俺たち転生者 蟹魚復権活動中   作:キューマル式

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第07話 蟹と魚、再会する

市街地に現れた巨大な樹木がアスファルトを砕かんとする。

だが、その巨大な樹木の末端から突然蒼い炎が燃えだし、その節々を焼き焦がした。

それによって、周囲を破壊しようとしていた動きが止まる。

一瞬にして丸裸同然になった樹木。そして、その場に場違いな能天気な声が響いた。

 

「おーい、なのは。 露払いは終わったぞ。

 一発ドカンとやっちまえ」

 

「うん! レイジングハート!!」

 

『イエス、マスター』

 

ビルの屋上で快人が蒼い炎を掲げながら言うと、なのはが自身の杖に魔力を叩き込む。

杖がそれに答え銃身(バレル)を展開、なのはがグリップをしっかりと掴み、一点を狙う。

 

「リリカルマジカル、ジュエルシードシリアル10……封印!!」

 

放たれたのは桃色の光線。

その一撃は狙い違わず暴れまわる巨木の中心―――ジュエルシードを的確に掴んでいた。

その光景を横目で見ながら、快人は思う。

 

(こいつ…もう聖闘士で言ったら青銅(ブロンズ)、下手すると白銀(シルバー)に片足入りかけてるぞ)

 

なのはは魔法と言う力に触ってからまだそんなに間が無いというのに凄まじいまでの急成長を続けていた。

ユーノがなのはを『天才』と称していた理由が今なら良く分かる。

 

(魔法か…聖闘士(セイント)には無い戦い方だな)

 

聖闘士(セイント)は基本的には1対1を原則としているから効果範囲の狭い技が多いが、なのはの魔法は広域に対する効果がある。

そして空中を自在に駆けまわる機動性…黄金聖闘士(ゴールドセイント)なら小宇宙(コスモ)を使って空中すら駆けまわれるが、そうできない青銅(ブロンス)・白銀(シルバー)クラスには驚異的だ。

 

(こいつが成長しきったら『魔王』とか『冥王』とか呼ばれたりしてな)

 

空中から暗く嗤いながら破壊の閃光をばらまくなのは…想像したら、案外しっくりしていて嫌な気分になってしまった。

 

一方のユーノも、快人と同じような感想をなのはに抱いていた。

 

(才能はあると思っていたけど、まさかこれほどなんて…)

 

今回で回収できたジュエルシードは2つ、つまりなのはは実戦らしい実戦を2度しか経験していない。

その中でなのははすでに自分の天性の戦闘スタイルを確立させていた。

すなわち『強力な装甲と圧倒的な火力で敵を殲滅する砲撃戦型魔法少女』というスタイルである。

これを末恐ろしいと言わずして何と言おう?

 

「どうしたの、快人くん?」

 

どうもじろじろ見過ぎたらしい、なのはが小首を傾げながら聞いてきた。

 

「いや、どう見てもお前『魔法少女』じゃねぇなぁ…と思ってさ」

 

そう言って指差す先のなのはの姿はこれまた凄かった。

小学校の制服を元にした白い服に、アーム、レッグ、ボディと各所を装甲が覆っているのが見ようによっては聖衣(クロス)に見える。

そして腰だめに持つのは先端が二又に分かれた槍のような杖。

ナックルガード付きのグリップでホールドするその杖は、もはや対戦車ライフルの様相である。

 

「さしずめ『魔砲少女』ってか? ほら、恋の魔砲をブッぱなせ」

 

「撃つと動くよ?」

 

「人に危険物の銃口向けるんじゃねぇ! この魔バスターランチャー少女!!」

 

「何それ! 撃っちゃったら歴史に名が残っちゃうの!?」

 

わいわいぎゃあぎゃあいつもの調子の快人となのは。

そんな2人を横目にユーノはため息をつく。

 

「こんな調子で大丈夫なのかな」

 

この数日で2人の実力の高さは十分すぎるほど理解していたのに思わずそんな言葉が漏れてしまうのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「…これ」

 

「恐らくジュエルシードの事件だろうね」

 

シュウトは、フェイトとアルフと居間でテレビを見ながら呟く。

突然現れた巨木という異常な事態に、ニュースはさっきからその話題で持ちきりだった。

だがシュウトたちとしてはそれ以上に気がかりな点がある。

それは…。

 

「私たち以外にもジュエルシードを集めている魔導士がいる…」

 

「だろうね、そうじゃなきゃ魔法技術も無いこの世界じゃ、ジュエルシードを止めるなんてできないだろうし」

 

フェイトの言葉に、アルフは相槌を打つ。

だが、シュウトはもう一つの可能性を考えていた。

 

(もしかして…兄さんか?)

