青い春の方はちょこっと投稿できましたが、こちらは中々手つかずだったので、投稿できて嬉しいです。
それでは、どうぞ。
俺、浅沼薫が音ノ木坂学院に編入した次の日。
「ねぇ浅沼君!好きなテレビは?」
「んー、アニメとか特撮ヒーローとかが好きだね。特に仮面ライダーは大好き」
「好きなライダーは?」
「鎧武に出てくるバロンとかシグルドとか、ファイズとかが好きだなぁ。昭和だとV3とエックス」
「私ロシュオとJが大好き!」
などと、前日の質問地獄の続きが1時限目開始まで行われた。
昼休み。鞄から弁当を取り出すと、穂乃果が可愛い女の子2人を連れて話しかけてきた。
「ねぇ薫君!私の友達を紹介するよ!こっちのふわふわした子がことりちゃん。で、こっちのきりっとした子が海未ちゃん!」
「南ことりです。よろしくね、浅沼君」
「そ、園田海未です」
南という子は、ベージュがかった亜麻色の髪(よくわからん髪型してるが)で、おっとりしていてとても可愛らしい。
声もとろけるようなソプラノボイスだ。
続いて初対面の俺に少し怯えている、園田という子。青がかった黒髪はとても
「よろしく、園田、南。俺のことは薫でいいぜ」
「うん、薫君!私の事もことりでいいよ♪」
「よ、よろしくお願いします」
「よぅし!自己紹介も済んだことだし!皆で中庭でご飯食べよう!」
俺たちは穂乃果に引っ張られるように、中庭へ向かった。
ことりと園田も大変だなぁ……。
中庭。
俺たちは中庭中央にある木のそばで昼食を食べていた。
俺とことりと園田は弁当、穂乃果はパン(ラ○チパック)を幸せそうに食べている。
「すげぇ良い笑顔でパン食ってるな」
「もぐもぐ……。うちは実家が和菓子屋で昔からあんことか食べてたら飽きちゃって……」
「親父さん泣くんじゃねぇかそれ」
穂乃果はてへへと笑いながらも、パンを頬張っている。
そんな穂乃果に園田が説教を始める。
「穂乃果、前から言っていますが、パンばかり食べていてはだめです!もっとちゃんとしたものを食べなくては!大体いつもいつも────」
「うへぇ……」
くどくどとお説教する園田に穂乃果はぐったりしたような表情を見せる。ことりも苦笑いしている。
と、そこへ
「ちょっといいかしら」
凛とした、綺麗だが明らかに冷えた声が聞こえる。
そちらを見ると、光を反射してキラキラと輝く金髪の美人が。
「生徒会長……」
「それに副会長も……」
園田とことりが呟く。
今気が付いたが金髪美女の後ろに豊かなお胸様とおっとりとした顔つきの優しそうな女性がいた。
良く見たらこの間読んだ資料に乗っていた生徒会長と副会長だ。思い出した。
「南さん、貴女理事長の娘よね?今回の事、何か聞いていない?」
「あ、いえ……。私も今日聞いたばかりなので……」
生徒会長がことりに質問というより詰問の用に問いかける。今回の事とは、廃校の話のことだろう。というかことりって理事長の娘だったのか。似てるとは思っていたが。
ことりが少し戸惑いながらも出した答えに生徒会長は、
「そう……。ありがとう、それじゃあ」
と立ち去ろうとする。
しかしその背中に穂乃果が呼びかける。
「あの!………本当に、廃校になっちゃうんですか……?」
「………貴女たちには関係の無いことよ」
生徒会長は冷たくそう言い放つと、今度こそ踵を返し去っていく。何故か俺を睨んでから。なして?
副会長も「ほなな~」とずいぶん軽いノリで去っていった。
俺は先ほどの不遜な物言いに軽い怒りを覚えながらも、生徒会長達の去っていった方向を眺めていることしかできなかった。
次の日の昼休み。
穂乃果が園田とことりを引き連れて、教科書を仕舞っていた俺のところへやってきた。
「薫君!廃校阻止の案出して!」
「突然何、怖い」
「怖い!?」
突然の穂乃果の狂言に戸惑っていると、園田がフォローを入れてくれる。
「穂乃果、そんな言い方じゃ伝わりませんよ。すいません、突然。実は昨日穂乃果の家で廃校を何とか阻止できないか、という話し合いをしていたのですが中々話が進まず、そんな時、穂乃果が浅沼君に聞いてみてはどうかと言いだしたので、明日……つまり今日聞いてみよう、ということになったのです」
「なるほど、大体わかった。あと園田、俺のことは薫でいいって言ったろ?苗字呼びはなんだかむず痒いんだ」
「えっ、あ、は、はい。では、か、かかか、薫……。で、では、私の事も名前で構いません」
「了解だ、海未」
そう園田に言うと、園田は顔を赤くする。随分と初心なんだな。
と、ふと隣を見ると穂乃果とことりがなにやら軽く驚愕している。どしたん?
