こんなの非日常   作:はなみつき

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大将戦

vsフェイト

wiki引用あり


公輝とフェイトと12話

 学生をやっていると、うれしくてうれしくて堪らない至高の瞬間という物が三つある。

 一つ目は夏休みに入る直前のホームルームの時間。夏休みという学生にとって何事にも代えがたい一ヶ月以上の休日。友達と遊びまくったり、気になるあの子と一夏の思い出を作ったり、夏休みの宿題にひいひい言ったり。そんな楽しい時間が始まる合図の時こそが夏休みに入る直前のホームルームだ。

 二つ目は冬休みに入る直前のホームルームの時間。冬休みは夏休みに比べて期間は二週間ほどと短い。しかし、冬休みの間にはクリスマス、コミケ、大晦日、元旦とイベント盛りだくさんなのだ。そんな年を跨ぐ休みが始まる合図の時こそが冬休みに入る直前のホームルームだ。

 そして、最後は……

 

「よっしゃー! やっと土曜日だ!」

 

 金曜日のホームルームである。言うまでもなく、金曜日の次の日は土曜日。

 聖祥中学校は私立の学校であるため、ゆとり時代の今なお土曜授業を採用している。しかし、土曜日の授業は午前中だけのため、あって無いようなものだ。土曜日も十分に体を休める日と言うことが出来る。

 

「そんじゃ、明日学校が終わった後行くか」

「おう、一緒に散財しようぜ」

 

 担任が連絡事項を言い終え、今日の学校から解放されたおれは後ろに座っているジュンに話しかける。一週間ほど前からおれ達二人で計画していた秋葉原で遊ぶ予定についてだ。

 おれとジュンはオタク系の趣味がばっちり合っている。合ったからこそここまで仲がよくなれたと言っても過言ではないだろう。そんな奴と秋葉原を練り歩くのはきっと楽しい。

 

「マサキ、ちょっといい?」

 

 そんな話をしていると、フェイトさんがおれの机の前まで来ていた。何か用事があるようで、おれに話しかけてくる。

 

「どうぞ?」

 

 おれはオーケーの意味も込めて、フェイトさんの話を促す。

 

「うん、そのね……」

 

 フェイトさんは何か言いづらそうにしている。一体何なのだろうか。そこまで緊張されるとおれまで緊張してしまう。

 すると、覚悟を決めたかのような仕草を見せたフェイトさんがおれの方に向き直り、話の続きをする。

 

「付き合って欲しいの!」

 

 金曜日のホームルーム後と言うことでざわついていた教室が一瞬で静まり返る。 

 

 ………………………………………………………………ん?

 聞き間違いじゃなかったら「付き合って欲しい」と言われたか。ああ、これは所謂「買い物に付き合って欲しい」と言うやつか? いや、待て。それだけだったら何故フェイトさんはあそこまで緊張していたんだ? 何故あそこまで覚悟を決めたような仕草をしたんだ? それはそれ相応の発言だったという事ではなかろうか? うぬぼれかもしれないが、おれとフェイトさんの仲は良いし、親友だと思っている。それこそ、買い物に付き合って欲しいなら何も気にすることなく誘い、誘われる位には。

 これは……もしかするともしかするかもしれない。フェイトさんはおれに対してそういう関係になりたいと告白してくれたのかもしれない。こんな人の多い所で言うのは、おれ達の関係性を周りに見せつけるためか? フェイトさんがそんなに積極的だったなんて知らなかった。

 

「……」

 

 余りの事実におれはすぐに返事をすることが出来ない。

 ああ、そうさ。正直、こんなに可愛い女の子に告白されてめちゃくちゃ嬉しいさ。だけど、こう言ったことはすぐに決めちゃいけないよな。フェイトさんは友達だが、そう言った関係になるというのは大事なことだ。やはりこう言ったことは時間を掛けて考えたい。中学生の恋愛なんて一月も続けばいい方なのに、何をそんなに重く考えているんだと思うだろう。フェイトさんがどうなのかは知らないが、おれの恋愛観は大人なのだ。恋愛は大事にしたい。

 だから、とりあえず返答は明日まで待ってもらうことにしよう。それで、今日は考えに考えて明日返事を返そう。

 

「うん」

 

 静まり返っていた教室が沸く。

 

 おれのばっかああああああああああああああああああああああああ!!!!

