とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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エイダ視点

成さねばならない真の目的。それの足掛かりとしてついた今回の任務。プラーガのサンプル入手は今回の任務において何よりも優先する事項。現地に生息するイエローハーブの情報でジョンを呼び寄せたのも全ては任務を遂行する為に、彼に水面を波立たせて撹乱をさせる為だ。彼にとってはプラーガなど眼中に無い存在だろう。組織も彼には一目を置き敵対を避けている。ルイス・セラの身柄を彼に託したのは、彼ならばきっとルイスを生還させる事が出来る筈だと考えたからだ。執着心の強いお転婆なお嬢様の相手は大変だろうけど彼ならばきっと切り抜ける。彼は腕を失いながらもお嬢様を追い返したようだった。そしてルイスの身柄と支配種のプラーガのサンプルはジョンの手に渡る。ジョンの手から獲物を奪いさるというリスクを背負うのは避けなければいけないと組織も理解をしているらしい。死んだ支配種プラーガで構わないと妥協をする組織には驚いたが、それだけ彼が警戒されているということになる。ジャック・クラウザー、この男について語るべき事は優秀な傭兵で、それ以上でもそれ以下でもないというもの。既に教団でプラーガの力に魅いられて陥落している彼にはその身に宿した支配種プラーガをサンプルとして提供してもらおう。

 

ジャック・クラウザーの身体から採取した死んだ支配種プラーガを組織に送り届けて、ウェスカーには別のプレゼントを贈った。偽りの共謀は終わりを迎える。アルバート・ウェスカー、彼は破れた傘に変わる新たな傘をかかげるつもりなのだろう。世界各国の公共医療機関にも薬剤を提供している巨大製薬企業トライセル。彼の次の起点はおそらく其所だ。注意深く見守る必要がある。真の目的への一歩は、無事に踏み出した。戦いはまだ終わらない。

 

遥か昔、アフリカにはンディパヤ族が治める一大王政統治国家が存在した。大遺跡群はその当時の王都であったと伝えられている。特筆すべきは、その統治者選出方法。この国家は王政でありながら世襲制ではなかった。王になろうとする者は、生まれの確かさではなく、その能力と資質を万民に示す為、ある儀式に挑戦する必要があったというのだ。儀式では、王都の深部にあるという「太陽の庭」でのみ生育するある植物を用いた。その植物は、現地の言葉で「太陽の階段」と呼ばれていてアンブレラには始祖ウィルスを宿す始祖花と呼ばれる花。「太陽の階段」は非常に毒性が強く、食する者のほとんどを死に至らしめた。だが、稀にその毒へ打ち勝つ猛者が現れる。毒に打ち勝った者は、その対価として人を超えた能力と人々の賞賛、そして王の座を得る事が出来たという。

 

奇しくも始祖ウィルスにより進化を迎えた王の資格を持つ者同士がアフリカで激突した。ウェスカーとジョンの対決は最終的にはクリス・レッドフィールドも巻き込んだジョンの勝利となったそうだ。この結果は裏社会をどよめかせると同時に「人の知恵を持つ毒蛇」と呼ばれるジョンを恐れる者達にとっては更なる警戒と触れるべきではないと畏怖を深めるものとなった。確かに彼に狙われた者はtーVeronicaを宿したお嬢様という例外を除けば1人残らず死亡している。敵として相対すれば最悪の相手となりえるが、味方としてならこれほど心強い相手もいない。彼に忠誠を誓っている部下達も優秀な人材が揃っている。その気になれば世界のバランスを崩すことも容易いが、しかし彼はそんなことはしない。研究室に収まる程度の興味深い研究が出来れば、きっとそれだけでいいのだ。だからこそ世界中でウロボロス・ウィルスによる選別を行おうとしたアルバート・ウェスカーをジョンは殺しに行ったのだろう。

 

