参加人数は16人、まずは第一試合から第四試合までの4戦の模様をお送りします。
新たな聖闘士候補生たちの戦いをお楽しみに。
「ほぅ……『
で、パンドラ様は何と?」
「当日、
そこでお前にはその連中と
「『丁寧な挨拶』か……ククク、パンドラ様も中々面白いことを言う。
しかし、だ。
俺の『ガルーダ』でも直接転送は不可能だが?」
「それは安心しろ。
密偵からの情報で、あの『世界』にかけられた転送阻害フィールドに対するハッキングコードを入手した。
これでお前の船があの『世界』に直接転送が可能になるはずだ」
「そうかそうか。
では俺が直々にやつらに祝砲を届けに行ってやるとしよう」
「ハーデス様復活と
今回はその来たるべき決戦に向けて
認めたくは無いがお前の力は必要なもの、三巨頭としてパンドラ様の命は厳守しろ」
「はいはい。 分かっているよ、ラダマンティス」
「……どうだかな。
戦力はこちらからも貸す。 それを拾ったらすぐに行動に移れ。
では切るぞ」
モニターの通話が切れ、アイアコスは変わらぬクソ真面目なラダマンティスにヤレヤレと肩を竦めた。そして苦虫を噛み潰したようなラダマンティスの顔は、思い出すだけでも笑いが漏れる。
そして一しきり笑った後、アイアコスは傍らに控えていた2人に言い放った。
「バイオレート、カレン!
次の行き先が決まった。 目標は
「「はっ!!」」
返事と共に駆けだすバイオレートとカレン。
~~~~~~~~~~~~~~~
その日は何処までも青い空が広がる気持ちのよい天気だった。
ここはこの日のために整えられた室内型競技施設、シャウラとアリサの『グラード財団』の出資によって完成した『グラードコロッセオ』だ。中央には石造りのリングが設置されており、周囲の壁面には様々な角度から映す大型のモニターがいくつも備え付けられている。
その最上段の貴賓席ではセージとハクレイが座っていた。その直衛として控えているのは
その傍にある特等席にもズラリと人が座っていた。そこに居るのはパライストラ教師陣と管理局関係者たちだ。その中にはあのクロノを始めとした見知ったアースラメンバーとレジアス、そしてアリサとすずかの姿もある。そしてその特等席を守るように両端にはこれまた
その特等席の下には一般席とも言えるものが設置されており、そこには護衛のようにヴォルケンリッターたちが目を光らせ、惜しくも予選に敗れ去ったパライストラの生徒たちがいる。またその一般席には管理局の魔導士と思われる者たちも多数いた。
その全員の視線の先には30m四方の正方形の石のリングがあり、そこには本戦に残った16人のパライストラ生徒たちが整列している。その姿を頼もしそうに眺めるとセージは立ち上がった。
「諸君、君たちはこの6年、良く学び、良く自身を鍛え上げた。
君たち16人には今日、その成果をとくと見せてもらう。
また惜しくも予選にて敗退してしまったものもこの試合を良く見、多くのことを学んでより一層の成長を期待したい。
これより、教皇セージの名において『
その言葉と共に大型スクリーンに対戦表が映し出された。
ここでこの『
一つ面白い点がリングアウトになっても負けとなることだ。
リングの脇には
「また、今回の『
これは擬似的に造られた『
そしてスクリーンに映し出される『
今回の『
「では、パライストラ生徒諸君、君たちの見事な戦いを期待する!!」
セージのその言葉と共に、『
~~~~~~~~~~~~~~~
対戦カードを見た舞台上のパライストラ生徒たちの反応は様々だった。
「僕は第七試合か……」
「俺は第五試合で副総代とだ。
俺とサビクで戦うには準決勝までいかないとな」
「そのときは手加減しないよ」
「かっかっか、望むところだ!」
対戦表を見たサビクとカルマがそう約束をかわす。そんな横でヨハネスは肩をすくめた。
「僕は第三試合だから2人と戦えるのは決勝だけだね。
まぁ、負けるつもりもないけどね」
「かっかっか、言うなぁ」
ひとしきり笑い合う3人は互いの拳を合わせる。