 前世今世と合わせてもうすぐ魔法使いに成ろうとしているおれは無意識の内にYESと返事をしてしまう。

 言い訳はしない! 焦っていたことも認める! 可愛い女の子に告白されて断る男がどこにいるってんだよ!

 やっちまったなぁ……でも、まあ、言ってしまった物は仕方ない。せめて、フェイトさんに見損なわれないように彼女の彼氏として頑張ろうではないか。

 

(マサキ、ニヤついているぞ)

 

 この状況を喜ばない男がいるならそいつは女の子に興味がないかロリコンだろ。

 

「やった!」

 

 おれの返事を聞き、フェイトさんは手をパンッと合わせて喜んでいる。今まではこう言うしぐさに何とも思わなかったが、こうなってみるとすごい可愛いな……

 

「それじゃあ、明日昼の二時に駅前の銅像集合でいいかな?」

 

 再び教室が静まり返る。

 

 ………………………………………………………………ん?

 あれ? もしかして、「買い物に付き合って」の方で合ってたのか? という事は……おれ勘違いしてた!?

 静まり返った教室にいるクラスメイト達はおれの方を何とも言えない目で見つめてくる。こっち見んな!

 

(チョッギッ、プルリリィィィィィィイ!!!!)

 

 リインさんうるさいよ! 分かってるよ! こんな恥ずかしい勘違いしてたおれが一番恥ずかしいんだから追い打ちかけないでよ! トゲピーの鳴き声がこんなにも鋭い刃物になるとは思ってもいなかった。

 

「あ、もしかして何か用事があったかな?」

 

 おれが何も言わなかったことで、考え事をしていると思ったフェイトさんが聞いてくる。

 

「大丈夫だよ、テスタロッサさん! 明日俺と公輝で出かける予定だったけど、それは日曜日でもいいから」

 

 おれが恥ずかしさを表に出さないように呆けていると、ジュンがフェイトさんと話す。

 

「え? でも、ジュンの方が先に約束してたんなら……私の方こそ日曜日でいいし」

「良いって、良いって! 土曜日はテスタロッサさんに譲るよ!」

「そう? ありがとう、ジュン」

「いやぁ~どういたしまして」

 

 あの……おれを置いて話を進めないで下さい……ああ、恥ずかしい。

 フェイトさんがおれに告白(間違い)した時はものすごい形相をしていたジュンだったが、今は慈愛に満ちた顔をしておれを見てくる。その顔やめたまえ。悲しくなって来る。

 

「マサキ、また明日ね」

「ああ、うん。また明日」

 

 平静を装うことに全力を出してフェイトさんに別れの挨拶をするのだった。

 

 

 

 

 

 

 土曜日。今日はフェイトさんとお出かけの日だ。とりあえず、男のマナーとして待ち合わせの30分前に集合場所に来ている。

 あの後、家に帰ってからはやてに弄られると思っていたのだが、はやての対応はいつも通りだった。はやてもおれ達と同じクラスであるため、あの騒ぎを聞いていたはずだが、そのことに関して何も言われなかった。逆に不気味である。

 

「だが待ってほしい。これはデートなのではなかろうか」

(お前がそう思うんならそうなんだろう。お前ん中ではな)

 

 そう思う方がおれの精神的に優しいからそう思うことにしよう。

 告白かと思ったらお買い物の誘いだったからがっかりしてしまったが、よく考えたら可愛い女の子からデートに誘われたんだ。うん、これはとても喜ばしいことじゃないか。

 

「マサキ、ごめん待たせちゃったかな?」

「いや、全然待ってないさ」

 

 そんなことを考えていると、フェイトさんがやって来た。おれがここに来たのが一時半で、今は一時四十五分。そんなつもりはなかったのだが、思った以上に考えに耽っていたようだ。

 と、そんなことはどうでもいい。やって来たフェイトさんの今日の服装は白のブラウスに黒のスカートだ。シンプルながらフェイトさんの可愛さを倍増させている。フェイトさんの私服を見ることは偶にあったが、こんな状況でみると不覚にもドキドキしてしまう。

 

「それで、何を買いに行くの?」

「え? あー……と、とりあえず、色々見て回ろう!」

 

 えっ、目的の物は無いの!? まあ、適当に回って遊ぶのも楽しいよな。

 それは置いておいて、こういう時は女の子の服装を褒めるべきなのだろうか? やはり、褒めるべきなのだろう。

 