アルバート・ウェスカーの息子がいるという情報が一時期飛び回ったが、直ぐに間違いだと訂正された。シモンズが率いる「ファミリー」が手にした情報も偽造情報だと断じられアルバート・ウェスカーの息子を探すものはもう誰1人もいない。この一連の流れを操り終息させたのはおそらくはジョンだろう。世界各地に小飼ではあるが凄腕の諜報員を派遣している彼ならばファミリーの情報網も上回り、自在に情報を撹乱することも可能である。そうだとするならばウェスカーの息子は実際に存在している筈だ。しかもジョンの庇護下にいる事は間違いない。ジョンとある程度関わりのある人間ならば気付けるかもしれないが、既に終わったこの話を蒸し返すのはジョンを敵に回すという事に他ならないのだ。彼を知っているからこそ口をつぐむ者は少なくはない。

 

タイラントの肉体で蘇っていたセルゲイ・ウラジミールがジョンをアンブレラに再び勧誘していたそうだが、断られて強行手段に出た。しかし当然のように返り討ちにされて多くのタイラントを失ったようだ。かつてはアンブレラの研究員だったジョンはデスクワークが専門だと言っておきながらその身のこなしはエージェントのレオン以上。タイラント程度では彼を得る事は出来ないと理解しなければセルゲイがジョンを手にする事は不可能だ。彼等の動きは注意深く観察する必要がある。セルゲイの目的がアンブレラの復興にある事は一目瞭然、少なくはない元アンブレラの人間が集められるだろう。セルゲイが復活しているとすればスペンサーも身体を代えて生き延びている可能性がある。アンブレラ総帥の復活は新たなアンブレラの創成も意味するものだ。組織もセルゲイの成すアンブレラ復活を苦々しく思っている筈。しかしセルゲイはジョンの敵となった。アンブレラの復活はジョンの手で食い止められるのは間違いない。

 

スペンサーの選別を生き延びたウェスカーの1人、アレックス・ウェスカーの所在地をジョンは探しているようだ。彼の欲する情報を提供したものには多額の金銭が支払われた。アレックスが根城とする孤島の情報を掴んだ彼は単身で孤島へと向かい、情報の正確さを確かめに行く。そして現地の人間を2名ほど救い出したらしい。彼の庇護下にいる2人は程なく彼の部下が経営する病院に搬送された。彼はアレックスの所在地の情報をセルゲイに流したようで、セルゲイとアレックスを潰し合わせるつもりだろう。複数人存在するセルゲイはともかくアレックス・ウェスカーの命運は尽きたも同然。ジョンに狙われた者で生き残っているのはお嬢様の1人だけ。アレックスも例外になる事はなくセルゲイ共々ジョンに始末される事になった。

 

生物兵器専門の犯罪組織コネクションとH.C.F.が共同で開発していた敵集団を戦闘によらず制圧する生物兵器の完成形第一号がお嬢様に襲撃を受け、奪取されてしまったそうだ。組織も警戒を深めている。しかしアレクシアが少女の姿をした生物兵器を奪取してまず最初にした事がジョンの事を父親として教える事だったとは読めなかった。お嬢様がジョンに対して歪んだ深い愛情を抱いている事は知っていたが、生物兵器に自らを母と呼ばせて父親役にジョンを選び、公衆の面前で呼びかけさせるとは大胆に過ぎる。ジョンは直ぐ様その場を立ち去ったようだが、彼に対してそんな事が出来るのはお嬢様くらいだろう。ジョンの唯一の天敵と呼ばれるだけの事はある。

 

ジョンの元へ生物兵器が作製したモールデッドを送り出すアレクシアの組織。全てジョンに撃退されているようだが、懲りずに送り続けていた。しかしジョンの報復を受けて組織は壊滅、お嬢様も深手を負ったらしい。手を出せば報復を受ける事ぐらい解っていただろうに、お嬢様は手に入れた新しい玩具を使って彼と遊びたくて我慢が出来なかったようだ。

 

