魔法少女リリカルなのはViVid~レディアントマイソロジー~ 作:薄茶
「そんじゃ、一応説明させて貰うと、この家はこいつ……あたしの姉貴のスバルが住んでる家」
「うん」
「そんで、こっちが姉貴の親友で、本局の執務官でもある……」
「ティアナ・ランスターです」
「お前を保護したのはこの二人だ。感謝しろよ?」
「あの」
「ん?」
「……こちらの方は?」
「……ん?」
そう言って、横目を向けたアインハルトの視線の先にいたのは、ピンク頭の少年カノン。回りの空気をいっさい気にせず絶賛食事中である。
「あぁ、こちらの方なぁ……わりぃ、誰か説明頼む」
「それじゃ、私から。コホン、この子の名前はカノン。私達の知り合いである聖王教会のシスターさんが保護している子で、一応昨日倒れた貴方を見つけたのもこの子よ」
「はぁ……?」
「あなたをここまで運んだのも彼だから、私たちだけじゃなく、この子にも感謝しないとね? ……この子も補導対象になっちゃったけど」
「まぁ捕まえたあとはお前の方がまだ大人しいほうだよ。こいつ、目ぇ話すとすぐどっか行こうとするんだからな」
そう苦笑するティアナやノーヴェの説明を、カノンに視線を向けたままコクコクと頷き返事を返すアインハルト。
「それはそうとして!ダメだよノーヴェ、いくらお互い同意の上での喧嘩だからって、こんなちっちゃい子に酷いことしちゃ」
「あのなぁ、こっちだって思いっきりやられたんだ。まだあちこち痛ぇんだぞ?」
「でーもー……」
「その話は一旦置いといて、本題に入らせてもらうんだけど……」
その言葉と同時に、アインハルトの体がピクリと揺れる。本人もこれから出される話題については理解しているのだろう。
「実力者の格闘家を狙った連続襲撃犯があなたっていうのは……本当の話?」
「…………はい」
その問いに、やや俯きながら、しかしはっきりとした声でアインハルトはそう答えた。
「そう。理由、聞いてもいい?」
「聞いた話によりゃ、なんでも大昔にあったベルカの戦争がこいつの中ではまだ終わってないんだとよ。そんで、自分の強さを知りたくて……あとなんだ、 『聖王』と『冥王』をぶっ飛ばしたいんだったか?」
「最後のは少し、違います。……古きベルカのどの王よりも、『覇王』のこの身が強くあること。それを証明できればいいだけで……」
「ん……じゃあ、別にそのせいおうとめいおうっていう人達が嫌いってわけじゃないの?」
「あ、えと……はい」
そう付け加えたアインハルトに対し、横で説明を聞いていたカノンの突然の質問に、アインハルトは戸惑いながらもゆっくり頷いた。
「そう……じゃあよかった」
「ぇ……?」
「スバルはね、その二人と仲がいいの」
「…………」
「ご飯、冷めちゃうからよかったら食べて?」
「っ……はい」
そういって笑うスバルの反応はアインハルトにも予想外のものだった。仮にも身内を狙った人間が目の前にいると言うのに、怒るわけでも注意するわけでもなく、妙に安心した表情。
そんなスバルを見てアインハルトはすこしばかり言葉を失う。
「あとで近くの署に一緒にいきましょう? 被害届は出てないって話だし、もう路上で喧嘩とかはしないって約束してくれたら、すぐに帰してくれるはずだから」
「あの……ティアナ」
「あら?」
「今回の件……先に手ぇ出したのはあたしなんだ。だから、あたしも一緒にいくよ。そんで喧嘩両成敗ってことにしてもらおう。お前も、それでいいな?」
「……はい。ありがとうございます」
「あ、あとカノンって言ったか? おめぇも深夜徘徊とかなんとかで連行だからな」
「んー? ……へ?」
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とあるアパートの一室。ユミルが借り受けたこの部屋で、テーブルを挟んで1人と1つが向き合っている。
1人はこの部屋の主であるユミル。そして、もう片方は意思をもった物質、ニアタ・モナド。一般的に見ればこの世界でデバイスと言われるものだ。本人(?)が言うに、本質的には違うようだが。
「わたしがなにを言いたいか、わかりますよね?」
《…………》
出された問いに対する返答は、沈黙。問いただされる内容はニアタにもすでにわかっているようだ。
とある過去の経験から、本来なら他人の事情に深入りするのはあまりしたくないユミルだが、今回は違う。
「言ったはずです。『あの子になにかあったのなら』、と。なぜ、カノン君を倒れているストラトスちゃんと一緒に逃げるよう指示したのか。そしてあの状況で『やはり狙われている』と断定できたのか。それに、私達に隠していた貴方の形状の変化についても、詳しい説明をお願いします」
《すまない。今は、答えることが出来ない》
「っ……わたしには、あの子を守る義務があります。大人として、なにより仮に一時的なものだったとしても、親として。いずれあの子が本当の両親と再会するまでは……」
《勿論、そなたの気持ちは理解できているつもりだ。いずれ、必ず話す時が来るその時まで、我々を信じて待ってはくれないだろうか?》