 

自分と同じく黄金聖闘士(ゴールドセイント)の兄なら、ジュエルシードなどどうとでもできる。

 

(兄さん…)

 

黄金聖闘士(ゴールドセイント)の力を持った兄弟の再会の時は近い…。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

ジュエルシードを探す傍ら、快人となのははもちろん普通の小学生としての日常も滞りなく送る必要がある。

そんなわけで、その日快人となのはは、アリサとともにすずかの家の月村家へと遊びに来ていた。

 

「ほぇぇ、すずかちゃんの家は相変わらず凄いの」

 

思わずなのはが呟くが、それも無理からぬ話。

落ち着いた佇まいの豪邸の庭は、猫たちで溢れかえっていた。

すずかが拾ってきた猫たちである。

どうにも捨てられた猫たちを見捨てられないすずかが拾ってきて、里親が見つかるまでここで育てているのだ。

 

「あはは、かわいいー!」

 

「ほーら、よしよし」

 

「ふふっ、ゆっくりしていってね、なのはちゃん、アリサちゃん」

 

猫と戯れる3人の美少女はとても絵になっていた。

さて、その頃もう1人はというと、

 

「寄るな、触れるな、噛むなぁぁ!」

 

大量に群がってきた猫たちに揉みくちゃにされていた。

どういうわけか快人は猫を引き寄せる体質だったらしく、猫が次から次に寄ってくるのだ。

 

「ふふふ、快人くん大人気だね」

 

「すずか、これがそう見えるんなら眼医者にいけ!

って、噛んだ! 今噛んだ!!」

 

「うっさい男ね、甘噛みくらい可愛いもんじゃない」

 

「違う! 今絶対捕食的な噛み方だった!!

 ってやめろ!

 ら、らめぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「く、くそぉ…絶対、謝罪と賠償を要求してやる…」

 

快人がなのは達のテーブルについたのは、猫によってぼろぼろになったあとのことだった。

 

「あはは、お疲れ様快人くん」

 

「おい飼い主、俺は怒ってるんだぞ。 ここは謝罪の言葉が来るところだと思うんだが?」

 

「まぁまぁ、はいチョコケーキあげるから」

 

「そ、そんなものに俺が釣られ…」

 

「帰りにお土産で1ホール」

 

「すずか様を我が主と認める」

 

「「軽ッ、プライド軽!」」

 

恭しく頭を垂れる快人に、なのはとアリサのツッコミツープラトンが即座に入った。

 

「バカ者、俺は誇り高い男だ。

 だがなぁ、なのは…プライドじゃ、腹は膨れないんだ」

 

「格好悪いから、それものすごく格好悪いから常識的に考えて」

 

「常識は投げ捨てるもの!」

 

「いや拾ってよ、お願いだから!」

 

そんな快人となのはのやり取りを見て、アリサとすずかはポンっとなのはの肩を叩いた。

 

「やっぱりなのはちゃんと快人くんはお似合いだよ」

 

「あのバカをよろしくね」

 

「なんで2人は顔をそむけながらそういうこと言うの!? お願いだから助けて!!」

 

なのはの切なる声を、親友二人は明後日の方向を見て無視した。美しきは友情である。

そのせいで、ちょっとなのはが泣きそうになっていたのは秘密だ。

そんな穏やかな午後を過ごしている最中のことだった。

 

「「「!?」」」

 

快人となのは、そして連れて来ていたユーノはその瞬間異変を感じ取る。

これはジュエルシードの発動した感覚だ。

 

「あっ、ユーノくん!」

 

なのはの膝からユーノが飛びだし、裏庭へと入っていく。

 

「ごめんね、私ちょっとユーノくんを探して来る」

 

