投稿した人は、伏線もあったので恐らく自分のキャラが来ると分かったんじゃないかなぁ…?
「ふぅ……」
その日、
ここ
「綺麗……」
暖かな木洩れ日とそよぐ風、鳥たちの声に薫る緑……現代日本では決して見ることはできないだろうその風景は、
その時だ。
「~~♪ ~~♪」
「?」
どこからか、そう遠くないところから微かに綺麗な歌声が聞こえた気がした。
それを追ってすずかが森の中を進んで行くと……。
「あっ……」
森の開けたその場所には、少女がいた。木漏れ日の中に立つその少女の歳はすずかと同じ、10歳といったところ。茶色のショートヘアに茶色の瞳の少女だ。服装はパライストラの鍛練用の訓練服であることからも、パライストラの生徒であることが分かる。
その少女から漏れるのは綺麗な歌声だ。その声に惹かれているのか、森の鳥たちが少女の周りに集っている。
そんな鳥たちに微笑みを浮かべながら、少女はその綺麗な歌声を響かせていた。子守唄のようなゆっくりと優しいその歌にすずかは魅了されるように一歩を踏み出す。
パキッ
「!?」
一歩を踏み出したすずかが小枝を踏んでしまい、その音ですずかの存在に気付いた少女が歌を中断させ、バッとすずかの方を見る。
「あ、あの……ごめんなさい、邪魔しちゃって。
でも……綺麗な歌声だね」
すまなそうにしかし微笑みながらすずかが少女に言うと、少女は今まで鳥たちに見せていた微笑みを、まるで仮面でも被ったかのように跡形もなく消し去ると、バッと身を翻し何も言わずに走り去って行った。
「あっ……」
少女がいなくなり、森の演奏会はこれまで、と思ったのか集っていた鳥たちも森の中へと飛び去っていく。
「綺麗な歌だったなぁ。
でも……」
鳥たちの羽音の中、何も言う間もなく去って行った少女に、すずかは呟く。
~~~~~~~~~~~~~~~
翌日、すずかは同じように
「~~♪ ~~♪」
昨日と同じ、綺麗な歌声が微かに聞こえる。そして、昨日と同じように森の木漏れ日の中に少女はいた。
すずかは今日は何も言わずに鳥たちと共に、静かに森の演奏会に聞き惚れる。
そして歌の終わりと共に、パチパチと拍手と共にすずかは少女に話しかけた。
「本当に綺麗な歌だね。 聞き惚れちゃった」
すずかの姿を認めた少女は、昨日と同じく身を翻し何も言わずに走り去ろうとするが、その背中にすずかが声をかける。
「待って! 私、月村すずか。
あなたの名前を教えて!」
そのすずかの言葉に少女は一瞬だけ動きを止める。
「……ロニス。 ロニス・アルキバ……」
それだけ言うと、今度こそ少女は走り去る。
「ロニス・アルキバ……ロニスちゃんか……」
すずかは確かめるように、少女の名前を繰り返したのだった……。
~~~~~~~~~~~~~~~
「こんにちは、ロニスちゃん」
「……」
ロニスとの邂逅を果たしたすずかは、それからよくロニスの元にやってきていた。
ロニスの方も、いつも無表情・無言ではあるものの、最初の頃のように逃げるようなことはない。
今日もまたチラリと視線を送るだけで、何も言わずに歌を続ける。
もはやすずかも慣れたもので、今日もいつも座っている切り株に腰かけ、ロニスの歌声を聞いていた。
やがて、ロニスの歌が終わると、パチパチとすずかは拍手を送る。
「今日もすっごく綺麗な歌声だったよ、ロニスちゃん!」
「……」
すずかの言葉に、何の感慨も持たぬようにロニスは持ってきた水筒で喉を潤す。その間、すずかはロニスの周りに集まった鳥たちと戯れていた。
ロニスの周りには、必ず多くの鳥たちがいた。最初は大いに警戒されていたすずかだが、何度も通っているうちに鳥たちが慣れたのか、もはや警戒されることもない。それどころか好奇心旺盛な小鳥がすずかにじゃれつくことすらあるのだ。
「あはは、くすぐったいよ」
「……」
鳥たちと戯れ笑顔をみせるすずかにロニスはわずかに優しい顔をするが、すぐにその表情を戻すと荷物を持ってパライストラの寮へと戻っていこうとする。だが、そんなロニスをすずかが止めた。
「あ、待ってロニスちゃん」
「……何?」
ロニスがわずかに振り返り問うと、すずかは手にしていた包みを取り出す。
「これ、私が作ってきたお菓子なんだけど……良かったら一緒に食べよ」
ニコリと笑うすずか。ロニスはすずかの言葉に歩を止める。
ここパライストラでは菓子のような嗜好品はかなり貴重なものだ。それに、ここ数度のやりとりですずかはロニスの扱いをなんとなく理解していた。同年代の女の子としては当然かもしれないが、ロニスは甘いものが大好きだ。だからこそお菓子をダシにすれば会話を間違いなくできるという確信がある。
(なんだか餌付けみたい……)