「フェイトさん、すっごいかわいいよ」

「え!? あ、ありがとう……」

 

 何だこれ……恥ずかしすぎて穴があったら入りたい。こんなことを何食わぬ顔で言う主人公達の精神は鋼鉄製に違いない。

 

「……それじゃあ、行こうか」

「……うん」

 

 とりあえず、海鳴の駅前を歩くことにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

「どうかな?」

 

 さっきまで来ていた服の上にカーディガンを羽織ったフェイトさんが試着室のカーテンを開ける。

 

「よく似合ってるよ。今頃の女子高生って感じだ。これから寒くなるしちょうどいいかもね」

「まだ中学生だけどね」

 

 しばらく歩いたところで、フェイトさんが服を買いたいという事だったので、手頃な値段で色々な種類の物を置いている服屋に入ることにした。

 フェイトさんが気になった物を手に取り、それらを試着する。観客おれ一人のファッションショーの最中だ。いやー、役得役得。

 

「じゃあこれは買おうかな」

 

 そう言ってフェイトさんは試着室のカーテンを閉める。

 

(マサキ、ニヤついているぞ)

 

 そりゃニヤつきもするって、リインさんよ。このどう考えてもデートとしか思えない状況で、相方の女の子の服選びを手伝うなんて言うのは男なら誰もが夢見ることだろう。

 と、しばらくすると、カーテンが引かれる音がする。フェイトさんは次はどんな服を見せてくれるのだろう?

 

「って、どわあああああ!」

 

 試着室から姿を見せたのは、上はピンク色のキャミソールだけを着ているフェイトさんだった。

 

「ど、どうかな?」

 

 フェイトさんはそんな風に聞いてくる。

 キャミソールと言うのは、細い肩紐で吊るし肩を露出する形状の袖なしの女性用の上半身用下着ないし上衣だ。人によってはアウターとして着て、キャミソールを周りに見せることもあるが、普通だったら下着にするようなものだ。

 キャミソールが薄い服だという事もあるが、何より問題なのが……その……フェイトさんの中学生と思えない豊満なオパーイのタニーマが見えていることだ。

 フェイトさんのオパーイが平均より大きいことは知っていたが、こんなにしっかりと見たことは無い。

 フェイトさんはマントを外すと実はとんでもないバリアジャケットを着ている。それを見る機会がこれまで無かったわけではない。しかし、それはフェイトさんのオパーイがまだまだ小さかった小学三年生の時。おれがフェイトさんを初めて見た時こう感じたんだ。

 

「なんか、犯罪臭がすごい」

 

 それ以来、フェイトさんがバリアジャケットを着ているときはフェイトさんを直視しないようにした。そのため、フェイトさんのオパーイの成長具合なんて詳しく把握していないのだ。まあ、事細かにしてたらそれはそれで大問題だが。

 まあ、そんなことは今どうでもいい。とりあえず、おれが言えるのはこれだけだった。

 

「これからの時期それは寒いと思う」

「そ、そうだよね! うん。これは今回はいいかな」

 

 そう言って、フェイトさんは再び試着室のカーテンを閉める。

 

(マサキ、流石に今の感想はないだろ)

「おれもそう思う」

 

 その後、フェイトさんはカーディガンを含めたいくつかの服を購入して店を出た。

 もちろん、荷物はおれが持ちました。男の嗜みだよね。

 

 

 

 

 

 

「そ、そそそい! そそそい! そそそそそそい!」

「えっ! えっ! えっ!」

 

 服屋で見たことはとりあえずなかったことにして、おれ達はゲーセンに来ている。ゲーセンなら大抵ある太鼓の達人をプレイ中だ。

 おれは地元ではそこそこ有名な太鼓の達人の達人と知られていたのだぜ!