それを口実になのはは席を立った。

 

「そんじゃ、俺も行くか」

 

快人もゆっくりと席を立つ。

 

「追いかけるの?」

 

「あいつ運動音痴だからなぁ、何かあったら俺が困る。

 具体的には俺の素敵な将来のヒモ生活が崩れる。

 寄生する以上、宿主さまは守らないとな」

 

「あ、あはは。 いってらっしゃい、快人くん」

 

「なのはも大変ね、こんなのに寄生されちゃうなんて。

 これがホントの寄生事実?」

 

「誰がうまいこと言えと」

 

ズビシッとアリサにチョップをしてから快人も席を立ち、裏庭へと入っていく。

裏庭…とは言ったが、多くの樹木が生い茂る様はもはや小規模の森である。

どうやらユーノが結界を張ってあるらしく奇妙な気配で満ちていた。

 

「さぁて、どんな様子かね…」

 

そして快人の視線の遥か彼方では…

 

「!? なのは!!」

 

なのはに向かって雷撃を放つ、黒い少女がいたのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

森にアルフとシュウトを置いて1人進んだフェイトは、そこで白い魔法少女と出会った。

 

「あなたは…誰?」

 

「…」

 

ジュエルシードの影響で巨大化してしまった猫の傍らで、白い少女―――なのはは問うがフェイトは答えない。

答えるはずはない、母の願いでどうあってもジュエルシードを集めなければならないフェイトにとって、自分以外のジュエルシードを集める目の前の少女は邪魔者以外の何者でもなかった。

 

「…バルデッシュ」

 

『イエス、サー』

 

フェイトの呼びかけに答え、フェイトの持つデバイス『バルデッシュ』が即座に反応、魔力が鎌状の光の刃を形成する。

そして、フェイトは迷うことなくなのはへと突撃を開始する。

 

「!?」

 

それに気付いたなのはがシールドを展開、フェイトを防いだことで予期せぬ戦いの火蓋が切って落とされる。

だが、その差は明らかだった。

 

(大丈夫、勝てる…!)

 

フェイトは数度のぶつかり合いの後、そう心の中で呟いた。

天才的な才能を持つなのはだが、魔法に触れたのはごく最近のことでしかない。

うって変わって、幼少期から魔導士として厳しい訓練を続けてきたフェイト。

その差は明らかだった。

フェイトから必中の電光がなのはへと放たれる。

 

(防げないの…!)

 

明らかな直撃のコースを取るそれに、なのはは目を瞑り身体を固くする。

だが、このときなのはは完全に忘れていた。なのはには、文字通り風よりも早くやってくる心強い相手がいる事を。

 

「ほい、っとぉ!」

 

「!?」

 

なのはの前に瞬く間に割り込んだ人物が無造作に手を振るっただけで、フェイトの放った電光は霧散した。

そんなことができる人間は1人しかいない。

 

「快人くん!」

 

私服のままの快人が、なのはを守るように立ちはだかる。

 

「蟹名快人さま、ただいま参上。 無事か、なのは?」

 

「うん」

 

「そりゃ結構。 で、お前と戦ってたあのビリビリ女はお友達か?」

 

その言葉に、なのはは首を振る。

 

「ううん、知らない娘。 でもお話聞きたいなと思って…」

 

そう言うと、快人は楽しそうな顔で頷いた。

 

「OK、OK。

 つまり俺は、

 『君が! 話を聞くまで! 殴るのをやめない!!』

 をやりゃいいんだな?」

 

そう言って快人はポキポキと指を鳴らした。

そんな快人をなのはは慌てて止める。

 

「お、女の子を殴っちゃダメ!」

 

「女だろうが、悪い奴にはぶちかますのが俺クオリティ。

 ちなみにバリエーションには

 『君が! 死ぬまで! 殴るのをやめない!!』

 ってのもあるが?」

 

「絶対だめぇ! 暴力禁止!!」

 

「そうは言うが、向こうさんはやる気みたいだぞ」

 

そう言って快人の指さす先では、フェイトが油断なく杖を構えている。

 

「え、でも…」

 

「大丈夫、手加減するから。 ほら、ちょっとだけ、な?」

 

「…怪我させたら絶対ダメだからね」

 

「わかったわかった、善処するよ」

 

そう言ってひらひらと手を振ると、快人は一歩前に出る。

 

「待たせたな」

 

「…待っていません。 邪魔しないでくれませんか?」

 

そう言って油断なく構えるフェイトだが、その内心では相手の異常性に困惑していた。

 

(魔力反応は…やっぱり無い。 どういうこと?)

