯罪者として活動しているのだ。
その秘密を知ってしまったゼスト隊は、口封じのために全滅の憂き目にあってしまう。
それが総司の知る『ゼスト隊全滅事件』の簡単な概要だ。
そこで総司は、それを逆手に取りジェイル=スカリエッティとゼスト隊双方を
具体的には双方の戦闘中に介入、ジェイル=スカリエッティとゼスト隊双方の被害を抑える。
その上で『お話』をするのだ。
ジェイル=スカリエッティ一味も、最高評議会にははっきりと閉口していた。
それと完全に袂を分かつチャンスと知れば、乗り気になる。
さらに言えば、彼は科学者という意味ではあるが純粋な人間だ。
目の前で
それを間近で見て研究をしていい、といえば喜んで頷く。
一方のゼスト隊も、ジェイル=スカリエッティのアジトを少し調べさせれば、最高評議会との繋がりを示すものを見つけるだろう。
そこまで知ってしまえば、自分たちが管理局に帰れば口封じの憂き目に合うことは誰でも理解できる。
その秘密裏の亡命先として
無論家族を残してきているものも多いだろうし問題は多々あるからその後に考えることは多いだろうが、それでもその家族ごと口封じをされる可能性のある管理局に戻る選択はすまい。
そこまで考え、総司はまずこの話をシャウラたちに持ちかけた。
先にも言った通り、シャウラとアリサが
だが、今まで他の誰かが支配していた市場に後から入り込もうというのだ。
それを行い、勝ち抜く『何か』が無くてはならない。
それは資本力であったり技術力であったりと、様々である。
一応シャウラたちは地球においても大企業、次元世界でも共通に価値のある金などの貴金属はかなり保有しているし、
だから資本力の面では何とかなる目処は立っていた。
しかし、技術力という面では大きな水を開けられていた。
シャウラとアリサは地球人、『魔法の無い世界』の出身であり、商売相手は『魔法のある世界』だ。
その文化に即したニーズを満たす必要がある。
そのため、魔法の研究は不可欠だったが、そのための人材もいない。
そんな時に現れた次元世界でも天才として知られる科学者のスカウト話である。
その相手が犯罪者であると知ってシャウラは渋ったのだが、アリサは即座に乗り気になってシャウラを懇切丁寧に『説得』してくれた。
では出発を、と考えていたところアリサがほかの少女たちに声をかけてしまったのである。
そのため、その時に
ちなみに快人となのは、シュウトとフェイトの2組は現在
セージから特別な任務を受けて行動中であった。
「まったく…戦闘になるかもしれないというのに…」
総司としては声をかけたシャウラと2人で来るつもりであった。
戦闘に介入するのだから戦闘が起こることはほぼ確定、他は連れて行くつもりはなかったのだがいつの間にかピクニックの様相である。
だが、この時点では総司はそれほど深刻に考えていなかった。
ゼスト隊、そしてジェイル=スカリエッティも強力な戦闘能力は持っていたが、それはあくまで『魔導士として』である。
制圧など
それが今のこちらは自分を含め
これで不安要素を、と考える方が難しい。
そう考えていたのだが…。
「「「!!?」」」
その時、総司と大悟とシャウラはバッと空を見上げた。
そのただならぬ気配に、はやてがゆっくり聞く。
「どないしたん、うっしー?」
「はやて…お前も感じないか?」
言われてはやては目を瞑り、感覚を広げる。
すると…。
「こ、これ!?」
「ああ…
大悟の言う通り、
しかも通常の状態ではなく、戦闘状態の
「ねぇ、総司くん。 今から会う相手って、
「そんなことはない。 ない…はずだが…」
だが実際に
「…はやて、
「う、うん…」
大悟の言葉に頷いたはやてが、
「シャウラ…」
「アリサちゃん、僕から離れないで。
何があっても絶対守るから」
アリサの不安そうな言葉に、シャウラが答える。
一気にピクニック気分から緊張状態へと変わった一行は注意深く、歩を進めるのだった…。
~~~~~~~~~~~~~~~
「ぎゃぁぁぁぁぁ!?」
断末魔の悲鳴は、すぐに何かの砕ける音と何かの潰れる音に掻き消える。
その砕ける音と潰れる音が何なのか、考えたくもない。
部下の無残な死を見ながら、ゼスト隊隊長、ゼスト=グランガイツは声を張り上げる。
「無事なものは何人残っている!?」
「もう生き残りは私たちだけです!? クイント、しっかりして!?」
ゼストの言葉に、すぐそばにいたメガーヌ=アルピーノが悲鳴のような声で答える。
肩を貸す親友のクイント=ナカジマは出血により呼吸が荒い。
その意識を繋ぎ留めるために、声を張り上げる。
そんなゼストたちに、別の声が投げかけられた。
「騎士ゼスト、もう一度同時に攻撃を!