まるで警戒心の強い小鳥を餌付けしているようだと思いあたり、すずかは心の中で苦笑する。
そして……。
「……分かった。少し、だけなら……」
案の定というかすずかの思惑通り、ロニスはすずかの隣に座った。それを確認してから、すずかは微笑んで包みを開ける。
「はい、ロニスちゃん!」
「……綺麗な、手……」
包みを差し出すすずかに、ボソリとすずかに聞こえないくらいの声でロニスは呟く。
そして、ロニスはゆっくりと包みの中のクッキーを齧る。
「……美味しい」
「ふふふ、よかったぁ」
嬉しそうにほほ笑むすずかに、ロニスは目を背けた。まるで眩しい物でも見るようかのように。
そんなロニスを知ってか知らずか、すずかはロニスとたわいない話を始める。
「ねぇ、ロニスちゃん。
綺麗な歌だね、あれ、何て言う歌なの?」
「……知らない。 何となく、昔聞いた覚えがあるだけ……」
「優しい感じだし、子守唄か何かかな?」
「……知らない。 私に親は……居ないから……」
「ご、ごめんなさいっ!」
「……別に、いい。 どうでもいいことだから……ごちそうさま」
「ふふっ……」
クッキーを食べ終わったロニスは今度こそ立ち去ろうとするが、ふと足を止めてすずかに問う。
「……私に何故構うの? 何が目的?」
「目的だなんて、そんなのないよ。
ただ……ロニスちゃんとお友達になりたいの」
「……友達」
『友達』という言葉を、ロニスは呑み込むようにゆっくりと呟く。そして、ロニスは今度こそパライストラの女子寮へと戻り始めた。
「ロニスちゃん! 今度、私のところに来てよ。
美味しいお茶、一緒に飲も!」
背中からかけられたすずかの言葉に、ロニスは振り返らなかった……。
~~~~~~~~~~~~~~~
ロニスは女子寮に帰った後、先ほどまでのすずかとのやりとりを思い出していた。
「友達……。 そんなの、知らない……」
『友達』という、彼女にとっては遠い言葉を眩しい笑顔と共に言う少女、月村すずか。
そして、自分の手を見つめながら思い出す。
「綺麗な……手だった……」
すずかの綺麗な白魚のような指を、白磁のような手を思い出す。あんな綺麗な手の持ち主だから、『友達』という言葉が出てきたのだろう。そしてその綺麗な手が、すずかと自分がまるで違う『生き物』であることを思い知らせる。
「私とは違う……『ラット』の私とは……」
月を眺めながら、ロニスは自嘲気味に呟いたのだった……。
パライストラの門を叩いた人間には大きく分けて2種類、魔力を持ちながらさらなる力の発展を願った者と、
だが彼女、ロニス・アルキバのここに来た理由はそのどちらでもなかった。
彼女がパライストラの門をくぐった理由は単純、それは『生きるため』である。
ミッドチルダの地上の治安は、実はあまり良くない。生まれ持った才能重視の『魔法文化』、そして治安を維持する人員の不足などその理由は大なり小なり数多くある。さらに貧富の格差も激しく、一説には人口の5%に満たない層がミッドチルダの富の90%以上を保有しているとまで言われている。結果として犯罪の温床となりえる貧民街が各地で形成されたり、様々な面で社会問題となっていた。そして、『ラット』と呼ばれる者もそんな社会の生み出した風景の一部である。
『ラット』というのは貧民街の親無しの少年少女、いわゆるストリートチルドレンに対する蔑称である。その日の糧を得るためにゴミを漁る姿を、まるでドブネズミのようだと揶揄したものだ。
ロニスはそんな『ラット』の一人であった。物心ついた時には親などおらず、親について覚えているのはおぼろげな子守唄だけ、調子も歌詞も合っているかすらわからないそれだけである。そんな環境で育ってきた彼女の人生のほとんどは、『生きること』に傾けられており、彼女には『魔法』の才は無いが、特異な才能によってそれを今まで続けていたのである。
彼女の特異な才能とは、『鳥使役』というレアスキルだ。その能力はあらゆる鳥類と心を通わせ、操ることを可能とする。その力は食糧探索・危険察知など高度なサバイバビリティをロニスに与え、10にも満たぬ少女が『生き抜く』ために使われ続けてきたのだ。
そんな人生の中、ロニスが悟ったのは『人は信用できない』ということだ。彼女は今まで、自分の能力によって得を得たいと思った人間や、邪欲によって自分を狙う人間を見続けていたのだから当然ともいえる。
ここで一言断わっておくが、ロニスは別に『人間嫌い』という訳ではない。ただ人間関係というものは『損得勘定』を中心として形成されるものであり、互いに利用し合う利害関係の一種であると冷めた視点で見つめているだけの話である。利害関係で成り立ち、互いに利用価値が無くなれば即座に裏切るという、『裏切りを前提とした関係』というのがロニスの知る人間関係だ。