「「「お互い、頑張ろう!」」」
互いの健闘を誓い合う『55号室』の面々だった。
~~~~~~~~~~~~~~~
「嘘!? 第二試合でいきなりロニスとじゃん、私!?」
「……」
アンネはロニスとぶつかる対戦カードを見て、自身の運もここまでかと大仰に天を仰ぐ。
その横ではロニスがいつも通りの無表情を貫いており、何を考えているのかは分からない。
「いやぁ、私はブロックが別れちゃったわ。
第六試合……決勝まで2人とは当たらないわね」
そんな風に猫山霊鳴はどこかホッとした様子で胸を撫で下ろすと、ふと特等席でアルバフィカの隣に立つリニスと目が合い、思わずガッツポーズをする。それに気付いたのかリニスが呆れたように微笑むのが分かった……。
~~~~~~~~~~~~~~~
リングから降り、選手待機所に向かうルーク、リュウセイ、ハリーの3人。
「俺、いきなり第一試合から総代とだよ」
「俺は第四試合だから、うまく勝ち進めば準決勝でぶつかるな」
ぼやくリュウセイにルークが答える。そして隣のハリーが続けて言った。
「僕は第八試合……上手くバラけたものです」
そんなハリーに、ルークはどこか遠慮がちに聞く。
「ハリー……その……目は大丈夫なのか?」
「ええ、視力には問題ないですよ。
ただ、ちょっと傷が残りそうなのでこういうものを付けることにしましたけどね」
そう言ってハリーはおどけたようにクイッと自身のサングラスを持ち上げる。
ハリーは前回のコスモデルタでの予選の折、ルークを助けるために絶壁の岩肌に顔面を強打してしまっていた。幸い視力には問題がないが、左目にはちょっとした傷が残ってしまったのである。それを隠すためにハリーはサングラスを掛けることにしたのだ。
「……すまん」
「そういうのはやめて下さいって。
それに……ほら、結構似合ってるでしょ?」
「……ああ」
自責の念に駆られたルークの言葉に、ハリーはおどけたように答える。それにつられる様に苦笑したルーク。だが、そのルークの顔がすぐに強張った。
「? どうした、ルーク?」
いぶかしむリュウセイがその視線を追うと、こちらに歩いてくる1人の少女の姿があった。歳はルークたちよりも少し下だろうか、いかにも生真面目そうな、そしてどこか冷たい印象を受ける少女だ。展開したバリアジャケットに付く腕章が、彼女が管理局の所属であることを示している。どうやら、管理局の上層部の護衛の1人のようだ。
その少女はツカツカと、明らかにルークたちの方へと向かっていた。リュウセイとハリーは何事かと顔を見合わせる。そしてそんな3人を前に、少女は口を開いた。
「久しぶりね、兄さん」
「……ああ」
少女の声は外見のイメージと同様、冷やかな響きだったことは聞き間違いではないだろう。少女の言葉にルークは頷いて答える。
彼女の名は『キャリー・ブランシュ』、ルークの実の妹である。だがその視線は実の兄を見るものとは思えないほどに冷ややかだ。それもそのはず、ルークは魔法が使えないことで家族中から『落ちこぼれ』の烙印を押されていたが、彼女もルークに対し『落ちこぼれ』の烙印を押し続けていた1人であるのだから。
「まったく……家を出てこんなところで、いつまでもこんな『お遊戯』やってって……恥ずかしくないの、兄さん?」
「……」
「……おい、『お遊戯』ってのはどういうことだよ?」
無言のルークに代わって思わず声を荒げるリュウセイにキャリーは変わらず冷やかな視線を送りながら答える。
「無論、ここのことよ。
『
精々、最前線での戦いには多少役立つでしょうけど、その他はてんでダメな使えない人材ができるだけ。
そんなのは魔法に比べれば『お遊戯』のようなものよ」
そう言って肩をキャリーは肩を竦める。
キャリーはいわゆる『魔法至上主義者』だが、他とは違い非常に冷静な『魔法至上主義者』だった。
彼女は
管理局の任務は多岐にわたる。それこそ、戦闘などその一部にしか過ぎない。それらをマルチプルにこなせる人材こそがこの次元世界で真に優秀な人材であり、それは『魔法』を使う魔導士しかあり得ない。そう結論付け、管理局の任務における『
