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\ (´・ω・`) また髪の話してる・・・
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今私は、なのはちゃん、フェイトちゃんと一緒に喫茶翠屋に来ている。もうすぐで閉店だが、今日は閉店まで居させてもらうつもりや。あいつも家に帰り辛いと思うけど、それは私やて同じこと。ここで三人で打ち上げっちゅうか、反省会っちゅうか、まあそんな適当な理由をつけてここにいさせてもらっとる。
「はー……とうとう言ってもうたな……」
「はやてちゃん、それもう四回目だよ」
「私たちにできることは全部やったんだから」
確かにそうや。私たちにできることは全部やった。
最後の作戦会議で私たちはあいつをショッピングに誘った。しかし、実際はショッピングとは名ばかりのデートや。まあ、あいつはそんなことは全く思ってへんかったやろけど。
とにかく、私たちは三人であいつをデートに誘うことにした。それはあいつが一番良い答えを出すための参考にしてもらうつもりの物。もしかしたらそんなものはいらんお世話なのかもしれへん。やけど、これはどんな結果に成ろうとも、私たちが心の残りを失くすための悪あがきでもあった。
そのデートが終わった後は私なりにええ雰囲気の場所にあいつを連れて行き、私たちはその思いを告げた。
告げたことに対して私は後悔もは無い。後悔はないけど……
「はぁ……」
「はやてちゃんってこう言うことは引きずるんだね」
「慣れてへんからなぁ……はぁ……」
やはり、落ち着かないものは落ち着かない。私はさっき思い人に告白をした。そして、今は結果待ち。誰だってこの時間は緊張の一瞬のはずや。この瞬間に慣れとる奴なんてそうはおらんやろう。
「うふふ……青春ね」
「ああ。青春は良いものだ」
店じまいの準備をしているなのはちゃんの両親である桃子さんと士郎さんがなんとも温かい目をこちらに向けながら話している。あの……恥ずかしいんでそれ以上は……
「あうあうあー」
「はやてちゃんうるさいよ」
「はやてうるさい」
あかん。だんだんなのはちゃんとフェイトちゃんの私に対する扱い方が雑になって来とる。これは二人もなんだかんだ言って大分キとるな。
そんな生ぬるいながらもゆったりとした時間が流れていた。
しかし、その時間は思いもよらない来客によってぶち壊された。
「主! ここにおられましたか!」
「リ、リイン!?」
翠屋に駆けこんできたのはあいつとユニゾンして夜天の書の修復を行っているはずのリインフォースやった。
「な、何で……いや! それよりも……本当に……?」
「申し訳ありません主。そのことについては後程」
私は今この場に居るはずがない人物が目の前におって頭が混乱してしまう。なのはちゃんやフェイトちゃんも予想外だったようで目を見張っている。士郎さんと桃子さんは状況が分からず反応に困っているようや。突然駆けこんできた迷惑な客ならやんわりと追い出してたかもしれんけど、私が反応したから様子を見とるんやろう。
「主だけでなく、なのはとフェイトも。これから話す内容を落ち着いて聞いてください」
リインはそう前置きをした。
彼女が何を言おうとしとるのか想像は全くできへん。やけど、何かとんでもなく嫌な予感がする。
一息付いてリインは話し始めた。
「マサキが……誘拐されました」
ゆう……かい……?
誘拐?
