こんなの非日常   作:はなみつき

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書きながらどっかで見た流れなんだよなーって考え続けて、書き終わって気が付いた。
シャナだこれー!


告白と14話と……

 

 今日も今日とて私、なのはちゃん、フェイトちゃんは私の家に集まってお話をしている。今回はあいつの予定的にはお話し中に帰って来ることは無いことは確実や。安心して突っ込んだ話をすることにする。

 まあ、前回はそのアクシデントのおかげで思わぬ収穫があったわけやが。

 

「なんや、色々あったけど、私たちの作戦は完遂された」

 

 私は友達(ライバル)達に語り掛ける。

 

「あいつはちゃんと普通の人と同じ感性の持ち主やってことがわかった。自分で言うてたことやけど、あの必死さ加減から見るにホンマのことやろ」

 

 私と共に机を囲んでいる彼女たちは無言で頷く。

 彼女たちの目はこれまでにないほど真剣でいて、いつも以上に緊張している。おそらく、彼女たちも私がこれから言おうとしていることがなんとなく分かっているんやろう。

 

「今週末、勝負を仕掛けようと思ってる」

「!」

「……ッ」

 

 私の発言を聞いたなのはちゃんとフェイトちゃんは息を飲み緊張をさっき以上に露わにするが、やはりそうなったかという納得の表情も見せる。

 

「それに当たって二人の意見を聞きたいんやけど……二人はどうする? 二人の決意がまだ決まって無いようなら私はもう少しだけ待つ」

 

 ここで私だけがあいつに思いをぶつけるのはフェアやない。

 なのはちゃんとフェイトちゃんは友達と書いてライバルと読み、宿敵と書いて戦友と読む。そんな関係や。そんな関係の二人を差し置いて私だけが行動を起こすなんて言う気はさらさらあらへん。

 私たちにあるのはみんな同じ条件で戦って、みんな負けるか、一人が勝つか。それだけや。もちろん、ここにいる三人はその結果がどうあれ恨み言を言う人はおらへん。

 

「で、どうなん?」

 

 私は再び確認をする。

 

「私は……ううん……私もやるよ!」

 

 なのはちゃんが参加表明をする。

 

「もちろん私も……やる!」

 

 なのはちゃんに続いてフェイトちゃんも参加表明をする。

 フェイトちゃんの表明はなのはちゃんのそれより少し遅れを取ったように見えたが、なのはちゃんの発言がちょっとでも遅れとったらフェイトちゃんが先に言っとったやろう。それだけ二人の思いと決意は確かなもので、どちらが勝っているとか、そう言うこともない。もちろん、私も負ける気はせん。

 

「うん、二人ならそう言うと思ったで」

 

 そう言うと、私は自然と笑顔になる。それに二人も同じように笑顔になる。

 

「そんなら、これから最終決戦の話をしよか」

 

 私、なのはちゃん、フェイトちゃんの三人だけの話し合いは続く。

 

 

 

 

「うー……だんだんと冷える季節になって来たな」

(もう12月だものな。時間の流れという物は本当に早い)

 

 時間の流れが早い。結構なことじゃないか。それは今が楽しいって言うことの裏返しなんだからな。かくいうおれも、時間の流れが早いと感じてる。

 おれとリインさんは今日も今日とていつも通りだ。

 いつも通りでないといえば今の状況とかだろう。

 

「駅で待ち合わせじゃなくて、みんなおれん家に集まってから行けばいいのに」

(まあ、そう言うな。主達は先に用事を済ませると言っていただろう)

 

 今おれはこの12月の寒空の下、駅前の待ち合わせスポットとして有名な銅像前にいる。待っている相手ははやて、なのはさん、フェイトさん。久しぶりにみんなで遊びに行こうとなり、それにおれも誘われた形だ。

 その時、おれが「買い物か? 買い物でいいんだな?」って聞いたのは仕方がないと思う。

 そんなことより、なんでおれ達は駅前で待ち合わせなんて言う面倒なことをしているかだ。なのはさんとフェイトさんと一緒に遊ぶのに待ち合わせをするのは何も不思議なことではない。しかし、同じ家に住んでいるはやてと一緒にこの場に来ていないのはおかしいだろう。