「どうやっても話す気はないようですね……わかりました。しばらくの間、この件については私からも質問を控えます」
ただし、あの子になにかあればその時は……と、言葉を続けるユミル。
その言葉に対して、体を光らせることで承諾の意を示すニアタ。
ニアタの言う『その時』が果たして来るのかどうか…………それはまだ誰もわからない。
《(今回は何も無かったからよかったものの、次に同じ目にあった時、はたして無事なものか。やはりデバイス……あれは、必要なものか?)》
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「……うぅ」
「あの……大丈夫ですか?」
「もうここ来たくない」
即答である。おそらく相当絞られたのだろう。ベンチにもたれかかりぐったりしてるカノンを見る限り、隣の部屋で聞こえた怒号はおそらく彼が受けたものだろうとアインハルトは理解した。
「(私はなにをやってるんだろう……やらなきゃならない事、沢山あるのに……)」
「よう」
「ひゃ!?」
「へぁ!?」
「へへ、スキだらけだな二人とも」
「の、ノーヴェさん……」
「冷たい」
「ほら、まぁ飲めよ。ジュースでよかったか? リンゴとオレンジ、どっちがいい?」
「あ……あの、えと」
「遠慮すんな。カノンはどっちがいい?」
「んー、どっちにする?」
「お、レディファースト。やるじゃん男の子」
「あ……で、ではオレンジの方を」
「じゃありんごー」
「はいよ。ほら、あんまり勢いよく飲んでむせんなよ?」
「ありがとう、ございます……」
礼を言ったあと、渡された缶の封を開け、一口飲む。ノーヴェもアインハルトの横に座り、手に持つスポーツドリンクを口に運ぶ。
「もうすぐ解放だと思うけど、学校はどうする? 今日は休むか?」
「いえ、行けるのなら行きます」
「真面目で結構」
「…………」(カリカリカリッ)
「そんで、なんだ……話題、急に変えるけど、うちの姉貴やティアナは、局員の中でも結構すごい連中と知り合いで……古代ベルカ系に詳しい専門家も、その中にはいる。お前の言う戦争がなんなのか、わたしにはわかんねーけど……協力出来る事があんなら手伝ってやる。だから……」
「聖王達には手を出すな……ですか?」
「あぁいや、そんなんじゃねぇよ」
まぁ違わなくもねぇけどな。と、そういって首を捻るノーヴェ。
「何て言うか……ガチで立ち合ったからなんとなくわかるんだ。……こいつは格闘技(ストライクアーツ)が好きだろうなって。いや、あたしは今修行中で、一応コーチの真似事なんかもしてっから、才能や気持ちをみる目だけはあるつもりなんだ」
「…………」(カリカリカリッ)
「……違う、か? 好きじゃねぇのか?」
「好きとか嫌いとか……そういう気持ちで考えたことがありません。『覇王流(カイザーアーツ)』は、私の存在理由の全てですから」
そういって、アインハルトは自分の拳を胸の前でぎゅっと力強く握りしめた。
「……聞かせてくれねーかな。覇王流の事……お前の国の事。……お前がこだわってる、その戦争の事」
「…………私、は……」
ノーヴェの言葉に、アインハルトは自らの内に秘める思いを語り出す。
覇王流への思い、自分の在り方……それら全てを今一度確認するように。
「……んぅ」(カリカリカリッ)
「……だぁーもう! 開けれねぇなら早く言えよ!? ……あぁ、それ開けてやるから、こっちに持ってこい!」
「(本当になんなんだろう、この人……)」
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スキット00 ~スキットって?~
アインハルト「始めまして、お初にお目にかかります。アインハルト・ストラトスと申します。今回は私から、このスキットについての説明をさせていただきます」
カノン「おー」
アインハルト「皆様ご存じかと思われますが、本来スキットとは、テレビゲーム『テイルズオブシリーズ』内で発生するミニイベントの様な物です。ストーリーの進行やアイテムの入手。あるいは特定のパーティで発生する物など、条件は様々です」
カノン「ふーん」
アインハルト「スキットを見ることで、通常では見る事が出来ないキャラクターの以外な素顔や本音などを見ることが出来ます」
カノン「へー」
アインハルト「この小説では、あとがきに乗せられている事が多いので、お暇があればご覧ください。との事です」
カノン「んー……それって、さっき台本を一生懸命暗記してたアインハルトみたいなのを言うの?」
アインハルト「…………言わないでください……///」
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さて、以上第8話になります。
今回のスキットはヒロインであるアインハルトが初登場! と言うわけで、今まであえてしなかったスキットの紹介を彼女にしていただきました。
今後の登場回数も本編とスキットの両方で少しずつ増えていくはずです。
さて、次回。本当の本当に原作主人公登場予定です。
というか次回からキャラクターめちゃくちゃ増えるから、書き分けられるかものすごく心配です……。