なんやそれ。
そんなことは……許されへん。絶対にや……
だって……
「「「まだ答えを聞いてない!」」」
リインが言ったことを理解した私たちは同時に叫んだ。そして、あいつを取り戻すために行動を開始した。
★
おれは誘拐された。
まさか、こんな貴重な経験をするなんて……全く嬉しくない。
「やあマサキくん。調子はどうかな」
「少なくとも良くはない」
「ふむ、甘いものでも用意させよう。ウーノ、頼んだよ」
「承りました」
おれに話しかけてきたのは紺色のスーツの上からヨレヨレの白衣をまとった紫髪の男性。奴は自分のことをジェイル・スカリエッティと名乗った。
ウーノとはあの道でおれに話しかけてきた紫髪の女性であり、今この部屋から出て行った人のことだ。
「しかし、君の
「おれに言われてもな。自分でもさっぱりだ」
ちなみに、今おれは拘束されていない。それどころか、相手の重要人物であると思われる
それどころか、何か不都合な点があればすぐに解消してくれる。さっきウーノさんが作ってくれた料理はかなり美味しかった。
「君の体の一部のどこかしらに触れていれば生き物の怪我や病気はもとから無かったかのようになる。だが、君から離れた君の一部では効果が無い。ふーむ……」
スカリエッティはおれの能力に興味があるらしい。全く……それだったらこんな誘拐なんて手段を用いず、直接頼めばいいのに。
「そういえば、どうしてあんたはおれの能力を再現したいんだ?」
「む? 気になるかね?」
「そりゃ、自分がこんなことになってる理由くらいは知りたいさ」
おれはかねてより疑問に思っていたことを聞くことにする。さっき家に帰してくれと頼んだが、それは出来ないと言って拒否されてしまった。なので、救出部隊が来るまで暇だからお話でもして時間を潰すことにした。
「では、教えてあげよう! 私は」
「失礼します。紅茶とケーキをお持ちしました」
「あ、どうもありがとうございます」
スカリエッティが話し始めようとしていた所にウーノさんがお盆に乗せた紅茶とケーキを持ってきた。その紅茶とケーキをおれの前に置くと、一礼して出て行ってしまった。
「あれ? 私の分は? まあ、いいか」
スカリエッティは特に気にした様子もなくさっきの話の続きをし始めた。
「ごほん。私はご覧の通り科学者だ」
そう言いながらスカリエッティは椅子から立ちあがり、着ている白衣を見せつけるかのようにひらひらさせる。
確かに、見た目は科学者だ。少なくとも謎のヘルメットと謎のマスクをつけてほぼ真っ赤な服を着て自分のことを軍人だという奴よりは説得力がある。
「凝った研究をするには色々と必要なものがあってね」
「お金か」
おれは自分の予測を口にする。どこの世界でも科学の発展に戦争と金は付き物だ。
「そうだね。そういう必要なものを提供してくれるスポンサーが私には付いている。この研究所の場所なんかも彼らから快く提供してもらったよ」
快く(意味深)。いや、気にしないでおこう。
「だが、彼らは善意の心で私に寄付してくれているわけではない。彼らは私を支援することによって、それ相応の対価を得るんだ」
当然と言えば当然だろう。スポンサーという物は自分が資金等を提供することによって、時に技術を、時に利益を、時に組織の力を得る。
「ところでマサキくん。金も権力も名声も女もしくは男も、すべてを手に入れた人間は次に何を欲しがると思う?」
金、権力、名声、人間。それは権力者が持っているものであり、また常に追い求めている物でもある。しかし、人の身で手に入れることが出来るものを全て手に入れた人間が次に欲しがるもの。それは……
「永遠の命……とか?」
「その通り! 永遠の命! 死の無い生! ここでは死ぬことのない生が命であるのかという議論は置いておくとしよう」
スカリエッティは命の話をし始めるとどんどんテンションが上がっていく。
「だが、強欲な彼らは不死だけでは飽き足らず、実際は不老も同時にお望みなのさ」
不老不死。
それは地球のかつての権力者たちも血眼になって探したものだ。
不老と不死がイコールでないのは有名な話だろう。別にどうでもいいけど、不老じゃないが不死の人間は歳を取り続けるとどうなるのだろうかと。老いて体を自由に動かすこともできず、内臓系も弱り切る。それでも死ぬことは無い。きっと死ねない体を恨むことだろう。
「私はこう見えても生命を専門とする科学者でね。生命を探求する研究者として、命の循環を止めてしまう不老不死は決して触れてはいけない禁忌だ。だが同時に! 命を絶やさないための研究は生命を専門とする研究者が取り組まずにはいられない至上命題でもあるのだよ!」
「なるほど。それでおれの能力に目を付けたわけだ」
合点が言った。スカリエッティがおれの能力を利用としようとしたのは不老不死を実現するためだったのか。
確かに、おれの能力を利用すればそんなこともできるかもしれない。しかし、人間である限りはいずれ死ぬという事は人間を構成する肉体、魂、精神の全てに刻み込まれている。そこを無意識の内でも認識している限りは不老不死は無理だろう。もし、自分は老いることも無く、死ぬことも無いと心の底から信じられる人間が居るとしたら、それは人間じゃないか何も知らない無垢な子供くらいだろう。それとも催眠術でも使って思いこませるか?