ちなみに、これこそが管理局の人材不足の原因でもあると言える。任務の多様化により、より1人の人間に求められる能力や資質が高くなってしまったのだ。
分かりやすく言えば、軍人と弁護士と警官と救急隊員の能力すべてを兼ね備えた人間などそうそう存在しないのにも関わらず、それを要求しているのと同じ理屈である。
さらにその狭き門を潜ったことに驕り、自らを選ばれたエリートとして『魔法至上主義』に傾倒していくと言う悪循環を生んでいた。
閑話休題。
「……幾らなんでも『お遊戯』は言いすぎじゃないかな?」
あまりにもな言い草に、いつもは大らかなハリーですら怒気をはらんだ様に声が幾分低くなっている。リュウセイなど今にも噛みつきそうな表情だ。
だが、そんな2人をルークは手で制する。
「……キャリー、確かに俺は魔法の才能のない『落ちこぼれ』だ。
だがそんな俺がこの6年で手に入れたものがある。
その『価値』を、今日の『
「……どうぞお好きに、兄さん」
それだけ言うと、最後の最後まで冷やかな視線でキャリーは去っていった。
「何だよ、あれ?」
「幾らなんでも、失礼が過ぎますね……」
リュウセイとハリーは揃って不機嫌そうな声を上げる。
そんな中、2人に振り返りルークは言った。
「……今日の『
6年間で手に入れた、自分の『価値』を示すためにな。
だから……お前ら俺と当たったら覚悟しろよ」
「当然!」
「そっちこそ、だよ!」
3人はお互いに頷きあうと最後にその拳をコツンと合わせ、その場で解散をしたのだった……。
~~~~~~~~~~~~~~~
第一試合
『リュウセイ・コトブキ VS トム・ウィリアム』
「トムのおっさんの試合か……なのは、お前はどう見るよ?」
リングのすぐ脇で審判を勤めながら、快人は隣に居るなのはに囁くように聞いた。ちなみに、シュウトとフェイトは丁度リングの反対側で同じように試合を見守っている。
快人の言葉になのはは少しだけ考え込むと、自分の考えを述べた。
「なのはの贔屓目かもしれないけど、トムさんのほうがちょっと有利だと思うの。
2人の
トムさんは
おまけにトムさんは元教官で実戦経験も豊富……そうなればトムさんのほうが有利だと思うな」
「まぁ、俺もほぼ同意見だ。
とはいえ……相手はあのエルシドさんの弟子みたいなもんだからなぁ。
思い通りにいくかねぇ……?」
快人はそう呟くと、リングへと視線を戻した。
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
「ぐっ!!」
「がっ!?」
リングの中央では赤く塗装された『
トムは元々、拳を使った近接戦闘を得意にしていた陸戦魔導士だ。クロスレンジでの殴り合いには自信がある。さらに
(教官に直接教えを受けていたという噂……嘘ではないらしいな)
トムの長年の戦闘経験に追いつく、そのリュウセイの格闘技術に静かに戦慄した。
だが、戦慄しているのはトムだけではなかった。
(総代強ぇ……管理局時代に教官張ってただけのことはあるぜ)
拳を振るう瞬間、僅かな抵抗が腕と足にかかる。それは極々微弱なバインド魔法だ。無論それはリュウセイの動きを止めることは叶わず、リュウセイはそれを引きちぎる様にして攻撃を続けるが、その引きちぎるまでのほんの僅かな隙を使い、トムは的確に攻撃を防御・回避し、攻撃では防御を掻い潜った痛打を与えてくる。
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
「……いい勝負だな。
今のところは互角、か……」
「でも……そろそろ効果が出てくるんじゃないの?」
「お? なのは、お前も気付いたか?」
「うん。 だって……あれ、私の魔法だもん」
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
「!?」
それに気付いたのはリュウセイだった。
(どういうことだよ? 身体が……重い?)