タイミングを合わせてくれ!」
そうやって声を上げる少女の名前はチンク、ジェイル=スカリエッティの生み出した『戦闘機人』、ナンバーズの1人だ。
本来敵であるはずの管理局とジェイル=スカリエッティ一味が共闘している。
それには、しばらく時間を遡る必要がある。
ゼスト=グランガイツ率いるゼスト隊はその日、『戦闘機人』事件の強制捜査へと踏み切った。
そして部下を伴い、違法研究施設と思われる場所へ突入したのである。
そして、その防衛のためにチンクは出撃していた。
双方の戦力がぶつかり戦端が開かれる…まさにその時、突如として現れた4人の男の襲撃を受けたのだ。
その男たちはどちらの味方でもない、完全な第三勢力だ。
ゼスト隊は甚大な被害を受け、さらに施設への被害を拡大しながら侵入を試みようとする襲撃者。
そんな中、戦場での一時の共同戦線が敷かれることになったのだ。
ゼスト隊は生存のため、そしてチンクたちはマスターたるジェイル=スカリエッティを守るためだ。
だが、相手の力は圧倒的だった。
魔力反応は皆無、だというのにその動きは目に追える速度を大きく上回り、その攻撃は一発でバリアジャケットを貫き人間をボロクズへと変えた。
さらに彼らの纏う、怪しく黒光りする鎧はどんな魔法の攻撃も通さず、平然としている。
すべてが規格外の存在だった。
「くっ、早くしないとドクターが…」
チンクの表情には焦りが見える。
既に襲撃者の内、2人は施設内へ突入してしまっていた。
先ほどから内部でジェイル=スカリエッティを守っているはずの姉たちの応答がない。
自分もすぐにでも助けに向かいたいが、目の前の敵は強大すぎる。
共闘しているゼスト隊はほぼ壊滅、施設防衛機能も沈黙しておりチンク自身も満身創痍だ。
そんな彼らに、襲撃者の2人の大男はゆっくりと近づいてくる。
チンクはその2人に向かって叫んだ。
「お前たちは一体何者だ!?」
その言葉に、2人の大男たちは答えたのだった。
「俺は天退星、玄武のグレゴー!」
「天角星、ゴーレムのロック!」
名乗りを上げたその2人は
もうすでに一部の
「な、何故我々を襲う!?」
「ふん、あるお方からジェイル=スカリエッティとやらを殺して来い、とのご命令だ」
グレゴーの言葉を、ロックが次ぐ。
「クッククク…理由なんぞどうでもいい、この力で暴れられればそれで満足よ」
そのため、その意図など考えることもなく、破壊と殺戮を楽しみにここへとやってきたのである。
「さぁ、もっと俺に血を見せてくれ!」
血濡れの
ゼストはせめて隙を作り、部下のメガーヌとクイントだけでも逃がそうと決死の覚悟を固め、チンクも死を覚悟したその時だった。
「な、なんだ、この
「何者かの
今まで余裕の表情だったグレゴーとロックが突如として辺りを見渡し始める。
そして満身創痍のゼスト達を守るように、3人の黄金の鎧を纏った少年が立っていたのだった…。
~~~~~~~~~~~~~~~
「
大悟は驚きの声を上げながら、
総司は無言のまま、
「大丈夫ですか? すぐに止血を…」
シャウラが血を流すクイントの真央点を付いて、その出血を止めた。
回復魔法でもなく簡単に出血が止まるその光景に、メガーヌは目を見開く。
「これは…」
「話は後です。 はやてちゃん、お願い、できる?」
「おっけー、わたしに任せたって!」
「君らは…一体…?」
突然の出来事にまだ着いていけないゼストの呟きに、はやては答えた。
「わたしらは
「
4人はその名称に聞き覚えがあった。
昨年、管理局が第97管理外世界『地球』で遭遇した魔法とは違う力を持った闘士たちが
その戦闘能力は絶大で、あの『闇の書事件』を解決したという話はもっぱらの噂だ。
さらに手練れの本部武装局員部隊20人を一瞬のうちに戦闘不能に追い込むなど、今の管理局では
ゼストも、親友でもあるレジアス=ゲイズ中将が
「お前ら、
「丁度いい、雑魚ばかりで退屈していたところだ。
突如として現れた3人にグレゴーとロックは意気揚々とファイティングポーズをとるが、総司はつまらなそうに大悟とシャウラに言い放つ。
「…どうやらもうすでに施設内に侵入した
俺はそっちを始末する。
2人とも、この雑魚は任せた」
「任せろ、総司」
「わかったよ!」
大悟とシャウラの言葉を聞いて、総司はグレゴーとロックに背を向けて施設内へと向かう。
「おい貴様、俺たちを雑魚だと!?」
「逃げる気か!」
総司の言葉に激高したグレゴーとロックは総司を追おうとするが、それを大悟とシャウラが阻んだ。
「おっと、お前たちの相手は俺たちだ。
もっとも、その程度の力で俺たちに挑もうとするのは間違いだがな」