「そう! まさに神の御業! 人の身でありながら神の御業を行使出来たら、これはとてもおもしろいだろうね……」
スカリエッティは「クックック……」なんて笑いをしている。その表情はとても楽しそうで愉しそうだ。こいつはヤバイ奴なんだなと再認識させられる。
「ここでまた質問なんだが」
さっきまでのハイテンションは嘘だったかのように落ち着いた様子で椅子に座り直す。
「権力者達は不老不死と同時に大抵もう一つ欲しいものがあるんだ。それは何だと思う?」
すべてを手に入れた権力者が不老不死と同時に望むもの。なんだろう。永遠の命はすぐに答えられたが、もう一つの望むものは分からなかった。
「分からないかい? それじゃ教えてあげよう」
スカさんは姿勢を改めて、指を組んで肘をつく、所謂ゲンドウポースを取ってゆっくりと話し始める。
「……髪だ」
「神……」
そうだ、何でおれはこんな単純なことを忘れていたんだ。
「そう。髪の復活だ」
「神の……復活……」
宗教。
それは信じるものも居れば信じないものも居る。そんなあやふやなものだ。しかし、それを信じるものは確かにいる。生活に困窮する者、一般的な生活をする者、所謂上流階級の者。そして……時の権力者。
欧州において、一国を治める王達にとってキリスト教は大きな存在だったという。キリスト教の名の下には王すらも一人の信者でしかない。
日本の天皇陛下やキリスト教のローマ法王等、彼らはその地に根付く宗教において大きな役割を果たす人物だ。その性質上、時に彼らは一国の王すらも凌駕する権威を持つこともある。
ところで、神はいるのだろうか? この質問にはだれも答えることは出来ないだろう。だが、少なくともおれは超自然的な力を持った所謂『神』と呼ばれる存在はいると思う。例えば地球と生物の存在。地球に生物が住めるという状況は本当に奇跡的な現象なのだ。それをやってしまった何かが居ると考えるのは自然なことだろう。
クリスマスにはツリーを飾り、正月には神社に行き、葬式はお寺に頼む。そんな典型的な日本人である、宗教に対して適当な感覚を持っているおれでさえそう考えるのだ。宗教に対して真剣に考えている人だったら……
「彼らは失くしてしまった
「なるほど……」
果たして神と呼んで崇め奉っている存在を現世に復活させることは教えに反していたりしないのだろうか? それは置いておいても、自分が神と信じているモノに一度は会ってみたいと考えるのは仕方のない事だろう。
「全く……あのハゲどもはどうしようもないな」
「おいおい……」
ハゲって……地球以外の宗教についてそれほど詳しい訳ではないけど、それは剃髪してるんだろ。聖職者に対してその呼び方はあんまりじゃないか。
スカリエッティは溜息をつく。どうやら彼にとって、神の復活は永遠の命の実現とは違って興味を引くものでは無いみたいだ。
彼は神学者ではなく、科学者。その立場上神という存在に対しては懐疑的なのだろう。
だけど……神の復活とおれの能力に何の関係が? たぶん、おれなんかじゃ思いも付かな事を考えているんだろう、スカリエッティは。聞いても理解できないだろうから質問はしないでおく。
「さて、ケーキも食べ終わったようだし、本題に入ろうか」
おれがケーキを食べ終わり、紅茶を飲み終わったのを見定めて、そう言った。
スカリエッティの浮かべる薄い笑みに何とも嫌な予感がした。
か→み↑
か↑み↓
追記
再現という言葉を使いすぎていたのが気になったので、一部変更。