そしてその時になってリュウセイはやっと、自分の身体に付着しているものに気付いた。
それは
「気付いた?
どうかね、
それはなのはの使用する吸着型移動阻害魔法『ゲル・バインド』だ。
なのはの魔法の師でもあるトムは、逆になのはからその魔法を教えられていたのだ。
トムの作戦はこうだ。リュウセイと自分の
トムの本当の狙い、それは『バインドを引きちぎる抵抗にリュウセイを慣れさせる』ことだった。多少の重さを『バインドを引きちぎる時の抵抗』だとリュウセイに錯覚させながら、少しづつ『ゲル・バインド』をその身体に吸着させ、重さをどんどん増させる。そしてリュウセイが気付くほどに『ゲル・バインド』を吸着させ動きが鈍ったところを、全力の一撃で仕留めるという作戦である。
そして、トムのその作戦は成功した。
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
「いわゆる『ベラミスの剣』ってやつだな。
古代ギリシャ神話時代、永遠のライバルといわれた闘いの神『ベラミス』と『マルス』はその実力において全くの互角、幾多の死闘を経ても決着はつかなかったが、ある時マルスは一計を案じて、試合前にベラミス愛用の剣をそっくり同じ形でちょっとだけ重い剣に取りかえた。それと気づかぬベラミスはいつもの通りマルスと闘うがいつもよりちょっとだけ重い剣のせいでついに負けてしまう。
互角のふたつの力が競い合う場合、どんなにささいな違いでも、それが優劣を決定づけてしまう。
ってことだな……」
「……快人くん。 なんかドヤ顔で語ってるけど、それ男塾だからね。
民明書房で真っ赤なウソだからね」
「んなこたぁ、分かってるよ」
ジト目のなのはに、快人は肩を竦める。
「でも状況的には変わらないだろ?」
「なら、トムさんの勝ち?」
「そりゃ分からんさ。
だって……
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
ガンッ!!
「!!?」
トムの
膝が崩れ落ちようとする瞬間を、リュウセイの意識はスローモーションのように感じていた。
(ここまでかよ……)
確かに自分の実力を出し切った感はある。だが……。
(……違うだろ、俺が目指した『剣』は、こんなところで崩れるもんじゃなかっただろ!!)
それはエルシドの示した『聖剣』への考え。その中でリュウセイが最も感銘を受けた部分。
(俺は……決して折れない『聖剣』の『強靭』さに感銘を受けて、今まで鍛えてきたんだろ!?
だったら動け、身体! 『聖剣』には欠片も届かない、それでも鍛えた『強靭』さを今示せ!!)
崩れ落ちかかっていた膝が、踏ん張りを取り戻す。
弛緩した拳が、再び握られる。
濁った瞳に、光が戻る。
そして
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「!!?」
トムの完全に予想外の出来事だった。完全に意識を失うはずのリュウセイが、自分を超える
それはアッパーとしてトムの顎へと突き刺さった。
「ぐぁ!?」
「う、ぐぅ……」
トムの身体が膝から崩れ落ち、ドウっと倒れ込む。同時に限界が来たかのようにリュウセイも今度こそ倒れ込んだ。
同時のダウン。即座にカウントが始まる。
状況的に立ち上がった方が勝者だ。
トムとリュウセイは互いに、もがくように立ち上がろうとする。
「ぐっ!?」
トムは途切れそうな意識を集中させリュウセイへと微弱なバインド魔法を掛けた。
立ち上がるための障害がついたリュウセイの動きは鈍り、その間にトムは立ち上がろうとする。
しかし……。
「う……おぉぉぉぉぉぉぉ!!」
リュウセイはその身体から絞り出すような声と共に
トムと同じく飛びそうな意識の中、鋭敏になった感覚が、その
明らかにトムを超える
(最後まで小細工で勝ちを拾おうとした俺と、愚直に自分の
トムは心の中で苦笑する。
そしてその時、10カウントが告げられたのだった。
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
「『
「でもトムさんだって凄かったの」
「あの人をバカにするつもりはないよ。
トムのおっさんの、勝つために積み上げる戦術は本物だ。
次やったらどうなるかはわからない。
でもまぁ今回は、あのエルシドさんの弟子の根性勝ちってとこだな」
「うん、かなり強引だけどね」
第一試合
『リュウセイ・コトブキ VS トム・ウィリアム』
勝者:リュウセイ・コトブキ
~~~~~~~~~~~~~~~
第二試合
『アンネ・エルシュトーネ VS ロニス・アルキバ』
「……よし!」
赤く塗装された『
目の前には同じく青く塗装された『
(ダメよ、呑まれちゃ!)
