とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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「TG-01」はコードベロニカに登場するアイテム

 月 日

ラクーンシティで発生していたイレギュラーミュータントであるドレインディモスとブレインサッカーの幼虫の死骸をサンプルとして回収していた男の顔はよく覚えている。その男はアンブレラの監視員でありUBCSの隊員でもあった。先程見かけた男は、老けてはいるがあの男で間違いない。後を追いかけてみると、ある組織と接触している姿を目撃した。どうやら男は情報を売りにきている様子であり、交渉の真っ最中といったところだ。数分後に交渉は成立して情報を受け渡す男と報酬を支払う組織の姿があった。アンブレラの監視員であった男が持つ情報は組織にとって有用なものだったようで喜色満面といった様子の構成員達。男と組織の面々に見つからないようにその場を後にした私は、男が提供した情報に興味を持ち独自に調査をしてみることにした。

 

 月 日

監視員だった男が提供していた情報は昆虫を基にした生物兵器の作製方法だったようだ。イレギュラーミュータントを人為的に作製し知性も向上させる為の遺伝子操作の方法が詳細に収められたデータと、昆虫を効率よく巨大化させる為のtウィルス投与の分量などのデータも合わせたものを売り込んだらしい。組織が望んで手にしたものは使うに決まっている。昆虫を基にしたイレギュラーミュータントを作製して何をするつもりなのかは定かではないが、ろくなことにはならないのは確かだ。突発的なバイオテロとは違い、計画的にことを起こすつもりだろう。私に向けられる訳ではない筈だが、警戒はしておかなければいけない。何が起こるかはまだ解ってはいないのだから。

 

 月 日

監視員の男がもたらした情報による、昆虫を基にしたイレギュラーミュータントのデータによって作製された昆虫達は、組織間の抗争に用いられたようだ。入手が容易な身近な昆虫を基に作製されたイレギュラーミュータント達は、想定通りの結果を組織にもたらしたらしい。制御には難があれど十分な成果を上げているイレギュラーミュータントをこれからも使っていくつもりの組織に対して、敵対組織は対抗する為にBOWを購入して戦わせるそうだ。怪物同士の潰し合いということになるな。イレギュラーミュータントの繁殖力も利用して圧倒的な数を用意できる組織に対して、購入した数でしか戦わせることができない敵対組織が不利に思えるが、購入したBOWの質が高ければ量を圧倒することができる筈だ。戦力差を見極めて強力なBOWを購入していれば敵対組織にも勝ち目はある。どちらが勝とうと私には関係のない話だがね。

 

 月 日

関係のない話の筈だったんだが、関わることになった。イレギュラーミュータントを戦力にしている組織と敵対関係にある組織に依頼されて雇われることになったからだ。成功報酬として提示された金額が、割りに合う高額であり、仕事内容も単純なものだったので引き受けることにしたんだが「暴君」達と肩を並べて戦うことになるとは思わなかった。敵として送り込まれたことが多すぎて味方という印象がまるでなかった「暴君」であったが、戦いとなると頼もしい限りであり、その力強さを遺憾なく発揮してイレギュラーミュータント達を粉砕する。私も依頼を引き受けた身として槍を振るい、数多のイレギュラーミュータント達を両断していった。襲いくるイレギュラーミュータント達を「暴君」達と私が引き受けている間に、イレギュラーミュータントを率いる組織と敵対関係にある組織が攻勢に出て勝利したらしく。全てのイレギュラーミュータントを倒した私と「暴君」達を迎えにくる組織の構成員達。「暴君」達よりも多くのイレギュラーミュータントを切り裂いた私に「あんたを雇って正解だった」と言う組織の面々。その後は報酬を現金一括で支払われて祝勝の宴会をするという組織から宴会に誘われたが断りを入れて立ち去った。流石に「暴君」達を宴会に参加させたりはしないだろうが、もしも参加させているとしたら少し見てみたい気もするな。

 