「降伏、してください。
無駄な戦いは僕もしたくありません」
「我らを愚弄するか!?」
「いいだろう、貴様らから血祭りに上げてやる!」
大悟の酷く真面目な、シャウラの相手を気遣った言葉はしかし、グレゴーとロックには挑発にしか聞こえなかった。
グレゴーは大悟に、ロックはシャウラに向かって拳を振り上げる。
その光景に、ゼスト達はほかの隊員たちと同じように吹き飛ばされる2人の姿を想像した。
しかし…。
「な、なに!?」
「バカな!?」
グレゴーとロックの拳は、大悟とシャウラの片手で受け止められていた。
その光景に驚愕するも、すぐに後方に跳び距離をとるグレゴーとロック。
「もう一度言う。 その程度の力で俺たちに挑もうとするのはやめておけ」
「もう無駄なことはやめて降伏してください」
再び降伏を勧告する大悟とシャウラ。
だが、それを無視してグレゴーとロックは必殺の技を放つために
「潰れろ、弾丸スクリューボール!!」
「ローリングボンバーストーン!!」
そしてその瞬間、この『世界』において初めての
~~~~~~~~~~~~~~~
身体を丸めたグレゴーが
『弾丸スクリューボール』は自分自身を高速回転する弾丸と変えて相手をひき潰す、天退星玄武のグレゴーの必殺技だ。
その様はまさにデスローラー、それが大悟へと迫る。
しかし…。
「な、なにぃ!?」
グレゴーが驚きの声を上げた。
それもそのはず、グレゴーの必殺技である『弾丸スクリューボール』を大悟は正面から、左手一本を付き出すだけで受け止めたのだ。
「バカな、お前ごときに俺の力が受け止められるわけが…」
巨漢のグレゴーは自分自身の力強さを自慢にしていた。
それを多少大柄とはいえ、自分よりも小さな大悟が、それも左手一本で受け止めたことが信じられない。
そんなグレゴーを大悟は鼻で笑う。
「これが力だと?
笑わせてくれる…」
バッと左手を振るい、グレゴーを払いのけた大悟はおもむろに腕を組んだ。
「貴様、その恰好は何の真似だ!」
「お前ごときに露骨なファイティングポーズなど必要ない。
来い、俺が本当の『力』というものを見せてやる…」
「貴様、バカにして!!」
腕を組んだまま言い放つ大悟に激高したグレゴーが再び、『弾丸スクリューボール』で大悟に迫る。
「見せてやる、本当の『力』というものがどんなものか。
そして思い知れ、お前の『力』で声を上げる間もなく蹂躙された者たちの気持ちを!」
そして大悟の黄金の
「グレートホーン!!」
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
大悟から放たれる黄金の牡牛の形をした衝撃波が、『弾丸スクリューボール』で迫るグレゴーに直撃する。
「ば、バカな…」
自分とは桁が違うその『力』。
それを理解するより早くグレゴーの意識は死に永遠に奪われたのだった…。
~~~~~~~~~~~~~~~
一方のロックは大地に手を付き、その意志を大地が汲み取ったかのように巨石が宙に舞い、さながら爆撃のようにシャウラに向かって降り注ぐ。
天角星ゴーレムのロックの必殺技、『ローリングボンバーストーン』だ。
その広域に降り注ぐ巨石の雨は回避など不可能。
しかし…。
「スカーレットニードル!!」
紅い閃光が駆け巡った。
その閃光に貫かれた巨石たちが、空中で粉みじんに砕け散る。
シャウラの放った
「ば、バカな!?」
驚きに目を見開くロックは、そこで自身の異常に気付いた。
「こ、これは…う、動けん!?」
いつの間にか、まるで金縛りにあったかのように動きが取れない。
そんなロックに、シャウラは言い放つ。
「リストリクション…あなたはもう、一歩も動けません。
お願いです、どうか降伏してください」
「ふざけるな、こんな拘束など!?」
ロックはシャウラの『リストリクション』を振りほどこうと
降伏の意図がないことを知ったシャウラは仕方ない、と再び
そして、紅い閃光が放たれた。
「スカーレットニードル!!」
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
襲い来る激痛にロックが悲鳴を上げる。
「もうあなたに勝ち目はありません。
どうかもう降伏を!」
「ふざけるな、誰がお前などに降伏など…」
「…」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」
2発、3発と悲しそうな顔でシャウラはスカーレットニードルを撃ち込んでいく。
そして危険領域でもある8発目を撃ち込んだ時だった。
「わ、わかった。俺の負けだ!