 

あれほどあっさりと自分の魔法攻撃を弾いたのに、どう調べても魔力反応が全く無い。

最初は高度な魔力隠蔽魔法でも掛っているのかと思ったが、快人の手にはデバイスの類は握られていない。

では、今の力は何なのだろうか?

 

「いやいや、そうはいかないぜ。 いきなり人様に魔法ぶっぱなすような奴にはオシオキが必要だろ?

 だから…」

 

「!?」

 

そう快人が言い終わるより早く、フェイトは防御を発動させた。

何故そんなことをしたのか…それは訓練で培った勘が『何かが来る』と訴えていたからだ。

そして、その勘は当たっていた。

フェイトの防御魔法を『何か』がいともたやすく貫き、フェイトに直撃した。

 

「あぅ!?」

 

防護服であるバリアジャケットでもその衝撃を受け止めきれず、フェイトは10メートルほどの距離を吹き飛ばされ、地面に転がる。

そんなフェイトを見下ろすように快人は言った。

 

「オシオキの時間だ。

 俺以外がなのはに手をあげるとどうなるか、身体に教えてやる…」

 

「くっ!?」

 

快人の宣告に、起き上がろうとするフェイトだがダメージでガクガクと足が震える。

 

「フェイトォォォ!!」

 

異常を察知してここまで来たのか、アルフが快人に向かって飛び出すが、フェイトと同じく不可視の何かで吹き飛ばされる。

 

「アルフ!? よくも…!?」

 

「おいおい、先にしかけてきたのはそっちからだろ?

 『やられたらやり返せ』…子供でも知ってる簡単な理屈だろ?

 まぁ、それも次で終わりだ。 しばらく眠って頭冷やせよ。

 それじゃ…」

 

その言葉と共に、フェイトは理解する。

またあの『何か』の攻撃をしようとしている。そしてそれは絶対に防げない。

 

(ごめんなさい、母さん…)

 

そんなことを心の中で呟きながら、フェイトは目を瞑った。

その時、風が吹いた。

 

「…え?」

 

衝撃が無いことにいぶかしんだフェイトが目を開くと、そこに写ったのは見慣れた背中だった。

 

「大丈夫、フェイト?」

 

いつもの優しい声につい心が緩んでしまうフェイトだが、すぐに正気に戻る。

 

「シュウ、下がって! その人普通じゃない!

 魔法を持ってないシュウじゃひとたまりもないよ!!」

 

そんなフェイトの切羽詰まった声に、シュウトはいつも通りの柔らかい表情で返す。

 

「大丈夫、ボクに任せて」

 

そう言って見せるシュウトの背中がたくましく頼もしく見えて、フェイトは少し顔を赤らめた。

 

「…」

 

「…」

 

しばし、見つめ合う快人とシュウト。

すると、突然快人が表情を笑顔に崩す。

 

「シュウト! シュウトじゃないか!?

 シュウト…でいいんだよな?」

 

そんな快人の様子に、シュウトはクスリと笑うと言葉を返す。

 

「そうだよ。 そっちこそ快人でいいんだよね…兄さん?」

 

「「え、ええぇぇぇぇぇぇ!!?」」

 

明かされる驚愕の真実に、敵味方と言うことを忘れ、なのはとフェイトの驚きの声が重なった。

 

「ちょっと快人くん、あの男の子って?」

 

「ああ、俺の弟のシュウトだ」

 

「シュウ、家族はもういないって…」

 

「ちょっと複雑な事情があるんだ」

 

なのはとフェイトの質問に、快人とシュウトは苦笑しながら答える。

そうしてから、快人とシュウトは改めてお互いに向き直った。

 

「久しぶりだな、シュウト。 元気でやってたか?」

 

「うん。 色々あったけど…ここにいるフェイトと出会って上手くやってるよ」

 

シュウトがそう言うと、戦闘という雰囲気でないことを感じたのかフェイトが戸惑いながらもペコリと頭を下げた。

 

「兄さんこそどうなの?」

 

「俺?