ブンブンと頭を振って、アンネは余計な考えを頭から追い出す。
確かにロニスはパライストラ女子の中ではトップである。だが、それにしたって勝ちの目はある。
(今回のルールでは場外にしても勝ちだし、考えれば方法はあるはず!)
そう思えば、日頃組手などで手の内を知っているロニスが相手なのは『幸運』なのかもしれない。
自分はロニスや霊鳴に同室ということで引っ張り上げてもらいこの舞台に立っていると言うのは分かっているが、アンネとて6年間を厳しい修行を耐え抜いた自負がある。
そのため、勝利を思考するのは当然のことだった。
試合開始10秒前。
アンネは余分なことをすべて追い出し、目の前のロニスへと意識を集中させる。
自身のレアスキルである『
慢心なく、万全の状態で試合開始を待つ。
そして……試合開始のブザーが鳴った。
ドウゥン!!
「ッッッッッ!!?」
声にならない悲鳴。
開始と同時の衝撃が脳天を貫き、アンネの意識が遠退く。膝も言うことを聞かない。
地面が自分にキスしようと迫るのを、『ああ迫ってるのは私の方か。 地面さん、私を優しく抱き止めて』などとどうでもいいことを考える。
そんな中、アンネの思うことは疑問だった。
(何? 私、今何されたの?
ロニスに殴られた? 違う、ロニスは開始から一歩もその場を動いていない。
『
だったら……今のは何?)
ぐるぐると湧きあがる思考までもが混濁してくる。それを、『あ、こりゃ気絶するな』と冷静に思いながら、アンネは最後の思考を行う。
(ざんねん! わたしのギャラクシアンウォーズはここでおわってしまった!!
ガクッ!!)
そんなどこか余裕のある思考を最後に、アンネは意識を手放したのだった。
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
「……彼女、面白い攻撃をするね」
「フェイト、『見えた』の?」
「うん。
似たようなタイプの攻撃をしてくる
シュウトの問いに答えるフェイトの脳裏には、自分そっくりな
「あれは余程
それに見えたとしても、完全に『防ぐことが難しい』……」
シュウトも感心したように頷く。
「あの子、すずかの友達なんだよね?」
「らしいよ。
でもあの実力なら、教皇様の考え通りの人事でも通用しそうさ」
「そうだね。
本当に、頼もしいね」
第二試合
『アンネ・エルシュトーネ VS ロニス・アルキバ』
勝者:ロニス・アルキバ
~~~~~~~~~~~~~~~
三回戦
『ヨハネス・スピンドル VS ダレス・ルブラン』
「クソっ! クソっ!!」
ダレス・ルブラン、水の属性に適正の高かった彼の攻撃は、
「ハーハハハハっ!
そんな水などこのシャウラ様への愛で燃え盛る僕には届かなーい!!」
目の前の
クネクネと奇怪なダンスでも踊るような、相手をバカにしているとしか思えないその姿に余計に頭に血が上る。そして、それこそがヨハネスの策だとは気付かない。
「!!?」
気付いた時にはダレスの身体は宙に浮いていた。
(何が!?)
見れば先ほどまで自分のいたリングの石畳みが、ばね仕掛けのおもちゃのように跳ね上がっている。
それを見て、何があったのかを理解した。
(土属性!?)