 月 日

ラクーンシティからの生存者であるジョージ・ハミルトン。彼は医師でありtウィルスの特効薬である「デイライト」をラクーンシティから持ち帰り広く普及させた立役者でもある。彼のおかげで救われた命が数多く存在しており、彼を褒め称える人々も少なくはない。ラクーンシティで彼と直接出会った身として気になるのは、彼に同行していた警察官ケビン・ライマン、バーのウェイトレスであるシンディ・レノックスの名が有名になっていないのは何故だろうか。2人ともラクーンシティから生き残っていることは確認できている。医師であるジョージに全面的に任せることにしたのかもしれない。そもそも功績など彼等は求めていなかったのだろうな。tウィルスによる被害を受けた人々へ「デイライト」を届けたいという一心で動いたのは間違いない。

 

 月 日

出向いた商人の店で掘り出し物がないか探していたら、久しぶりに「TG-01」で作製されたナイフを見て懐かしい気持ちになった。メタルインダストリー社が1998年に開発した探知機非反応特殊合金「TG-01」は金属反応を探知するあらゆるセンサーに反応せず、入出国の際のレントゲン検査にも移らない上に強度に優れて軽量である。この合金を用いた様々な武器を開発したメタルインダストリー社はアンブレラの取引先企業であった為にアンブレラ倒産の煽りを受けて経営が危ぶまれたが何とか持ち直して今も会社は存続しているが、規模は縮小したようだ。しかし開発技術はかなりのもので金属関連では良い仕事をしているのは確かである。商人の店に置いてあった合金ナイフも良い出来でメタルインダストリー社が作製したものだろう。だが今の私が全力で振るうには強度が足りない。しかし面白い代物であることは間違いないので、部下達への土産に数本購入した。話しの種にはなるだろう。

 

 月 日

裏社会の面々が多数参加するパーティーが開かれることになり、何故か私の元にも招待状が届いた。招待状には特に脅しの言葉が添え付けられているということもなく、招待状とパーティーの開催場所の地図に、貴方をお待ちしておりますと一言描かれた紙が同封されていた封筒が1つだけだ。パーティーの主催者は、どうやら私に用があるらしい。出席を断っても構わないとは思ったが、特に急な用事があるわけでもないので参加することにした。特殊メイクで顔を変えて年齢相応にしたら正装をする。私本来の顔を裏社会の面々に教えてやる必要はない。仕込めるだけの武器を仕込んでパーティー会場に向けて歩みを進めた。さて何が起こるかは解らないが、油断せずに行こうか。

 

裏社会の面々が参加していたパーティーは何事も起こらず終わる訳もなく、案の定ある組織の首領の命を狙いBOWを放った組織が存在した。パーティー会場が大混乱に陥るなか主催者側は冷静に対応してBOWを排除していく。どうやら今回は主催者はまともらしい。それでもこんなことがあればパーティーが取り止めになると思いきや、BOWと問題を起こした組織の面々を処理してから手早く清掃が行われて何事もなくパーティーは再開した。多少のアクシデントがあろうと主催者側はパーティーを続けたいようだ。参加を続ける裏社会の面々も肝が座っていることは間違いない。グラスを片手に歓談を続ける裏社会の面々を壁際で観察していると私に話しかけてくる1人の男がいた。主催者側の人間である男が「貴方をお待ちしている御方がおられます」と私を呼びにきたそうだ。男に連れられて向かった先には筋骨隆々の大男が待っていた。大男に一礼してその場を立ち去る男。

 

大男が此方に歩みより手を差し出してきたので握手をすると大男は手を渾身の力で握り締めてきた。返礼として此方も少々手に力を入れてみると力負けをした大男が「降参だ、適合者にはやはり敵わん」と言って力を緩めたので手荒な挨拶は終わりにする。互いに手を離して大男に用件を言うように促した。大男は「このパーティーは俺の主催だが、裏社会の面々を呼んだのはおまけだ、本当はあんたに会いたかったんだ」と言う。大男は続けて「裏社会では毒蛇と呼ばれて恐れられてるあんたがどんな奴なのか一度会って話してみたかった」と言いながら、かなり高級な酒が詰まった酒瓶を2本持ってきて栓を抜く。大男は「グラスでちまちま飲むよりこのまま飲んだ方が美味いんだこいつは」と言って酒瓶を手渡してくる。見た目同様に豪快な男に少し笑ってしまった。

 

