魔法少女リリカルなのはViVid~レディアントマイソロジー~   作:薄茶

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あらすじ06 ~遭遇~

Side:???

 

気付くと私は『ソコ』にいた。視界に写るものはなぜか全てが灰色に写り、目には二人の男女が話し合っている。しかし、楽しそうな雰囲気はなく、どこかもの悲しそうだ。

 

「(これは…………夢?)」

 

いや、わかっている。これが夢であることなど、もうすでに何年も前から(・・・・・・)知っているはずだ。むしろ、夢よりももっと正確な。

 

……そう、記憶だ。

 

『……ねぇ。■ラウ■はこれからどうするの?』

 

少女が男性に向かって静かにそう切り出した。だがなぜか少女の鼻から上が自分にはぼやけて見えず、口から出た名前も、ノイズの様なものででかき消される。

 

 

『ほら、世界は今ようやく一息つけるところまで来たんだよ?……そう! 夢とか!』

 

『……強く、なります』

 

『……もう、せっかく戦争がなくなって、ようやくこれからなのにどうしてそうなるの?』

 

『私がもう少し強ければオリ■■■を失わずに済んだかも知らない。ならば私はもうなにも失わない為にも。……あなたの優しさは嬉しい。だが、私は強く……強くならなければいけないのです』

 

 

彼女の問いに、彼は巌なに強くなるとしか答えない。まるでそれが使命かのように、生きる意味かのように。

 

『……ふーんだ!そんなこと言うなら、もう■■ウスなんてしーらない!私、帰る!』

 

 

『……まったく、そういうところは変わらないのですね、あなたは』

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

視界が変わる。

 

 

《クッ、遅かったか……!》

 

『ク、■ラ■ス……? それに、ニア■も、なんで……っ……こんな所に、いる……の?』

 

 

『あ、貴方こそ何故ここに……!なぜ全く関係のない国と国との小競り合いに貴女が……』

 

戦いによって既に半壊した国の広場に先程の女性がおびただしい量の血溜まりの中心で倒れている。身体には戦火に巻き込まれた事をしめすかの様に、無数の傷がついており、福武や腕には矢が数本刺さっている。男性とその横で浮いている六角形の水晶の様な物体は先程ここに到着したばかりなのか、倒れた彼女を起こす男性の額には大粒の汗が見える。

 

 

『エ、エヘヘ、みんなを……ハァッ……っ避難させるのを手伝っている間に、他の……国の人に見つかっちゃって、それで……』

 

『いや、やはりその話は後に! 今はとにかくこの場から離れなければ……』

 

『ダメだよ……身体中、痛くてもう動けないし、血もこんなに……出ちゃってる。た、たぶ……もう、助からないよ』

 

『貴女らしくもない! いつもの元気はどうしたんですか!?』

 

『う、ううん……もう駄目……っかな……?目、見え……ない……』

 

『気をしっかり!すぐに治療を行える魔術師も来ます! だから……』

 

《そうだ! まだ諦めてはならん!》

 

『クラウ■……』

 

『なんですか!?』

 

『私、ね・・・【役目】をっ終えて……ハァ……ずっと思ってたの。いつ……自分が……【消えちゃう】……のか……』

 

『まだ……まだ貴女がやる役目なんて、たくさんあるでしょう……っ!』

 

『ハァ……ハァ……消える……のはね? 怖ッく……無いんだよ? でも……死ぬのは……ハッ……ハァ……』

 

『……駄目です、貴方はまだッ!! 』

 

『ク■ウス……痛い……痛いよぉ……』

 

『……ッ!』

 

 

彼女の口からでた言葉は、普段の彼女なら絶対に口にすることがない筈の弱音。

傷つけられた体を必死に丸め、痛みに耐えられず肺から絞り出すように口からでた言葉。

 

既に彼女が疲労しているのは誰の目を見ても明らかだった。人々の避難を手伝いながらも切られ、撃たれ、射ぬかれ・・・だが、それでも避難中の人々を守ったのだろう。彼女はそういう人だと、彼は知っている。どんなときも明るく、前向きで芯の強い、そして優しい人間だと。

それ故になお一層、そんな彼女を見たくないのだろう。

 

 

