魔法少女リリカルなのはViVid~レディアントマイソロジー~ 作:薄茶
side:三人称
あの聖王教会での慌ただしい一夜から翌日。例の少年は未だ目が覚めず、聖王教会の一室にあるベッドで今も眠っている。
「……あ、そうですか。行方不明者のリストにもその様な特徴の男の子はいないと……あ、はい、ありがとうございました」
ユミルは管理局の人の連絡にそう返し、電話を切ったあと深いため息をついた。昨日見つかった少年の件を管理局に連絡したが、返ってきた返事は自分達が期待していたものではなかった。
だが、迷子の連絡はおろか、行方不明者のリストにすら乗っていない事にもカリムやユミルは驚いた。
あの少年が目覚めさえすれば何かしらの事情がわかるかもしれないが、当の本人は未だ眠ったまま。話してくれなければ今なにが起こっているのかわかることもわからない。
「あの子、あんな夜中に、それもあんな場所で何してたんでしょうか……」
「あなたと一緒で、世界樹から発せられた光が気になって近づいた。そしてその後急に眠くなってその場で寝てしまった……なんて、都合のいい話ではないでしょうね」
「……考えたくは無いのですが、もしかすると何か深い事情があって家を出てきたと言う可能性も……いやでも、体を見る限り傷の後や痣等は見られなかったし、それこそ考えすぎでしょうか?」
「そう、だといいのですが……」
二人は今あの少年の身に起こっている事を今考えうる様々な可能性を踏まえて話し合う。しかしどの考えも今一つピンとせず、頭を悩ませている。
「……とにかく管理局に捜索願いを出しましょう。それと同時にこの付近であの子を見かけた人がいるかどうかの聞き込みも我々で行います。よろしいですね?」
「はい!」
「それではシスターユミル。まずはあの子が目覚めるのを待ちましょう。それと、くれぐれも目を離さないよう見回り担当の方々に連絡をお願いしてよろしいでしょうか?」
「わかりました。あ、それなら私も見回り担当に加えてもらってもよろしいですか? 一応最初の目撃者でもありますし」
「……それもそうですね。そう言うことならわかりました、シスターシャッハにもそう伝えておきます。……ごめんなさい、あなたの本来の仕事もあるのに」
「お気遣い痛み入ります。ですが、気になる事があっては仕事に熱も入りませんので」
そう言い、ユミルは申し訳なさそうな表情のカリムに笑顔を向ける。彼女はこの聖王教会のシスターでもあるが、本来は別の仕事をメインに行動している。その本来の仕事がなんなのか、それはまた後程話そう。
…………だが、そんな会話は突然の出来事に遮られる。
「き、騎士カリム!!」
「な、なんでしょうか? そんなに急いで……」
「あ、あの子が……」
「あの子……? ッもしかして、目覚めたのですか!?」
「い、いえ! 違うんです! あの子が、例の子が見当たらないんです!!」
「な、なんですって!?」
突如二人のいる部屋のドアが勢いよく開き、1人のシスターが飛び込んできた。だが、それと共に飛び込んできた話はまた二人を慌てさせる事となる。
……よくもまぁ、騒ぎを大きくさせるのが得意な子だな。っと内心思うユミルであった。
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「もしもーし!! どこですかー! えぇーっと……あの子の名前、なんでしたっけ……」
「しかし、そう遠くには行ってないはずなのに見つかりませんね……」
あの後、カリムは手が空いているシスター全員にこの事を報告。手が空いていないシスターや見習いシスターにも見かけたら念話で報告するように呼び掛けた。
カリムとユミルも二人で聖王教会の内部をしらみ潰しに探すが、如何せん見つからない。
「……もしかして、中庭の方に出たのかも知れませんね」
「中庭……世界樹がある場所ですね……」
「あそこから聖王教会の外にも出られると、見つけるのが困難になりますね……私はこのまま教会の中を探します。ユミルさんは中庭へ向かってください」
「わかりました!」
そう言ってユミルはカリムとは逆方向の道を走って中庭、そして世界樹の所に向かう。ユミルはこの間に「最近私走ってばっかりのような……」などと考えていた。
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「はぁ……はぁ……い、いた!やっぱりこっちに……!」
世界樹に向かう小さな道。そこで二人は例の少年を見つけた。ピンク色の髪の毛、そして服装も上下真っ白の半袖のTシャツと長袖のズボンと、初めて見た時と全く同じ状態である。少年は振り返らずただ黙々と世界樹への道を歩いていた。
「みっ…………つけたぁ!!」
ユミルはその少年の前に回り込み、しっかりと両手で肩を掴む。ここまで色々と好き放題されたのと、これ以上動き回れると困るが故の反射的な行動であろう。
ユミルが少年の顔をしっかりと見たのはこれが初めてだ。ピンク色の髪は太陽の光を浴びて色鮮やかに輝き、ライトグリーンの二つの瞳にはユミル自身の顔がくっきり見えるほど綺麗な色だった。……だが、それにうってかわって少年の顔は無表情で、ただただ目の前のユミルの顔を見つめるだけであった。
「…………」
「はぁ……はぁ……き、君……はぁ……ッ探したんだよ? 今までなにやってたの?」
「…………」
ユミルは肩を掴んだまま膝を曲げ、少年を見上げる様な状態で語りかける。だがユミルの質問を聞いても少年はユミルを見つめるだけで何も答えようとはしない。
「はぁ……はぁ……ふぅ、よし! じゃあこれは答えてくれる? あなたのお名前、聞かせてほしいな?」
「…………」
その質問も少年からは答えてくれない。なにを話そうか……そうユミルがその態勢のまま考える
その時。
「…………カノン」
「…………ぇ?」
自分の頭上から聞いたことのないような、だがどこか安らぐような声が聞こえた。
「…………名前、カノン」
「……か……ノン? カノン……君?」
ユミルの言葉に頷く少年……カノンは、そのライトグリーンの目でぼんやりとユミルをみながらそう言った。
~~これは、『本来の物語』の始まりである『本来の主人公』、『高町ヴィヴィオ』が初等科4年生に進級する、たった3日前の出来事。そしてこれが、この『少し変わった物語』の始まり~~
以上が第一話、主人公初セリフ回(?)でした。
しかし、主人公出たのはいいのですが……まだヒロインである覇王様、未だ出てきません。むしろ登場はあと2話、3話あとの話になります。
あ、あとこれから後書きではこんなものも書いていきます。
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スキット01 ~~答えて~~
ユミル「ねぇ、カノン君はなんで昨日あんな所にいたの?」
カノン「…………」
ユミル「怒ったりしないから、ね? 正直に答えて?」
カノン「…………」
ユミル「……き、今日はいい天気だねぇ! だからカノン君もお散歩しに来たのかな?」
カノン「…………」
ユミル「うぅ、カリム様、早く来てぇ……」
カノン「…………」
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と、こんな感じでテイルズお馴染みの『スキット』をネタがあればやりたいと思います。
「このキャラとこのキャラの絡みがみたい!」や、「このキャラクター達がこんなことについて話してほしい!」みたいなのがありましたら、感想欄などにお書きください。ネタが降りてくれば書いてみたいと思います。・・・内容に保証はできませんが。
ではでは、今回はこの辺で失礼させていただきます。