だから利害関係の外側にある人間関係、『友達』というものをロニスは知らないし、どんなものかも分からないのだ。
さて、そんな風にコンクリートジャングルを生き抜いていたロニスだが、一つの転機が訪れた。それは管理局によるストリートチルドレンの一斉保護である。社会問題化していたストリートチルドレンの増加に人道的な観点から、という理由で行われるそれだか、その内情というものは世間に流布する『孤児院で幸せに』とはいかなかった。
『ラット』という言葉には、世間で流布するストリートチルドレンの蔑称というもの以外に、管理局の闇ではもう一つの意味を持っている。それは『使い捨ての駒』の意味だ。
慢性的に人材不足の管理局にとっても人材とは重要資源である。それの損失は出来得る限り防ぎたいが、その任務の地域は危険な地帯や、特殊な地域が多い。そこで一定の魔力の才のある、またはレアスキルを持つ保護したストリートチルドレンに、先行偵察を任せるのだ。状況を知り本命である魔導士の安全性を高めるための『使い捨て』、安全を確認するために投げ込まれる『実験動物』……様々な揶揄を含み、そんな彼らを『ラット』と呼ぶ。ロニスもまたその『鳥使役』のレアスキルによって、『ラット』として投入されることになったのだ。
ロニスの投入されたその地は、まさに緑の地獄だった。
ジャングルに覆われた無人世界の、これまた詳細不明の遺跡。奇妙なことに『魔法』がほとんど発動しないそこに投入されたロニスたちの目的は遺跡の偵察であった。
襲い来る原生生物たちや行く手を阻む遺跡の仕掛け……気付いた時、生きていたのはロニスただ一人であった。そして、幾多の命の危機を乗り越え、その遺跡の奥で発見した『鳥のレリーフの入った白銀の箱』をロニスは無事に回収したのである。ちなみにロニスは知る由もないが、この白銀の箱は『最高評議会』を経由してかの有名な次元犯罪者へと送られることとなった。
とにかく九死に一生を得て生き残ったロニスだがそんな彼女へ次なる命令、『パライストラへの入校』が言い渡されたが、ロニスに拒否権などなかった。『ラット』である彼女は管理局の闇の一部、利用価値がないとされた瞬間に闇に葬られるだろう。だから生きるために管理局の命令をこなす……例えそれがどんなに危険なことであろうと、だ。
「……新女神神殿への潜入と、神具の奪取……」
ロニスの元に何処からともなく届けられたその指令書の内容を、ロニスはいつも通り無表情・無感情のまま読み直す。
そう、拒否権などありはしない。自分はただの実験動物、『ラット』なのだから……。
~~~~~~~~~~~~~~~
ここ
1つは黄金十二宮を通り教皇の間を越えた先にある『女神神殿』だ。ここは言わずと知れた最重要施設、女神たちの神具や様々な神秘が眠る場所である。
そしてもう1つの『女神神殿』とは、パライストラの側に新たに建設されたものだ。
もっとも信仰の自由は尊重しており、別段他宗教を信仰していても誰も文句は言わない。だが女神に対する敬愛、そしてその名の下での正義のための戦いの執行のためには精神的な教育は不可欠でありパライストラでのカリキュラムには、これにかなりの力を入れている。その一環として、一日一回の『女神神殿』への礼拝を義務付けているのだが、黄金十二宮や教皇の間を軽々しく通すわけにもいかない。そこでもう1つの『女神神殿』をパライストラの近くに建設し、そこに礼拝させることにしたのだ。
この新しく建設された『女神神殿』は区別のために『新女神神殿』と呼ばれるのだが、ここはいわゆる『分社』であり、神具のほんの一部(数滴の女神の
一部とはいえ女神の神具、そこから感じられる雄大な
そんな新女神神殿へと、夜の闇にまぎれながらロニスは足を踏み入れる。
「……」
闇に溶けるその衣はまるで夜闇の鴉だ。そんな彼女は周囲に十分な警戒を払いながらゆっくりと夜の新女神神殿へと入っていく。神具の宝物庫は最奥だ。ロニスはそのパルテノン神殿風の白い神殿の内を、その石柱の影に隠れながら闇から闇に移動を続ける。
人の気配もなく、迷うような道もない新女神神殿。だから宝物庫までの距離などすぐのはずなのだが……。
「?」
行けども行けども、先にあるはずの宝物庫に辿りつかない。明らかに外観と内部の広さが合っていない。
そうやって進み続けたのは果たしてどれだけの間だったのか……ほんの数分の出来事のようにも、数十時間の出来事のようにも感じる。
ロニスがその明らかな異常に気付いた時、その声は響いた。
「気付いたか? お前は迷宮に迷い込んでいたことに」
その声にロニスはバッと振り返る。
そこには黄金の
「
その最強の1人が今、
「どう……して……?