『ク■■ス……私ね……これから……ハァ……もっと生きてっ……それで……』

 

『カ■ンノ……』

 

『エヘヘ……なん、だろう。いっぱい……したいことッ……あるのにっ……ことば……出な……』

 

《今は言わなくてもいい! 後でしっかりと伝えてくれれば、それだけで……!》

 

『くッ……【クラウス】……』

 

『……っはい』

 

『わたし……ね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もっと……生きた……かった……な………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それ以上、彼女の口から言葉が出ることはなかった。目から光は消え、さっきまで痛みで震えていた体も嘘のように微動だにしない。

 

 

『……なぜだ』

 

《すまない、我々が彼女をもっとよく見ていれば、この様な事にはならなかったはず……》

 

なぜ彼女がこんな目に遭わなければならないのか。彼が強くなかったから? ここにたどり着く時間がもっと速ければ? それともあのとき彼女の機嫌を損なわなければ? あるいはあのときオ■■■■に勝っていれば?

 

どれが1つでも違ったら、彼女は死なずにすんだのかも知れない。

そして、■■ヴィ■も生きていたのも知れない。

 

だが過ぎた時間は戻らない。

オ■■■エの犠牲によってあの戦争が終結したのも。

あの日彼女の機嫌を損ねたのも。

ここにたどり着くのが一足遅かったのも。

今、目の前で失ってしまった彼女も。

 

 

 

寸分狂わず、たどり着いてしまった【現実】なのだ。

 

 

 

『……なぜ、こうなる。なぜ……私には失う事しかできない……ッ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ッ!? ……ハッ……ハァ……」

 

 

……嫌な夢だ。何時もみる夢とはまた違う、後悔の記憶。そのせいか、髪も服も汗でじっとりとして気持ちが悪い。

 

 

「……シャワー、浴びよう」

 

 

ベッドを下り、バスルームに向かう途中、部屋に付けている大型のルームミラーに写る自分の姿が視界に入った。自分の夢に……記憶に出てきた男性と同じ碧銀の髪と、青と紫の光彩異色(※両目の色が違うこと)。『覇王』……『クラウス・G・S・イングヴァルト』の血と記憶がこの身に流れてる証。

 

 

 

「『カノンノ』……『オリヴィエ』……私は…………ッ!」

 

 

 

 

Side:???→クラウス(?)

 

 

 

 

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Side:3人称

 

 

 

「お金は?」

 

「もった」

 

「地図は?」

 

「ニアタ」

 

「メモは?」

 

「ニアタ」

 

「困ったら?」

 

「ニアタ」

 

「やっぱり明日にしようかな……」

 

《まぁそう言わずともいいだろう。今回はあくまでおつかいだ。自分の思うようにやらせてあげよう。勿論、私もしっかり彼を見させてはもらうが》

 

「はぁ……当初の予定とは違うけど、まぁいいかな。じゃあカノン、いってらっしゃい。車には気を付けてね?」

 

「うん、いってきます」

 

ユミルが思ってた通りとは行かない様だが、予定通りカノンのはじめてのおつかいがスタート。

見送りを終えたユミルは、いつも通り自らの仕事に取りかかった。

 

 

 

 

 

※おつかいの内容をダイジェストにまとめました。カノンとニアタの奮闘(主にニアタ)をさらっとご覧ください

 

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

《さて、最初のおつかいはパンを2つ、種類は問わないそうだ。どこにお店があるのかはわかっているね?》

 

「……んーっと、パン……屋?」

 

《いや、場所を言っているのだが……》

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

「パン屋についたけど」

 

《(まさかパン屋を探すだけで1時間もかかるとは・・・ユミルのアパートにつくのに相当時間がかかりそうだ)よし、店員の人に買いたいパンを渡し、その分のお金を渡すんだ。お釣りとレシートもちゃんと受けとることもお勧めしよう》

 

「……なんだかニアタ、やけに詳しいね」

 

《多少は心得ているさ》

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

『ありがとうございました~』

 

 

「おー、あったかい」

 

