とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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ハンターは作品ごとにデザインが違う

今日もまた特殊な合金装甲で覆われた「暴君」達が連携して襲いかかってくる。直撃すれば致命的な豪腕を振りかぶり驚異的な速度で振り下ろされた拳を飛び退いて避けるとそれは容易く地面を陥没させた。

 

続けざまにもう1体から繰り出された一蹴をしゃがんで回避すると頭上を凄まじい速さと威力の蹴りが通り過ぎ擦れた頭髪が数本宙を舞う。

 

次々に繰り出された拳の数々を躱しながらアンチマテリアルライフルを構え、ただ一点のみを狙い撃つ。狙う場所は「暴君」の頭部、視界の為に僅かな隙間の有る特殊合金装甲唯一の弱所。しかし1発では貫通しない、繰り返し繰り返し何発も撃ち込まなければ孔は開かない。

 

「暴君」達の猛攻を動きを止めず避け続けながら一点を集中して狙い弾を撃ち込んでいく。1発2発3発4発5発6発7発8発9発10発、弾切れとなり弾装を取り替えた11発目で漸く孔を穿つ事が出来た。

 

装甲の下の眼球を撃ち抜かれて血を噴出させ僅かに怯んだ「暴君」へ急速に接近し懐のホルスターから引き抜いたアンプルシューターを装甲に穿たれた孔へと押し当て「デイライト」を強制的に投与してやる。

 

「先ずは1体」

 

崩れ落ち倒れ込み死亡した「暴君」の影から現れたもう1体の「暴君」が振るう両腕が風を切る。後方に跳ぶ事でそれを回避しアンチマテリアルライフルを構えて撃つ。

 

弾装に残る9発を叩き込んで再装填し2発で孔を穿ちアンプルシューターを孔へと押し当て「暴君」を処理する。

 

「これで2体」

 

アンプルシューターに再装填する間もなく此方へ走って近付いてから両手を組んで勢いよく振り下ろしてくる「暴君」の攻撃をサイドステップで躱し8発を撃ち込み弾装を交換し3発で孔を穿つと「デイライト」のアンプルを穿たれた孔から直接突き立てて投与してやり「暴君」を打ち倒す。

 

「後は1体」

 

残った最後の1体が高く跳躍して打ち下ろしてくる装甲で覆われた拳を避け、寸分違わず7発を一点に撃ち込んで空となった弾装を放り捨て新たな弾装を装填し4発で穿孔し、装填した「デイライト」をアンプルシューターで孔から投与して息の根を止めてやる。

 

 月 日

今日も何とか装甲「暴君」を倒す事が出来たが、セルゲイに私の事を諦めるつもりは無さそうだ。何の対処もしなければ、これからも装甲「暴君」は送り込まれ続けるだろう。それを避ける為にも手を打たなければいけないな。日夜続く襲撃を止めるには装甲「暴君」を送り込んできているセルゲイの拠点の場所を探し出し、装甲「暴君」の供給元を叩き潰してやるしかない。

 

先ずはセルゲイに関する情報を入手する必要が有るな。有益な情報を手にする為に世界中へ潜ませている小飼の諜報工作員達に連絡して使えそうな情報を受け取ろう。序でに私個人でも調べてみるとしようか。何人かの情報屋を当たってみるかな。情報屋達が良い情報を持っていると良いんだが。

 

 月 日

他の組織に潜入中の部下達からの情報と世界各地の諜報工作員達からの情報に私自身が調べた情報を組み合わせると装甲「暴君」を送り込んできていたセルゲイの拠点の在処が何処であるのか判明した。直ぐ様私はセルゲイの拠点へと衛星軌道上の太陽光集積システム「レギア・ソリス」による太陽光エネルギーを収束させた超高熱照射を行った。上層はそれで壊滅したが、分厚い岩盤に覆われた地下施設は未だ残っている。その施設は内部に入り込んで破壊するしかない。

 

私は地下施設へと潜入する事にした。装備を整えて地下へと続く道を進んでいく。上層と違い地下施設は万全の形で残っており、電力も地下で発電しているのか施設内は換気システムが稼働していた。施設内の戦闘要員として配置されていた装甲を装備したハンターを排除しながら進み爆薬を設置していく。道中で最下層の研究施設に繋がるエレベーターを発見したが、起動キーが必要で探し回る羽目になった。漸く見つけ出した起動キーで降りた最下層でも奥まで入り込むにはセキュリティカードが必要となり持っている研究者を見つけ出すまで研究者達を狩り続ける事になる。

 

セキュリティカードにはレベルがあってレベル1で通行可能な場所とレベル2でなければ通れない場所があり、現在持っているレベル1のセキュリティカードだけでは通れない場所が幾つか有る。研究者達から聞き出した情報ではレベル2のセキュリティカードを持っているのは研究者ではなくセルゲイのようだ。施設内を完全破壊する為にもセルゲイとの戦いは避けられない。遂に遭遇したセルゲイと会話を交わす事無く戦闘に入り、セルゲイの攻撃を躱しきってからの「デイライト」の投与で勝利してセキュリティカードレベル2を手に入れた。レベル2で入り込める研究施設内で培養ポッド内の特殊合金装甲を身に付ける前の「暴君」達へと「デイライト」を強制投与してやり殺処分する。