「海未ちゃんが男の子の名前を呼んだ……しかも自分の名前呼びまでも……」
「珍しい……というよりほとんど初めてかも……」
なんと。やはり園田は初心、というか、男性との関わりがまず少なかったのだろう。ここ女子高だし。
「それより!薫君、なにか良いアイデアある!?」
「あぁ、廃校阻止ね……。ふむ……」
廃校の原因は確か生徒減少だったか。ならば、生徒を呼びこめば良い話だが、それがまた難しい。
この学院、雰囲気は良いのだが、特筆した良い場所、というのが見つけにくいらしい(過去に母が語っていたのを思い出した)。
しかも、少し前にUTX学院という最新施設を取りそろえた学校ができ、そこがまた評判良いらしい。
音ノ木にも評判になるものを作るか見つければいいのだが………。だめだ。わからん。
「ん~………すまん、さっぱりだ」
「そっかー……」
俺がそういうと穂乃果はしょんぼりと項垂れる。なんかごめん。罪悪感がふつふつと込み上がってくる。
「その代わり、何か良い案が見つかったら出来るかぎりのことは手伝うしさ」
「うん、ありがとう!」
俺がそういうと穂乃果はシャパァーッ!(笑顔の擬音)と笑顔を浮かべる。
俺ももう少し模索してみるか……。
放課後、帰り支度を済ませて帰ろうとしたが、そういえばこの学校の間取りなどを覚えてないなと思ったので、ちょこっと散策をしてみる。
ちなみに穂乃果達は穂乃果の家でまたいろいろ考えるから、といって仲良く帰っていった(海未は弓道部の方に行ってかららしい)。
適当に歩き回っていると、微かにピアノの音が聞こえた。
(ピアノ……音楽室で誰か演奏しているのか……?)
音のなる方向にふらふらと歩いていくと、音楽室に到着した。近づいてわかったが、歌も聞こえる。とても綺麗な歌声だ。
ふと扉のガラスから中をのぞくと────
「綺麗だ……」
そう言葉が漏れる。
音楽室の中には、ピアノを弾きながら、のびのびと歌う美少女の姿が。
本当に楽しそうに弾き、歌う。自分だけの世界にここら一帯を引きずり込むような、そんな感覚。
ピアノの旋律と、赤髪の彼女の歌声が混ざり合い、福音とでも言うのだろうか。自分の語彙力に絶望しそうになるがとにかく素晴らしい歌だった。
楽しい時はすぐに終わってしまうもので。
少女はピアノを弾き終わると、ふぅ、と一息つき、入口の方へ目線を向け、固まる。
入り口には俺がいるわけで。目もばっちり合っているわけで。
「な、ななな……!」
顔を真っ赤にしてあわあわしてる。可愛いな。
と、そんなことを考えている場合ではない。悲鳴でも上げられたら俺は死ぬ(社会的な意味で)。
なので、ガラリと扉を開け、ごまかす。
「君、すごいね!」
「………へ?」
すると彼女はぽかんと口を開け、こちらを見ている。
とりあえず悲鳴を上げられる様な事態は免れたであろう。
「あ、貴方……誰?」
「あぁ、申し遅れた。俺は浅沼薫、気軽に薫と呼んでくれ。そういう君は?」
「西木野真姫です……」
………………………
自己紹介をしたところで、場を沈黙が覆う。気まずーい、話すことがないよー?
元々盗み聞きしていたのを咎められないようごまかすために入ってきて、自己紹介までしたのだ。この先の会話まで考えとらんわ。
………いや、あるじゃん。話のタネ、さっきまで聞いてたじゃん。
「ピアノ、上手いんだね。歌も上手かった」
「………ありがとうございます」
「良くここで弾いてるの?」
「……まぁ、特にやることもないですし、勉強の息抜きとかに……」
よしよし、多少ぎこちないが会話できてるぞ!
じゃあこのまま会話して警戒心を───
とその時、完全下校を促すチャイムが鳴る。タイミングぅ……。
そのチャイムでハッとした西木野さんは、いそいそと荷物をまとめ、こちらに視線を向ける。
「あの、鍵返しに行くので、出てもらえませんか?」
「ん、あぁ、ごめん。わかった」
と俺が音楽室から出ると、西木野さんも出てきて、鍵を閉めると、
「では、さようなら」
と、さっさと行ってしまった。挨拶する暇もなかった。
しばしぼーっとしていたが、完全下校時間が迫っていることを思い出し、俺も昇降口へ向かう。
西木野さんか…………。
綺麗な子だったな……。
また出会えることを祈りながら、帰路に就くのだった。
いかがだったでしょうか。
最近はなんだかスラスラと執筆できている気がします。これが夏休み効果というやつか……。それとも執筆に慣れたのでしょうか。
さて、基本的に10の希望の方は、オリジナル展開控えめで行きます。べ、別に書けないとかそういうことじゃないんだからね!
それでは、また次回お会いしましょう。