《すぐに食べれないのが非常に残念そうだな。メロンパンにカレーパンか、王道と言うものだな。しかし、あの『マーボカレーパン』とはなんだったのか……》

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

《次はリンゴだ。ここの近くのスーパーにリンゴ4つの詰め合わせがあるそうだ。……カノン、どこにいく? そっちは反対方向だぞ?》

 

「……?メモにはこっちって書いてるけど?」

 

《……カノン、地図の向きが逆だ。もしや、地図を回したな?》

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

「……けっこうずっしり」

 

《ふむ、へたも大きく中々の赤色だ。スーパーで売られているにしては相当質がいいようだ。ひょっとすると密が入っているかもしれん。それにしてももう外が暗くなり始めている。あまり遅いとユミルが心配する。急ごう》

 

「ふーん……」

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

《次はモノレールに乗ってミッド中央区の『クラナガン』に移動する……まてカノン、何を食べている?》

 

「……メロンパン?」

 

《なぜ疑問系なのだ……いや、そうではない! これはおつかいだぞ、食べてどうする!?》

 

「んむんむ……あ、やっぱりダメだった?」

 

《ぐっ……た、確かに我々は『好きにやって言い』とは言ったが、食べろとは誰も……いや、今回は我々の失言だった。ユミルには我々から言っておこう……》

 

「……ごめん」

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

「人がいっぱいいるね」

 

《ちょうど今の時間は仕事が終わる時間だ。俗に言う退勤ラッシュと言うものだ。この時間、誰かと一緒に駅に来るならはぐれないように気を付けることだ。さて、切符を買ってクラナガンに移動しよう》

 

「それってこれ?」

 

《ほう、もう買ってきたか。回りを見ながらにしても、始めてなのによく買うことが出来たな。では、改札を抜けてモノレールに乗るんだ》

 

「かいさつ?」

 

《あそこにある機械にさっき買った切符を入れて通る。難しいことではない》

 

 

「きかいに入れる……あ、出てきた」

 

《出てきた切符を持ってモノレールに乗りなさい》

 

「はーい」

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

「椅子、椅子っと……ここだ。…………あ、動いた」

 

《ふふ、長旅ご苦労だった。クラナガンにつけばもう時間は余りかからない。ゆっくり足を休め……》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『この度は、【ミットチルダ東部、パークロード】向けモノレールにご乗車頂き、まことにありがとうございます。このモノレールはおよそ25分後に……』

 

 

 

《………………》

 

 

 

「あと25分後……けっこう遠いね?」

 

《……東部から中央区に向かうモノレール、あるだろうか》

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

Side:3人称

 

 

《やっと……クラナガンか》

 

「とうちゃくっと」

 

 

その後、東部を経由し、やっとの思いでクラナガンに到着。やや疲れ気味のニアタとはうって変わって、カノンはまだまだ元気だ。ユミルがもしもの為に多く金銭を持たせておいてくれた為、本当に助かった。

駅を離れ、二人はようやくユミルの自宅に向かう。

 

 

 

《もう相当暗い、周囲に人もいないな。ユミルも心配しているだろう。ここからならユミルの家も近い、はやく……カノン、どうした?》

 

 

「……あれ、人?」

 

 

《なに……っまて、カノンどこに行くんだ!?》

 

 

カノンがそう指を指した先、コインロッカーが置かれた街角には一人の少女が倒れている。

ニアタの制止を聞かず、カノンは歩いて少女に近づく。年齢はカノンと近く、透き通るような碧銀の髪がとても目を引く。

……息はある。ただ気を失っているだけだろう。

 

 

 

《まてと言ったであろう……ッ!? この子、もしや……》

 

「知り合い?」

 

《……ふむ、詳しいことはあとで話す。カノン、先程は待てと言ったが、今すぐこの子を安全な場所に運ばなければならんかもしれん》

 

「うーん……わかった、あんまりよくわからないけど。どこにいけばいいの?」

 

 

そう答えると同時に、カノンは少女を背負う。背負った体から同じような心臓の音がなることで感じる少しの高揚感と安心感。それ以外にも言葉では言い切れない程の情報量が、自分の背中から伝わってくる。

 

 

《ここからならユミルの家も近い。彼女と合流出来ればなんとか……》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念だけど、そうはいかないのよね」

 

 

 

《ッだれだ!?》

 

 

 