珍しくジョンから連絡が入り情報を受け取った。シモンズがわたしのクローンを造り上げてエイダ・ウォンを名乗らせているらしい。更なる詳細な情報をジョンからもらったわたしはクローンと化したカーラ・ラダメスと出会い対峙する。打ち倒したクローンもシモンズの犠牲者かと思えば殺す気にはなれなかった。ジョンならば彼女に施されたシモンズの洗脳を解く事が可能だろう。わたしは彼女を連れてジョンの元へ向かった。優れた人心掌握術を持つ彼ならばカーラの失われた自我を取り戻す事が出来ると確信したわたしはカーラをジョンに任せる事にする。それは確かだったようでカーラは自我を取り戻した。シモンズに強い憎しみを抱いていたカーラはシモンズの元に戻った際に、シモンズにジョンと共同で作製した強化型Cウィルスを投与して拷問を行なったようだ。そして「ファミリー」から逃げ出した彼女は「ネオアンブレラ」という組織を立ち上げ「ファミリー」を殲滅し始めた。

 

「ファミリー」を壊滅させて関連組織まで叩き潰したカーラはおさまりきらない憎しみを世界へと向け始める。世界規模のバイオテロを計画していたようだが、ジョンの活躍により、その全てが頓挫した。カーラの自我を取り戻す為とはいえ、彼女を煽った自覚が彼にもあったらしく。「ネオアンブレラ」の首領と化したカーラも彼の手で始末されたようだ。そしてジョンによる「ネオアンブレラ」の殲滅が始まり、BSAAに逮捕された者以外は全てジョンの手で殺害されている。彼の執拗な殲滅は毒蛇の恐ろしさを再び裏社会に知らしめた。彼に手を出そうと考えるのはアレクシアとセルゲイか恐れを知らぬ愚か者程度だろう。

 

セルゲイが彼の元に装甲を纏ったタイラントを送り付けていたようだが、あえなく返り討ちに合い拠点まで攻め込まれて製造元を叩き潰されたらしい。それでも彼の事をセルゲイは諦める事なく、更なるタイラントを送り続けていた。タイラントはセルゲイにとっては力の象徴であり、己の分身の様なものなのだろう。だからこそタイラントを執拗なまでに使用し続けている。そうして彼には通用しないという事を理解したセルゲイは遂に別の標的を拐う事にした。シェリー・バーキンの再現実験で生まれた金髪の男性を、生物兵器を絶対に扱わない事で名の知れた商人の元からタイラントで奪い去ったのだ。しかしジョンと関わりのある人間だったようで奪還に彼が動き始めたのはセルゲイにも誤算だった。

 

数多の複製も底を尽き、最後となったタイラントの肉体もジョンに破壊されたセルゲイはアンブレラの再興を果たす事なく終わりを迎えた。再現実験体の肉体で蘇っていたスペンサーもまたジョンの手で殺害されている。アンブレラは復活する事なく元アンブレラの研究員の手で終焉を与えられた。対立企業が復活する事なく終わらせられた事をわたしの所属する組織は重く受け止め、ジョンに対する警戒を更に深めたようだ。大組織に匹敵する1個人として注目の的になった彼を打ち倒して組織の名声を高めようと考える組織が幾つか存在しているらしい。それが自殺行為だと気付けない組織の寿命は短いだろう。彼は味方にはとても寛容だが、敵には苛烈な存在だ。

 

ウロボロス・ウィルスを求めて奔走していたニール・フィッシャーがジョンの元で一緒に生活しているらしい。経緯としては偽の情報を掴まされたニール・フィッシャーがジョンの元へと向かい、遠隔からニールにウロボロス・ウィルスを投与してジョンもろとも始末しようとした組織の動きを察知したジョンがニールを救った事がきっかけでニールが同居する事になったようだ。ニールがジョンと敵対していた訳ではない事から、奇妙な同居は続いている。しかしジョンに敵対行動を取った組織はもう長くないだろう。数日後には拠点ごと消えてなくなっている事は間違いない。

 

