異動・引っ越しなどで忙しかったのも一段落着きましたのでやっと続きの執筆が出来ました。
新章である『聖域飛躍編』は聖域が冥王軍と戦えるように成長していく様子を描く予定。
今回は次元世界の『魔法の使えない人代表』との会合、そして次世代を担うあの子の登場です。
第55話 聖域、活動の場を広げる
「ここですな……」
教皇の法衣を纏ったセージが目の前の建物を見上げる。
ここはミッドチルダ首都『クラナガン』、そして目の前の建物は地上の保安を担当している時空管理局の地上本部である。
今日セージは、ここである人物と会談を行うことになっていた。
「では、行きましょうか?」
「……」
セージが隣の人物に話しかける。その人物はフードを深くかぶり、その顔をうかがい知ることはできない。
そのフードの人物が頷くのを確認したセージは、ゆっくりと地上本部へと入っていった。
~~~~~~~~~~~~~~~
あの
そんな
あの『雪上会戦』で、
今のままの
そしてその一環としてセージは今日、時空管理局の地上本部へとやってきていた。
「初めまして、私は
「よく来てくれた。 ワシが地上本部のレジアスだ」
地上本部の長官室で、セージは目の前の男と握手を交わす。それは初老の男だ。顔に刻まれた幾多のシワと、そしてその身体から溢れるような生気はその男が幾多の苦難を越えてきたものであると分かる。
彼の名はレジアス=ゲイズ中将。ミッドチルダ地上本部のトップである。
「遠く
「いえ、以前からレジアス殿から会談の希望もありました。
こちらも多忙なため、会談が先延ばしになっていたことを謝罪したい」
「そちらは……?」
「私の付添いですよ」
フードの人物はその言葉に小さく頭を下げる。室内だというのにその顔を晒さない態度にレジアスは小さく眉をひそめたが、セージの手前それを口に出すことなくセージたちに席を勧め、自らも席へと着いた。
「それで、レジアス殿は我々
「……そうですな、ワシも腹芸はあまり得意ではないので単刀直入に申し上げる。
レジアスからの要請は
「レジアス殿……我々
そちらの指揮下に
それに
それは
共同部隊である『Gフォース』も、管理局側の司令官であるリンディ、
それに
現在、
だからこそセージも即座にレジアスの要請を突っぱねたわけだが、レジアスにも退けない理由があった。
「なんとかそこを曲げていただきたい。
恥ずかしながらこの地上での治安維持には、手が足りないのだ」
そしてレジアス中将は現在の地上の状況を語る。
ここミッドチルダの治安状況は、実は非常に悪い。その理由は様々であるが、最大の理由は深刻すぎる人材不足だった。
ここミッドチルダは魔法文明による社会であり、当然だが犯罪者にも魔導士はいる。するとそれらを制圧するにはこちらにも魔導士が必要になってくるがその絶対数不足であった。これは管理局内部の悪しき風潮で『海はキャリア、陸はノンキャリア』といった感じの地上蔑視の風潮があり、優秀な人材のほとんどは本局に吸い上げられてしまうことに起因する。
同時に、行き過ぎた『魔法至上主義』がそれに拍車をかけた。
誰でも使えるような兵器……ミッドチルダでは『質量兵器』というものを悪として全面禁止している。兵器というものは『誰でも使え、誰が使っても同等の効果を発揮する』ものであり、それが使えないことで魔法の使える人間と魔法の使えない人間の戦闘能力の差は激しく、そして大きな隔たりが出来ていたのである。
結局、『魔導士に対抗できるのは魔導士のみ』という状態であるにも関わらず、その魔導士が足りないため治安は低下の一途をたどっていた。
「地上にも我が友であり優秀な魔導士である騎士ゼストがいたが……彼の部隊が任務中に全滅し、地上戦力の低下に歯止めがかかっていない」
「……」
レジアスの呻くような言葉に、セージはチラリとフードの男を見やると何も言わずに小さく頷く。
そんなセージたちに構わずレジアスは地上の苦境を伝えたが、その内容とはセージにとって衝撃的な話であった。
「それに実はここ最近、地上の犯罪組織に連携の動きがある。
そして……そこで『黒い鎧を着た人物を見た』という情報があるのだ」
「なんとっ!?」
その話にセージが驚愕する。
聞けば、
(やはり今回の冥王軍の幹部は頭が切れる……)
もちろん
「そのような事情もあり、
「うぅむ……」
セージは呻りながら顎をさするように思案する。
その話が真実だとすれば、
だが、その前にセージとしては今回の会談で果たすべきことがあった。
「ときにレジアス殿。
失礼ながら確認したいのですが、この部屋には盗聴や隠しカメラの類はありませんな?」
「? 無論そのようなものはこの部屋には無いが……?」
「ならば結構、安心しました」
レジアスの答えにセージは大きく頷くと、セージは隣に控えていたフードの人物に目配せする。するとフードの人物も頷くと、ゆっくりと言葉を発した。
「久しぶりだな、我が友よ」
「そ、その声はまさか!?」
その声に愕然とするレジアスの前で、フードの男がそのフードを脱ぎ去った。
フードの人物……それは
「ゼスト、生きていたのか!?」
「彼ら
その後は死んだことにして
「生きていたのなら何故亡命など……?」
死んだと思っていた友が生きていたことに喜びながらも、突然亡命という行動をとったゼストにレジアスは目を丸くするが、対するゼストはどこか冷やかに言い放った。
「何故なのか本当に分からないのか、我が友よ?