 それは、はやて達はここに来る前に三人でしなければいけない用事があるそうで、それをすましてからここに来ることになっているからだ。

 

「早く来ないかなー。寒いから早くどっか建物に入りたいぜ」

(ふむ、どうやらその願いは神に届いたようだぞ)

 

 リインさんにそう言われて辺りを見回してみる。すると、周りから少し浮いている(かわいさ的な意味で)三人の少女達がこちらに向かって来ているのが見えた。

 気の所為かもしれないが、彼女たちの傍を通った男たちはもれなく彼女たちを気に掛けているような気がする。

 

「待たせたな、ハムテルくん」

「ごめんなさい、待った?」

「おまたせ」

 

 彼女たちもこちらに気付いたようで、はやて、なのはさん、フェイトさんが順番に声をかけてくる。

 

「いんや、そんなに待ってないぞ」

 

 実際にそんなに待っていないのでおれはそう言う。だが、今の季節は冬と言うこともあり、とても寒いのがちょっと辛かった。それを示すように、彼女たちも厚めのコートを着用している。そういえば、はやてがしているマフラーはおれがかつて誕生日プレゼントとして渡したものだな。こうやって使ってくれると製作者としては嬉しいものだ。

 それにしても、可愛い服で着飾っていると言う訳でないのに、コート等を羽織っている姿で人目を集めるなのはさん達はやっぱり相当可愛いんだなと思う。きっと何かがにじみ出ているのだろう。

 

「そんじゃま、行こうか」

 

 そう言っておれはみんなを促す。さっさとどっかの店内に入って暖を取りたい。決して、「その可愛い娘三人と一緒にいるお前は何者なんだ」という男たちからの無言の圧力に耐え切れなくなったわけではない。決してない。

 

 

 

 

 おれ達はあの後、海鳴駅駅前という中々の場所に位置するショッピングセンターに来ている。食料品、衣料品、薬品、スポーツ用品、娯楽品、エトセトラ、エトセトラ。ここに来れば欲しいものは大抵手に入る大型のショッピングモールだ。家族連れで来るも良し、学生が学校帰りや休日に遊ぶも良しの市民の遊び場である。

 

「ふぅ……あったけー……けど、上着着てると暑いな」

 

 地球温暖化? 何それ美味しいの? と、いわんばかりに暖房をガンガンつけているようで、店内はかなり暖かった。

 おれはそう言いながら羽織っていた上着を脱いでいると、フェイトさん達もそう思ったようで、着ていた上着を脱ぎ出した。

 

「ん? どうしたのマサキ?」

「えあ!? あ、いいや。何でもない」

 

 ボーっと彼女たちを見ていると、フェイトさん疑問に思われたようだ。

 分厚い上着を脱ぐことによって今まで隠されていた彼女たちの私服が見える様になった。そんな三人が可愛かったからつい見惚れてしまったのは男なら仕方のない事だろう。

 本来ならここで彼女たちの服装を褒めるのが男の嗜みなのだが、前回フェイトさん相手にやって、ものすごく恥ずかしい思いをしたのは記憶に新しい。しかし、やはり何も言わないというのは失礼に当たるのではなかろうか。ど、どうすればいいんだ……

 

「……私には言ってくれへんのやな……」

「……わたしも言ってほしかったかな……」

 

 おれはどうするのが男として正しくて、かつ恥ずかしくないのかを考えていると、はやてとなのはさんが何かを言った気がした。

 

「え? 今二人なんて言った?」

「「何でもない!」」

「んん?」

 

 そう言うと、なのはさんとはやてはどんどん歩いて先に行ってしまう。

 なんでもいいけど、頬を膨らませている二人の様子は小動物のようで可愛い。

 

「なんなんだ?」

(マサキは難聴系主人公の才能があるな)

 

 むっ! 今のリインさんの発言はおれの悪口っぽかったから聞こえないぞ! おれの耳は都合の悪いことは聞こえないのだ!