ニアタの言葉を遮って姿を表したのは、綺麗なオレンジ色の髪を腰まで伸ばした青い目の女性。

 

 

「だれ?」

 

「あー、それこっちの台詞。親友の妹のお願いでその延びちゃってる子を捕まえに来たんだけど……まさか協力者までいるとはね」

 

「協力者?」

 

「いや、貴方達のことなんだけどね。まぁとりあえず、悪いこと言わないからその子と一緒にこっち来なさい」

 

《カノン、行ってはならない! やはりその子は追われる身のようだ》

 

「……それ、貴方のデバイス?それとも背中の子の?」

 

「いちおう、おれの?」

 

「なんで疑問系なのかは知らないけど、見たところ指示を出してるのはそのデバイスって所ね」

 

「んー? ……あ、そうか。うん」

 

「あ、それ答えちゃうの……」

 

 

カノンの気の抜けた返事に女性はガックリと項垂れるが、すぐに顔を上げ、カノン達をその両の目で射抜く。

 

 

「……はぁ、こう言うのは柄じゃないけど……腕ずくで付いてきてもらう事になるけど、かまわないわよね?」

 

《やはりこうなるか……カノン!》

 

「ん? なにって……おおぉ、ニアタちっちゃくなって……おおおおーっ」

 

 

ニアタがカノンに向けて叫ぶと、カノンの言葉どおりにニアタが小さくなり、さらにその身をネックレスのような形に姿を変え、カノンの首にかけられた。カノン本人もビックリしてるようだが、それよりも少し楽しそうだ。

 

 

《原理は伏せるが、我々ならこの程度容易いことだ。これならそなたも自由に動けることができるはずだ!》

 

「…………よーっし」

 

「(……我々?)子供だからって手を抜く気は無いわよ。それとも、やっぱり大人しくしておく? そっちの方が私も手がかからなくて済むんだけど」

 

「帰らなきゃならないからやだ」

 

 

そう言うと、カノンは何時でも走れる体勢に構える。女性もよりいっそう警戒する。

……ゆっくりと、カノンがその右足に力を入れ女性に向けて駆け出した。

 

 

 

「(来る!)」

 

 

 

 

てってってってって…………

 

 

 

 

そして、カノンは女性の横をなに食わぬ顔ですり抜け、走り去った。

女性もまさか自分を素通りするとは思っていなかったのか、思考が数秒停止し、反応することができなかったようだ。

 

 

 

 

 

「待ぁてこらぁぁぁぁぁぁぁぁぁあー!!」

 

 

そして、さっきとは違い鬼のような形相でカノンが走り去った方向に向けて、同じように駆け出した。

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「……待ちなさいってぇ、 言ってるでしょうがぁ!」

 

「あ、こっち来た」

 

《まぁ、当然だな》

 

 

数分後、カノンの後ろから先程の女性が追いかけてきた。カノンからすれば、あそこで見逃してくれた気でいたようだが、当然本人にそんな気は無く、全力疾走でこっちに走って来ている。

 

 

「(ただ走ってるだけなのになんであんなに速いのよ!?っ)いい加減止まりなさいって! 」

 

「止まったら捕まえる?」

 

「当たり前でしょ!?」

 

「じゃあ走る」

 

「貴方、さっきから私に喧嘩売ってるでしょ!!? 《ピピッ!》っぁああもう!! 通話!? 誰よこんな時に!!」

 

 

《もしもーし? 『ティア』? そっち見つかった?》

 

「その声、『スバル』!? いいところで電話してくれた!」

 

《え? どうかしたの?》

 

「目的の子、逃げられてる! サーチャーの発信が出てる所に向かったら、同じくらいの子供が回収に来てて……あぁもう! 後で話すから早くこっち来なさい!」

 

《ええぇ!? そんな急に言われても…》

 

「つべこべ言わずこっちくる!!!」

 

《は、はいぃ!!》

 

 

ティアと呼ばれた女性はどうやら援軍を呼んだようだ。そして先ほどの会話で、狙いはカノンが背負っている少女であることも間違いなさそうだ。

 

白熱する逃走劇(笑)。果たして勝者は・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・【しおり】にて人物詳細、『カノンノ』が追加されました。

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