酒瓶を片手に大男と会話する。私がこれまで行なってきたことを大男はよく知っていた。見た目以上に思慮深い大男は専門的な知識も豊富で私が語る内容も正確に理解している様子であり、質問も鋭いところをついてくる。大男との会話はとても楽しいものであり、つい話し込んでしまった。楽しい一時も終わりの時はくる。パーティーが終了する間際まで大男と会話していたことになるが、時間というものは楽しい時にはあっという間に過ぎていくものだ。主催者である大男がパーティー閉幕の言葉を言いに行く。終わったパーティーの出席者達が去っていく中で大男から待っていてくれと言われていたので1人パーティー会場に残ることにする。私以外の出席者が立ち去ったパーティー会場で大男が話しかけてきた。

 

「余計な奴等はみんな帰った、さあ、もっとあんたの話を聞かせてくれ」と言って新たな酒瓶を手渡してくる。酒瓶を受け取り私達は会話を再開した。会話を進めると大男は豪快に笑いながら話の続きを聞きたがる。詳細を事細かに語ると思わずといった様子で唸る大男。反応が何もない相手では話し甲斐がないので反応をしてくれる相手だと会話はとても楽しい。夜が明けるまで会話は続き酒瓶を何本も空にしたが、互いに酔うことはなく淀みなく会話が続いた。話しが絶えることもなく大男の使用人が止めに入ってようやく会話が止まる。どうやら大男には用事があるらしい。楽しい会話が終わりとなって残念だが、用事があるなら仕方ないと立ち去ることにする。最後に互いに連絡先を交換して次は最初からサシで会おうと約束した。




ネタバレ注意
バイオハザード3に登場するクリーチャー
ドレインディモス
通称「DD」と呼ばれるイレギュラーミュータント
皮膚に寄生するノミの一種が、tウィルスに感染した動物の腐肉を食することで二次感染し、人の大きさまで大型化したものと思われる
急激な脱皮と変異を繰り返したためか、外骨格が裂けて内部の組織が剥き出しになっており、非常にグロテスクな様相となっている
ドレインディモスは、人間の髄液から栄養分を摂取する性質を持っている
摂取方法はノミそのもので、攻撃対象に組み付くと同時に硬く鋭い口吻を頸椎に突き刺し、吸血する
養分を十分に吸収した後は、オスがメス化して産卵し、単体で繁殖活動を始める
普段は路地裏などの湿った場所に生息し、移動時は壁や天井をクモのように這い回る

ブレインサッカー
DDに酷似したイレギュラーミュータント
2つの頭部と爬虫類めいた体表を持ち、まるで2体の生物が融合したかのようなフォルムをしている
これは、DDと同じノミの一種が、DDとは異なる動物に寄生していたためと思われる
つまりブレインサッカーはtウィルスの宿主だった生物からDNAを多く取り込むことで、突然変異を遂げた別種のクリーチャーなのだ
DDが髄液を吸い出して養分を吸収するのに対して、ブレインサッカーはその名が示す通り人間の脳を直接摂取する
獲物を捕獲した後は、頭部を破壊して2本の舌を挿入
器用に頭蓋骨を抉じ開けて栄養分の脳を取り出す
組み付いた後に脳を狙う以外は、DDと攻撃パターンに差異はなく、爪による攻撃を主とする
ただしブレインサッカーには毒性の体液を分泌する性質もあるようで、遠距離の目標にそれを吐き出すことがある
なお、DDまたはブレインサッカーは産卵することで繁殖するが、これによって生まれた幼虫は小型ながら成体に近い姿をしている

バイオハザードアウトブレイクに登場する人物
ジョージ・ハミルトン
ラクーン市内の病院に勤務する医師
外科医としての腕は超一流のものがある
その協調性と包容力から人望も厚く、周囲に友人が多い

ケビン・ライマン
ラクーン市警所属の警察官
高い運動能力と射撃技能を持つが、楽天的な性格が災いしてSTARSの選抜試験に2回連続で落選している

シンディ・レノックス
JsBARのウェイトレス
前向きで明るい性格であり、外見に似合わず度胸もすわっている
趣味はハーブ栽培で、その知識が生還に役立つことになる

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