 

「……今日は私も言われたわけじゃないけどね……」

「え? 何フェイトさん?」

 

 そう言ってフェイトさんも二人の後を追っていく。

 ちょっと! みんな声が小さくて聞き取れないよ。一応学校の聴力検査では問題なしと出ているが、ショッピングモールのような騒がしい場所ではある程度声を張ってもらわないと聞こえない。

 

(ハァ……)

 

 リインさんのため息だけははっきりと聞こえたのが印象的だった。

 

 

 

 

 その後、おれ達はショッピングモールを遊び尽くした。

 手始めにゲーセンで定番のゲームを遊んで回り、喉が渇いたからお菓子を食べながらお茶が飲める店に入る。ガラス越しによさげな服が見えると女子勢は店に入りおれもそれに付いて行く。適当に付いて行ったら女性用下着の専門店に入りそうになって危なかった。おれも彼女たちに付き合ってもらって本屋やCDショップを見たりした。

 

 楽しい時間という物はあっという間に過ぎ去っていくものだ。年単位の時間でさえ早いと感じるのだから数時間なんてあっという間に過ぎ去ってしまう。

 

「いやー、遊んだ遊んだ!」

「うん! 楽しかったね!」

 

 はやてとなのはさんも今日の数時間を楽しんでいたようだ。

 

「マサキも楽しかった?」

「もちのろん。やっぱりこういう場所にみんなで来ると楽しいよな」

 

 フェイトさんがおれに聞いてくるが、そんなの当たり前だ。それに、これは言う訳にはいかないが、可愛い女の子、それも三人と一緒に遊んで楽しくないわけがない。

 まあ、これは気ごころの知れた女の子限定であるのだが。道端ですれ違った可愛い女の子をナンパするような男のことを好ましく思うことは出来ないが、その強靭な精神は称賛に値すると思う。おれだったら恥ずかしくて会話を盛り上げるどころか話しかけることすらできないだろう。

 

「お、着いたで。ここやここ」

「わー!」

「綺麗……」

「これはなかなか」

(流石は主だな) 

 

 ショッピングモールで遊んだ後、それで家に帰るのかと思ったのだが、はやてがみんなに見せたいベストプレイスがあるとのことで、そこへ案内してもらった。

 そこは海鳴の街を見渡せる位の高台で、今が夕暮れ時と言うこともあって、おれを含めたみんなはその景色に息を飲んだ。

 田舎過ぎず、都会過ぎず。海と山が近くにあり自然豊かな良い街だという事を再確認させられる様だ。冬の澄んだ空気のおかげで海鳴の街並みはいつも以上に美しく見える。

 いつも近くにありすぎて気がつかなかったが、少し視点を変えて見ると今まで知らなかったことを知ることが出来た。そんなことを考えていると、はやて、なのはさん、フェイトさんが話し始めた。

 

「あんな、ハムテルくん。ちょっと話があるんや」

「ん?」

 

 おれは見て居た海鳴の街並みから目を離し、はやての方へ振り向く。すると、そこにはいつも以上に真剣な目つきをしたはやてがおれのことを見つめていた。だが、それははやてだけでなく、なのはさんとフェイトさんもはやてと同じような雰囲気を出しておれを見ていた。

 

 

「なんだ、そんな顔して。こわいな」

 

 それはおれの正直な気持ちだった。今までこんなことは無かった。突然こんな風に見つめられると、流石のおれでも緊張してしまう。

 だが、三人はおれの気持ちなど知ったことかというように話しだした。

 

「公輝」

 

 はやてがおれのことを愛称ではなく、名前で呼ぶ。

 

「私たち」

 

 フェイトさんがいつか見たような覚悟を決めた様子で言う。

 

「あなたのことが!」

 

 なのはさんが砲撃を撃つ直前に相手をロックオンする時のような目を向けながら言う。

 

「「「大好きです!!」」」

 

 

 

 

 

 あの後のことはよく覚えていない。

 情けないことだが、彼女たちに告白されて呆然としてしまった。

 かろうじて、「答えは出来れば早い内に」「おれがどんな答えを出そうとも、三人はその結果を受け入れる」と、言う旨の話をしていたのは覚えている。彼女たちは自身の思いを告げると先に帰って行った。おそらく、おれがみんなと一緒に居ると気まずいだろうと気を回してくれたのだろう。まあ、おれの帰る場所ははやての帰る場所でもあるから余り意味は無いのだが。

 

「……告白……だよな……」

 