降伏する!」
ロックからの降伏宣言。
その言葉で、もう傷つけなくてもいいということにシャウラは心底ホッと息を吐くのだった…。
~~~~~~~~~~~~~~~
「う…あぁ…」
「う…うぅ…」
ジェイル=スカリエッティを守る『戦闘機人』ナンバーズのウーノ、トーレ、そしてクアットロの3人が倒れ伏し、呻きと共に身体を震わせていた。
「ば、バカな…」
スカリエッティは先ほどからの理解不能な光景に、茫然とした声を上げる。
施設に侵入してきた襲撃者、そのたった1人に自慢の娘たちともいえるナンバーズ3人が何の抵抗もできずに倒れたのだ。
そして、スカリエッティ自身の命ももはや風前の灯である。
「くっ!?」
スカリエッティがせめてもの抵抗とデバイスを取り出そうとするが、それより早く衝撃がスカリエッティを壁に叩きつけた。
「がは!?」
突き抜ける痛みにそのままスカリエッティは倒れ伏す。
「ふん、他愛無いな!」
そのままトドメを刺そうとゆっくりと近付くその男に、スカリエッティは死を覚悟する。
同時に、その間近に迫った死が、今までの自分の行いを表しているように感じた。
スカリエッティは今まで、様々な非道な行いを繰り返していた。
抵抗する者を力で、あるいは管理局の権力で捻じ伏せ、許しを請う声に耳も貸さずにそんな人間を己の知識欲を満たす実験の糧としていた。
そんな自分がさらに強い『力』に抵抗も許されずに踏みにじられる…因果応報とはまさにこのことだろう。
間近に迫る打開策の無い『死』に、スカリエッティは思考を放棄しようとする。
だが…。
「ん?」
「ま、待て…ドクターに手出しは…」
見ればウーノが這いながら襲撃者の足を右手で掴んでいた。
「ふん!」
襲撃者はつまらなそうにその手を踏みつける。
「あぁぁ!!」
ゴキリという音と共に、ウーノの右手が砕かれその白い喉から悲痛な声がほとばしる。
だがそれでもウーノは、今度は無事な左手を伸ばして襲撃者の足を掴んだ。
「ウーノ…」
「ドクター、逃げてください。 ドクター…」
勝ち目もなければ逃げ切ることすらできない状況。
それでも、スカリエッティの無事を願いもがくウーノの姿を襲撃者はあざ笑う。
「死にかけながらも主人を守ろうとするとは犬よりはマシらしいな、機械人形。
いいだろう、お前から先に血祭りに上げてやろう!!」
「や、やめろ…!」
そう言って襲撃者はその足をウーノの頭めがけて振り下ろそうとした。
振り下ろされれば、ウーノはまるで潰れたトマトのようにその頭を弾けさせるだろう。
それを理解するスカリエッティの声はだが、目の前の凶行を止められない。
(これが今までの行いの罰なのだろうか…?)
この悔しさと虚しさを今まで相手に与えてきたのか…そう思うと今までの己の行いが愚かに思えてくる。
そんなスカリエッティは、せめて最後まで自分を守ろうとしたウーノから視線を逸らさないよう見続ける。
そのときだ。
「ぎゃぁぁぁ!!」
襲撃者の横合いから衝撃が襲い、襲撃者が壁へと叩きつけられた。
「ぐ、誰だ!?」
すぐに体勢を立て直した襲撃者に、答える声が一つ。
「誰かを命懸けで守ろうとする者は尊い。
それを犬だ機械人形だのほざくような醜いやつに、名乗るほど安い名は持ち合わせてはいないが…誰に倒されたか分からないものまた不憫。
いいだろう、冥土の土産に教えてやろう…」
そしてガチャリという金属音の足音と共に、黄金の少年が降り立った。
「
「ご、
スカリエッティもその名前は聞いていた。
魔法とは違う力、『
実際、スカリエッティも
そんな現れた総司に、襲撃者は一瞬驚いた顔をするが、すぐに不敵に笑う。
「
オレの名は天敗星の…」
「…」
だがしかし、襲撃者が名乗りを上げるより早く、総司は目にも止まらぬ速さでその懐に飛び込んでいた。
そして、総司がその
「ファイナルディスティネーション!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」
格子状の
それは
そして格子状の
「お、オレは天敗星の…」
そう言って、名前を名乗りきる前に
それを確認してから総司はスカリエッティを抱き起す。
「おい、大丈夫か?」
「あ、ああ。 助かった…。
君は…」
「話は後だ。 まずは手当の準備を。
無論、ゼスト隊の人間のもだ」
そう言う総司に、ウーノが途切れ途切れに声をかける。