それは俺の目が節穴だとでも言いたいのか?」
「な、何を……」
「俺はスカリエッティのアジトで確かに知ったぞ、スカリエッティの裏に管理局の、『最高評議会』が存在していたことを!
これでは管理局に戻れば口封じをされることは明白、だからこそ
そして……レジアス、お前がスカリエッティのスポンサーの1人であったことも俺はあの時知った!」
「!?」
ゼストの言葉に、レジアスは目を見開く。
ゼストの言葉通り、レジアスはスカリエッティのスポンサーの1人であった。その事実を知ったゼストは親友であるレジアスにその真意を確かめるべく、今回のセージへの同行を願い出たのである。
「我が友よ、教えてくれ。
何を思い、違法研究へと手を出したのだ」
「……」
ゼストのその言葉に、レジアスはしばし無言であったが、やがてポツリポツリと言葉を発する。
「……すべては故郷の、この地上の平和のためだ」
管理局は広い次元世界を管理する組織だ。だが、外へ外へと活動範囲を広げ続けた結果、人材はまったくもって足りない。その足りない人材を地上から吸い上げ、それを使ってさらに活動範囲を外へ外へと広げる悪循環。
その間にも人材を吸い上げられた地上では、治安維持に支障をきたし犯罪組織が好き勝手に暴れまわる始末だ。
レジアスは心の底から故郷である地上を愛していた。そして、その地上の平和のための人材確保に、違法と知りながらも『人造魔導士作成』や『戦闘機人』といった戦力を欲したのである。
「レジアス……」
「……ゼスト、お前にどう思われても構わん。 犯罪者だろうと鬼だろうと罵ってくれても構わない。
だがそれでも、ワシはこの地上に、平和が欲しいのだ!」
レジアスの決意に、ゼストもセージも無言でその言葉を聞いていた。そして、レジアスの言葉を聞き終わったゼストは、傍らのセージへとゆっくり頭を下げた。
「教皇セージ様、違法な研究に協力するという手段は間違っていたかもしれませんが、我が友レジアスの、地上を愛する心に嘘偽りはありません。
お願いします。 どうか、
「ゼスト殿、頭を上げて下さい」
深々と頭を下げるゼストにセージはどこか苦笑しながら楽にするよう伝えると、改めてレジアスを見た。
「レジアス殿、あなたの地上に対する想い……確かに感じ入りました。
その想い、我ら
それに
「それでは……!?」
「ええ、教皇セージの名において、
「おお!」
感極まったレジアスとセージは握手を交わす。
「流石に
「それでも十分。 それで、
「それに関してはさすがに完全に開示とはできませんよ。
その変わりですが……」
セージがゼストに目配せすると、ゼストが一歩前に出る。
「レジアス、変わりに俺たちが
魔導士用の強化装甲システム、その名も……
「
『
そしてゼストはその地上への提供をセージへと許可を貰っていたのである。
「なるほど、今いるランクの低い魔導士たちの戦力の底上げをするというのだな」
「その通りだ。
それに『
ゼストの言葉に、セージが続ける。
「さらに対
彼女たちは集団戦闘のエキスパート、その連携戦術は十分地上のお役に立つと思いますよ」
「素晴らしい!」
レジアスは立ち上がり、セージとレジアスが握手を交わす。
「セージ殿、
「これもすべては地上の愛と平和のため。