 海鳴の街を一望することが出来る場所にあのままずっといても仕方がないと思ったおれはその場を離れることにした。気付いた時には三十分程経っていた。

 

「おれは……」

 

 この間フェイトさんから買い物に付き合って欲しいと言われたのを勘違いしてしまったことがあった。その時のおれはフェイトさんと恋仲になるということを了承してしまった。だが、こういう言い方はあまり良くないが、その場の雰囲気に流された感があるのは否めない。人目のある前での告白(のようなもの)。そこでごめんなさいと言うのは難しいだろう。もちろん、そんなつもりでYESと答えたわけではなかったと思うが、無意識の内にやってしまっていたのかもしれない。

 しかし、今回は違う。あの場には告白をした人とされた人しかいなかった。そして、今回は勘違いでもなく、彼女たちは考える時間を与えてくれた。

 考えれば考えるほど自分はどうすればいいのか……いや……自分はどうしたいのかが分からなくなる。

 おれにとってはやては家族だし、なのはさんとフェイトさんは親友だ。その関係が男女の仲になるというのは正直あまり想像できない。

 

「……どうすれば……」

(……キッ! マサキッ!)

 

 おれは考えることに夢中になっていたようで、リインさんがおれに声を掛けてくれていた事に気付くのが遅れてしまった。

 

(前に誰かいる! 気を付けろ!)

「え?」

「サカウエ先生ですね。ドクターがお呼びです。一緒について来てもらいます」

 

 家に帰らなければいけないが、何となく帰るのが憚られたおれは人通りの少ない裏通りを使いながら回り道をしていた。こんなことをしても何の意味もないということは分かっているのだが、そうせずにはいられなかった。

 そんな人通りの少ない道は明かりも少ないため薄暗い。どうやら今目の前にいる不審者にそこを狙われたようだ。

 

(リインさん……頼んだ)

(任せておけ)

 

 おれは体の操作権をリインさんに渡して目の前の不審者をどうにかしてもらうことにした。

 

「動くな。その方が自身の身のためだぞ」

(クッ……いつの間に後ろに……全く気が付かなかった)

 

 リインさんが動きだそうとした瞬間、後ろから声を掛けられる。後ろにいる人物から感じる気配はまるでおれに刃物を突き付けているかのようだ。その気配だけで動くと大変なことになるだろうと推測できる。

 

「それでは行きましょう」

 

 前に立っていた女性がこちらに近づいてくる。今まで街灯に照らされていなかったその人物はこちらに近づくことによって街灯が照らす明かりの範囲内に入る。その不審者は紫髪で長髪の女性だった。

 その女性がそう言うと、魔法陣が展開される。何らかの魔法を行使する気のようだ。

 

(これは……転移魔法か!)

 

 リインさんによるとどうやら転移魔法のようだ。そうなると、おれはこれからどこかへ連れて行かれるのだろう。

 

(マサキ、私とのユニゾンを解除しろ。主達にこの事を知らせてくる)

(でも、おれとのユニゾンを解除したら……)

 

 リインさんを通した夜天の書の修復はまだ完了していない。この状態でユニゾンを解除してしまったらまた闇の書に戻ってしまうのではないだろうか?

 

(問題ない。私の修復は想定以上の早さで行われている。今ならユニゾンを解いても、良くはならないだろうが悪くもならない。それくらいには夜天の書の主導権は私が握っている)

 

 どうやらリインさんは大丈夫なようだ。それなら何とかなるだろうか。

 

「それでは向かいます」

 

 不審者の女性は準備が整ったことを伝える。

 

(私はお前との魔力の繋がりを頼りにマサキの元へ主達の元へ連れて行く! 心配するな)

 

 リインさんはおれを安心させようと声を掛けてくれる。彼女がここまで言うのなら大丈夫だろう。

 

((ユニゾンアウト))

「転移」

 

 紫髪の女性が転移魔法を行使するよりほんの少し先に、おれとリインさんのユニゾンが解かれる。その一瞬の内にリインさんが転移に巻き込まれないように素早くこの場を離れたのが見える。

 

(リインさん頼んだ)

(ああ)

 

 その念話を最後に、おれは不審者に誘拐された。




決戦編と言ったな、あれは嘘だ。
これから始まるのは誘拐編だったのだ!
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