「待って。 まだ…襲撃者はいる。
襲撃者は4人だった。 もう一人が…どこかに…」
その時、総司は外で大悟とシャウラではない
そしてその映像が、モニターへと映し出されている。
その映像を見て、総司は目を細めた。
「…なるほど、まだ終わってはないらしいな。
戻ってくるまでに、負傷者の手当ての準備はしておいてくれ。
ドクター・スカリエッティ」
それだけ言うと、総司は『アナザー・ディメンション』を発動させて外へと跳ぶ。
残されたスカリエッティは茫然としながらも、負傷者の手当ての準備と共に、外の様子を映し出したモニターを食い入るように見つめるのだった…。
~~~~~~~~~~~~~~~
施設から少し離れた場所で、すずかとアリサは手近な石にちょこんと座っていた。
ハンカチをしっかり敷いて直に座らない辺り、育ちの良さが伺える。
流石に戦闘の只中に戦闘力の無いすずかとアリサを連れてくるわけにもいかず、2人はこの場所で皆を待つことになったのだ。
「大丈夫だよね、みんな」
「…当り前じゃない」
不安そうなすずかの言葉にアリサが即座に答えるが、そのアリサとて不安はあった。
確かにすずかとアリサは、総司や大悟やシャウラの強さを知っている。
だが、『強い=無事』というわけではないのだ。
強くたって傷つき、倒れることもあるのが戦いである。
その現実を幼いながら理解しているから不安なのだ。
だからだろう。
2人の背後…地面の下から何本ものうねる触手が迫っていることに2人は気付かなかった…。
~~~~~~~~~~~~~~~
「ぎゃぁぁぁ!!」
「「!?」」
突然の悲鳴に、大悟とシャウラが振り返る。
するとそこにあったのは、降伏し、シャウラのリストリクションで拘束されたロックが、地中から伸びた触手によって頭を貫かれて絶命した姿だった。
同時に、攻撃的な
すると、さっきまで2人のいた場所を何本もの触手が貫いていた。
「ヒャッヒャヒャヒャ、流石は
今のを避けるとはな」
そう言って、地中から現れる
「オレは地伏星ワームのライミ。
今度はオレが相手だ」
「…なるほど、では俺とシャウラのどちらとの戦いを望む?
お前の望む方が相手になってやるが?」
「いいや、2人纏めて片付けてやる」
「本気で言っているのか、お前。
俺たち
ライミの言葉に大悟は眉を顰めながら問い返すが、ライミは何でもない様に言い放つ。
「お前たちはこのオレに抵抗することもできずに死ぬのだ。
何故なら…」
そしてライミの触手が地中から引き出される。
そこには…。
「アリサちゃんにすずかちゃん!?」
シャウラが悲鳴のような声を上げる。
それは触手に絡め取られ、気を失った2人の姿だった。
「くっ!? 人質とは卑怯な!?」
「ヒャッヒャヒャヒャ、何とでも言うがいい。
さぁ、どうする?
大人しくお前たちが殺されなければ、この小娘どもが死ぬことになるぞ」
その言葉に、大悟とシャウラを冷たい汗が伝う。
すずかとアリサの救出は最優先だが、どうすればいいのかわからない。
その時だ。
「…なるほど、人質とはな」
言葉と共に、総司が現れる。
「おお、総司。 中はどうだった?」
「
それで最後のゴミ掃除に来ただけだ…」
大悟にそれだけ答えると、総司は一歩前に出る。
「動くな!
この小娘どもがどうなってもいいのか!」
そうすずかとアリサを見せつけるようにするライミを、総司は鼻で笑う。
「ふん、俺たちに恐れをなしたくせに、人質をとった途端強気とは…どうやら心身ともにクズらしいな…」
その言葉は正しかった。
施設内に突入したライミはそのまま、その地中潜航能力で様子を伺っていたのだ。
そして施設内での総司の力、外部での大悟とシャウラの力を見て地中を移動し逃げ出したのである。
その途中ですずかとアリサを見つけ勝ち目を見出したことで戻ってきたのだ。
「ワームのライミ…お前に選択肢を与えてやろう…」
そう言って、総司はスゥっと人差し指を向ける。
「今すぐすずかとアリサを解放して俺たちの目の前から消えるか、強制的にすずかとアリサを解放させられるか…選べ」
そう総司の発する言葉と気配に、大悟とシャウラは身を震わせる。
総司が静かに怒り狂っている…それが分かり、冷や汗が噴き出る思いだった。
だが、ライミはそれに気付けない。
すずかとアリサという絶対的な武器を手に入れたライミには、敗北など毛筋ほどもありえなかった。
「何を!?