そう、新年早々にシャウラが海鳴市へとやってきたため、5人の
そのロニスの呆けたような声に、総司はつまらなそうに答えた。
「
しばらくの間、俺たち
そして、そうとは知らぬお前のような愚か者がまんまとやってきたということだ。
さて……」
そう言って、総司は面倒そうに右手を掲げた。
「
お前は終わりだ……」
目には見えない何か、
だがその時、第3の声がその場に響いた。
「総司くん、やめて!」
「……すずか」
見ればそこに立っていたのはすずかだった。薄い紫のネグリジェに身を包み、すでに就寝中だったことがうかがえる。
その姿を認めた総司は、ため息をついた。
「起こしてしまったか……悪かった。
だが今俺は仕事の真っ最中だ、そのままベッドに戻ってくれ」
それだけ言ってロニスに視線を戻す総司だが、まるでロニスをかばうようにすずかが立ちふさがる。
「どけ、すずか」
「嫌だよ! だってどいたら総司くん、ロニスちゃんに酷いことするんでしょ!
だったらどかない!」
総司はそんなすずかに、頭を一つ搔くと聞き分けのない子供を諭すように語り始めた。
「いいか、この
それを見過ごせば、今後も同じような輩は増えるだろう。
言い方は悪いが、見せしめが必要なんだ。
分かったらどいてくれ。 お前にこんなことは見せたくない」
「分からないよ、そんなの。
それに……総司くんは勘違いしてるよ。
ロニスちゃんは泥棒なんかじゃない」
「何?」
すずかの言葉に、総司は眉をひそめる。そんな総司にすずかは言い放った。
「ロニスちゃんは……お茶を飲みに来たの!
今日、そういう約束をしたの!
パライストラの授業で忙しいからこんな時間にしかこれかなったの!!」
「……」
その言葉に、総司は頭を抱えた。
「お前はそれを本気で言ってるのか?」
「本気も何も本当のことなの!」
「……その格好で、人のベッドに入り込んできただろ。
あれは完全に寝に入ってたと思うが?」
「あれは……ちょっと忘れてただけなの!
とにかく! ロニスちゃんはお茶を飲みに来ただけなの!
総司くん! 執事さんとしてお客様にお茶の用意をして!!」
しばしの間、総司とすずかの視線が交錯する。そして、総司はため息と共に
「分かりました、すずかお嬢様。
お茶の用意をしますので、まずはお茶の飲める格好に着替えることをお勧めしますよ」
「うん!
ロニスちゃん、また後でね」
それだけ言うとすずかは奥の方へと消えていく。残ったのは、何とも言えない表情の総司と、展開についていけていないロニスだけだ。そんなロニスに向かって総司はため息とともに言う。
「お茶を用意しよう。 それを飲んでさっさと帰れ。
さすがにもう、次は無い」
「……待って。 どうして……見逃してくれるの?
