とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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ラクーンシティ編終了


アウトブレイク面白かったのにもう続きは出ないんだろうか

黄土色の皮膚、右目から頭頂部まで達した手術痕。剥き出しの歯茎、白濁した左目。体内へ食い込む数本の生々しい紫の管、確りとした体格を包み込む拘束具の様な黒衣。片手に装備されたロケットランチャー。そんな迫力満点な怪物が、黒髪のミニスカ美女を執拗に追いかけている場面を目撃した。アレが最新型のネメシスとやらか、生物兵器が兵器を使うとは驚いた。此れでは彼女に勝ち目は無いだろう。

しかし私の予想とは裏腹に、美女は放たれるロケット弾を難無く回避する。そして彼女の反撃の銃撃がネメシスへと、絶え間無く撃ち込まれ続け。遂には耐えきれなくなったネメシスが「STARS」と呻きながらうつ伏せに倒れた。

STARS、官民や地域の枠を越えて選び抜かれたエリート部隊。現在の人員は、アークレイ研究所の洋館から生還した五名のみ。内訳は男性三名、女性二名。容姿から察するに彼女がジル・バレンタインか、成る程。修羅場を潜り抜けた彼等と戦わせて、ネメシスの性能を確かめようとしたのだろう。ふむ、隊員の一人である彼女を狙ったは良いが、返り討ちにされてしまうとは何とも残念な結果だな。もうアンブレラを辞める私には関係の無い事だがね。それでは、彼女が此方へ気付かない内に逃げるとしよう。彼女にとっては私も憎い敵の一人だろうから。「暴君」よりも彼女の方が恐ろしい。

 

 月 日

最新型のBOWが敗北する瞬間を目撃した。けして性能が悪いわけではないが、あれは相手が悪い。折角ロケットランチャーで武装していても、放たれた六発のロケット弾を全弾回避して反撃してくるような相手だ。あんなのを狙うように命令した奴が悪い、もう少しターゲットの事を調べておけ。

未だ死んではいないBOWは、諦める事も知らずに彼女を襲い続けるだろう。動かなくなるまで。

 

 

 月 日

 

特殊部隊の隊員以外で生存者がいるとは驚いた。それも三人、良く生き残れたものだ。シンディはバーのウェイトレス、ケビンはラクーン市警の警察官、ジョージは市内の病院に勤務していた外科医だそうだ。どうやらジョージ達はラクーン大学へと向かっているらしい。感性が合わない知人のグレッグがやけに興奮しながら「傑作が完成したから見に来たまえ」と言っていた場所も確かラクーン大学だったな。グレッグはアンブレラ内部から情報提供を受けていた。嫌な予感しかしないので、私は行かない。

行かないが、ほんの少しだけ手助けしよう。とりあえず予備のカプセルシューターをジョージに一丁渡しておく。携帯ハーブケースを持っているシンディには各種ハーブを詰め込めるだけ。ケビンにはハンドガン一丁とマガジンを二つ。改良型抗ウィルス剤も一人一人に十錠は持たせた。

まあ、何が起こるかは解らんが気を付けていきたまえ。

 

そろそろ時間も無い。明日には滅菌作戦が始まる。新型のミサイルがこの街へと降り注ぐ前に脱出せねばならん。

 

今日の日記はこれまでにしよう。

 

 

手帳型の日記を閉じてバックパックに放り込む、次にこの日記を開くのはラクーンシティを出た後だ。此方へ見慣れたグリーンのコートが近付いてくる、また貴様か。いい加減に止めを刺してくれるわ、と灰色の薬瓶とカプセルシューターを構える私の前に現れる二体の「暴君」

勝手に増えるんじゃない!?

何処から連れてきた!?

回れ右して帰ってくれたまえ私の為に。

そんな事を考えた所で眼前の「暴君」は消えやしない。追い討ちをかけるが如く、更に最悪な事が起こる。どうやら二体共生存の危機に陥る程のダメージを(片方は私のせいで)受けていたらしく、リミッターが解除されてしまったようだ。活性化した細胞が突然変異を起こす、発達していく肉体に耐えきれずグリーンのコートが千切れ飛ぶ。全裸で爪が凄い事になったムキムキ大男が二体、私の目の前に立っている。いや一体は仕方がないが、もう一体は痛め付けた人が責任を取って相手をしてほしいと私は思う。

 

 

 

どうにも二体共私を狙っているようだから、そう上手くは行かないか。

 

「仕方がない、まとめて面倒を見てやるとしよう」

 