まずは小生意気な貴様から死ねぇ!!
ワームズバインド!!」
大量の触手が総司に、大悟に、シャウラにと襲い掛かる。
身体を絡め取られた3人の眉間を、ゾブリと触手が貫いた。
脳漿が弾け飛ぶ感触に、ライミが勝利の声を上げる。
「ヒャッヒャヒャヒャ!
何が
このオレにかかればこんなものよ。
だが、オレは慈悲深いからな。
寂しくならないようにこの小娘どもも
そして触手で捕らわれたすずかとアリサへと力を込めた。
生身の、それも少女がそんなことをされて無事なはずがない。
瞬きのまもなく、すずかとアリサは、無数の肉片へと変えさせられてしまう。
「ヒャッヒャヒャヒャ! どうだ、オレさまの力を!
ヒャッヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!」
血塗れの現場に、ライミの勝ち鬨の笑いが響く。
そこに、静かな声が響いた。
「…楽しい幻は見れたか?」
~~~~~~~~~~~~~~~
「ヒャッヒャヒャヒャ……ハッ!?
こ、これは…!?」
ライミが見れば、そこには今しがた殺したはずの3人の
見れば細切れに変えたはずのすずかとアリサもそのままだ。
「こ、これは一体…!?」
戸惑うライミに、総司が言い放つ。
「幻朧拳…お前は幻を見ていたのだ」
そう、総司はライミに人差し指を向けたその瞬間、幻朧拳をすでに放っていたのである。
その後の出来事はすべて、ライミの見た幻であった。
「そして、お前の選択も見せてもらった…」
その時になって、ライミは総司の纏う
あまりの強大さに、ライミは一歩下がるが、そこで切り札があることを思い出したように言い放つ。
「う、動くな!
この小娘どもがどうなってもいいのか!?」
そう言ってすずかとアリサを見せつけるように掲げるが、その瞬間、紅い閃光が走った。
「スカーレットニードル!!」
シャウラの放ったスカーレットニードルが、すずかとアリサを拘束する触手をすべて正確に撃ち抜いた。
そのまま落下する2人の身体を、大悟がキャッチすると後ろに下がり、触手を引きちぎって2人を解放する。
「う、うぅ…お、おのれ、おのれ~~っ!?」
瞬きの間もなく人質を奪還されたライミが一歩後ろに下がる。
「ここまでだな、ミミズ。
さぁ、お前の選んだ選択の結果を受け入れてもらおう…。
すずかに手を出す選択を選んだ貴様の結果は…死、あるのみだ!」
その宣言と共に、総司の
「こ、こうなれば、やってやる!
やってやるぞ!!
ワームズバインド!!!」
破れかぶれで叫ぶと、ライミから数え切れないほどの触手が総司に向かって放たれた。
人の身体を容易く砕く触手の波。
だが、総司は恐れることなくその触手の波を見つめていた。
「ミミズが…銀河に砕け散れ!!」
そして、総司の
「ギャラクシアン・エクスプロージョン!!!」
銀河の爆砕が、触手の波をまるで紙屑のように千切れ飛ばす。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そしてその爆砕の中で、ライミの肉体は完全に砕け散ったのだった…。
~~~~~~~~~~~~~~~
戦い終わり、スカリエッティによる治療が行われる。
傷ついたナンバーズはもちろん、ゼスト・クイント・メガーヌの3人もだ。
一通りの治療が済み、落ち着いたところで今後のことを話し合うことになったのだ。
まず、ゼスト隊の3人はスカリエッティのアジトで最高評議会の関与を示す決定的な証拠を見てしまった。
それによって管理局の腐敗をまざまざと思い知らされると同時に、自分たちの現状を知ることになる。
「このまま戻れば確実に口封じをされるな…」
ゼストは自分たちが帰る場所を失ったことを知る。
そこで総司たちは予定通り秘密裏の亡命先として『
「ここで死亡したことにして
そして、同様のことをスカリエッティにも提案した。
スカリエッティも、この提案が自分たちを最高評議会の楔から解き放つものだということは理解できていた。
それに、
科学者としての好奇心を大いにくすぐられるそのテーマを与えられ、そのための援助もしてくれるというのだから迷うことなどスカリエッティにはなかった。
「ただ…人体実験みたいなのは勘弁だ。
広く人の役に立つものをこれからは作って欲しいがね」
「…わかっているよ。
今までの私と、同じようなマネは決してしないと誓うよ」