 

施設内全てのBOWを排除し地下研究施設内の制圧が完了。その後は研究資料や他の施設等の情報を回収して施設内から脱出し、各所に設置した爆薬を起爆して地下施設を完全に破壊する。これで装甲「暴君」が暫く私の元へ現れる事は無いだろう。セルゲイの記憶と精神を複写された「暴君」を全て始末しない限り再び私の元へ装甲「暴君」が送り込まれる可能性が消えた訳ではないが、厄介なセルゲイの殲滅に一歩進んだ事は間違いない。

 

 月 日

連日続いていたセルゲイからの襲撃は止んだが、次なる手を考えているに違いない。日々油断せず行動する必要がある。臨機応変に対応する為に一定の装備は常に持ち歩くようにしよう。ギターケースにアンチマテリアルライフルと弾薬を仕込んでおくのは当然として懐にL・ホークとアンプルシューターを忍ばせて各種ウイルスワクチンにエヴリン対策の対特異菌特殊強装弾も忘れてはいけない。左腕義手内蔵兵器は勿論追尾式の時限炸薬弾を発射するマインスロアーだ。これだけの装備があればセルゲイ以外に対しても有効な手段がとれる筈だが、慢心してはいけない。

 

常に危機感を持って行動する事に努めよう。私を狙っているのはセルゲイだけではないのでな。それにアレクシアとエヴリンがまた私を襲撃するかもしれないし、他の組織の連中が襲い掛かってくる可能性もある。

 

 月 日

莫大な富と権力を手に入れていたスペンサーは次なる野望として、この世界を自分が望む存在へと進化させる事を考えていた。スペンサーの求める理想的な新たな世界の秩序とは選ばれた優秀な人間のみで構成される社会であり、そこに無能な人間など必要ないと考えていたのだ。そんな新世界で「神」になろうとしていたのだろう。世界中から才能溢れる子供達を集め、精神と肉体を高める為の過酷な訓練を強要し、新しい世界の住人としての資格があるかを試す為、ウイルスを使った耐性試験まで行った。

 

ハンス、フェリシア、マルコ、ヨナ、イルマ、ケン、ローラ、ウィリアム、ヒロ、デレク、マイルズ、アレックス、アルバート、ふるいにかけられたウェスカー達の中で最終的に残ったのは、被験者12号のアレックスと被験者13号のアルバートのみである。しかしスペンサーの望む新人類の資格を得た2人はスペンサーには従わなかった。資金、機材、研究資料、被験体を与えていたアレックスには裏切られ、スペンサーにとっての新生人類に相応しい資質を持つアルバートに殺害される事になったスペンサーは肉体的には死亡している。しかしその精神と記憶が消えた訳ではないようだ。

 

地下研究施設で手に入れた資料によればセルゲイと同じく精神と記憶をデータ化してスーパーコンピュータ内に保管してあるらしく。新たな肉体さえあれば復活は可能だと推察できる。そしてその新たな肉体の候補として私は選ばれていたようだ。始祖ウイルスに適合し老いも病も無いこの身はスペンサーにとっては魅力的な肉体だったのかもしれないが、既にこの世を去ったご老人にくれてやるほど私の身体は安くない。

 

私は私だ、他の誰でもなく、私の身体は私のものであり、私の精神と記憶も私のものである。

 

私は誰にも奪わせない。

 




ネタバレ注意
ハンター
ハンターα
バイオハザード0、バイオハザード1、アウトブレイク、アウトブレイクファイル2、アンブレラクロニクル、リベレーションズに登場

全身が鱗の様な皮膚で覆われ、長く鋭い爪を持つ戦闘型BOW
人間の受精卵をベースに爬虫類等のDNAをTウイルスの力で掛け合わせる事で誕生する
攻撃対象を発見すると、驚異的な敏捷性と跳躍力で目標を追尾し、確実に追い詰めて仕留める
その姿はまさに狩人そのもので、ハンターと命名される由縁にもなっている

ハンターβ
バイオハザード3に登場
α型に比べて攻撃力はやや低下し、外見も醜悪となったものの、神経系統の改良にともない俊敏性は格段に上昇、銃撃の回避をも可能とする驚異的な瞬発力を実現している

ハンターγ
バイオハザード3、アウトブレイク、ダークサイドクロニクルに登場
アンブレラのヨーロッパ研究所が独自に完成させたのが「フロッガー」の通称で呼ばれる特異な蛙に似たフォルムを持つγ型である
ベースとなる受精卵をあえて両生類のものを用い、培養過程で人間の遺伝子を加えるという従来とは逆の発想で生み出されたBOW
ただし両生類の特性的に乾燥や直射日光に弱い

ハンター2(改)
バイオハザードコードベロニカ、ダークサイドクロニクルに登場
アンブレラと敵対関係にある組織が開発した生物兵器
オリジナルのデータを基に制御面を強化
「自走式監視機」と呼ばれる周辺装置を用いることでサーチした攻撃目標にのみハンター2を送り込むシステムを開発した為、兵器としての実用性はオリジナルより高い
なかでも爪に毒性を持つタイプは作戦区域内の掃討を目的に造られた為「スウィーパー」と呼ばれる

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