 

「やったぜ」

「ふえー……」

 

 今は初めてやるフェイトさんのために難易度ふつうでプレイしているんだが、フェイトさんにとってはそれでも難しかったようだ。

 いつもすごい速さで空を飛んでいるフェイトさんにとって流れてくる音符に合わせて太鼓を叩くのは簡単だと思ったのだが、それとこれとはまた別みたいだね。

 

「プリクラだ……そうだマサキ、プリクラ撮ろう?」

「え。あ、うん」

 

 プリクラ。女の子なら使う人も多いだろう。だが、男だったら、使う人は沢山使うが、使わない人は全く使わない。男の場合はリアルが充実してない限り縁のない機械だ。

 つまり……

 

(今のおれのリアルは充実しているな……)

(ふっ)

 

 おい! 鼻で笑うなよリインさん! 今までのおれはリアルが充実してなかったから使う機会なんて無かったんだよ。

 リインさんの事は無視しつつ、おれとフェイトさんはプリクラの機械の中へと入る。コインを入れると、音声が流れて手順を説明していく。

 

「ほらマサキ! もっと近づいて!」

「そ、そうだな」

 

 そう言ったと思ったらフェイトさんとおれは写真の枠の真ん中になるように、できるだけ大きく写るようにお互いに近づく。

 ち、近い……フェイトさんの髪からシャンプーの匂いが分かるくらいに近い!

 

『じゃあ撮るよ! 3,2,1!』

 

 機械の音声がそう言うと、シャッター音が鳴る。

 上手く笑えただろうか? 隣に可愛い女の子が居てガチガチに緊張している男子中学生の図になってるとしか思えない。

 一枚目とはまた別のポーズをとって二枚目に備える。

 

『二枚目行くよ! 3,2,1!』

 

 またさっきのようにシャッター音が鳴る瞬間、プリクラの筐体に掛かっている暖簾(?)がはためくのが分かった。

 

「!? はやて!」

「なのは!」 

 

 誰かが乱入してきたと思ったら、なんとそれははやてとなのはさんだったのだ。

 

「何ではやてが……」

「ほらほら、またすぐ次の写真撮るんやで!」

「なのはも……」

「フェイトちゃん! 折角だから色んな写真撮ろうよ!」

 

 二人の勢いに流されるようにしておれとフェイトさんだけだった写真の中にはやてとなのはさんが追加されることになった。

 

 

 

 

 

 

「そんで、二人は何でここに?」

 

 プリクラを撮り終わり、落書きも全部やってプリントアウトされたものを分けてみんなに配ってから突然現れたはやてとなのはさんに気になっていたことを聞くことにした。

 

偶々二人を(気になったから)見つけたから(最初から)驚かしたろと(二人を)思ったんや(つけてたんや)

二人だけで(フェイトちゃんが)楽しんでずるいから、(私たちの協定違反)私たちも混ぜて(しそうだったから)もらおうと思って(止めようと思って)

 

 二人によるとそう言うことらしい。ん? なんでフェイトさんちょっと顔引き攣ってるんだ?

 それはそれとして偶然とはいえ、こうやってみんなそろったのならみんなで遊ぶのが良いだろう。という事で、結局四人で遊ぶことになりました。

 

 

 あれ? フェイトさんはなんで最初からはやてとなのはさんを誘わずにおれだけを誘ったんだろう? 男の子の観点から服を見て貰いたかったのかな?

 

 

 

 

 

 

「ふう……」

 

 私は自分の部屋のベッドに腰かける。鞄から今日とったプリクラでとった写真を見る。そこには、私と男の子が二人で写っているのが一枚。残りの写真はそれに加えて二人の少女が写っている。

 

「今日は楽しかった」

 

 今日はあの人と一緒に街で遊んで来た。その中でちょっと大胆にアピールしてみた時に分かったのだが、彼はちゃんと女の子に反応しているようだった。彼の趣味が一般的になったのか、それともそもそもはやてがもたらした情報が間違っていたのかは分からない。だけど、これは好機と思い、私はあの人にもっとアピールすることにしてみた。

 

「なのはとはやての目が笑ってなくて怖かったなー……」

 

 二人の少女とはお互いに協力するためにある協定が交わされていた。それは私たちが協力している間は彼に必要以上のアピールはしないという事。どうやら今回はそこのところにひっかかったらしい。

 

「うーん、何がいけなかったんだろう?」

 

 私が二人にどのような作戦をしたのか話を聞くと、二人ともが話を逸らすものだから何がいけないのか基準が分からない。

 

「フェイトーご飯できたよー」

「今行くよ」

 

 とりあえず、今日は充実した一日だったと、ツーショットの写真を見ながら思うのだった。

 

 




結果:時間切れ、フェイトの判定勝ち

時間切れ原因:教室で待ち合わせ場所と時間を話したこと


次回!誘惑編完結!
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