今まで自分が与える側だった暴力による無慈悲な蹂躙…それを
思えばスカリエッティは『最高評議会』によって今の状態に、『そうあるべくして造られた』存在である。
まともな情操教育など受けているはずもない。
育児において、欧米では『子供は動物、経験によって人間になる』という考え方がされている。
人は『経験』の生き物だ。物の価値観や善悪判断はその『経験』によって成り立つ。
悪いことをして親にゴチンと怒られ、その『経験』が善悪判断の基礎になっていくのだ。
子供には成長のために『怒られる』ということが必要なのだが、スカリエッティにはそんなものはない。
それが今回、初めて善悪判断のための『経験』を味わうことになったのだった。
もっとも、親の愛あるゲンコツではなく
そんなわけで、もはやスカリエッティとしても非道な人体実験などに手を染める気はない。
そしてそれをしないで済む環境を与えてくれて、しかも『
最終的に『亡命』の話は纏まったが、いくつかの問題も発覚した。
まずゼスト隊の家族をどうするか、である。
ゼストは家族はいないが、クイントには夫と娘2人、メガーヌには幼い娘がいた。
最初は家族まとめて全員の『亡命』も提案したが、クイントの夫は管理局の職員であり有能な人物だ。
更に2人の娘は『戦闘機人』…それだけのメンバーがいきなり消えればさすがに疑いの目をかけられる。
いきなり
クイントもそれを理解しており、結局、クイントは死亡したことにして本人だけが『亡命』することになった。
次にメガーヌの方だが、娘のルーテシアは赤子である。
この子をそのままにしては、何が起こるか分からない。
そこでスカリエッティが管理局に潜入しているナンバーズの1人、ドゥーエにルーテシアの回収を指示、ドゥーエともども
次の問題が、この施設についてである。
この施設には、まだ稼働前ながらナンバーズの少女たちが『生まれて』いた。
この施設を放棄し、容易に亡命というのは難しいのだ。
だが、それに関しては総司に手があった。
「この施設ごと、アナザー・ディメンションで
魔法研究には技術者もそうだが、それをできるだけの施設も必要だ。
だからこそ、最初から施設ごと『亡命』してもらう腹積もりだったのだ。
施設ごとの引っ越しという、あまりのスケールの無茶苦茶さに一同声もでない。
「でもさ…ここまでやってセージ様たちに怒られないかな?」
シャウラの言葉は当然だが、
それに…。
「そのための『切り札』が、何故かこんなところにころがってたしな」
総司が顎で指す先には、分析装置に囲まれた白銀の箱が存在していた。
そして、すべての方針を決めた後、総司が最大限の
「アナザーディメンション!!」
この日を境に、次元犯罪者ジェイル=スカリエッティは永遠に歴史から姿を消したのだった…。
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黄金十二宮から西に50キロの森林地帯へと、施設ごとスカリエッティたちを亡命させた総司と大悟とシャウラは、すぐにセージたちにこのことを報告するために『教皇の間』を訪れた。
無論、あいさつも兼ねるためスカリエッティとゼストも同行することになった。
総司から説明を受けた
「もう
そのことは
「しかし、何故
「それに関してですが…理由は『コレ』ではないかと…」
当然の疑問を口にするセージに、総司はスカリエッティの施設内で見つけたあるものを取り出す。
それは…。
「
「それは…
そう、それは
話を聞けば、『最高評議会』から研究目的としてスカリエッティに送られてきたものらしい。
どこかの無人世界の遺跡にあったものを、極秘裏に回収したものだそうだ。
恐らく、
その事実に、セージは苦虫を噛み潰したような顔をした。
「
いつかこういう事態にはなるだろうとは思っていたが、早いものだ。
やはり管理局は油断がならんな。 いや、この場合その『最高評議会』か…」
今後の管理局との接し方にも、今以上の注意が必要そうである。
総司は結局、この『
だが、セージは顎をさすりなが総司に問う。
「総司よ、聞けばそのスカリエッティ殿は今まで数多の命を己の欲のために奪い取ってきた…いわば『悪』だ。
それを何故、地上の愛と正義のために戦う我ら
やはりスカリエッティの過去の罪状については問題となったのである。
だが、その質問に総司はこう答えた。
「それは『過去』のスカリエッティでありましょう?