来たるべき聖戦に向け、互いに力の限りを尽くしましょう」
こうして
まず
また、地上本部を味方につけたことも大きい。先の『雪上会戦』においての敗北により
これから聖戦において協力することになる管理局に足を引っ張られてはかなわない。これはセージの管理局の『反
同時にレジアス率いる地上本部も得たものは多大であった。
まず
同時に、セージは協力の証しとして地上本部の支援に
管理局にはある種の地上蔑視の考え方があったのだが
無論、その中にはその動向や技術を狙う本局のスパイ的な人間もいたが、レジアスはそれを承知で、逆に地上の平和のためにこき使ってやろうと迎え入れたのである。
次に、
『
これ以降、『
またノウハウという意味では、ヴォルケンリッターの派遣による集団戦闘の練度の上昇も地上本部には大きい。もともと魔導士の絶対数不足から多人数による人海戦術で事件解決を行っていた地上本部は集団連携戦術を研究し続けていたが、それがさらに洗練されていったのである。
このように
無論これだけで地上本部や管理局が完全に味方になったとは思っていない。技術や情報を得ようと、裏では様々な思惑が飛び交うだろう。だが、
重量の関係で結局装甲面はブレストアーマーのみで、魔力タンクを内蔵しシールドの出力の上昇やデバイスの演算能力の強化をその機能にしている現段階の『
そこで開発者であるプレシアとスカリエッティの両名はデータの収集を求め、地上本部での運用データによる『
さらに、その生産はシャウラとアリサの企業『グラード財団』が受け持つことになる。今後『
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「はぁはぁ……」
闇夜の森の中を、幼い少年が駆けていく。しきりに背後を気にしながら、それでも一歩でもその場所から離れるために。
「逃げなきゃ、もっと遠くへ……!」
幼い少年はその衝動に突き動かされてただただ走るが、そんな少年の心にふと自嘲のような思いが去来した。
(どこへ逃げればいいんだろう。 僕にはもう……帰るところなんてないのに……)
少年はいたって普通の、何処にでもいる少年だった。そのはずだったし、そうだと思っていた。あの日、あの時までは……。
いたって普通だと思っていた少年にはある出生の秘密があった。それは……自らがクローンだという真実だ。
その事実を突き付けられたその日、少年はあの地獄のような場所へと連れ去られた。少年のように幼い子供たちに、拷問のような訓練を強いるあの研究施設へと……。
周りの少年少女は皆、自分と同じような境遇だったらしい。その地獄のような訓練の日々で死んでいった友人も少なくは無い。
その生活に耐えかねた少年少女たちは脱出を計画、隙を見て一斉に施設から脱出を図ったのだ。
しかし、ここはどことも知れぬ森の中に存在する秘密の研究所。いかに優秀であろうと子供の足では限界がある。
少年はついに、追ってきた追跡者たちに追いつかれてしまった。
「このクソガキが! 面倒かけさせやがって!」
「帰ったら二度と馬鹿な真似が出来ないように『教育』してやる!」
荒々しく息巻きながら迫る男たちに、少年はギュッと目を瞑る。
だが、その時だ。
ドォーーン!!