先ずは開戦の狼煙代わりにコイツをくれてやると、灰色の薬瓶を二体の暴君へと投げつけた。爆発が身体を揺らしたが、その程度で、効いてはいないだろう。ほんの少し、隙が出来れば充分だ。

試薬AT1521、回収した有用なサンプルの一つ。この試薬ではTウィルスを消し去る事は出来ないが抑制は可能だ。これと私が作った改良型抗ウィルスと組み合わせた物が既に、カプセルシューターには装填されている。そいつを貴様等に喰らわせてやろう、光栄に思え実験台1号と2号。重大な副作用が有るかもしれんが、私は一切責任持たん。

カプセルシューターの引金を二回引くと、二体の「暴君」へと撃ち込まれる二錠のカプセル剤。効果は絶大、崩れ落ちる様に地に倒れた二体がそれを証明した。死んではいないが、気絶はしている。中々に効いたようで何より、今の内に逃げさせてもらう。どうせ明日には街ごと消えて無くなるんだ、相手をしている時間も惜しい。

 

私と同じくアンブレラを裏切った男、ロドリゲスが用意したヘリに向かって走るその最中。

まるで爆破解体でもしたかのような音がラクーン大学方面から響いた後、大学上空でヘリコプターに乗った男が拡声器で叫んでいた。もしも生き残っている奴が居るなら正門広場まで来てくれ、と。ジョージ達は助かるかもしれん、生きていればの話だが。

そうこう考えている内に目的地の大通りに到着、道路に停められた大型のヘリとコンテナに近付くとヘリからロドリゲスが降りてきた。

「例のブツは?」

「今渡そう」

ロドリゲスにバックパックから取り出した手土産を渡してヘリに乗り込むと、何故かヘリ内に地下鉄職員が居た。名前はジム、お喋りな奴だ。ひたすら話しかけてくるので、拾った新聞を押し付ける。クロスワードでもやっていろ。感謝の言葉と共に直ぐ様やり始めるジム、これで少し静かになったな。

 

暫く身体を休めていると、同乗者がまた増えた。配管工のデビッド、新聞記者のアリッサ、大学生と嘘をついたアンブレラ職員のヨーコ、警備員のマーク、脚を撃たれたアンブレラ職員のリンダ。彼等は爪と身体が大きくなった二体のタイラントという化物と何度も交戦して苦労したらしい。

そうかそうかそれは大変だったな。

ああ、そうだ。

タイラントなんて見たことも聞いたこともないが、知っているかね。

タイラントとはギリシャ語で、意味は「暴君」というそうだ。

まあ、だから何だって言われればどうでもいい事かもしれんがね。

 

 

 

ヘリが飛び立ち、夜明けの空を飛んでいく。

降り注ぐミサイルで、感染者達や化物共が街ごと消滅する。

生き残った者は僅かでしかないが。

何も残らなかった訳じゃない。

 

夜は明けた。

 

 

これからまた忙しくなりそうだな。

 

でもまあ、とりあえず今は。

日記でも書こうか。

 




ネタバレ注意

ジル・バレンタイン
ミニスカポリス
キーピックで解錠できたり、ピアノが弾けたり、バリーが助けにきたり、調合失敗したり、上手い人は緊急回避で避けまくったりする
体格で勝るネメシスを体当たりで橋から突き落とせる程のパワーを持つ49キロ


最終的に金髪になって操られたりする人

バリー
妻子を人質にされてウェスカーに脅されて無理矢理手伝わさせられた人

遂に主役になりました



バイオハザードアウトブレイク 
事件発生時にラクーンシティのとあるバーへ居合わせたため、不幸にも事件に巻き込まれる事となった八人の市民の話

それぞれ個性のある八人のキャラクターを選んで操作し、ラクーンシティからの生還を目指す

他の作品には無い特徴としてウィルスゲージというものがあり%で表示されている。これはウィルスの進行度を表すものだ。操作キャラクターは全員、最初からTウィルスに感染しており。時間経過や敵に攻撃を受けた時も進行は進んでいく。100%になった瞬間キャラクターは死亡し、どれだけ体力が残っていようと強制的にゲームオーバーとなる。
ハーブを使ったり抗ウィルス剤を飲めば進行を暫く止められるが、素早い行動が求められるゲームだろう


このアウトブレイクの続編がアウトブレイクFILE2

ジョージやジム達はアウトブレイクとFILE2の主人公で操作キャラクター


ロドリゲスやリンダはFILE2に登場するNPC

カプセルシューターはFILE2のジョージだけが持っているアイテム


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