とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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フード付きのマント着て仮面まで付けてたけど暑くなかったんですか貴女?

 月 日

 

闇市場で景気良く商売中である一人の商人、リカルド・アーヴィング。

表向きはトライセル支社に籍を置いているようだが、裏ではBOWを売り捌いてバイオテロを助長している存在でもある。外見は只のチンピラにしか見えんが、利益の為なら何人犠牲者が出ようと気にも留めない冷血漢な拝金主義者だ。

トライセル支社長の部下であるコイツがグラサン達の資金調達係と言った所だろう。充分な資金を集めた後は無用だと切り捨てられそうな男だがな。

 

そんな男が所長を務める石油採掘施設へ向かって飛ぶヘリコプターの内部、現在私は熱気溢れる大地の空にて日記を書いている。

トライセル本社で発言力を強めた支社長に心中では反目している人間は少なくはない。故に公にすれば会社が傾くだけでは済まないような計画を支社長が企てていると本社の人間達へ、具体的にはウロボロスの情報を親切に丁寧に事細かに教えてやるとだ。快く私の手伝いをしてくれる連中は多かったが、それは当然のことだろう。

あんな十代半ばの子供がノートに書き列ねた妄想のような計画を本気で実現しようとするグラサンに賛同する奴等が可笑しいだけだからな。BOWの売買で利益を上げていても文句は言わんだろうが。ウロボロス計画を喜んで受け入れる夢見がちな人間は本社の中には誰一人として居なかったぞ。

 

情報提供の後、トライセル本社の上層部からの協力と依頼を受けた私は身嗜みを整えて三種の義手を改造アタッシュケースに詰め込んでからアフリカへ入国。直ぐ様トライセル社が用意したヘリに乗り込み、移動を開始した。本社の人間による石油採掘施設の視察という名目で通達はしてあるそうだが、私と同乗した重武装の兵士達は護衛だと言っても間違いなく怪しまれるんじゃあないかね。明らかに物々し過ぎる、絶対に警戒されるな。

油田へ向けて飛ぶヘリの中から気を紛らわせるように外を見ると蝶のように羽ばたく謎の生物が数匹ほど此方へと近付いてくる姿が見えた。何故だろうか、嫌な予感が。

 

予感は的中、ヘリコプターが謎の飛行生物の集団に襲われて制御が不能になった。的中しなくていいんだがね。

 

 

どうやらこのヘリは墜落するようだ。

 

 

 月 日

 

 

派手過ぎず地味過ぎない仕立ての良いスーツの上にパラシュートを装着してアタッシュケース片手にヘリから飛び降りて着陸した先は、湿原の集落であるようだった。私以外の生存者は無し、ヘリの彼等は重装備が仇になったんじゃあないかな。

さて、今日は大湿原の集落で新型のプラーガを宿したマジニ達から熱烈な歓迎を受けたことから記そうか。

青い肌のマジニ達が腰みの一丁で槍を振るい、人間離れした跳躍力で跳び上がって槍を突き刺そうとしてきたり。

爆薬付きの矢を撃ってくる方も居れば。鋭く尖った棘付きの盾を構えて殴りかかり、爆弾らしき物体を抱えて襲いかかってくる奴もおり。

果てはプラーガの影響で立派に成長した仮面の大型マジニが、趣味の悪いこん棒片手に地味な蹴りを入れてきたりもしたな。

そんなマジニ達に歓迎の返礼として、投げつけられた手製らしき槍を投げ返してやった。槍が腹に突き刺さり呻く青肌に近付いて槍の柄を掴み、引き抜いてからまた突き刺す。槍を持って跳びかかる奴は、日常生活以外にも使えるように強化改造した一見ただの左腕に見える義手で顔面を殴り潰して打ち落としてやる。爆薬付きの矢を放とうと弓を構える青肌から弓矢を奪い取って高所から蹴り落とし、槍と盾で身を固めていた青肌へ爆薬付きの矢を放つと、そいつの周囲に居た連中も纏めて弾け飛んだ。爆弾を抱えて近付く者には、松明を投げつけて火を付けてやり爆発させておく。

沢山の頭蓋骨付きこん棒を振り回して暴れている、身体が少々大きな仮面マジニの足に改造して強度を限界まで高めたアタッシュケースを振り下ろす。

その一撃で片膝を地面に着いた仮面マジニの腹へと追撃の左拳を叩き込み、少々吹き飛ばして距離が離れたところで半径一メートルの範囲内で接近を感知した瞬間に爆発する爆弾をアタッシュケースから取り出して数個置いておき。急いでその場から離れた後に連続して爆発音が聞こえた。

確りと受け取ってもらえたようで何より。

そうやって幾度も襲い来る青肌のマジニ達を退けながら先に進み、集落内のゴンドラへ乗り込んだんだが。到着した場所は鰐が襲い来るマジニ達の処刑場だった。しかし処刑されてやるつもりなど私には更々無いのでな。

下手なBOWよりも厄介な鰐を避けて態々面倒な仕掛けには付き合わず無理矢理突き進み、ようやく油田に関連した施設に辿り着いた。

 