「なっ!?」
何かの重い音と男たちの驚きの声が聞こえた。そして、フワリと自分を抱きしめる感触。
「大丈夫?」
柔らかいその声に、少年は恐る恐るその目を開いた。するとそこには金の綺麗な髪をした美しい少女がいた。白銀の鎧を纏い、手に持つデバイスが魔導士であることを示している。
「管理局?」
管理局が助けに来てくれたのだと思った少年はそう尋ねるが、金の髪の少女はゆっくりと首を振った。
「私たちは管理局じゃない。 でも、あなたたちを助けに来たんだよ」
その言葉に少年は視線を巡らせ……そして、少年は見た。その黄金の背中を。
自分に迫っていた追手の前に立ち、自分を守るように立ちはだかる黄金の鎧の少年の背中。
白銀の鎧の少女と同じく、黄金の鎧の少年は10をいくつか超えたばかりの歳だろう。だが、その圧倒的なまでの存在感がその背中を大きく、どこまでも大きくうつし出している。そしてその背中に守られる安心感、それだけで幼い少年は自分が助かったのだということを確信した。
「フェイト、その子は大丈夫?」
「うん、ちょっと衰弱してるけど大丈夫。 シュウ、他の子たちもはやく助けないと……」
「分かってるよ。 それじゃ……掃除に移ろうか?」
その黄金の鎧の少年……シュウトの言葉と共に夜空に薔薇が舞い、追手の男たちが吹き飛んで気絶する。
その圧倒的で偉大な背中は、幼い少年の心に深く深く刻みつけられていた。
そんな少年を、フェイトは安心させるように頭を優しく撫でながら
「もう大丈夫だよ。 私は
あの人は
あなたの名前は?」
フェイトの言葉に、少年はゆっくりと答える。
「エリオ。 エリオ=モンディアルです……」
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「どういうことだ?」
その科学者は目の前の状況に訳が分からなかった。
ここは最近になって発見された、新しいスキルを研究する研究所だ。そのスキルは訓練次第で誰もが習得でき、そのスキルを併用した魔法はその能力を格段にアップさせるという。
そのためにサンプルとして人造魔導士実験で産まれた、潜在的に魔法の才の高い子供にその『訓練』を施し、その結果を研究するというものだ。
その『訓練』は過酷であり、サンプルの損耗は極めて高い。その『訓練』の最適化と適正化も彼らの仕事だ。
そんな研究所から、今日はそのサンプルたちが一斉に脱走を企てたのだがこの科学者はそれを懸念事項だとは思っていなかった。何故ならサンプルたちは未だにその『スキル』に目覚めたものは皆無であり、それだけならただの子供だからだ。
すぐに警備・保安を担当する者が全員回収してくるだろうとこの科学者は考えていたのだがしかし、サンプルの回収に向かった者たちが次々と連絡を断っているのである。
「まさか管理局か? だが地上本部にはロクな戦力は無いはず……」
管理局の可能性を、科学者は即座に否定する。この場所を管轄するだろう地上本部にはロクな戦力がおらず、もしここへの突入を計画しているなら相当数の人員による人海戦術に頼るしかない。それだけの人数が集まるとなれば、必ず何かしらの兆候があるはずだがそれがなかった。
即時投入できる強力な戦力が無い地上本部では、この場所に強襲できるわけがない……そう思い至り他の可能性を考えようとした科学者だったが、その思考より先に種明かしの声が背後から響いた。
「半分正解。 俺たち協力してるけど、管理局の一員ってわけじゃねぇからな」
その声に、驚愕の表情と共に科学者はバッと振り返る。
そこに居たのは白銀の鎧の鎧を身に纏いデバイスを構える白い少女と、黄金に輝く鎧を纏った少年の姿だった。
そして、その存在がなんであるか悟った科学者は悲鳴のような声を上げる。
「セ、
そう、この科学者の前に現れた2人こそ、
「何故、
ここはGフォースの管轄ではなかったはずだ」
唾を飛ばし叫ぶ科学者に、快人は呆れたように左手で耳をほじりながら答える。
「情報が遅ぇな、あんた。
それに……」
そう言って快人はうっすらと笑いながら、それでも目は獰猛に言い放つ。
「ここの『研究内容』なら、俺たち
「ぐっ……!」
その言葉に、科学者は押し黙る。
「もう抵抗は無駄なの! 次元犯罪者ジーン=トラッシャー、あなたを拘束します!!」
なのはがレイジングハートを油断なく構えると、科学者……ジーン=トラッシャーは素直に手を上げ、投降の意思を示す。
多少拍子抜けしながらも、なのはは早速拘束しようとしたのだが、それを快人が手で制した。
「? 快人くん?」
「待ちな、なのは。
こいつ、全然反省してねぇよ。 寧ろこれからも色々やらかす気マンマンだ」
快人の言う通り、このジーン=トラッシャーは管理局にいつまでも捕まっている気はさらさらない。もうすでに頭の中では脱走の手筈を考えていたのである。
「こういう手合いにはな、バカなこと考えないようにちぃーとばかしキツイ仕置きが必要だぜ」
「な、なんだ!? 拷問でもするつもりか!?」
快人の反応に狼狽した声を上げるが、それを快人は一笑した。
「まさか。
俺も愛と平和を守る
ただ……」
そう言って快人は右手の人指し指を指揮棒のようにクルリと回すと、ボゥっと蒼い炎が生まれる。そしてそれに引かれるように、青白い光がゆっくりと立ち昇っていった。
その青白い光はゆっくりと形をとっていく。
それは人だ。青白い光はたくさんの年端も行かぬ子供たちの姿へとその姿を変える。
それを見て、快人は左の耳をほじっていた指を抜くと愉快そうに笑った。
「よぉーく聞こえるぜ。 こいつら、ここでお前に殺されたんだってな?