過去の罪は変わることはないでしょう。しかし間違いに気付けばそれを正し、償うこともできるのが人間です。
俺は
だからこそ、その機会を与えてほしいと願います…」
そう言って深々と頭を下げる総司に、セージは顎をなでると頷く。
「よく考えれば、1つの『悪』を外に出さぬように我らが封じたとも言えるか…。
よかろう、我ら
今後の彼らの行い、見定めさせてもらおう」
こうして、スカリエッティ一味とゼスト達は
ただし管理局とのこともあるため極秘裏に、である。
会談後、スカリエッティは何故ここまで自分たちに便宜を図るのか総司に尋ねてみた。
「あんたが優秀だったのと…個人的な感傷だ」
総司としてはヘラからの資料によってスカリエッティについては多少なりと知っていた。
創造者によって道を決めさせられそこを進む以外の道を選択できなかったもの…そんな部分が自分とヘラとの関係に少しだけ似通っているように思ったのだ。
サガやカノンといった、『悪』からの改心という事例が多い
だからこそ、ある意味で同族への憐みから機会を与えたのだと語る。
「総括では、あんたの今後に期待している、ということさ」
それだけ言ってスカリエッティの胸をポンと叩くと、総司は大悟とシャウラの元へとやってきた。
「ふぅ…冷や汗が噴き出る思いだったぞ」
会談での緊張で額から噴き出た汗を、大悟が拭う。
「総司くん、凄いよ。
ねぇ、僕の会社のネゴシエイターとかにならない?」
「いい話だが、断るよ。
俺はすずか付きの執事だし、俺がネゴシエイターだとキレて最後には『ショータイム』になりそうだ」
「それは…巨大ロボより大惨事になりそうだね」
シャウラとの冗談に、総司は苦笑する。
それに、総司としてはこれから忙しくなるという意識があった。
(遠からず、管理局が揺れる…)
その理由は『最高評議会』である。
管理局を牛耳る『最高評議会』は、肉体を失った脳みそだけの存在だ。
それを維持するには、高度な技術によるメンテナンスが必要となる。
だが、それを受け持っていたスカリエッティたちがいなくなったのだ。
保守が効かず、遠くない未来に勝手に消滅してくれる。
そのあとに多少の混乱が発生するだろうが、10年後の聖戦時にそんなことがあってはたまったものではない。
「膿は早いうちに出した方がいいからな…」
立場上、直接『最高評議会』を潰すことはできないが、これなら間接的に『最高評議会』を叩けるのだ。
実は今回のスカリエッティ一味のスカウトの理由の一つは、管理局に巣食う『最高評議会への攻撃』だったのである。
総司の二手三手を読んだ上での行動だったのだ。
だが…運命は残酷だ。
まさかこの一手が裏目に出ていようとは、その時さすがの総司も予想だにしていなかったのである…。
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ここは管理局の影の中枢とも言える、時空管理局『最高評議会』。
プカプカと浮かぶ3つの脳と、多くの複雑な機械が並んでいた。
『スカリエッティが消えどうなることかと思ったが…良い腕だ』
「ありがとうございます」
3つの脳からの言葉に答えるのは13~14くらいの少女であった。
その隣には、これまた同じくらいの歳の少年が険しい顔で立っている。
『今後とも我らのメンテナンスを頼むとしよう…』
『そうだな、スカリエッティにやらせていた研究を引き継がせるのもいい』
3つの脳は今後の展望を語りだす。
そして3つの脳は少女へと問うた。
『何という名前だったか…もう一度教えてもらいたい』
その言葉に、少女はニヤリと笑いながら答えた。
「私の名はパーラ、そしてこの者は私の護衛のラースでございます…」
これ以降、ジェイル=スカリエッティという犯罪者は歴史に消え、それに変わるように『パーラ』という名の女が台頭していくことになるのだった…。
あ…ありのまま今起こったこと話すぜ!
「人材チートしたと思ったらいつの間にか組織力チートをされていた…」
な…何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何を書いてるのか分からなかった…。
頭がどうにかなりそうだった…。
逆チートとか無理ゲーとか、そんなチャチなもんじゃ断じてねぇ。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。
というわけでゼスト隊生存とスカリエッティご一行のスカウト、そしてついに冥闘士との戦闘に、ヤバい方々の暗躍でした。
同時に、黄金同士の戦いしかしておらず未だ活躍の無かった牡牛座の活躍回です。
牡牛さんのパワーは本気で凄い。
そしてパーラにラース…うん、間に何文字か足りませんな!
ちなみにスカリエッティのところに冥闘士が来たのは、今回の最後のための向こうの計画です。
保守員として入り込んで利用とか、こちらの『あの方』はできる女なのです。
少なくとも、あの翼竜をピンヒールで踏みつけて高笑いするだけの人ではないのです。
次回からは、募集をかけたオリジナル聖闘士たちの登場を数話にかけてやる予定。
パライストラもついに開校の予定。
次回もよろしくお願いします。
今週のΩ:四天王、あっさり退場。はえぇよ、オイ!
そしてギュンギュン膨れ上がっていくユナのヒロイン力。
やだこの子…かっこ可愛い!
そしてついに光牙とエデンがマルスの元に辿り着くわけですが、どう考えても戦力的に勝ち目がないなぁ…。
一輝兄さん、そろそろ出てきてくださいよ、マジで。