ヨハネスは
ダレスはそのまま場外の地面へと、熱い抱擁を交わすことになったのだった。
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
「シャウラ様ぁ、あなたへの愛のお陰で勝てましたよぉぉぉぉぉぉ!!」
「……あの人は相変わらずだね」
「シャウラのやつ、強く生きろよ……」
リング上で勝ち鬨の声を上げる
快人となのははそれを見なかったことにすると小声で会話する。
「それにしてもさっきの回避、普通じゃなかったよね。
『サトリの法』かな?」
「いいや、違う。
なのは、もうちょっと周囲を探ってみろ」
快人に言われ、なのはは
「あー、そういうことなんだ」
「器用というか何と言うか……まぁ、これもある種の『サトリの法』っちゃそうなんだが」
「まぁ、あの人も
そう意見を交わした後、なのはは何か気付いてはいけないものに気付いたように小声で言う。
「これって……シャウラくんと相性良すぎだよね」
「……本人には絶対言うなよ、泣くから」
「どっちの本人?」
「両方だ。
あの
アリサが助けに入るまで、絶対に泣く」
その光景がありありと想像できてしまい、なのははブルリと肩を震わせたのだった……。
第三試合
『ヨハネス・スピンドル VS ダレス・ルブラン』
勝者:ヨハネス・スピンドル
~~~~~~~~~~~~~~~
四回戦
『ルーク・ブランシュ VS ニーガス・フォート』
「ちぃ!!?」
ニーガスが触れると石のリングが隆起し、次々と槍のようにルークへと伸びて行く。土属性に適正のあるニーガスの
「シャァァァァ!!」
気合一閃で払われたその右腕にそって、隆起したリングが切り裂かれていく。
その断面は鋭利な刃物で切り裂かれたかのように滑らかだ。
「俺の師、エルシド教官なら『斬れぬものなど無い』とか言えるんだろうが、生憎俺の『鋭さ』はまだまだでそんなセリフは到底吐けない。
だが……こんな岩如きなら、幾らでも切り裂ける!」
「ぐっ……うわぁぁぁぁ!!」
ニーガスのその声とともに先ほど以上の岩の槍がルークを襲うが、ルークはそれを払いのけるように一気に距離を詰める。
そしてついにクロスレンジへと2人の距離が詰まった。
破れかぶれのように突き出されたニーガスの拳を掴むと、ルークはそのままクルリと身体を捻って背中からリングへとニーガスを叩きつける。
「くっ……うっ!?」
慌てて身を起こそうとしたニーガスの喉元に、ルークの右手が鋭い刃のように添えられていた。
「まだ、やるかい?」
「わかった、降参だ。
俺の負けだよ」
降参と諸手を上げるニーガスに、ルークはその突き出した右手刀を引いて、戦闘態勢を解除したのだった……。
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
「流石、エルシドさんの弟子としか言いようが無いね。
「多分、正面切って体術で戦ったら私も勝てない。
それぐらい、『鋭い』……」
シュウトとフェイトは口々に今しがたの試合の感想を述べる。
「間違いなく、今回の『
彼を崩せるとしたら……」
そう呟いて、シュウトは何人かの参加者を見ると笑った。そして呟く。
「『
第四試合
『ルーク・ブランシュ VS ニーガス・フォート』
勝者:ルーク・ブランシュ
という訳で銀河戦争編その1でした。
オリジナル聖闘士たちをカッコ良く描写しようとしたのですが……どんなもんでしょうか?
ちなみに今回のルールについてはまんま天下一武道会です。
この方が『場外にする』などの頭脳プレイができそうですので。
ルークくんの妹の名前は当然レイア姫……と考えていたのですが、良く考えたらレイアという名前をもう使ってしまったので、レイア姫役のキャリー・フィッシャーさんから名前を拝借。
多分、言わないと絶対気付いてもらえない今回の小ネタでした。
次回は残った一戦目である第五試合からの模様をお送りする予定。
次回もよろしくお願いします。