あなたなら……
そう言い放ち総司は奥へと消えていこうとするが、ロニスは問いを投げかける。すると、総司は振り返って言った。
「……お嬢様の客に手は上げられん。 すずかがお前を庇った時点で、俺がどうこう出来ることでは無くなったということだ」
「何で……何であの子は私を……?」
「さぁな、俺にもよくわからんが……すずかの性分なんだろう。
損得無しで誰かのために手を差し伸べられるというのがな。
かく言う俺も、そうやって手を伸ばしてもらい、今ここに居る……」
自分のために涙を流してくれたすずかを思い出し、総司はフッと笑った。
「すずかが言っていたよ。
歌の綺麗な女の子と知り合った、友達になりたい、とな」
「でも……そんなことをしてもあの子には何の得も……」
「ああ、無かろうよ。
だが、すずかは損得ではない『何か』に本気になれる人間だ。
そうやって救われた俺はそんなすずかの性分を……愛しく感じる。
お前はどうなんだ?
損得抜きですずかに本気になってもらえた。
お前はどう思っているんだ?」
その言葉に、ロニスは首を横に振る。
「分からない……『友達』なんて……私は知らないから。
それに……こんな私にあの子を『友達』だと言う資格はないから……」
自分は『ラット』、すずかのように綺麗な心と身体のものとは違う、薄汚いドブネズミだ。
そんな自分には、すずかの『友達』になる資格などないとロニスは言う。
だが、そんなロニスに総司は言い放つ。
「それはそうだ、盗人にすずかの『友達』などなる資格はあるまい。
だが変われるだろう、『人』ならば、な」
その言葉に、ロニスはハッとした表情を見せる。
「過去の自分が資格が無いのなら、今と未来の自分が資格があるように変わればいい。
人は変われるだろうからな。
幸い、変われる機会などいくらでもある」
そこまで言うと、着替えを終えたすずかが戻ってきた。
「総司くん、お茶の用意は?」
「はいはい、ただいまご用意いたします」
そして、総司は最後にロニスの方を見た。
「変わるも変わらぬもお前次第、好きにしろ……」
それだけ言って、総司は今度こそ奥へと去っていく。
「さぁ、ロニスちゃん、こっち!」
「う……うん……」
すずかに手を引かれ、テーブルへと向かっていくロニスは生まれて初めての感情を抱いていた。
(この子と……『友達』になりたい!)
損も得も越えて結ばれる人間関係、それをこの子と……すずかと結びたい。
そのためには今のままでは駄目だ。『ラット』の自分にそんな資格は無い。
だからこそ、彼女は心に誓う。
(私はもう『ラット』じゃない。 自由に未来を変えれる『人間』になる!)
流されるままに従うままの自分との決別、そして胸を張ってすずかと友達になれる『人間』になるのだ。
すずかに手を引かれ、今までに味わったことのない感情に涙を一筋流しながらロニスは心に誓いを立てた。
管理局のスパイの1人、ロニス・アルキバはこの日を境に完全に管理局と決別した。
そして『胸を張ってすずかの友達になれる人間』として、
後年、
~~~~~~~~~~~~~~~
「……使えないドブネズミめ」
ここはパライストラ第一男子寮、そしてここは副総代室。声の主はパライストラ第一期生副総代のエイム・ロイドである。
ロニスに神具の奪取を命じたものこそ、このエイムであった。
この
「所詮、ドブネズミに期待する方が無理があったか。
まぁいい、どうせ使い捨ての駒、そんなものはいくらでも何とかなる」
今は彼は日頃の温和な仮面を脱ぎ捨て、個室の中で一人毒づく。
とはいえ、命令は誰が下したのかバレないように細心の注意をはらった上で下している。実際、上手くいけば幸運程度の感覚でロニスに命令を出したのだ。失ったところで痛くも痒くもない。
「次は誰をどんな風に動かすか……」
そう呟き、目を閉じて次の行動を考える。
というわけで最後のオリジナル聖闘士、竜華零さんから頂きました『ロニス・アルキバ』の登場でした。
この子はこの作品では無くなってしまったなのはさんの名言、「友達に、なりたいんだ」をテーマの一部にした子です。
設定的にも色々あり、双子座ファミリーの一員となりました。
うちのすずかさんはマジで人誑し。
次回は聖域と管理局との共同部隊発足と、3人娘の任務の予定。
ただし予定は未定といったところですが…。
次回もよろしくお願いします。
今週のΩ:星矢復活!
そしてユナちゃんが最高のヒロインです。
使い古されてようが何だろうが、ヒロインの言葉で戻ってくる主人公はいい。
そして射手座の黄金聖衣のレンタルも旧作劇場版の、何処からともなく飛んでくる黄金聖衣を思い出して良かった。
次回はラスボス戦のようですが、これは期待したい。