アレクシアとジョンが激突したらしい。強化薬物P30で支配下においたモーフィアス・D・デュバルを連れてジョンの元へ向かったアレクシアは目的を達成したようだ。その目的とはジョンを殺害し、進化を迎えさせる事だった。老いも病も無く死すらも退けた彼の肉体は人間の域を越えて完成したBOW以上の身体能力を持って生まれ変わる。その事をアレクシアは裏社会に大々的に宣言していた。これで彼を真正面から殺せるのはウィルス適合者だけとなるが、しかしウィルス適合者だとしても彼を殺せるとは限らない。進化を迎える前から彼は強者だった。それが進化してどれだけの力を手に入れたのかと考えれば、脅威であるとしか言い様がない。

 

ジョンを始末しようと考えていたある組織が彼の手で壊滅させられた。銃ではなく槍を一本持った彼によって組織の生物兵器も銃器で武装した構成員も残らず全て始末されたようだ。彼の向上した身体能力ならば銃弾を見切る事など容易い事だったのだろう。監視カメラに残されていた映像では一度も被弾する事なく、機関銃から放たれた銃弾を槍で弾きながら突き進む彼の姿が映されていた。槍一本で全てを打ち倒した様はまるでおとぎ話の英雄の様で凄まじいものだ。この映像を彼がわざと残したのは敵対組織への警告という事になる。敵になるならば覚悟しておけと、宣言しているも同然だ。

 

支配種のプラーガを世界中に無秩序に撒き散らす組織が現れた。どんな相手にも支配種のプラーガを売り付ける組織により、世界中が大混乱に陥る。BSAAが忙しなく事態の終息を求めて奔走していた。ジョンは支配種プラーガを撒き散らす元凶を探り始めたようだ。この災厄もジョンとBSAAの手で治まる事になるだろう。そうでなければわたしも動く必要がある。

 

休暇中のわたしの元に豪華客船からの招待状が届いた。同封されていた手紙では来なければ世界各地にtウィルスを無差別にばら撒くバイオテロを行うと脅しが書かれている。脅しに屈した訳ではないけれど危険に飛び込んでみるのも悪くない。純白に金糸の華が咲くチャイナドレスを身に着けて招待されている豪華客船に乗り込んだ。案内された一等客室から鍵を渡された娯楽室に向かい、暇を潰せそうな相手を探す。顔を変えているけれど間違いなくジョンが其処にいた。ブラックジャックで連勝している彼に話しかけて、一緒に移動する。彼に問うのは招待状に手紙が同封されていたのかという事。どうやら彼にも脅しの手紙は同封されていたらしい。聞きたい事を聞いた後は素顔の方が素敵だと本音を彼に囁いて娯楽室を後にする。一等客室に戻り拳銃ブラックテイルの調子を確かめていると食事の用意が出来たと船員に呼び出された。食事は食材は一級品を使ってはいるが料理人の腕がそれを駄目にしている酷いもの。余計な手が加えられていない、お酒だけは少し楽しめた。

 

品評会を行なうとして呼び出されたプレゼンテーションルームでは趣味の合わない映像を流され続けて不快だったけれど、それはジョンも同じようで険しい顔をしている。そして司会が「それでは皆さまにも実際に体験してもらいましょう」と指を鳴らすと入り口から大量のハンターが入り込んできた。わたしはブラックテイルで猛毒の爪を持つハンターに応戦する。ジョンもL・ホークでハンターを打ち倒していた。全てのハンターを始末したわたしとジョンは合わせて銃を司会に向ける。銃を向けられた司会は両手を上げて微笑んだかと思えば口内に仕込んだ猛毒を噛み砕いて自殺した。一連の流れをつまらないものでも見るかのように眺めていた銀髪の男がわたしとジョンを呼び出した可能性が高いと確信したわたしは解っているかというジョンからの目配せに頷く。

 