色々言いてぇことがあるみたいだし、ちょいとお話を聞いてやれよ」
快人の言葉と同時に、青白い子供の姿をした人影……死した魂たちがジーン=トラッシャーへと一斉にまとわりついていく。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
その光景に恐怖したジーン=トラッシャーの悲鳴が響き渡る。
その後、管理局へとその身柄を拘束されたジーン=トラッシャーは始終何かに脅え、驚くほどに従順な態度をとったのであった……。
~~~~~~~~~~~~~~~
「皆、ごくろうだった」
ややあって、快人が言葉を発した。
「なぁ、じいさん……今回みたいな、『裏
快人とシュウトが渋い顔をするのはひとえに、今回の調査をした施設での研究がよりにもよって『
どこからどう流失したのか、
「おまけにこれ……パライストラの採用カリキュラムじゃない。
最初の、こっちでのオリジナルですよ」
シュウトが回収された訓練内容の資料を見て眉を潜める。
その内容は以前シュウトがリーゼ姉妹たちに体験させた、『本来の
リーゼ姉妹の意見具申によってそれをマイルドに安全性を高くしたものがパライストラの採用カリキュラムであり、なるほどそれならこのオリジナルの方が本来の
だがこの過酷な修行は、それを指導し導く師がいるからこそ『修行』となりえる。それなしではただただ命をすり減らすだけの拷問にしかならない。
事実、今回の施設ではかなりの数の子供がこの訓練によって命を落としたようだ。
「……この種の施設がどれだけあるか、正直私にも想像できん。
これらの施設の摘発のためにも、地上本部への協力は正解だったな。
以後はこれらの施設の排除も必要になろう。
頼むぞ、
そして
「はい」
「わかりました」
ため息と共にセージが言う言葉に、地上本部への協力を申し出ていたシュウトとフェイトが頷く。
以後、こういった犯罪者たちによる
「ところでじいさん、あいつらどうするんだ?」
「うむ、今回の子供たちのことじゃな」
話題を変える快人の言葉にセージは頷く。
今回、施設で保護された子供たちはほとんどが身寄りが無く、帰る場所もなかった。しかも、
「色々考えたのじゃが……この
「だな。
どうせ土地は余ってるんだし、ゆっくり農業でもやってもらって暮らしゃいいさ」
こうして、
この孤児院には自分たちに境遇が似たり寄ったりなためか、快人たち
そして、ここの子供たちが後にこの『世界』の首都となる街、『ロドリオ』の最初の住人となるのだが、それはまだ先の話だ。
さて、ここに引き取られた子供たちは基本的には農作業などで、本人が望むなら次元世界の様々な職業を目指すことも可能なように教育を整えられ、子供たちは自分の目指す物を自分で選べるようになるのだが、その中には『
「
少年、エリオ=モンディアルはそう心に誓っていた。
あの地獄のような日々、そしてその絶望から救いだしてくれたあの黄金の背中は、エリオの幼い心にはっきりと刻みこまれていた。
(あの背中のように……僕は誰かを守る『
その黄金の背中を目指し、少年は『
シュウト=ウオズミとフェイト=テスタロッサの教え子として、エリオ=モンディアルの名前が刻みこまれるのはそう遠い未来ではなかった……。
というわけでレジアスさんと会合し、地上本部の協力を取り付けた聖域。
冥王軍の『利用』とは逆の、『協力』という方向での関係構築が聖域のテーマです。
そして次世代の重要人物の1人、エリオくんが聖域に引き取られました。
こちらではエリオくんは聖闘士を目指します。
次回はエリオくんとセットのあの子の話の予定。
では、次回もよろしくお願いします。
聖闘士星矢Ω……先週ついに最終回だったΩですが、まさかの和解エンドでした。
まぁ、1年間ずっと仲間でやってきたから、倒して後味が悪くなるのもあれですし、これでよかったのでしょう。
パラス・タイタンさんは生き残って償いの旅に。
あれはポセイドン編のラストを思い出しました。
そしてまさかの牡牛座ハービンジャーの教皇就任。
これ、予想できたやついないだろ。
牡羊座や双子座、乙女座、天秤座、射手座とこれだけ黄金が生き残りながら、まさかの牡牛座教皇です。
まぁ、押しつけられた感がハンパなかったですが……。