 俺もまぁ、このなのべーをからかいながら面白おかしく生きてるよ」

 

そういいながら、隣のなのはの頭をポンポンと叩く。

 

「ちょっと待って、『なのべー』って何!? なのは、そんなあだ名で呼ばれたことないよ!!」

 

「昨夜のえのベーが美味しかったから、今日からお前はなのべーだ」

 

「何、そのサ○ダ記念日みたいなあだ名の付け方!?

 そんなの嫌だよ! いつも通りなのはって読んでよ」

 

「じゃあ…ナノえもん」

 

「やめて、そんな猫型ロボットみたいな呼び方やめてよ!!」

 

そんな2人のやり取りを見ながらシュウトは笑みを零した。

 

「あはは、兄さんは相変わらず楽しそうに生きてるね」

 

「お前は相変わらず真面目そうに生きてるな」

 

そう言って快人とシュウトは微笑みあう。

だが、その微笑みが一瞬にして消えた。

 

「で、兄さん。 いくらなんでもフェイトにここまでする必要あったのかな?」

 

「おいおい、先に手をあげたのはそっちだぞ?」

 

「うん、そうだね。 まぁ、こっちが悪いだろうしここは…」

 

「「!?」」

 

その瞬間、シュウトの姿が掻き消えた。

少なくとも、なのはとフェイトにはそう見えた。

そして、ズドンと言う重い音と衝撃が響き渡る。

見れば、シュウトの繰り出した右拳を快人が左掌で止めていた。

 

「…おいおい、シュウト。 再会の挨拶にしてはちょっと愉快すぎねぇか?」

 

「いやいや、悪いのはこっちだし一発殴って水に流そうかなぁと思って」

 

ギリギリと2人の拳と掌がせめぎ合う。

 

「お前、冷静そうに見えて、実は最高にムカついてるだろ?

 何、そんなにあのビリビリ女に手を上げられてキレてる訳?」

 

「兄さんだってあの白い子に攻撃されてキレてるじゃない。 おあいこでしょ?」

 

「いや、俺のはただの報復攻撃だと思うんだが」

 

「それじゃ、これもただの報復。

 それに…さ…」

 

そう言って、シュウトは笑う。

 

「今後のためにも実力を知っておく必要があると思うんだよ。

 フェイトたちもボクたちの実力をね」

 

「…OK、乗った!」

 

快人がシュウトの拳を払いのけ、2人は同時に後ろに飛ぶ。

 

「か、快人くん?」

 

「なのは、ユーノと一緒に下がれ。

 ちょっと派手な兄弟げんかをしてくる」

 

「シュウ…」

 

「アルフ、フェイトを連れて下がって。

 兄さんと語り合うから、拳で」

 

2人の言葉に、言われるままに観戦者は距離を取った。

それを感じ取ると、快人とシュウトは叫ぶ。

 

「蟹座聖衣(キャンサークロス)!!」

 

「魚座聖衣(ピスケスクロス)!!」

 

光と共に、まばゆい黄金が2人の身体を覆った。

そして閃光の引いた先に立っているのは2人の黄金の鎧の闘士。

 

「蟹座(キャンサー)の黄金聖闘士(ゴールドセイント)、蟹名快人」

 

「魚座(ピスケス)の黄金聖闘士(ゴールドセイント)、シュウト=ウオズミ」

 

互いに名乗りを上げるのは聖闘士(セイント)の頂点、黄道十二星座の名を冠する最強の聖衣(クロス)を纏うことを許された力を持つ2人。

 

「それじゃ…」

 

「始めようか、兄さん…」

 

獰猛な笑顔と共に、構えを取る2人。

 

「「千日戦争(ワンサウザンドウォーズ)を!!」」

 

そして、2人は閃光になった。

ここに力試しという名の、あまりにもハタ迷惑な兄弟げんかが始まったのだった。




兄弟の再会です。
次回はハタ迷惑な兄弟のワンサウザンドウォーズです。
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