一等客室に戻り使用した銃弾の補充を行なってヘリを一機向かわせてほしいと連絡してから客室の外に出ると、重装備のジョンと鉢合わせになる。用意周到な彼に思わず笑みが溢れた。首謀者が銀髪の男かと彼に問うと首謀者かそれに近い事は確かだと答えが返ってくる。どんな状況においても冷静に情報を把握する彼に、こんな状況はもう慣れっこかと聞くと慣れたくはなくても慣れてしまったと返事が返ってきた。ジョンと共に銀髪の男を捕らえる為に通路を進んでいると現れる障害を「P.R.L.412」でジョンが排除していく。辿り着いたヘリポートで嵐の中佇む銀髪の男は隠すつもりもないようでわたし達を呼び出したのが自分だと暴露した。そして新世界を生きるのに相応しい存在であると自分を称して自らにウロボロス・ウィルスを投与する。異形と化した男は襲いかかってきたがジョンの義手に仕込まれた対ウロボロス用の兵器によって容易に打ち倒された。嵐が過ぎ去り雲の切れ間から光が差し込むヘリポートでジョンから良ければ送っていくがとの申し出に断りを入れて到着した組織の迎えのヘリを指差して良ければ送っていくけどとジョンに提案するが断られる。彼の耳元でまた会いましょうと囁いて、わたしはヘリに乗り込んだ。

 

ジョンとの共闘は初めてだったが、彼の確かな実力は強い安心感を与えてくれるものだった。背中を任せても彼ならばきっと守りぬいてくれると期待が出来る銃の腕前と冷静な判断力は潜り抜けてきた修羅場の数を思わせる。それに加えて人間を遥かに超えた身体能力まで持ち合わせているのだから、味方にすればこれ以上にないほど頼もしい相手である事は間違いない。その反面敵として相対すれば絶望的な戦力差を相手に与える事になるだろう。彼と敵として真正面から対峙する事は避けなければならない。組織も彼と敵対する事は避けているようで、わたしが彼の敵になる事は今のところはないようだ。

 

世界中で巻き起こったバイオテロをBSAAよりも早く解決していく凄腕の2人組がいるらしい。それだけの働きをしていながら報酬は林檎1個だけしか請求していない変わり者の2人組の名はジョンとジェイクというそうだ。ジェイクが何者なのかは解らないが、ジョンは恐らくあのジョンだろう。彼の行動パターンは相変わらず複雑で読みきれない。

 

レオンがトールオークスで「ラクーン事件」の生き証人として大統領と共に講演会に参加して講演を行なったらしい。ラクーンシティから生き残ったレオンが何を話したのかには興味があるけれど。大統領が「ラクーン事件」の真相を語った事で合衆国にどんな影響があるかは覚悟をしているようだった。苦難が待ち受けていようとレオンなら乗り越える事が出来ると信じている。

 

休暇中、休暇以前に酷使したクロスボウとフックショットの調子が少しおかしいのでジョンの元で整備してもらう事にした。渡したクロスボウとフックショットが瞬く間にジョンの手で分解されていく。淀みなく彼の手が動き、僅かな摩耗や歪みも見抜いて除かれたパーツの穴を埋める様に新品のパーツを組み込まれたクロスボウとフックショットが完成する。動作確認を行なってから手渡されたクロスボウを試し射ちしてみると感じていた違和感も消えて僅かに逸れていた狙いも正確に戻った。やはりジョンの腕は確かで信頼できる。

 

高級ホテルの最上階に存在するバーに入ると既に到着していたお嬢様がグラスを片手に此方に微笑む。お嬢様の隣の席に座り好みのカクテルを注文し、グラスを合わせて乾杯。呼び出された理由を問いかけるとジョンに関する内容であった。相変わらず彼に執着しているアレクシアお嬢様の話を聞きながらカクテルを一口飲み、わたしが最近ジョンと出会った時の事を話すと直ぐ様食い付いてくるお嬢様。彼に関わる事ならば何でも知りたいらしい。お嬢様はわたしよりも歳上ではあるけれどこういうところは可愛いものだ。歪んでいなければ深い愛情を持っていると断言出来るのだけれど。お嬢様が彼を進化させるという目的を果たしてから彼と接触したのはある大富豪の豪邸で行われたパーティーに招待された時ぐらいだそうだ。 ウロボロス・ウィルスに適合していた大富豪と彼は戦い、終始圧倒してトドメを刺した様を見ていたお嬢様は彼を進化させておいたのはやはり正解だったと改めて確信したようだった。