とりあえずトライセル本社に連絡でもしておくとしようか、油田の精製施設に到着した事と重装備の兵士達がヘリと共に湿原の藻屑になったことでも伝えておこう。

 

装備を固めた兵士よりも生き残れる人材を派遣してほしかったんだがね。

 月 日

 

私がトライセル本社から受けた依頼はウロボロス計画の阻止を第一として、リカルド・アーヴィングから情報と資金の在処を絞り出した後に始末。トライセル支社代表取締役エクセラ・ギオネも同様に処理し、可能であればアルバート・ウェスカーの抹殺も頼まれた。

協力は惜しまないと言われたが、作業を手伝ってくれそうな兵士達は既に全滅してしまったから私一人で何とかするしかない。

先ずはアーヴィングの確保からだな。

途中まで楽に移動出来た事は感謝しておくが、それ以外は全く役に立たん奴等だったな本社が寄越した連中。

 

 月 日

 

潜入した油田の管理施設内でフード付きのマントを纏った仮面の女性に首を掴まれて持ち上げられた状態で壁に押し付けられているアーヴィングを発見。75キロは有りそうな男を片手で持ち上げるとは随分と逞しい女性だ。

「後始末はどうするの」と平坦な声で機械的に言いながら脅してくる、何とも力持ちな仮面の女性に怯えながら必死に弁解を行うアーヴィング。

まあ、自分を何時でも殺せる相手に急所を掴まれていては恐ろしくても仕方がない。

 

弁解が通じたのか首から掴んだ手を離してもらって咳き込む彼に、赤い奇怪な仮面の女性が「使いなさい」と怪しげな容器を差し出していた。

それを受け取ったアーヴィングは巡視艇で、女性はボートを使って油田から逃走するそうだ。

BSAAのエージェントに追われているアーヴィングは、どうやらこの油田を邪魔者ごと爆破して消し去るつもりらしい。

彼等が時限爆弾を仕掛けている間に先回りして巡視艇に乗り込んでおくとしよう、女性も気になるがアーヴィングが優先目標だ。

 

同月同日

 

アタッシュケースから変声器付きの白い仮面を取り出して装着。のっぺりとした何も描かれていない白面が私の顔を隙間無く隠している事を確認してから、アーヴィングが居る甲板へ進む。途中で遭遇したプラーガを宿した者達は全員、素早く静かに首に手をかけて頸椎を捻り折ることで即死させて無力化。

私はボートで逃げ出していく仮面の女性が向かった方向を確認してから、甲板上で桟橋に居るBSAAのエージェント達へ向かって「これからイカしたショーの始まりだ!」と楽しげに言っているアーヴィングの背後に忍び寄る。

アタッシュケースから取り出したアンプルシューターを構え、既に自白剤を装填してあるアンプルシューターの引き金を引いて彼の体内へ薬を撃ち込んだ。楽しげなところを邪魔してしまってとても失礼だとは思うんだが、此方も仕事なのでね。

先ほどとは撃って変わって虚ろげな表情のアーヴィングを引き摺って巡視艇内へ連れていく。

 

後は素直になった彼から必要な情報を全て聞き出してから、楽に殺してやるだけの簡単な作業だ。生きたアーヴィングを捕らえにきたクリス君と見知らぬ御二人方には申し訳ないが、きみ達に必要になるであろう情報は書き記してアーヴィングの死体の近くにでも置いておくので有効に使ってくれたまえ。

 

何処かを目指して動いている巡視艇を止めてから、巡視艇内で見付けた明らかに誰かの私物であるジェットスキーを拝借して逃げ出すとしよう。

 

仮面の女性が向かった方角は確りと記憶している。

 

さて、次の仕事も頑張らなくてはな。

 




ネタバレ注意

リカルド・アーヴィング
無駄にプライドの高いチンピラ
最終的に支配種のプラーガを自分に撃ち込んで背中から触手出しながら口から涎だらだら足らした状態で「てめえらクズとは違うんだよ」とか言って海に飛び込んで巨大化する
そして死ぬ

フード付きのマントを纏った仮面の女性

本名○○・バレンタイン

クリス君

クリス・レッドフィールド

主人公の一人

1の頃と比べると別人のようにムッキムキに逞しくなりました
その鍛え上げられた身体から放たれるパンチは破壊力抜群

オルタナティブエディションで追加されたコスチュームが北斗の拳で出てきそうな世紀末ファッションでした


と御二人方

シェバ・アローマ

主人公の一人
左肩にスワヒリ語で「勇者」意味するタトゥーが施された浅黒い肌の女性
蹴り技が強力

オルタナティブエディションで追加されたコスチュームは怪しげな服と眼鏡OL風でした


ジョッシュ・ストーン

初登場時にドヤ顔をかますナイスガイ

クリス達以外で唯一生き残るBSAA隊員

オルタナティブエディションでは彼とジルが主人公のシナリオが遊べる

エクセラ・ギオネ

トライセル支社長
捨て駒

オルタナティブエディションだとマーセナリーズで操作できる
耳引っ張ってビンタかましたり
ウロボロス注入したり
ハイヒールで蹴り入れたりする


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