 

彼の素晴らしさを饒舌に語るお嬢様の語り口は暫く止まる事はなく、およそ2時間は語り尽くしている。ジョン本人が聞いていたらどう思うかと考えると少し面白くなって語りを聞いていたけれどいい加減に止めなくてはと思い、いつまでも語り続けそうなお嬢様を止めた。2時間も話し続けてそれでも語り足りない様子ではあったが、何とか彼女の語りを止める事が出来たのは彼女の興味を引きそうなジョンに関する情報を持ち出したからだ。あまり過去を語らないジョンが以前語った貴重な過去の情報にアレクシアお嬢様は興味津々の様子。それは彼がアンブレラへ務める前の子供だった頃のお話。全てを聞き終えたお嬢様は彼にそんな過去があったのかと新たな情報を知ることが出来て満足している。彼には誰にも言うなとは言われてはいないのでこれは情報漏洩とは言わないと考えてもいい。

 

話す相手が問題なのだと少しは怒るかもしれないが、それで今までの関係を不意にするほど彼は心の狭い男ではない。思いの深い相手に好かれる彼は大変かもしれないが、お嬢様の相手が出来るのは彼しかいないのだから諦めてもらうしかないのだろう。

 




ネタバレ注意
バイオハザード4、ダークサイドクロニクルズに登場する人物
ジャック・クラウザー
バイオハザード4の2年前にあたるダークサイドクロニクルズのシナリオ、オペレーションハヴィエにてレオンとコンビを組んで南米に赴いた
その頃はアメリカ陸軍に所属していて、大統領直属のエージェントとして活躍するレオンに対して嫉妬にも似た強いライバル心を抱き、相反する道を歩む事になるとは薄々感じていたようだ
作戦中tウィルスによって変異を遂げたヒルダ・ヒダルゴからの攻撃を受けて左腕を負傷
ベロニカ植物と融合しV・コンプレックスと化したハヴィエ・ヒダルゴの姿とその身に宿したtーVeronicaの力を解放して操るマヌエラ・ヒダルゴの姿を見て強大な力への強烈な憧れを持つ
レオンと組んだ任務を最後に軍を去り、除隊後まもなく事故死したとの情報が出回るが、クラウザーによる偽装であり本人はレオンから聞いた事件の関連資料にその名が記されていたウェスカーと接触し、彼の組織で活動を開始する
南米でBOWの持つ人知を超えた力に触れて、彼の中でより強大な力を求める心が芽生えていた
バイオハザード4ではウェスカーの指示によりヨーロッパへ渡り、支配種プラーガのサンプルを入手する為にロス・イルミナドス教団に潜入
教団の中枢に接近する目的で、合衆国大統領令嬢アシュリー・グラハムの誘拐を決行する
首尾よく幹部として迎えられるが、プラーガのサンプルにだけは近付く事が許されず、不本意ながらもエイダの協力を受ける事となる
教団内部で情報を集めるうちにプラーガの力に魅せられたクラウザーは、自らの体に支配種プラーガを受け入れ、望んでいた超人的な身体能力を手に入れる事が出来た
アシュリーの救出に来たレオンにナイフで奇襲を仕掛けるも回避されてナイフでの戦いが始まる
レオンからの一撃を胸に受けて笑いながら攻め込んでレオンに蹴りを食らわし倒れ込んだレオンにナイフを突き立てようとするもエイダに阻止される
その後に、レオンと決着をつけるべく戦いを挑み、最後にはプラーガの力を解放して勝負を仕掛けるが敗北
そこで死んだかと思えばまだ生きていて今度はエイダに戦いを挑むが再び敗北し完全に死を迎える

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